面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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今回から皆さんがずっと待っていた変態三人組の破滅パートに入ります。

そのついでに原作メインキャラ勢も破滅するかもですが。

是非も無いから仕方ありませんよね。







面倒くさいので、行動を開始する

 駒王学園校長室。

 前任者の後を引き継ぐ形で校長となったベリアルは、ソーナから渡されていた資料に目を通しながら険しい顔をしていた。

 

「成る程…どうやら、事態は私が想像していたよりもずっと深刻なようですね」

 

 変態三人組の被害に遭って精神的に不安定となり、場合によっては男性不信になって転校していった生徒も少なからずいて、さらにその噂が密かに校外に広まっていたため、来年度の入学希望者が劇的に少なくなっていた。このまま行けば学校の存続自体が危ぶまれている事が事細かに書かれていた。

 

「どう考えても学園の危機だというのに、あの若造はどうしてこれを放置する? よもや、道楽で名前だけの幽霊理事長をして、後は見る事すらもしなくなったとでも言うのか? あの小僧ならば十分に有り得る事か……」

 

 普段は決して見せない『古の魔王』としての顔を垣間見せ、この場に誰もいないのをいい事に殺気をまき散らす。

 が、それはすぐに収めてすぐにいつもの穏やかな表情へと戻った。

 

「取り敢えず、加奈がソーナさんに言っていた事を全て実行するとしますか。まずは防犯カメラだが…中途半端な性能では意味が無い。ここはもう採算度外視して最新鋭の高性能な監視カメラを導入するべきだろう。警察の方は私から一言言えば何とかなるとして、問題はそこからだな……」

 

 腕を組んでからうーんと唸る。

 覗きの常習犯として彼らを退学させることは簡単だ。

 だが、それでは根本的な解決にはならない。

 こちらから退学させるのではなくて、自主的に退学させる方が彼らに対するダメージは大きいだろう。

 ベリアルがその気になれば、たかが男子高校生三人を追い詰める方法なんて幾らでも思いつくのだが、今回ベリアルは敢えて大きく動かない事にした。

 

「…私が派手に動かずとも、もう既に『下地』は出来上がっている。ソーナさん達の行動が、爆発寸前になっている爆弾の導火線に火を着ける事になるだろう。それにしても……」

 

 加奈がソーナに提案したことを改めて頭の中で反芻する。

 

「我が娘ながら、何とも恐ろしい事を考え付くものだ。まさか、真正面から堂々とタブーを破るとは。今の世のネットの恐ろしさを知らない訳ではないだろうに…」

 

 なんて言いながらも、その顔はニコニコに笑っていた。

 矢張り、ベリアル程の大悪魔ともなると義娘の別の意味での成長に喜びを隠せないようだ。

 

「下手をすると彼らの家族も同じように破滅するかもしれないが、その時は連帯責任だと思って諦めて貰うしかあるまい。そもそもの話、あんなにも悪化するまで放置していた時点で家族もまた同罪だ。同じ親として哀れには思うが、慈悲の心は一切無い。彼らは自らの意志で犯罪者を育ててしまったのだから」

 

 資料を机の引き出しに入れると、懐からスマホを取り出して何処かへと電話をし始めた。

 

「あ~…もしもし? ベルフェゴールか? 実は、君に折り入って頼みたい事があるのだが……え? 報酬が無いと何もしたくない? 仕方がないな…では、君が気に入っている例の店の『なめらか卵の黒糖プリン』ではどうかな? あ…それなら喜んで引き受ける…あっそう…」

 

 昔馴染みとはいえ、物凄く呆気なく協力をしてくれたベルフェゴールに、ベリアルは何とも言えない表情で窓の外を見つめた。

 

「帰りに寄る所が出来てしまったな……。ついでに、加奈たちにも何か買って帰るか」

 

 害ある者には非情であっても、愛する義娘達には甘々なベリアルパパなのであった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 ベリアルが色々と考えを巡らせている頃、ソーナは生徒会のメンバーと一緒に密かに女子達を中心とした署名活動に勤しんでいた。

 その目的は勿論、変態三人組に処分を下す為だ。

 

