面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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今回、新しいキャラが出ます。

ロランの次は?












面倒くさいので、国内旅行する(夏祭り編①)

 沖縄で綺麗な海と砂浜を満喫した私とロランは、九州に戻ってから長崎、佐賀を通過して福岡県の博多のとある町まで来ていた。

 別にこれといった目的は無いのだが、本州に戻る前に一度見てみたいと思った程度。

 

 因みに、アルから聞いた話によると、例の臨海学校では何故か福音の暴走事件は発生せずにIS学園の生徒達は普通(?)の臨海学校を楽しんだのだとか。

 しかも、篠ノ之箒は姉から例の専用機を受け取っていない。

 本人は欲しいとせがんだらしいが、姉の方が拒否したらしい。

 それで姉妹の仲が更に悪くなったらしいが、私には関係ないし興味も無いので、すぐに頭の中から消去した。

 そもそも、あんなトラブルの種にしかならない代物をどうして自ら欲しがるのかな。

 全く理解が出来ないよ。どこかに所属している訳でもない自分がそんな物を持ったらどうなるのか想像出来ないのかね?

 ハッキリ言ってバカじゃね? つかバカじゃね?

 

「険しい顔をしてどうかしたのかい?」

「うんにゃ。なんでもない」

 

 隣でジュースを飲んでいたロランが私の顔を覗き込む。

 あの沖縄での一件以降、どうもロランの顔をまともに見れない。

 別に嫌いになったわけじゃないんだけどな……。

 

 そういや、まだ私達がどこにいるのか話してなかった。

 今、私達がいる場所は夏祭りの会場。

 色んな屋台が所狭しと並んでいて非常に賑やかだ。

 主に粉物三巨頭(お好み焼きとたこ焼きと焼きそば)の匂いが、さっきからずっと鼻腔を刺激しまくっている。

 それに紛れて匂う食欲をそそるとんこつ臭は気にしないでおく。

 『だって福岡だから』で片付けてしまおう。

 

「にしても、これが日本のサマーフェスティバルか。見ているだけで心がワクワクしてくるな」

「確かにね。夏祭り会場にいると、不思議と高揚するんだよね」

 

 こればかりは日本人の特徴とも言うべきなのかもしれない。

 なんだかんだ言っても、祭り好きの遺伝子が私達の中に宿っているんだろう。

 

「オランダにはコレ系の祭りは無いわけ?」

「そうだな……コンサートやパレードなどはあるが…あ。花火のフェスティバルがあった」

「花火大会。そこは日本と一緒だね」

「らしいね。前にネットで見たことがあるが、日本の花火フェスティバルは凄い迫力だった。いつかこの目で見てみたいものだ」

「日本にいれば見る機会なんて幾らでもあるよ」

「その時は一緒に見てくれるかい?」

「…まぁ…一人で見るのも虚しいだけだし……いいよ」

『最近になって軍曹殿のデレが加速していますね』

「うっちゃい。つーか、アルはどこでそんな知識を身に付けてるの?」

『ネットですが?』

((インターネット…恐るべし……))

 

 人工知能の筈なのに、日に日にアルの精神が限りなく人間に近づいていっている件。

 

「しかし、日本の屋台は本当に気前がいいね。先程買った『タコヤキ』…だったかな? を、まさか一個オマケしてくれるとは」

「屋台のおじさんってなんでか無駄に元気だからねぇ……。テンションあがって売り上げの事とか考え無しにサービスしてくれるんだよ。こっちにとっては嬉しい限りだけどさ」

 

 多分、ああいうサービスは私達みたいな若い女の子限定だろうな。

 カップルの場合は彼女の方にだけサービスすると見た。

 

「むっきー! なんでさっきから掠りもしないのよー!!」

「「『ん?』」」

 

 なにやら、女の子が癇癪起こしているような叫び声が聞こえてきた?

 どこからだろう?

 

『軍曹殿。前方50メートル先にある射的屋からのようです』

「前方って…あそこか」

 

 なんかあったわ射的屋。

 そこの店先で黒髪の小柄な女の子が射的用の銃を握りしめて悔しそうにしている。

 

「なんだいあれは?」

『射的屋。コルクを弾とする玩具の銃を使用し、景品を直接撃ち落とす事で手に入れられる屋台です。一言に景品と言っても多種多様に存在しており、菓子やぬいぐるみ、ゲーム機などがあり、店によっては電化製品を並べている所もあるとか』

「成る程…解説感謝するよ、アル」

『どういたしまして』

 

 わ…私が解説をする前に全部言われてしまった……。

 アルに解説役を取られるかもれない…。

 

「興味深いな。加奈、少し覘いてみないか?」

「別にいいよ。面白そうな景品があれば狙ってみるのもいいし」

『軍曹殿がやれば、店はすぐに閉店しそうですね』

「うっちゃい。前から言ってるでしょ。私は射撃が一番苦手なんだって」

『前から言っているように、軍曹殿がそれを言っても説得力に欠けます。世界レベルのスナイピングスキルを持っている軍曹殿が言っても皮肉にしかなりません』

「ははは……」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 射的屋に到着すると、女の子の持っている弾は最後の一発になっていた。

 手元には景品の類は一切ない。

 つまり、全部外してるって事か。哀れな……。

 

「今度こそ…今度こそ当ててやるんだから!」

 

 特徴的なサイドテールを揺らしながら構える女の子だが、全くなっちゃいなかった。

 なんか、こーゆーのって見ててイライラするなー。

 

