面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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前回に引き続いて夏祭り編の後半です。

今回はどんな話をするのでしょうか?







面倒くさいので、国内旅行する(夏祭り編②)

 夏祭りの会場で出逢った、台湾の代表候補生で原作ヒロインの一人である凰鈴音の従姉妹でもある『凰乱音』から、台湾政府の滅茶苦茶具合を聞かされて、私とロランは揃って呆れるしかなかった。

 

「本気で意味分らないんですよね~。何が楽しくて張り合ってるのやら」

「台湾と中国は近しい関係にあるから、向こうがやるならこっちも…的な事を考えたんじゃない? 分からんけど」

「だとしたら、マジで頭の中身がガキですよね……はぁ……」

 

 彼女の憂鬱具合は私にも解る。

 こっちもまた同じように政府の連中によってIS学園に入れられたクチだからね。

 

「君の気持ちはよく分かるよ。実は私達二人もまた、似たような事情があるんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ。加奈は日本政府によって無理矢理に近い形で学園に入れられたし、私もまたオランダ政府の要請でIS学園に入学させられそうになったからね。君と同じように見学だけで終わらせたが」

「そうだったんだ……」

 

 似たような境遇の女の子が三人揃うって、これは偶然なのか。

 それとも、どこの国の政府も腐りきっているだけなのか。

 多分、腐っている方だとは思うけど。

 

「最初はお姉ちゃんもいるから、少しは入ってもいいかな~っとは思ってたんですけどね」

「今は違う?」

「ですね。私が見学に行った時、鈴お姉ちゃんに色々と案内して貰ったんですよ。だけど……」

「だけど?」

「お姉ちゃん…悪い意味で昔とは全く違ってた……」

 

 昔の凰鈴音とか知らないし興味も無いから何とも言えないけど、何がどう変わったんだろう?

 

「昔のお姉ちゃんはストイックな人だったんです。何事にも一生懸命で、努力家で、普通の人達の数倍は陰で頑張ってて…私もそんなお姉ちゃんを本気で尊敬してました。実際、私が代表候補生になりたいって思えたのも、お姉ちゃんの努力を近くでずっと見てたからなんですよ。でも……」

「でも?」

「久し振りに再会したお姉ちゃんは、校舎とかの案内をしながらも、次の瞬間には『例の男子』の話ばかり。やれ『自分とアイツはこうだった』とか『あいつの何々が凄い』とか。正直な話…本気で呆れました。幻滅とも言うのかな……」

(そりゃ…原作ヒロインだからねぇ……)

 

 バカの一つ覚えみたいに織斑一夏のことしか考えず、あいつに好かれたいと思ってる癖に、何かあればすぐにISを私物のように使って暴力行為をする始末。

 仮に私が男子の立場であそこにいても、彼女達五人には欠片も好意も興味も持てない。

 見た目がいいだけで、他の全てが最悪だから。

 

「それに、学園全体の雰囲気もなんだか好きになれなかったから、すぐに見学を切り上げてから学園を出ました。で、その直後に政府の連中に私が見た事、感じた事を全部報告したんですよ」

「そしたら?」

「『前言撤回だ。お前まで腐る必要はない。中国の小娘には精々、あの箱庭で我々の栄光を見守って貰おうではないか』…って! なによそれ! 大人の癖にコロコロと意見を変えるんじゃないッつーの!!」

 

 乱ちゃんが怒る気持ち…めっちゃ分かるわー。

 だからこそ、私はこの国のお上も見限ってるんだしね。

 

「それで、余った時間はどうすればいいのかって尋ねたら、『好きにしろ』って言われたんで、文字通り好きに過ごす事にしたんです。戻ったところで、すぐにまた訓練漬けの毎日ですしね。だったら、少しでも日本観光を楽しもうと思って」

「そこまで我々と同じとは……」

「もうこれ『奇遇』って言葉じゃ済まされないぞ……」

『学校などはいいのですか? 乱の年齢ならばまだ中学生だと推察できますが』

「それも大丈夫。台湾って訓練生になった途端に通信制の学校に移されるから。出来る限りISの練習をする為に…ってね。だから、そこまで深刻になる必要も無いんだよね」

 

 なんか、出会うべくして出会った気がしてきた。

 運命論者じゃないけどね。

 あと、私も通信制の学校にすれば良かったと今更ながらに後悔した。

 

「しかし…学園の代表候補生達が、そこまで重傷だったとは……。彼女達、かなりヤバいかもしれないな」

「それは私も分かるけど……」

「いや、恐らく加奈が思っている『ヤバい』と、私が考えている『ヤバい』は違うと思うよ」

「え? そなの?」

 

 同じ代表候補生だからこそ分かる事なのかな?

 

「彼女達は、自分達が『エージェント』によって見張られている事を知らないんだろう」

「「エージェント?」」

『それは一体?』

 

 いや、意味とかは知ってるけど、それを耳にしたのは初めてだよ。

 

「まず、大前提として、代表候補生というのは何処かに長期間滞在する場合、定期的にレポートのような形で国に報告をすることが義務づけられているんだ」

「あ。それ私も教えられました。確か、機体の稼働状況やそれまでの戦績なんかを報告するんですよね?」

「その通り。けど、少しでも成績不振に見舞われれば、すぐに代表候補生を降ろされる可能性が高い。他にも専用機や候補生の地位を欲しがっている人間は多いからね」

 

 御尤も。というか、今回はロランが解説役?

 私の出番が着実に減ってきてる…?

