面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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今回は、初っ端から何度も指摘があったヴァーリの髪に関する事について言及していきたいと思います。

そこまで深刻な理由じゃないんですけどね。







面倒くさいので、養父さんと会う

 もう夜も深くなり、ほんのちょっとだけ睡魔が出てくる午後11時という時間帯。

 まだヴァーリは私の部屋にいて、一緒に昔懐かしのスーパーファミコンの初代マリオカートで遊んでいた。

 昔のゲームと侮るなかれ。今するからこそ面白かったりするもんだ。

 

「よし。赤甲羅を手に入れたぞ」

「むむ…こっちはバナナだ。前の方にはいるけど、これはヤバいな…」

 

 このままだと、私のピーチ姫がヴァーリのルイージによって撲殺されてしまう。

 もう少し速度を上げて距離を離さなくては…。

 

「にしてもさ、ヴァーリって不良息子だよね」

「俺は不良ではないぞ」

「いや、こんな時間に女子高生の部屋にいる時点で十分に不良でしょ。私は別に気にしないけどさ」

 

 そんな何気ない会話をしながらも、私達の目はずっと画面に集中している。

 因みに、今の私は胡坐を掻いて座っているヴァーリの膝の上に座る形で一緒に遊んでいたりする。

 さっきはこっちの方が膝枕をしてあげてたんだから、これぐらいは良いよね?

 ヴァーリの方も別に文句とかは言わなかったし。

 

『白いの…』

『なんだ?』

『こいつらのような連中の事を世間一般ではなんというか知っているか?』

『知っているとも』

『『バカップル』』

 

 おいこら、そこの二天龍さんよ。

 人を勝手にカップルにするんじゃありません。

 私達は単なる幼馴染同士だッつーの。

 

「そういや、どうしてヴァーリって髪の毛を銀髪から金髪に染めたんだっけ? 少なくとも、子供の頃は中二病患者も真っ青なレベルで見事な銀髪だったよね?」

「教えてなかったか?」

「うん。聞いたことない」

 

 髪の色が変わったのを初めて見た時だって、少し驚いただけだしね。

 すぐに何か事情があるって悟って深く聞くのはやめたし。

 

「別に大したことじゃない。俺の実父…先代魔王が銀髪だったのは知っているか?」

「うんにゃ。興味ないし」

「だと思った。まぁ…その血を色濃く受け継いでいるせいか、俺もまた生まれながらの銀髪だった訳だが、それだと俺の事を狙ってバカな連中が街灯に引き寄せられる虫のようにやって来る可能性が大いにあった。だから、俺を引き取ったアザゼルがある時期を境に俺に髪を染めるように言ってきたんだ」

「成る程ね~」

 

 堕天使連中はともかく、欲深すぎる悪魔どもは絶対に見逃さないだろうし、基本的に『悪魔絶対に殺すマン』であり頭の固さがオリハルコン級の天使連中には理屈なんて通用しないだろうしね。

 

「幸いなことに、当時の俺を知っている連中は、俺の髪の色の事は知っていても、俺がどんな顔をしているのか、どんな声をしているのか…なんてことは殆ど知らないでいる。だから、髪さえどうにかして誤魔化せれば、後はどうにかなるって寸法なのさ」

「なんつー御都合主義…。ラノベ主人公もビックリだわ」

「俺もそう思うが、悪魔連中がマヌケなだけなんだろうと思う事にしている」

「それもある意味で正解かもね」

 

 実際、ごく少数の連中を除き、基本的に悪魔ってバカでアホでマヌケで傲慢でプライドだけは一人前な奴等ばかりだし。

 お前らはマジで一回、ライザーの爪を煎じてから飲め。

 

「間違いなくさ、三大勢力の中で悪魔たちが一番、人間の事を見下してるよね」

「そうだな。だからこそ、奴らは今までの歴史の中で幾度となく人間達に敗北しているんだ。その事実を見ようともせず、まだ人間達を下に見ているのだからな…本当に救いようが無い連中だ」

 

 三大勢力…というか、正確には悪魔に対する憎しみは相当に深いみたいだね。

 ぶっちゃけ、私も堕天使に関してはそこまで恨み節はないし。

 そう考えると、ヴァーリと私って本当に『似た者同士(・・・・・)』だよね。

 

「「あっ!?」」

『やられたな…』

『これはまた手痛い…』

 

 ヤ…ヤロー…!