「はぁ……肩に力が入りすぎ」

「えっ!?」

 

 女の子の両肩にそっと手を当ててから下がらせる。

 

「足は肩幅に開いて、撃った時の反動でぶれないように両手でちゃんと銃身を持つ」

「わ…わわわ……」

「真っ直ぐに狙うんじゃなくて、少し上の方を狙ってみて。射的屋の銃は威力が低い上に撃っている弾がコルクだから、途中で軌道が下がるんだよ。そこも計算しないと、当てられる物も当てられないよ」

「わ…分かりました!」

 

 余談だけど、私は小さな頃に夏祭りの射的屋のおっさんの態度が妙にムカついたので、景品を全部取った上でおっさん自身も眉間と人中と股間を撃ち抜いて倒した。

 

「どれが欲しいの?」

「あれです! あのゲーム機!」

 

 女の子の視線の先には、とある会社の最新ゲーム機が。

 成る程、確かにあれは欲しいかもしれない。

 私は既に持ってるけど。

 

「んじゃ、そこの照準を合わせて……ハイ発射」

「えい!」

 

 最後の一発は綺麗な放物線を描き、そして……。

 

「た…倒れた…?」

「大当たり~! いや~! 幾らアドバイスを貰ったからといっても、まさか最後の一発で当てるとはな! 見事だ! ほれ、持っていきな!」

「やった~! あの…ありがとうございました!」

 

 なんて眩しい笑顔……私には出来ない芸当だ。

 けど…この子の顔、誰かに似ているような気が……。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 その後、射的屋を後にした私達は近くのベンチに並んで座った。

 え? 射的はしなかったのかだって?

 一応はしたよ? 特に欲しいものも無かったから、適当にお菓子の詰め合わせセットを狙ったら一発で命中して倒したけど。

 

「私と少ししか違わないのに、二人っきりで旅をしてるって……」

 

 別に隠す事でもないので、彼女には私達の事を軽く話した。

 なんでか凄い尊敬の眼差しで見られてるけど。

 

「凄いカッコいいです!!」

「そう?」

「フッ…照れるね」

 

 カッコいい要素ってあったかな? 分からん。

 

「旅って言っても、私の場合は殆ど家出みたいなもんだし……」

「私も、加奈についていく形で日本の観光を楽しんでいるだけだしな」

「それでも十分に凄いですって! まるで青春物のドラマみたいだなぁ……」

 

 そう言われてみれば確かに。

 今の私達の状況って青春ドラマみたいかもしれない。

 

「それで、君はどうしてここに? えっと……」

「凰乱音っていいます。台湾から来ました」

「凰って……」

 

 その名字…まさかとは思うけど……。

 

「ねぇ…もしかしてだけど、君の知り合いに中国の代表候補生がいたりする?」

「え? 鈴お姉ちゃんを知ってるんですかっ!?」

「知ってるっていうか……めっちゃ遠くから顔を見ただけっていうか……」

 

 狙撃砲のスコープ越しに顔を見ただけだしね~。

 お世辞にも、あれは『会った』とは言えないでしょー。

 

「相良さんって、IS学園の関係者だったりするんですか?」

「関係者って言うか、普通に生徒。現在進行形でサボリ中だけど」

「私はオランダの代表候補生をしているんだ」

「マジでッ!? 実は私も台湾の代表候補生なんですよ!」

 

 た…台湾の代表候補生だと……。

 え? この子って私達よりも年下だよね?

 一歳下らしいから…14歳?

 

「あの…凰さんとはどんな関係なの?」

「お姉ちゃんとは従姉妹同士なんです」

「あ…成る程」

 

 その一言で全ての疑問が氷解したわ。

 誰かに似てるって思ってたら、凰鈴音にそっくりだったんだ。

 それを言ったら怒りそうだから言わないけど。

 

『そして、私がアルと申します』

「わっ!? ど…どこからっ!?」

「ここから」

 

 前髪をかきあげてから義眼を見せる。

 まぁ…ここで怖がられても気にしないけど。

 ロランは全く何とも思ってなかったし。

 

「これが私の専用機の待機形態なの。で、アルはそれに搭載されているサポート用のAI」

「専用機も持ってるんだ…相良さんって何者…? っていうか……」

 

 やっぱ怖いかな?

 

「義眼って…カッコいい……」

「…そうきたか」

 

 最近の子供の感性がよく分からん。

 いや、私も最近の子供なんだけどね?

 

「台湾の代表候補生である乱音がどうして一人でこの街にいるのかな?」

「私の事は『乱』でいいですよ。ロランさん」

「では、そう呼ばせて貰おう。で、なんでだい?」

 

 確かに、それは気になる。

 何の事情も無しに14歳の女の子、しかも台湾の代表候補生である子が一人で理由も無く博多にいる訳がない。

 そこには必ず大なり小なりの事情がある筈だ。

 

「あ~…やっぱ聞かれますよね。分かりました。お二人はいい人そうだし、お話しします。実は……」

「「実は?」」

「私、政府の連中から『中国の代表候補生がIS学園にいるんだから、お前も飛び級で学園に行け!』って滅茶苦茶な事を言われて、少し前に見学に行ってきたんですよ…」

 

 ……世の中、狭すぎだろ。

 あと、台湾の政府連中はマジで死ね。

 

 

 

 

 

 




なんだか長くなりそうなので、続きは次回に。

それと、射的についてはツッコミは無しでお願いします。

完全に適当なんで……。



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