面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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IS編
面倒くさいので、取り敢えず寝る


 いきなりですが、私は転生者です。

 名前は~…別にいいか。誰も私の名前なんて知りたがらないだろうし。

 なら、なんでいきなり一人語りなんて始めてるだって話だけど、それは『お約束』だと思って諦めて。

  

 んで、自分の事を簡潔に説明すると、とある理由で死んでしまった私は、人の話を全く聞かない自称神様によって強制的に転生させられて、その際によくある『特典』も貰ってしまった。

 やっぱり、幾らお腹が空いていたからといって、賞味期限が一ヶ月も過ぎていたメロンパンを食べてしまったのがダメだったんだろうか。

 

 その転生した世界が、良くも悪くも二次創作界隈で有名な『インフィニット・ストラトス』の世界だったわけで。

 昔から色々と有ったせいで全てが面倒くさくなった私は、なんかもう思考を放棄してから流されるがままに生きることに。

 といっても、自ら積極的に厄介ごとに足を突っ込む気は無いけど。

 

 第二の人生で得た家族もまた、とんでもない人達で、それが私の中にある『諦めの心』を更に助長した。

 凄い人達ではあるんだけど、それ以上に人間として致命的に破綻している。

 それに関しては私も人の事は言えないんだけど。

 実際問題、その両親のせいで私は半ば強制的に入りたくも無い学校に入学させられることになった。

 抵抗しても無駄だと早々に判断したから、大人しく従いはしたけど。

 それ以前に、私にどうこうする程の力は無いしね。

 

 え? 前世での私? んなのどうでもいいでしょ。

 大半の読者は興味なんて無いだろうし、そもそもの話、この作品を読んでいる人間がどれだけいる事やら。

 なら、せめて前世での性別だけでも教えろ?

 えっと…男? それとも女? どっちだったかな?

 他人は元より、自分の事にも全く興味とか無かったから忘れちゃったよ。

 だって、本気でどうでもいいじゃん、そんな事。

 一応、今は女だよとだけ言っておく。

 紺色のショートヘアーの、長い前髪で左目の隠れた美少女だよ。

 3サイズは秘密。各々で勝手に妄想なり想像なりしてくれたまへ。

 

 はい、そんな訳で本編始まりますよ~。

 

 

 

 

 

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 あ、もう終わり? はい、そうなのね。

 私が今いる場所は、IS学園の一年一組。

 そう、後に数多くの原作キャラが所属する事になる、あの一組だよ。

 厄介ごとの巣窟にして、ある意味で全ての元凶。

 因みに、もう一番最初にある諸々の出来事はとっくに終わっている。

 

 例の自己紹介も、織斑一夏の盛大なボケから始まり、ブラコン教師『織斑千冬』による出席簿アタックという名の体罰、その後に起きたセシリア・オルコットとの口喧嘩から発展する決闘騒ぎも。

 ぜ~んぶ、とうの昔に終わってま~す。残念でした。

 

 今はお昼休みなんだけど、教室には殆ど誰もいない。

 何故って? 織斑一夏の後を大名行列組んでから着いていったからだよ。

 ほんと、何が悲しくて、こんな場所に来なくちゃいけないのかしらね。

 やれやれだわ(哀)

 

 極僅かに残った他の生徒達も、私の存在には全く気が付いていない。

 前世(むかし)から影が薄かったからか、余程の事が無い限りは私の存在にすら気が付かない。

 こっちにとっては非常に有り難いことなんだけどね。

 

 私のお昼ご飯はとっくに終了していて、ランチは予め買ってきておいた卵サンドと牛乳。

 お昼はこれぐらいで十分なのだよ。

 

(軍曹殿)

(アル? どったの?)

 

 たった今、私の脳内に直接話しかけてきたのは、うちの糞親父が作り出した高性能AIのアル。

 昔から私の事なんて目もくれてなかった両親に代わって私の事を育ててくれた存在であり、今ではお目付け役的な存在になっている。

 ちょっと小五月蠅い所もあるけど、それでも憎めない良い奴。機械なんだけどね。

 んでもって、この『アル』が私に与えられた『特典』の一つでもあるのですよ。

 え? アルはどこから話しかけてるんだって? さぁ~…どこだろうね?

 

(軍曹殿は、どうして織斑一夏の後を追わないのですか?)

(いや…別に興味とか無いし。本気でどうでもいいし)

(ですが、他の女子達は彼の後を嬉々とした様子で追い駆けていきましたが?)

(単純に男子が珍しいだけでしょ? ここって実質的に女子高みないなものだし)

(珍しいだけで、ああなるのですか? それにしては些か過剰だったような気も……)

(それには同感)

 

 よっぽど暇なんだろうね~。じゃないと、あんな事なんてしないだろうし。

 何が悲しくて勝てない勝負に挑もうとするんだろう? 無駄なのにね。

 

(昼休みが終わるまで、後どれぐらい?)

(35分23秒です。軍曹殿)

(あんがと。んじゃ、昼休み終了五分前まで寝るわ。アラームよろしく)

(了解です。ごゆるりとお休みください)

 

 机に突っ伏してから、頭の中を空っぽにして眠る体勢になる。

 それと、いい加減に私の事を『軍曹殿』って言うの止めれ。

 私は一度も軍属になった経験なんぞないわ。

 なんでか私が美幼女(笑)だった頃から、そう呼び続けるんだよな。

 

 

 

 

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 はい。あっという間に放課後になりました。

 授業自体は普通に出来る感じ。

 そして、また主人公君を一目見るために女子達が集まって来た。

 あんたら、マジで他にする事は無いの?

