面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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前回の話で、想像以上の感想が来ていて本気で驚きました。

正直、非難されまくることを覚悟していたのですが、予想を裏切って肯定する意見が大半でした。

この場を借りてお礼を言わせて下さい。

皆さん、二次小説作家にとって最高のクリスマスプレゼントをくださって、本当にありがとうございました!

今回は、遂に最後のヒロインが登場します。

色んな予想をされていましたが、果たして正解はあるのでしょうか?









面倒くさいので、国内旅行する(レトロ自販機編)

「う…ん……?」

 

 アルからの朝のアラームにて私は目が覚める。

 私にとってはいつものルーティーンなので気にはしない。

 因みに、アラーム音はこんな感じ。

 

『軍曹殿、朝ですよ。軍曹殿、朝ですよ』

 

 私が目を覚ますまで、低音ボイスによる囁きが延々と繰り返される。

 大半の人間はこれで間違いなく起きるだろう。

 

『おはようございます、軍曹殿』

「ん…おはよー…アル。ふわぁぁぁ……」

 

 夜中に色々な事を考えていたから眠れるか心配だったけど、想像以上に熟睡が出来たみたい。

 カプセルホテルも馬鹿に出来ないな。いい経験になった。

 

「おはよう、皆」

「おはよう加奈。ふふ……」

「え? なに?」

「加奈さん…寝癖が凄いですよ?」

「頭頂部の髪が重力に逆らってます」

「うそっ!?」

『皆の指摘通り、現在の軍曹殿の髪は凄い事になっています。すぐに直す事を推奨します』

「そーゆーのは普通、起きてすぐに言ってくれるもんじゃないのッ!?」

『すみません。言い忘れておりました』

「AIなのにっ!?」

 

 部屋から顔を出して皆に挨拶をしようとしたら、まさかの事態に。

 試しに頭を触ってみたら、見事に髪が逆立ってました。

 いつから私は少年漫画の主人公になった?

 

「係の人に頼めば、おしぼりぐらいは用意してくれるだろう。ここを出て朝ご飯を食べる前にすることが出来てしまったな」

「うぅぅ……」

 

 寝癖なんてガチで生まれて初めてだよ?

 昨晩の私って、そんなにも寝相が悪かったのかな?

 それとも、初めてのカプセルホテルだから?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ホテル内にあるトイレに入ってから、私は係の人に借りたホカホカのおしぼりを使って寝癖を直そうと、鏡と睨めっこをしながら奮闘していた。

 

「これでどうかな……あ」

 

 おしぼりで髪を濡らしても、またビヨーンと跳ねる。

 うぐぐ…なんてしつこい寝癖なんだ…。

 

『軍曹殿』

「なに? 今は話しかけないで」

『…昨晩の寝る前の話を覚えていますか?』

「いや…こっちの話聞いてる? ……覚えてるけどさ」

 

 …忘れられるわけはないでしょ。色んな意味で。

 

「それがどうかしたの?」

『あれは全て彼女達の自業自得です。気に病む必要は何処にもありません』

「私は別に気に病んでなんていないよ。あれ等に関して、私は特に何の感情も感想も抱いていない。精々『あっそ』程度だよ」

『そうですか……』

「だから、この話しはもう終わり。いい?」

『了解しました』

「なんて言いつつも、しれっと今後も学園の監視は続けていくんでしょ?」

『バレていましたか』

「一体、何年間の付き合いだと思ってるの? お? 今度こそいけるか?」

 

 よし…よし! これでようやく支度が出来る……あぁっ!?