 一番後ろにいたノコノコの野郎が…あろうことかサンダーを使ってきやがった…!

 こいつだけは絶対に許せん! お前は私を怒らせた!

 

「この遅れは必ず取り返す!」

「あぁ! このカメ野郎だけは前には出さん!」

 

 こうして、私とヴァーリのデットヒートが始まった。

 ラスト一周…これでケリを付ける!

 

「よし…よし! あと少しで一位だ!」

「なんの! お前のすぐ後ろに俺がいる事を忘れるな!」

「にゃんと!? いつの間に背後にっ!?」

 

 ゴール直前まで、私とヴァーリ抜きつ抜かれずの激走が繰り返される。

 そして、遂に……。

 

「ゴール! やった~! 僅差で私の勝ち~!」

「むぅ…本当にあと少しだったのに…」

 

 しっかし、完全なゲーム初心者だったのに、まさかここまで私と張り合えるほどに成長するとは…お姉さんは感動で涙がちょちょ切れそうだよ。

 

「はぁ~…やっぱ、こうしてヴァーリと一緒に遊ぶのは楽しいねぇ~」

「俺も…加奈とこうして一緒にいる事は楽しいぞ」

 

 いきなり私を後ろから抱きしめるヴァーリ。

 急に積極的になりましたね~。こんなんだから、恋人とかに間違われるんじゃない?

 なんだかいい雰囲気になってきた…と思った瞬間だった。

 

 ピンポ~ン

 

「「…………」」

 

 玄関のチャイムが鳴りました。

 誰なのかは予想は出来る。

 

「はいは~い。今出ますよ~」

 

 ヴァーリの膝の上から立ち上がって、急いで玄関まで行ってからドアを開ける。

 すると、其処には本当に意外過ぎる人物が立っていた。

 

「やぁ…加奈。久し振りだね」

「義父さん?」

 

 そこにいたのは、白髪交じりの髪をオールバックにしている、お髭が素敵なナイスミドルなオジサマ。

 私の養父にして、非常に激レアな正真正銘の良識人な悪魔である『ベリアル』。

 一応、現代社会では『相良尺八朗』という偽名を使っているが。

 

「いつ日本に帰ってきたの?」

「ついさっきさ。それから彼に呼び出されてね。空港から駒王町の酒場まで一直線さ」

 

 義父さんが『彼』と呼ぶのは勿論、私の守護天使であるアブデルしかいない。

 そのアブデルはというと、義父さんに肩を貸して貰うような状態で顔を真っ赤にして半分以上眠りかけていた。

 

「こいつ…こんだけ欲望満載なのに、どうして堕天しないんだろ?」

「熾天使だから…では理由にはならないだろうね。こればかりは私にも分からない」

 

 だろうね。そう簡単に分かれば誰も苦労はしない。

 

「君も久し振りだね。ヴァーリ君」

「ベリアルか。アブデルといるって事は、ウチのヒゲとも一緒だったんだろう? あいつはどうした?」

「アザゼル君ならば、一足先に帰っているよ。今晩の彼は、珍しくそこまで深酒をしていなかったからね」

「明日は雨か。それとも雪でも降るか?」

 

 う~ん…酷い評価。でも。否定はしません。

 

「ならば、俺も帰るか。なんだか萎えたしな」

「ふ~ん?」

 

 萎えた? 何が?

 

「では、またな」

「ほ~い。またいつでも遊びに来ていいよ~」

「言われずとも、暇な時には来てやるさ。おやすみ」

 

 義父さんとアブデルの横をすり抜けるようにしながら玄関から出ていくヴァーリ。

 通り過ぎていく際に、しれっと私の頭を撫でていった。

 これ、なんでか毎回毎回してくるんだよね。なんででしょ?

