~コウキside~
俺となのはだけにしか聞こえなかった声を頼りに、俺はこの動物病院にたどり着いたわけだが。
なのはのもとへ飛び込んだフェレットが一言。
「……来てくれたんだね?」
「「………………」」
言葉を発した。人間ではない。このフェレットがだ。
「……えっと? あの?」
「キェアアアアアアア!! シャベッタァァァァァァァァ!!」
「うわあ!?」
「ほ、ほんとにしゃべってる!!」
なのはは驚き、俺は奇声を発し、フェレットは俺の奇声に驚いたようだ。
魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~
第3話 「魔法少女誕生」
それにしても予想外すぎる。まさかあの誰とも分からない声が人間ではなく、フェレットだったとは。
それにしても……
「これは一体……?」
なぎ倒された木。その木が生えていた場所に、生物とは思えないものがうごめいていた。
その物体の目のようなものがこちらに向く。
「……っ! なのは! 逃げるぞ!!」
「えっ!? う、うん!!」
俺となのはは、病院を背に走り出した。
「ハッ……! ハッ……!」
「い、一体何がどうなってるの!?」
なのはの言うとおりだ。全く持って訳が分からん。
そもそもさっきのは何だ? このフェレットは何者だ? っていうかこの状況は何だ?
「君には、資質がある。……お願い、僕に少しだけ力を貸して!」
「資質?」
そしてこの俺へのスルーっぷりである。死にたい。
「僕は、ある探し物のために、此処ではない世界から来ました。でも、僕一人だけじゃ、思いを遂げられないかもしれない……。だから、資質を持った人に協力してほしくて……」
「…………」
「お願いします! 力を貸してください!! お礼なら何でもします!」
なるほど、つまりなのはには何かの『資質』がある、ということか。何の『資質』なのかさっぱり分からんけど。
……ん? でも、声が聞こえたということは、俺にも一応その『資質』ってのはあるのか?
「なあ、そこのフェレット」
「あ、はい。何ですか?」
「俺にも、その『資質』ってのはあるのか?」
「……えっと……、はい。確かに『資質』はあるのですが……」
「?」
何故かフェレットは黙ってしまった。
え? 何? 何か問題があるの!? 生命に関わる重大な何かが!?
……ハッ!? もしかして、俺にはものすごい力が眠っていて、それこそ世界を崩壊させるような、ヤバイ何かがあるってことか!!
それは確かに口ごもっても仕方がないな、うん。
「……その、僕でも分かるぐらい弱弱しいというか……、向こうの世界では最下位レベルというか……。『資質』はあるけど『才能』は無いというか……」
「……おk。把握」
全く逆でした。サーセン。
まあ、要するに俺はただの雑魚だってことか。何だそんな事か! ハハハハハ!!
……アレ? なんか目の近くにだけ雨降ってない?
俺が一人うなだれていると、フェレットはなのはの腕から抜けて、なのはに向きなおした。
「あなたに、僕の力を使って欲しいんです! 『魔法』の力を!!」
「……『魔法』?」
「なのは! 後ろ!!」
フェレットをなのはに抱えさせ、俺はなのはと逆の方向に移動する。
そのすぐ後、さっきの物体が上から突っ込んできた。
とりあえず、俺は壁際に身を潜める。
フェレットのいるなのはの方を見れば、電柱の影に隠れて何か話し込んでいた。
こんな状況でのんきだなあ、てのは置いといて、先程気になった言葉が一つ。
『魔法の力』。
あのフェレットはそんな非現実な事を言っていた。つまり、あいつは魔法が使えるか、その魔法に関係している、って事になる。にわかには信じがたいことだが……。
そしてなのはにあるらしい『資質』、ということは、今あいつらはその『魔法』の件について話していると見た。
「……はあ……。そういうことね……」
ここで今俺が出来ることは、あのフェレットとなのはを信じて時間稼ぎをすること。我ながらなんという脇役感。泣きそうだ。
……でも、仕方ないよな……、なのはには『資質』も『才能』もあるらしいし。
俺には『才能』は無いらしいし……。
「ヴァアアアアアアアアッッ!!」
「うおっ!?」
地面に突っ込んでいた物体が活動を再開する。その目のような部分が動き、そして俺を見た。
すぐにこちらへ突っ込んで来る。
俺はとっさに右方向へヘッドスライディング。間一髪で敵をかわした。
ていうか怖っ!! ものすごく速いんですけどアイツ!
……でも、これだけ直線的な攻撃ばっかり仕掛けてくるってことは、あの物体、知能はあまり高くないと見た。
これなら左右に移動するだけで…………
「レイジングハート! セット・アップ!!」
(stand by ready,set up)
瞬間、なのはの声とやや機械っぽい声とともに、彼女を中心に桃色の光が眩しく輝いた。
「……なんて魔力だ……」
「な、なんだ!?」
桃色の光がなのはを包み込み、そして一瞬で光が周りに発散された。
そこに現れたのは、どこか俺達が通う学校の制服を思わせるような服を着たなのはだった。
「……成功だ……!」
「な……、なんなのこれ!?」
そして、俺に注意を向けていたあの物体が、なのはを睨みつける。
「ヴヴヴヴ……」
「ふ、ふぇぇぇ~!?」
訳が分からず、怯えるなのは。
「…………え?」
その隣に、なのはを見ながら、同じように訳が分からず呆然と立ち尽くしている俺がいた。
物語が全然進まねえええ!!
どうも、冬の目です。
ゆっくり更新していきたいと思います。
出来るだけ失踪しないようにがんばります……w
では、また次回。