 

「それ故に、一昔前には虚偽の報告をする者も少なくは無かったそうだ。それによって生じる混乱を防ぐ為に、代表候補生や代表には一切知らせずに、国から極秘裏に彼女達の行動を監視する役目を帯びた人間…『エージェント』が派遣されるんだ」

『成る程。そのエージェント達によって、正しい情報が国に届くようになっている訳ですね』

「その通り」

 

 ホント…ISに関わると碌な事になりませんよって言う最たる例だな。

 下手に力と地位を持ったが故に、プライベートすらも監視されるとか。

 私だったら絶対に耐えられないわ。

 

「って事は、今の私達にも監視が?」

「いや、それは無いだろう。監視がつくのはあくまでもIS学園の様な『集団生活をするような場所』に限定される。国の看板を背負うに相応しい振る舞いが出来ているか、ちゃんと代表候補生の責務を全う出来ているか。それを見ると同時に、他の国の候補生達の動向を探る為にね」

 

 という事は、学園見学までは二人にも監視が付いていたけど、それが終わると同時に自由の身になった…ってこと?

 

「別に色恋沙汰をするなとは言わない。候補生だって人間であり少女なんだ。誰だってそこまで目くじらは立てないさ。だからと言って、それにばかりかまけていて、やるべき事を怠るのは論外だけどね」

『そうですね。己に課された責務を放棄してまでする恋など、成就するはずがありません』

「いや…アルが恋を語るの…?」

 

 え? なに? アルも他の人工知能に恋とかしてるわけ?

 だとしたら、私ってAIにも置いていかれた…?

 

「まず間違いなく、彼女達の事は国にも報告されている事だろう。そうなれば……」

「どうなるんですか?」

「まず、強制送還は確実だろうな。IS学園には国や企業の介入を認めない校則が存在しているが、上にいるのがIS委員会だからな。その程度の事、幾らでも曲げられるだろう」

「大人って汚い……」

「今更でしょ」

 

 今の世に生きる女尊男卑じゃない子供達、皆が知っている事だよ。

 

「国に戻れば即座に査問委員会に掛けられ、そこでの結果次第では専用機と代表候補生の称号の剥奪。最悪の場合は国外追放も有り得るかもしれない」

「こ…国外追放…?」

「昔、度が過ぎた行為を何度もやっていた代表候補生が国外追放にされたと聞いたことがある。あくまで最悪の場合だけどね」

「上る時はゆっくりでも、落ちる時は一瞬ってことか」

 

 世の中、所詮はそんな物なのかもな。

 これは何もISの世界に限った話じゃない。

 どこにでも普通に転がっている話だ。

 私達だって決して他人事じゃないしね。

 

「お姉ちゃんはどうなるんだろう……」

「今は丁度、夏休みの時期だし、国に戻されてるかもね。ついでに雷も落とされてそうだけど」

「気の毒かもしれないが、二学期に日本の土は踏めないかもしれないな」

「そうですか……」

 

 というか、凰鈴音だけに限らず篠ノ之箒以外の第一期のヒロインは四人揃って戻って来れない可能性大でしょ。

 だってあいつ等、揃いも揃ってそれだけの事をやらかしてるんだから。

 小説みたいになぁなぁで済ませられる程、世の中は甘くないんだよ。

 篠ノ之箒の場合は国家に所属してないから普通に退学かもね。

 

「ま、別にいいかな」

「あら意外。てっきり落ち込むかとばかり」

「少し前までならそうでしたけど、なんつーか…もう私が大好きで尊敬してたお姉ちゃんは何処にもいないんですよね。ぶっちゃけ、普通に見損なったって言うか。だから、どんな目に遭ってもそれは全部、あの人の自業自得じゃないですか」

 

 おふ……急に辛辣になった。

 それ程にショックが大きかったってことなのか。

 『お姉ちゃん』から『あの人』になってたし。

 

『しかし、ロランは一体どこからそのような情報を仕入れたのですか? 私のデータベースにも無いような情報を……』

「私の先輩の候補生さ。候補生になった際に色々とアドバイスをしてくれてね。その時に今の話もしてくれたのさ」

「ほぇー…」

 

 同じ候補生でも、ちゃんと常識を弁えてる人と、ヒロインズみたいに暴力の化身になるバカ共がいる。

 本当に…人間って千差万別だよね……。

 

「はぁ…これから、どうしようかな~…。こんな事なら、旅行のパンフとか持って来てればよかったよー…」

 

 んん? この流れはもしや……。

 

「そうだ! お二人の旅に私も連れて行ってくれませんかッ!?」

 

 やっぱりね! 言うと思ったよ!!

 

「いいともさ。人が増えれば、それだけ楽しさも増すからね」

 

 そして、ロランが二の句も告げずに許可する事も分かってましたー!

 彼女が困っている女の子を放置するとか有り得ないしね!

 

「加奈とアルもいいだろう?」

「そ…そうだね。旅は道連れ世は情けって言葉もあるぐらいだし……」

『私も異存は有りません』

「やった! んじゃ、改めて、よろしくお願いします! 加奈さん! ロランさん! アル!」

「フッ…こちらこそよろしく。乱」

「よ…よろしく……」

『よろしくお願いします』

 

 こうして、私とロランの旅に乱ちゃんが加わる事になったのでした。

 女の子三人だけの旅…か。

 増々もって青春ドラマっぽくなってきたな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




凰乱音、加入。

最終的な予定では、そこそこの大所帯になる予定です。

既にフラグも立ってますしね。
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