 

「…加奈。彼とは本当に付き合ってはいないんだね?」

「それさ、再会する度にいっつも聞いてくるよね。大丈夫だよ。ヴァーリは大切な親友で幼馴染だけど、それだけ。それ以上になる事はないって」

「…それはそれで不憫だな」

 

 そう? 加奈ちゃんにはよく分かりません。

 

「それよりも、アブデル君を寝かせたいのだが…」

「この馬鹿なら、其処ら辺に適当に放り投げてればいいよ。話している間に熟睡モードに突入してるっぽいし」

「え?」

 

 こんな場合、大抵は不細工なイビキを掻くのがお約束だけど、アブデルの場合は寝息すらもイケメンだったりする。

 コイツ…マジで性格以外は完璧なんだよな…。

 

「ほら、貸して」

「あ…あぁ……」

 

 義父さんの肩からアブデルを引きはがしてから、そのまま畳の上にポ~イ。

 

「うぐ……スー…スー…」

「……ね?」

「う…うむ…。これも熾天使の成せる技なのか…」

 

 いや、単純にこいつがニブチンなだけでしょ。

 

「で、義父さんはこれからどうするの?」

「こっちに来る前に、ちゃんとホテルにチェックインしているから、そちらに戻る事にするよ」

「あ…そうなんだ」

 

 そこら辺はちゃっかりとしてるよな~。

 

「…加奈。明日は日曜日だから学校は休みだね? 何か予定などはあるかい?」

「別に無いけど? それがどうかしたの?」

「これからの事について大事な話があるんだ。明日の朝…9時ごろにでもいいから、いつもの喫茶店に来てくれないか?」

「…アブデルも?」

「勿論だ。彼にも関係する事だからね。起きたら言っておいてくれ」

「分かった」

 

 本当は今すぐにでも言った方が良いんだろうけど、この様子じゃ絶対に起きないだろうしな。

 加奈ちゃんは無駄な事はしない主義なのですよ。

 

「それじゃあ…おやすみ。加奈」

「おやすみ、義父さん」

 

 義父さんも、去り際に私の頭を撫でてから夜道の向こうへと消えていった。

 どうして、皆揃って私の頭を撫でたがるのかしらん?

 そんなに触り心地がいいのかな?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 部屋のど真ん中で大の字で寝ているアブデルにシーツを掛けながら、私も寝る為に布団を敷き始める。

 いつもならば、ここから私の深夜アニメタイムが幕を開けるんだけど、土曜日は余り良いアニメが無いんだよね。

 どういう訳か、良作は平日の深夜に集中してる。

 これはテレビ局の陰謀なのか?

 

『お…おい…相棒。さっきのあいつは……』

「私の義父さん。それがどうかしたの?」

『お前は、あの男の正体を知っているのか?』

「知ってるよ? あの人の本当の名前が『ベリアル』って事も、本気になれば今いる魔王ぐらいなら軽くワンパン出来るぐらいに強いって事も」

 

 基本的に頭脳労働系のイメージが強いウチの義父さんだけど、ステゴロの戦いでも決して引けは取らない。

 あのスーツの下には、信じられないぐらいのマッチョボディが隠れているのだよ。

 

『お前は…とんでもない父親を持っているんだな…』

「それには激しく同意するよ。ぶっちゃけ、私には勿体無いぐらいに凄い父さんだって思う」

 

 そこで寝ている熾天使も、私には勿体無いぐらいに凄い奴だけどね。

 ンな事を言ったら確実に調子になるから言わないけど。

 

『あの男…俺の存在にも気が付いていたな』

「だろうね。何回か視線が耳のイヤリングの方に向いてたし」

 

 警戒って訳じゃないけど、気にはしていたっぽいね。

 ああ見えて、義父さんは相当に過保護な人だし。

 

『明日…何の話をするつもりなのだろうな』

「さぁね。でも、ドライグの話題は絶対に出ると思う」

『他の悪魔ならばいざ知らず、ベリアルと真っ向から話すと思うと気が重くなる…』

「そなの?」

『奴には誤魔化しや嘘の類が一切通用しないからな…』

 

 そういや、あの人って話術の天才でもあったっけ。

 弁護士とかすれば勝訴取りまくりなんじゃない?

 

「どっちみち、明日になってみないと分からないよ」

『それもそうだな』

「つーわけで、私もそろそろ寝ます。おやすみ」

『おやすみ』

 

 部屋の電気をカチッと消してから布団に潜り込む。

 義父さんと話をする…か。そんなの、本当に久し振りかもな…。

 なんか普通に緊張してきた…。

 私、ちゃんと寝れるかな…?

 

 

 

 

 




もうマジで…またキャラが勝手に動いたし!

一話に纏めたかったのに、いつの間にか話が長くなってる!

書き手として悲しめばいいのか、喜べばいいのか…。
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