 

「今度は別の所の寝癖が……」

『軍曹殿。一つ提案があるのですが』

「なに?」

『いっそのこと、其処の蛇口で顔を洗うついでに髪を濡らせばいいのでは?』

「………………」

 

 …その手があったか。

 そうだよね。ご丁寧に最小限のリスクで寝癖を直す必要は無かったよね。

 なんで私、おしぼり片手にあれこれしてたんだろ……。

 

「……やるか」

 

 髪の毛を全部濡らしたら、一発で寝癖は直りました。

 今度からは絶対にこうしよう……。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「んん~! いい天気~!」

 

 カプセルホテルを後にしながら、私達は駅前付近をブラブラとしていた。

 乱ちゃんが背中を思い切り伸ばしながら空を見上げている。

 彼女の言う通り、今日も凄く良い天気だ。

 雲一つない澄み切った青空。

 だけど、そこまで暑くは感じない。非常に程よい気温だ。

 

「そういえば、皆さんはこれからどこに行く予定だったのですか?」

「これといった目的地は無いかな。強いて言えば北の方に行こうと思ってたよ」

「ま、目的は無いなんて言ってるけど、実際にやってるのって女の子だけのグルメ旅ですよね…これ」

 

 あ…乱ちゃん。それ言っちゃう? 遂にそれを言っちゃうのね?

 

「グルメ旅…良いと思いますよ? 美味しい食事は心を豊かにしますから」

「…昨夜、あれだけ焼き肉を食べまくっていたヴィシュヌが言うと説得力がハンパないね…」

「言わないでください~! 自分でも自棄食いし過ぎたって反省してるんですから~!」

 

 自棄食いだったのは認めるのね…。

 

「どこかにいい運動場などは無いのでしょうか……」

「確かに。偶には何も考えずに、思い切り体を動かしたくなるよね」

「適度に運動しないと体が鈍ってしまうからね」

 

 皆にそう言われると、私も無性に体を動かしたくなるじゃん。

 後でアルに良い場所が無いか探して貰おうかな。

 

「その前に、まずは腹ごしらえだけどね。腹が減っては戦は出来ぬ、だよ」

『まだ電車の時間までには時間が有りますので、かなりの余裕はあるかと』

「と言ってもな……」

 

 駅前には数多くの食事処がある。

 定食屋のような所もあれば、朝からやっているファーストフード店も。

 どこも甲乙つけがたいけど……。

 

「あ、いたいた! おーい!」

「「「「え?」」」」

 

 周囲を見ながら歩いていると、駅の入り口付近にどこかで見た事のあるような金髪のお姉さんが、こっちに手を振りながら立っていた。

 しかも、隣にはもう一人の大人の女性と同い年ぐらいの女の子もいる。

 あれって、まさか……?

 

「情報通り、やっぱりこの付近にいたわね」

「ス…スコールさん?」

「そうよ。皆のお姉さんのスコールよ。久し振りね、二人とも」

 

 …まさかの再会だよ。

 ぶっちゃけ、もう二度と会う事は無いと思ってた。

 

「ど…どうしてここに? なんで私達の居場所が……」

「私個人の情報網を使ったのよ」

 

 成る程…この人程の人物となれば、それぐらいのパイプは持っていて当然だよな……。

 

「…って言いたかったんだけど、実は違うのよね」

「へ?」

「普通にネット上に流れている情報を頼りにここまで来たの」

「ネットの情報…?」

 

 それって…まさかとは思うけど、私達の事を言ってる?

 

「あなた達は自覚無いかもだけど、国籍がバラバラの女の子達だけで日本中を旅なんてしていれば、嫌でも色んな所に噂が流れるわよ」

「「「し…知らなかった……」」」

 

 私達、いつの間にかそんな有名人になってたんだ……。

 全く知らなかった…っていうか、なんでアルは教えてくれなかったのさっ!?

 ほぼ毎日のようにネットに潜ってるでしょうが!

 

(言い忘れていました)

 

 またそれかい!

 最近のアルは以前にも増して人間臭さが滲み出てきてるなっ!?

 

(お褒め頂いて光栄です)

 

 褒めてないから!

 

「でも、こうしてここにいるって事は、まさか前に言ってた仕事は……」

「うん。思い切り辞めてきちゃった♡」

「「やっぱり……」」

「ついでに、同僚も一緒に連れてきちゃったわ。この二人よ」

 

 あ…ここで紹介タイムになるのね。

 

「やっとかよ…。さっきからずっとスコールだけで話しやがって」

「あはは…ゴメンゴメン」

「ったく。で、こいつらが前にスコールが言ってた奴等か?」

「そうよ。可愛いでしょ?」

「だな。中々の美少女揃いだ」

 

 この美女は当然…『あの人』だよな。

 完全に視線が百合視線だし。

 

「巻紙礼子だ。前の職場じゃ『オータム』とも呼ばれてた。まぁ…渾名みたいなもんだな。もしくは、一昔前の刑事ドラマとかによくある別名的な?」

「すみません…渾名はともかく、刑事ドラマ云々は全く分りません……」

「マジでッ!? こ…これがジェネレーションギャップって奴なのか……」

 

 な…なんか落ち込んじゃったんですけど?

