面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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ようやく再スタート地点に戻ってきました。

まさか、アブデルの元ネタを知っている人がいるとは思いませんでしたけど……。







面倒くさいので、取り敢えず首絞める

「ア…ア…アブデルゥッ!?」

 

 玄関を開けたら、まさかの人物が普通に寛いでいました。

 相も変わらず、我が物顔で座りおってからに…!

 

「アブデル……」

「ん? どうしt…」

 

 鞄を置いてから、私はゆっくりと彼に近づき、そして……。

 

「な・ん・で・お・ま・え・が・い・る・ん・だ・よ……!」

「死ぬ…死ぬ…別の意味で天界に戻ってしまう…!」

 

 全身全霊を込めて首を絞めてあげました♡

 顔が真っ青になって、口から泡を吹き始めたので離してあげたけど。

 

「ゲホッ! ゲホッ…! 全く…折角の再会なのに、いきなり首を絞める奴があるか!」

「乙女の部屋に無断で侵入してる奴が言うな! つーか、一体どうやって部屋に入ったのさっ!? ちゃんと鍵は閉めていったはずだけどッ!?」

「そんなの簡単だ。霊体の状態で壁を透過して部屋へと入り、その後に室内にて受肉をしただけだ。な? 簡単だろ?」

「…………」

 

 もう呆れてものも言えない。

 一体どこに、そんな方法で不法侵入をする天使がいるか……。

 あ、目の前にいたわ。

 

「つーか、確かアブデルって一ヶ月ぐらい前に私の目の前でガブリエルから耳を引っ張られながら天界に強制連行されてなかったっけ?」

「あの時は不覚を取っただけだ。そもそも、大天使如きが熾天使であるこの俺にあんな事をすること自体が不敬なのだ」

「だったら熾天使としての自覚を持てよな……」

 

 ほんっと……どこまでも唯我独尊を地で行く天使様ですよ…。

 一応紹介をしておくと、こいつの名は『アブデル』といって、地域によっては『アブディエル』とも呼ばれている熾天使だ。

 因みに、熾天使ってのは天使たちの階級の一つで、一番上…つまりは主である神に最も近い天使とも言える。

 特に、このアブデルは神から最も多くの加護を受けている熾天使で、そのお蔭か数多くいる天使達の中でも最強レベルの実力を持つと言われている。

 天上界の戦争の時にサタンことルシファーの反乱に際し、他の天使たちはルシファーの言葉によって同じように反旗を翻し始めていたにも拘らず、彼だけはその言葉を真っ向から跳ね除けて、更には戦いの際には常に最前線で戦い続け、敵の総大将であるルシファーの脳天に剣の一撃をお見舞いして十歩も引かせた挙句に膝を付かせたという偉業を成している。

 前に『どうして、そこまでの戦闘力を持っているの』って尋ねたら、こいつは真顔で『神への無限の愛があるからだ』と言いやがった。

 あの時は普通にドン引きしました。

 

「ここまで来るのに苦労したんだぞ? 完全に腑抜けているミカエルのアホは簡単に出しぬけるから良かったが、無駄に真面目なガブリエルを始めとする連中の目を欺くのにどれだけ頑張ったか……」

「その頑張りを、もっと別の事に活かさんかい」

 

 こいつほど、才能の無駄遣いをしている天使もいないだろうな……。

 

 ついでに、こいつがどうして私の守護天使なんてことをしているのかも説明しておくと、アブデル曰く『自分の好みに見事に合致した美少女だったから』らしい。

 ある日突然に私の目の前にやって来て、こっちが混乱している間に守護天使としての契約を勝手にしやがった。

 普通ならば双方の同意が無いと絶対に不可能な筈なんだけど、そこは腐っても熾天使。力技で無理矢理に契約させやがりましたのよコンチクショー。

 

「言っておくが、今回は前回のような不覚は絶対に取らんぞ。少なくとも、今年一年間は絶対に地上にいるからな」

「なんでさ」

「夏コミと冬コミがあるからに決まっているだろうが!! もう既に今年の会場や参加予定のサークルの情報などは入手済みだ! 勿論、どのルートで回るかも綿密に計画している。今年の夏休みと冬休みは覚悟しておけ!」

「私も行くこと前提かい。まぁ…行くけどさ」

 

 私も気になるサークルとか色々あるし。

 久し振りに行ってみたいとは思ってたんだよね。

 

「ところで加奈よ。一つ聞きたいのだが……」

「何よ。唐突に」

「お前…俺が少し目を離した隙に何かと契約でもしたか?」

「契約? なんでそんな事を聞くの?」

「お前の身体から、人間とは別の気配を感じるからだ。なんとも懐かしいような、そんな気配がな」

 

