~side コウキ~
ユーノへのご褒美(?)も終わって、俺たちはそれぞれ家に帰ることになった。
「送っていこうか?」
士郎さんがアリサ達に提案する。ずっと思ってたことだけど、すげえ優しい人だよな士郎さんって。何というか、気遣いが行き渡っているというか……。
まあ、でも。
「あ、大丈夫です」
アリサが断りの返事をする。
アリサとすずかは、海鳴市のなかでもかなりのお嬢様だ。何かしら移動することがあると、すぐに妙に長い車を呼び寄せて移動する。そりゃもう「別に必要なくね?」ってぐらいの距離でもだ。
だから、常にアリサ達の近くに無料タクシーがあるといっても過言ではない。よって送る必要も無いわけで。
……俺も帰るかな。今日はジュエルシード集めも休みにしてあるし。
「コウキに送ってもらいますから」
……ん? 何だって?
「ほう、コウキ君がかい?」
「はい」
「……アリサ? 今なんと?」
「あ、アンタが私達を送っていきなさいって言ってるのよ!」
「あ、アリサちゃん……!? だ、大胆だね……」
「アリサからイミフな命令を受けた件について」
「なんですって?」
「い、イヤ別に何もないですけど?」
……なんで俺がコイツらを送らにゃならんのだ。普通にアリサ達を迎えに来てる車があるだろうよ。
コイツの考えることはよく分からん。前からだけど。
「まあ、いいけど」
「えっ!? いいの!?」
「……何で命令してきたアリサがびっくりしてんだよ」
「い、いや……」
「ほら、帰ろうぜ? アリサ、すずか」
「え、ええ……」
「うん! コウキ君!」
何故か顔が若干赤いアリサと、嬉しそうなすずか。表情の真意はよく分からんが、とにかくこの二人と帰ることにした。
「ってな訳で、俺は帰るわ。なのは」
「…………むう」
「なのは?」
それから、なのはと別れるまで、あいつは何故か不機嫌だった。
魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~
第7話 「収集③」
「……しかし、なんで俺がアリサ達を送る必要が? アリサ達にはアリサ達専用の車があるじゃねえか」
「そ、それは……」
「それは?」
「き、気分よ気分! 今日は歩いて帰りたかったのよ! ねえ、すずか?」
「えっ!? う、うん、そうだよ」
「……そっか」
歩いて帰りたかった……か。まあ毎日車で移動してるんなら分からなくもないが……。アリサ達、いつもなのはと一緒に歩いて塾に向かってなかったか?
アリサたちには常に無料タクシーがあるからとは言っても、何でもかんでも車を使っているわけではない。登下校はなのはと一緒にバスに乗ってくるし、帰りは三人で歩いて帰っている。
それはともかく、今考えてみれば確かに歩いて帰るなら、二人じゃ危険かもしれない。それなら俺が駆り出された理由も分からなくはないか。
……まあ、正直アリサに護衛なんているのか、甚だ疑問ではあるのだけど。
「しっかし、今日は良い天気だな。歩いて帰りたくなる気持ちが分かる気がする」
「本当だよね~、今日は良い天気だよ」
「……なんか年寄りみたいね、あんた達」
「何か言ったか? バーニングさん?」
「バニングスよ!! わざとでしょあんた!!」
アリサ、すずかと他愛のない会話をする。こうやって暇を持て余すのも久しぶりな気がする。たまにはこういうのもいいかもな。
……なのははどうしてるかな? ちゃんと休めていればいいんだけど。
「ねえ、コウキ君」
「……うん? 何だよすずか」
「なのはちゃん、何かあったのかな?」
「……どういうことだ?」
「だって、なのはちゃん最近疲れてるみたいだし……」
「そうそう! まったく、困ったら私達に言いなさいって言ってるのに!!」
アリサとすずか、特にアリサはこんな態度だけど、いつも何だかんだで友達のこと考えてるんだよな。そこが憎めないというかなんというか……、ツンデレ? みたいな感じかな。
すずかは言わずもがな友達思いだよな。
それはさておき。
さすがにアリサ達にもなのはの最近の様子が分かってしまったか……。まあ、今のなのはを見たら誰だっておかしいと思うよな……。
「……なのはにも色々あるんだろ。二人はひっそりとあいつを見ていてやればいいんじゃね?」
「……ひっそりとする意味がよく分かんないんだけど、まあいいわ。とにかく、あんたも何か分かったら私達に言いなさいよね!」
「へいへい」
ほんと、良い友達を持ったな、なのは。
--------------------------------
「んじゃ、またな、アリサ、すずか」
「うん。またね、コウキ君!」
あの後、特に何も問題はなく、無事にすずかの家の近くまでやってきた。ここまで来ればもう大丈夫だろう。アリサもすずかの家に寄るって言ってたので、俺も帰ることにする。
「たまにはこういうのも悪くないわね」
「たまにはって、二人はいつもなのはと三人で歩いて帰ってるんだろ?」
「そ、それは……」
突然アリサが口ごもる。
……うん? さっきなのはと別れたときもだけど、なんかちょっとおかしくないか? アリサのやつ。
「……あ、アンタと一緒に帰るのも悪くないって言ってるのよ!」
「…………あー、そういうことね」
なんかアリサから恥ずかしい言葉を頂いた。やべえ、なんだこの気分、俺赤くなってない? 照れてるのバレるって!
「ま、まあそういう時は言ってくれれば付き合うから」
「そ、そう……」
言った本人が赤くなってますが!? 恥ずかしいなら言わなければいいのに。
俺とアリサは無言になり、しばし妙な沈黙が続いた。
さてどうしようかと行動を起こそうとした、その時。
「……二人とも、楽しそうだね」
「「……ハッ!?」」
俺の後ろですずかさんがなにやら黒くなっておられました。どうしましょう。
「そ、そういうわけで俺は帰るわ! じゃあな!!」
「え、ええ!」
「……どういうことなのかなあ……?」
すずかはあえてスルーで行く!!
ある程度アリサ達との距離を空け、ホッと一息つき、さて帰ろうかと歩き出した、その時。
ーーーーーーピシッ!
「……!!」
瞬間、妙な感覚を身体に覚える。
かつて五度感じた、あの感覚。
「ジュエルシード……!?」
お、おいおい……。ちょっと待て。
今日はなのはを休ませるつもりだったのに。全く休ませてやれないとは……。
「……とにかく」
まずはジュエルシードのもとへ急がないと。正直、なのはを動かしたくはないが、あいつらももう確実にそこへ向かっているだろう。
いざとなれば、俺が……。
~side コウキ 了~
嘘……だろ……? 更新遅れた上に、今回もジュエルシード収集してねえ……!
どうも、冬の目です。
先週の週末はまあ色々あったので、更新できませんでした。
すみません
……まあ、待ってる人なんて居ないのかもしれないけどねww
では、また次回!