 

(あ。原作通りに織斑一夏が山田先生たちとなんか話してる)

 

 私には全く関係ないけど。

 さて…と、教室中の視線が彼に向いている隙に、こっちはとっとと学生寮に逃げさせて貰いますかね。

 変に誰かに話しかけられたりするとか絶対に嫌だし。

 ほんと、気配が薄いって便利だわ~。

 

 

 

 

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 寄り道なんてせずに、真っ直ぐに学生寮へと到着。

 入学時に渡されている鍵を使って部屋に入ると、そこはなんとも豪華なお部屋が広がる。

 同居人は誰もいない。どこぞの男の子がイレギュラーな入学をしてくれたお蔭で数の関係上、私は一人部屋になったのでした。

 こんな広い部屋を独り占め出来るとは最高ですね。

 ちゃんと鍵を閉めてから部屋の中を改めて眺めていると、端の方に私物と他の荷物諸々を纏めた段ボール他が並べられている。

 

「…アル。お願い」

『スキャン開始』

 

 脳内にアルの分析結果が流れ込んでくる。

 ふむふむ…成る程ね。

 

『スキャン完了。監視カメラ、盗聴器の類は一切検知出来ませんでした』

「みたいだね。ありがと」

 

 どうやら、ちゃんとこっちの情報は『向こうさん』に伝わっているみたい。

 こっちから話すとか論外だし、ある種の賭けだったけど、上手くいったようでなにより。

 

「安全が確保できたところで、荷解きしますか」

『軍曹殿。段ボールと並ぶように置いてあるクーラーボックスには何が入っているのですか?』

「見てからのお楽しみ」

 

 ベッドの上に適当に鞄を放り投げてから、カッターを使ってから段ボールを封していたテープをはがしていく。

 一つ目の段ボールには服や下着、他には色んな本やゲーム機とかが入っている。

 正真正銘の私物たちだ。

 二つ目も同様。女の子の荷物は段ボール一つ程度じゃ収まりきらないのだよ。

 

 三つ目は色んな人参、玉ねぎ、ジャガイモを初めとした各種野菜が入っている。

 食堂に行けば手っ取り早いのだけれど、そうすると確実に誰かと会う。

 そんな目に遭うぐらいなら、この部屋で自炊生活をした方が何百倍もマシだ。

 

 四つ目の段ボールには愛飲しているインスタントコーヒーやココア、紅茶とかが入っている。

 一人だからこそ、こんな事にも拘りたい乙女心。

 

 そして、クーラーボックスには牛肉、豚肉、鶏肉といった肉類を冷凍保存しつつ、牛乳やミネラルウォーターを一緒に入れていて、ついでに色んな調味料も入っている。

 

『成る程。軍曹殿は世捨て人を自称している割には、こうして自炊をすることが多い。納得しました』

「それ…褒めてる?」

『それは勿論』

 

 人工知能の言葉の機微がよく分からない。

 

「これ全部を一度にするのは面倒くさいな……」

『ならば、どうするのですか?』

「まずは食料類だけでも片付ける。ここに備え付けられてる冷蔵庫なら楽勝でしょ」

『はい。私の計算でも、十分に貯蔵可能だと結果が出ています』

 

 いつの間に、そんな計算をしてたんだよ。

 

『では、早速始めましょう。私が適切な収納場所を指示します』

「なんでアルの方がやる気満々なのさ……」

 

 

 

 

 

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 職員室にて、二人の教師が一枚の書類を見ながら茶を片手に話し合っていた。

 

「それにしても、今年の一年生は凄いですね~。篠ノ之博士の妹さんに、イギリスの代表候補生。四組にも他に代表候補生がいますし……」

「一番は矢張り、あのバカか……」

 

 話しているのは、一年一組担任の織斑千冬と、副担任の山田真耶。

 この二人、実は現役時代の先輩後輩だったりする。

 

「確か、もう一人だけいましたよね? えっと……」

「これまでに数多くのISに関わる発明をしてきた科学者夫婦…『相良夫妻』の一人娘であり、篠ノ之と同じ『重要人物保護プログラム』によって各地を転々とした挙句、強制的にIS学園に入学させられた少女……」

 

 ズズ…と茶を一口含んでから、書類についている顔写真を見た。

 そこには、紺色で短髪の、前髪で目が隠れている少女が映っていた。

 

「相良加奈…か」

「教室で見かけた限りだと、何処にでもいそうな普通の女の子でしたけど…」

「資料によると、これまでの出来事が切っ掛けで無気力で全てを諦めたかのような性格になっている、とのことだが……」

 

 一体どんな事があれば、この歳で世捨て人のようになるのだろうか。

 過酷な環境だったとはいえ、人との繋がりには恵まれていた千冬には全く想像が出来なかった。

 

「…彼女に関しては、細心の注意をしながら見ていくしかないな」

「場合によっては、メンタルケアもしなくてはいけませんしね……」

「……難儀なものだな」

 

 それは何に対して呟いた言葉だったか。

 これからの自分に向けてか、それとも写真の少女に向けてなのか。

 

 しかし、彼女達は知らない。

 この『相良加奈』がどれだけ異常なのかを。

 自分達の考えがどれだけ甘いのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

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