「この時をずっと待ってたよ会長。やっぱ、アイツ等には退学が妥当よね…っと」

「ありがとうございます」

「これぐらい別にいいって。それよりも頑張ってね。学園中の女子達が生徒会を応援してるから」

「えぇ。校長も全力で今回の事に対処すると言ってくれました。近い内、彼らにはこれまでにやってきた分の罰が下る事でしょう」

「え? あの新しい校長先生も手伝ってくれるの? それがマジなら百人力ジャン」

「そうだね。遂にあいつ等も年貢の納め時かー」

 

 署名をしている女子達はソーナの話を聞いて心から嬉しそうにペンを走らせる。

 もうあんな思いをしなくて済むと思うだけで自然と笑顔が浮かぶのだ。

 

「もしかしたら、皆さんにも協力を仰ぐことがあるかもしれません」

「その時は喜んで力を貸すし」

「うんうん。任せておいてよ」

 

 今まではずっと生徒会に対しても歯がゆい思いを抱いてきたが、ようやく重い腰を上げてくれたとなれば話は別。

 学園の平穏の為に協力は惜しまない。

 

 そんな彼女達の様子を遠くから伺っている二つの影があった。

 

「あれは…ソーナ? なんだか忙しそうにしてるわね…」

「生徒会の活動の一環かも知れませんわよ?」

 

 オカルト研究会部長で三年生のリアス・グレモリーと副部長にして同じく三年の姫島朱乃。

 駒王二大お姉さまと呼ばれて多くの生徒達から尊敬されている彼女達だが、その正体はソーナと同じく悪魔である。

 正確には、純正の悪魔はリアスだけで、朱乃は堕天使と人間のハーフの転生悪魔。

 他にもリアスの眷属たちは全員が転生悪魔であり、今回の出来事の中心人物である兵藤一誠もまた彼女の眷属の一人である。

 

「ま、生徒会が何をしようと私達には関係ないわね。何かあれば向こうから言ってくるだろうし」

「またそんな事を……」

 

 我関せずと言った感じで踵を返すリアスに対し、頬に手を当てながら溜息を吐く朱乃。

 仕方なく彼女に着いていく形でその場を後にするが、ソーナのやっている事に微塵も関心を抱かなかったことが後に自分達を破滅させる事になるとは、この時のリアスは想像もしていなかった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 その日の夜。

 新居で初めて過ごす夜なのだが、相良家のリビングには昼間にはいなかった人物が堂々とノートパソコンを広げて寛いでいた。

 

「どうしてアンタがいんのよ…ベルフェゴール」

「ベリアルに呼ばれたんだよ~。手伝ってほしいって」

 

 白い髪に動物のような耳を持ち、二本の角に先端が三本の爪となっている動物の尻尾が特徴的な少女。

 彼女こそがルシファーと肩を並べる第四の罪、怠惰の魔王であるベルフェゴールである。

 無気力であることを全身でアピールしていて、ノーブラの状態で長袖服を着て、下に至ってはパンツだけという徹底ぶり。

 太古の悪魔の一体でありながら人間社会に最も溶け込んでいる悪魔でもあり、ネット上で彼女の事を知らない者はいない。

 

「一応、私も加奈から事情は聞かされてるけど、どうしてよりによってベルフェゴールなのよ? 私に任せれば一発だけど?」

「そう言うと思ったから彼女を呼んだんですよ。今回は力づくではなく、真正面から搦め手を使うつもりなので」

「なによそれ?」

 

 風呂上りでホカホカしながらソファーに座っているベリアルが、風呂上りの牛乳を飲みながらルシファーの疑問に答えた。

 この時こそが、彼にとっての至福の時なのだ。

 

「それよりも、例のブツは~?」

「ちゃんと買って来てますよ。ほら、なめらか卵の黒糖プリンです」

「わ~い!」

「けど、これはデザートとして食べましょうね。折角、加奈が夕食を作ってくれているんですから」

「分かってるよ~。加奈ちゃんの作るご飯は美味しいから、私も大好き~」

 