 え? そんなに悪い事を言っちゃった?

 

「ほれ、お前も挨拶しろ」

「いいだろう」

 

 この黒髪の女の子…誰かさんによく似ている顔からして、絶対にあの子だよね……。

 

「高田マドカだ。年齢的にはお前達よりも同い年か、一歳下ぐらいになるな」

 

 予想は的中したけど、名字が全く違うんだけどッ!?

 いや、安易に『アレ』を名乗るわけにはいかないのは重々理解してるけどさ!

 なんで『高田』なの? そこには何か理由でもあるの?

 

 私が頭の中で混乱していると、少し離れた場所にある大型モニターに全国的にも超有名な某通販番組が流れ始めた。

 ……ちょっと待てよ? まさかとは思うけど……。

 

「ねぇ…一つだけ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「君って…もしかして通販が好きだったりする?」

「よく分かったな。その通りだ」

 

 やっぱりかよっ!? 出来れば当たって欲しくなかった予想だよっ!

 

「通販は最高だ。なんせ、外に出なくても殆どの物が手に入るからな。特に家電系は素晴らしい。私が愛用している、この音楽プレーヤーもあそこで買った商品でな。本当に助かっている」

 

 しかも、なんか通販大好きっ子に変貌してるっ!?

 マドカに抱いていたイメージが根本から崩壊していく……。

 

「今後とも、長い付き合いになりそうだ」

「そ…そう…よかったね……」

 

 …ISが絡まないと、この子も割と純粋無垢な女の子なのかもしれない。

 そう思うと、不思議と好感が持てる。

 

「つーか、スコールは普通に『会社を辞めた』つってるけど、実際にはそんな生易しい事をしてねぇぞ?」

「あら、そうかしら? 私としては『普通』のつもりだけど?」

「一体何をしたんですか……」

 

 聞きたいような、聞きたくないような。

 

「別に、アイツ等のやってきたヤバい事が収められているデータをネット上に全部ばら撒いて、ついでにメインコンピューターに前に私が偶然に発見した超極悪なコンピューターウィルス『ラゴウウィルス』を流して、最後にどこにも逃げられないように全てのドアをロックしてきただけよ?」

「「「「全然普通じゃなかったっ!?」」」」

 

 それってもう、原作でやろうとしてたことよりも遥かにヤバくないっ!?

 遠慮が無くなると本当に怖いな、この人はッ!?

 

「で、退職金代わりに奴らがずっと貯め込んでた金を根こそぎ持ってきちゃった♡」

「我が恋人ながら、本当に恐ろしい奴だよ…全く」

 

 ……この人だけは絶対に敵に回したくはないね。

 よくもまぁ、原作キャラ達は頑張ったもんだよ。

 

「にしても、暫く見ない内にまた女の子が増えたわね! えっと……」

 

 ここでようやく、乱ちゃんとヴィシュヌの紹介。

 今までずっと蚊帳の外にしててごめんね。

 

「成る程。台湾とタイの代表候補生ね」

「どうして、どこの国もIS学園にご執心なのかね?」

「知らん」

 

 それはこっちの方が知りたいですよ。

 本当に理解不能だよ。

 

「まさか、加奈さんとロランさんの知り合いに大人の女性がいたなんて…」

「驚きです…。お二人は顔が広いんですね」

「…顔…広いのかな?」

「まぁ…一概に否定は出来ないよな」

 

 正確には、顔見知りだけは非常に多い…だけど。

 

「長々と話したけど、ここからが本題。実は……」

「私達の旅に同行したい…ですか?」

「そうそう…って、何で分かったの?」

「いや…なんでって言われても……」

「ここで私達を待ち伏せていた時点で、なんとなく想像は出来ていたというか……」

 

 もうさ、ここまで来ると好きにしてーって気分になるよね。

 別に自棄になってる訳じゃないよ?