 流石は熾天使。こっちが説明するよりも早く気が付いたか。

 これは手間が省けそうだ。

 

『それはもしや、俺の事か? 熾天使アブデルよ』

「こ…このマダオ声は……忘れる筈も無い! 貴様、赤龍帝ドライグかっ!?」

「その通り。ほら」

 

 耳付近の髪を掻き上げてから、ピアス状態になっているドライグを見せた。

 すると、突如としてアブデルの顔が固まった。

 

「ば…馬鹿な…! 俺が天界へと戻された時には、こんなものは無かったぞ…! どういう事だっ!? ちゃんと納得が出来るように説明しろ!」

「へいへい。言われなくてもちゃんとしますよ~」

 

 つーわけで、魅惑の説明タ~イム。

 かくかくしかじか。かくかくうまうま。

 

「つまりあれか? 元の宿主が余りにも酷過ぎたので、瀕死になっている隙を狙って偶然にも傍にいた加奈に移った…と?」

『要約すれば、そうなるな。無論、その時にも一悶着あったりはしたが、加奈の才能のお蔭で籠手以外の形態にも自在に変化できるようになり、ドラゴンのオーラの放出を極限まで減らす事には成功した』

「そうか…加奈の才能のお蔭…か……」

 

 さ…流石に怒った…かな?

 なんか体を震わせてるし……。

 

「よくやった!!」

「ふにゃぁっ!?」

 

 なんかいきなり抱きしめられたッ!?

 今日はよくよく誰かとハグをする日だな。

 

「この俺が守護をする人間なのだから、それぐらいのことはやって貰わねばな! フフフ…俺の目は間違いではなかったという事か!」

「さいですか…それよりもさ、離してくれませんかねぇ?」

「なんだ? もしかして照れてるのか? まぁ…無理もあるまい。俺のような絶世の美男子に抱きしめられているのだから、年頃の女の子としては照れてしまうのも当然というものだ」

「そういう事じゃないんだけどな……」

 

 自画自賛っぽく聞こえるけど、こいつが美男子なのは紛れもない事実だからムカつく。

 ここが自分の部屋で本当に良かったと思うよ。

 もしも外で同じような事をされたら、絶対に変な噂を流されてしまう。

 

「あぁ…それとも、今日の学校での出来事を気にしているのか?」

「んん?」

「大丈夫だ。俺はBLは完全否定派だが、最近になって見識を広めてな。GLは全く問題無く受け入れられるようになった。まさか、まだまだ俺にも成長の余地があるとはな……つくづく、美少女とは素晴らしいものだ……」

「…もしかして、見てた?」

「見てたとは何にをだ?」

「学校での出来事」

「見てたとも。俺はお前の守護天使だからな」

 

 いや…別に何もいやらしい事はしてないんだから見られてもいいんだけどさ…。

 けれど、なんでかな…妙に腹立つ。

 

「俺の目は千里眼なんて目じゃないからな。その気になれば、どこでもいつでも見放題だ」

「あっそ」

 

 普通に聞けば危なく聞こえるが、こいつはこいつで熾天使らしく最後の一線だけは絶対に越えようとしないからな。

 その点だけが唯一、安心できるんだよね…。

 

「例え、相手が悪魔の少女であっても、俺は普通に祝福するぞ。悪魔もまた主の被造物なのだから問題無し! 寧ろ、俺としては『無気力少女×生徒会長少女』のカップリングに一筋の光を感じている。頑張れよ!」

「何をだよ。何を」

 

 天使にしては珍しく、こいつも私と同じで種族云々で相手を見たりはしない。

 どこまでも中身で見るタイプで、本来は天使とは不倶戴天の敵である悪魔に対しても、ちゃんと評価できる相手には敬意を表している。

 

「それに比べ、例のサーゼクスの妹はアレだな。全部がダメだな」

「私もそれには同意するけど、見た目だけは美少女じゃない?」

「いいや違う! あれは美少女ではなくて『美女』だ! もう完全に体が大人になっている! 俺の守備範囲外だ!!」

「どう違うのよ……」

「分からんか? 例えば、お前や例の生徒会長は『美少女』だが、グレモリーの娘とバラキエルの娘は『美女』だ。美少女ならば大歓迎だが、美女はいらん!」

「その境界線が本気で分からない……」

 

 これは完全にアブデルが勝手に引いたものだからな…他人には理解出来なくて当然か。

 というか、理解出来てしまったら色んな意味で終わりだと思う。

 

「日本神話の神々にちゃんと許可を取らずに、勝手にこの町の管理者を名乗る。その時点でも相当に論外だが、ちゃんと仕事さえしていれば文句は無い。だが、あの女の場合は碌に仕事もしていないではないか! 加奈も知っているんだろう? この町に下級の雑魚堕天使が数匹ほど紛れ込んでいる事を」