 ベリアルとルシファーの義娘というだけあって、加奈は大罪の大悪魔たちとも仲が良く、その中でも特にベルフェゴールとは波長が合うようで親友のような間柄となっていた。

 因みに、さっきから姿の見えないアブデルとヴァーリの二人は、キッチンにて夕食を作っている加奈の手伝いをしている。

 イケメン二人がエプロンをして女の子を挟んでいる光景は、まるで少女漫画の一ページのように絵になっていた。

 

「ところでベリアル~。防犯カメラはちゃんと設置したの~?」

「勿論。放課後に業者の方に特別に頼み込んで取り付けて貰いました。作動自体はもうしている筈ですよ」

「なら、ちょっち試してみますか~」

 

 ベルフェゴールが操作すると、画面の一角に暗視状態になっているカメラの映像が映し出される。

 映像は一つだけではなく、色々な角度から見られるようになっていた。

 

「これは?」

「防犯カメラの映像だよ。でも、これは普通の映像じゃないんだよな~」

「どーゆーことよ?」

「この防犯カメラは特別製でね、実は私からの操作一つでいつでも好きなタイミングでリアルタイムの映像をネットに晒す事が出来るのだ~」

「うわぁ……」

 

 いつもは傲岸不遜を絵に描いたようなルシファーでも本気でドン引きする。

 昔とは違い、今ではルシファーも現代社会にはかなり詳しくなっているので、ベルフェゴールの言った事がどれだけえげつない事なのかよく理解していた。

 

「しかも、カメラにはベリアルの魔力によるミニ結界が張ってあるから、物理&魔力では壊せないし、干渉も出来ないおまけ付き」

「徹底してるわね……」

「だよねー。いやはや、加奈ちゃんって人間なのに、考える事は悪魔よりも遥かに質悪いよね~。なんか、ルシファーとベリアルの(悪魔的な意味での)いい部分を寄せ集めた感じ」

「「自慢の娘ですし?」」

 

 二人揃って胸を張って鼻高々になる。

 なんだかんだ言いつつも、加奈を愛しているという点では共通している大悪魔たちなのだった。

 

「確か、レヴィーの後継者の妹も手伝ってるんでしょ?」

「えぇ。彼女も彼らの被害者ですからね」

「んでもって、逆に私の後継者の妹は堕天使が入り込んだことにすら気が付かない無能…と。何なのよこの差は」

「文句が言いたいのであれば、サーゼクスに直接言って下さい。妹を甘やかした結果、このような事になっているんですから」

「嫌よ。出逢った瞬間に殺しちゃいそうだし」

「ルシファーが言うと冗談に聞こえないよね~」

「冗談じゃなくて本気なんだけどね」

 

 ルシファーは殺ると言ったら殺る女だ。

 もしもその時が来たら、サーゼクスにはご愁傷様としか言いようがない。

 どれだけ特殊な体を持っていようとも、元々の悪魔としてのスペックが異次元レベルで違い過ぎるので、どうやっても絶対に勝てないだろう。

 

「今回の事が終わるまで、ベルフェゴールはこの家で過ごすと良いでしょう。なんなら部屋も用意しますよ? この家は広いですからね」

「お~! これで毎日、加奈ちゃんのご飯が食べれる~」

「喜ぶのはそこなのね…。なんか心配になってきたから、私も一緒に住むわ。っていうか、私は加奈の義母なんだから一緒にいるのは当然よね」

「そう言うと思ったから、敢えて広い家を選んだんですよ」

 

 その代価として、不動産屋は泣き崩れる事になったが。

 大悪魔であるベリアルには非常に些細な事だった。

 

「ご飯出来たよ~。並べるの手伝って~」

「…だそうですよ。行きましょうか」

「そうね。母親らしく娘孝行でもしますか」

「お腹すいた~」

 

 加奈がキッチンからリビングに向けて声を掛けると、全員が集まってくる。

 赤龍帝と白龍皇と熾天使と三人の大悪魔という、一勢力ぐらいならば余裕で潰せそうな面々によるのんびりとした夕飯タイムが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




ベルフェゴール参戦。

もしかしたら、今後も別の大罪の悪魔が出てくるかもしれません。

そして、変態三人組についてですが、場合によっては『原作キャラ死亡』のタグをつけるかもしれません。

それぐらいの破滅を予定しているからです。
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