 

「私は全然いいですよ? 賑やかな方が楽しいし!」

「私も構いません。矢張り、未成年だけでの旅では限界があるでしょうし。大人がいるというだけで心強いですから。なにより、お二人のお知り合いなら心配も無用ですし」

 

 乱ちゃんはともかく、ヴィシュヌには超正論を言われてしまった。

 そうだよね。今までずっと順調でも、これから先がそうとは限らないもんね。

 やっぱ、大人の人は必要なのかもしれない。

 

「私としても反対する理由は無いな。加奈はどうだい?」

「右に同じ。という訳で、これからお願いしま……あれ? スコールさんは?」

「い…いねぇっ!? どこに消えやがったっ!?」

「あそこにいるぞ」

 

 私達とオータムさんが、いなくなったスコールさんを探して周囲を見渡していると、マドカがある場所を指差していた。

 そこは、自販機が並んでいる休憩所。スコールさんは興奮した様子でそこにいた。

 

「ねぇねぇ! なんか見たことが無い自販機があるんだけどッ!? なにこれ? もしかしてヌードルの自販機?」

「何をやってんだ、アイツは……」

 

 仕方がないので、皆でスコールさんの元まで行くことに。

 間違いなく、この中では一番の最年長なのに、あのはしゃぎっぷりはなんなのよ……。

 

「これって…もしかしてレトロ自販機か? このご時世にまだこんなもんがあったんだな。始めて見たわ」

「私もです。動画とかでは見たことありますけど、実際に見たのはこれが初めてです」

 

 うどんと蕎麦があるのか……どんな味がするんだろ。

 しかも、ちゃんと複数台が並んで別々のトッピングが選べるようになってる。

 

「流石は経済大国と言われた日本……バラエティ溢れる自販機があるんだね」

「すっごー……台湾にもラーメンの自販機ってないのかな?」

「非常に興味深いです……主に味が」

 

 海外組も凄く目をキラキラさせて自販機を見てる。

 私から見ても相当に珍しいんだから、彼女達にとってはそれ以上に珍しく見えるんだろう。

 

「もうここで朝ご飯にする?」

「「「賛成!」」」

 

 おう…一瞬で満場一致。

 

「なんだ、まだ朝飯食ってなかったのか? なら、お近づきの印として、ここはあたしが奢ってやるよ。好きなのを選びな」

「「ありがとうございます!」」

 

 って、お―――――いっ!?

 そこの台湾&タイの美少女コンビ――――っ!

 少しは遠慮をしようよ―――――!

 

「随分と優しいのねオータム。じゃあ、私の分も奢ってくれる?」

「なんでだよ。お前は自腹に決まってるだろうが」

「ケチー…」

「どうしてそうなる……」

 

 オータムさん…不思議と彼女とは波長が合いそうな気がした。

 うん。この人なら普通に着いてきてほしいかも。

 スコールさんは微妙だけど。

 

「ほれ、其処の三人もとっとと選びな。つっても、種類は少ないけど」

「だってさ。マドカはどれにする?」

「お前と同じでいい」

「そう? それじゃあ……」

 

 なんか、自販機に貼られている写真を見てると、急にお腹が空いてきたな…。

 んじゃ、こっちにしますか。

 

 てなことで、私とマドカは二人できつねうどんを選びましたとさ。

 自販機から出てきたとは思えないぐらいに、めっちゃ美味かったです。

 特にこのスープ……美味し過ぎでしょ。鰹の風味が最高でした。

 ずっと大人しかったマドカも、うどんを食べている時だけは楽しそうにしていた。

 今更だけど、凄い人達と一緒に旅をする事になったもんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 




最後のヒロインはマドカでした。
 
再登場したスコールと、それに付随して初登場したオータムはあくまで保護者枠であってヒロインじゃありません。
妹みたいに溺愛はしてますけどね。

そして、次回は遂に最終回へのフラグが……?
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