「知ってるよ。ついでに言えば、はぐれ悪魔も結構な頻度でやって来てるね。この間も一匹殺したし」

「全く以て嘆かわしい……。悪魔とは良くも悪くも契約や役目を重要視する種族だというのに、それすらも出来なくなってしまったら、いよいよ世界にとっての邪魔者にしかならないじゃないか」

「だよね~。今頃は、優雅にお紅茶タイムと洒落込んでるんじゃないの?」

「呑気なもんだ。もしや、堕天使達が入り込んでいる事にすら気が付いていないのではあるまいな?」

「それは流石に無いみたいよ? つっても、被害者が出てから初めて知ったっぽいけど」

「ドライグが一番最初に宿っていたというガキか。事件の被害者から話を聞いて初めて知るなど論外過ぎるな。俺が知っている上級悪魔ならば、己の領地に部外者が近づいただけでも瞬時に気配を察知してみせたものを」

「今までずっと甘やかされて育てられてきた子に、そこまでの事を期待するのは酷ってもんでしょ。あの手の輩には最初から何も期待なんてしない方が良いんだよ。じゃないと、痛い目を見るのはこっちの方なんだから」

「道理だな」

 

 そういや…いつまで私はアブデルに抱きしめられてるのかしらね?

 もうそろそろ本気で離して欲しいんだけど。

 こいつの温もりで普通に眠くなってきたからさ。

 

「これから、どうする気だ? お前がその気になれば、下級堕天使の百匹や二百匹ぐらい楽勝だろうに」

「面倒くさいから動きたくない。そもそも、下級堕天使退治に私が動くとか、台所に出たゴキブリに核兵器をぶつけるようなもんじゃん。しかも、今の私はアブデルの加護も受けてるから、熾天使としてのアンタの力も引き出せるようになってる。そうなるともう、核兵器どころか水爆級になっちゃうじゃん」

「そこは手加減をすればいいんじゃないのか?」

「どれだけ手加減をしても、生かして捕えられる自信が無い。だって、溜息一つで殺しちゃいそうなぐらいに弱いんだもん」

「ならば、このまま放置しておくのか?」

「私はね。放っておけば、いつかはリアス・グレモリーがどうにかするでしょ? 無能と雑魚でいい勝負にはなるんじゃないの?」

 

 原作じゃ一発だったけどね。

 それも、当人に宿っている『消滅の魔力』のお蔭だけど。

 あいつがもしもグレモリーじゃなかったら、冗談抜きでそこら辺の雑魚にすら劣ると思うのは私だけじゃない筈だ。

 

『…熾天使アブデルよ。お前に少し聞きたい事があるのだが……』

「どうした? 同志ドライグよ」

『いつから、お前の同志になった? いや、それは別にいい』

 

 いいのかよ。

 

『前から、お前と加奈はこんなにも距離が近い関係だったのか?』

「距離が近い…か。言われてみれば、出会った当初から加奈は俺に対して遠慮なんてしてこなかったな」

「その出会い方が最悪だったからね」

 

 遠慮をする気も、尊敬する気も完全に失せてしまったわ。

 私から見たアブデルは、単なる『ロリコン変態オタク野郎』だよ。

 

『恋仲…ではないのだな?』

「「違う違う」」

 

 恋仲? 私とアブデルが? 冗談でも有り得ないでしょ。

 

「私にとってのアブデルは悪友って感じ? 性格は最低だけど一緒にいて面白いしね」

「美少女とは愛でるものであって、そこに恋愛感情を持ち込むなぞあってはならんのだ」

『二人揃って完全否定か。その割には距離感がおかしくないか?』

「「そう?」」

 

 偶に言われる事があるけど、よく分からないんだよなー。

 そんなに私達の関係性って変かな?

 

「あぁー…もう無理。マジで眠たくなってきた。アブデルー…抱き枕になって~。少しだけ仮眠するからさー」

「お前の抱き枕ならば喜んでやってやろう。眠りゆく美少女に抱かれるなど、男として光栄の極みだからな」

 

 なんかゴチャゴチャと言ってるけど、眠気が完全に頭を支配し始めたからよく聞こえませーん。

 瞼も重くなってきたし…このまま本能とアブデルの温もりに身を委ねながら寝よう……。

 起きたら久し振りに二人分の夕飯を作って、それから……。

 

 

 

 

 

 

 

 




新キャラとなる熾天使のアブデルですが、加奈とは本当に恋愛感情云々は有りませんし、これから発展する可能性も皆無です。

この二人は俗に言う『恋愛感情ゼロだけど距離感がバグっている男女』ってやつです。

なので、まだまだソーナとの百合ルートに突入する可能性は大いにあります。
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