面倒くさいので、取り敢えず寝る(完結)   作:とんこつラーメン

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やっと…やっと主人公復活です。

ついでに彼も再登場します。

ストーリー上、必要不可欠ですからね。







面倒くさいので、出番復活する

 駒王学園で起きた一連の出来事に決着が付き、平穏が戻った日の夕方。

 仕事を終えたベリアルは帰宅し、既に戻って来ていたルシファーや家で待機をしていた加奈たちに報告をしていた。

 因みに、身代わりで学校に行っていた式神は、役目を終えた事で元の姿に戻って休眠状態になっている。

 

「…というわけで、あの学園も駒王町も、もう大丈夫だろう。明日からはいつも通りに学校に行ってきなさい」

「自分で提案しておいてなんだけど、マジで徹底的にやったんだね…。それだけ蒼那の鬱憤が溜まってたって事なのかしら…?」

「かもしれないわね。無理も無いわよ。兄が無能で妹も無能なんだもの。それらを全て尻拭いさせられたら、そりゃ誰だってストレスが溜まるってもんよ」

 

 ソファで寛ぎながらルシファーが溜息交じりに付け加える。

 彼女はベリアルよりも少し前に帰宅していて、グレモリー邸での出来事を話していた。

 

「お義母さん達が魔王に復帰するって事は、これからは冥界に拠点を移すの?」

「まさか。今までも、これからも、私はこの家で加奈と一緒に暮らすわよ」

「それは嬉しいけど…いいの?」

 

 床にデンと座ってスマホを弄っている加奈に尋ねられるが、ルシファーは至って普通に答えた。

 なにやら矛盾しているような意見に小首を傾げるのは無理も無い。

 

「基本的には地上の家で暮らして、元老院のジジイどもや他の貴族悪魔連中には『どうしても私の助けが必要な時は遠慮なく呼びなさい。けど、それ以外の時は自分達の力だけで解決をしていくように』って釘を刺しといたから」

「成る程…それがいいかもしれんな。これからの時代、魔王というのは『象徴』として存在し、民たちが力を合わせて困難を乗り越えていくようにしなくては」

「その通り。じゃないと、いつまで経っても民たちは魔王に頼る事を止めないし、自己解決力が育たないしね。っていうか……」

 

 加奈に寄り添うようにしながら一緒に座っているヴァーリがルシファーの真意を呼んだように言うが、その姿がツッコみ所満載なので義母としてなんとも言えない表情になった。

 

「…ちょっと近寄り過ぎじゃない?」

「そう?」

「いつも俺達はこんな感じだよな?」

「うん。ゲームする時も、私はヴァーリの膝の上に座ったりしてるし」

「時々、加奈の部屋に泊まった時は一緒の布団で寝たりもしたよな?」

「そんな事もあったね~」

 

 完全に恋人同士の付き合い方だが、本人達はどこまでも『付き合っていない』と主張する。

 全く以て説得力皆無な発言である。

 

「あの子達…距離感がバグりすぎじゃない?」

「私もそう思いますが……」

「にゃはは♪ 別にいいんじゃない? 本人達がそう言ってるのならさ」

「ベルフェゴール…あんたね……」

 

 他人事であるが故に他人事なベルフェゴール。

 だが、そんな彼女もまた加奈の幸せを願っている者の一人だったりする。

 

「…なんというか…さっきから凄い光景だったから黙っていたが…俺が冥界の実家に戻っている間に偉い事になってたんだな……」

「お前が驚くのも当然だ。今日一日で駒王学園だけでなく、この町と冥界全土が密かに改革されたに等しいのだからな」

 

 しれっと相良宅にお邪魔しているライザーが顔を引きつらせているが、そんな彼の事などお構いなしに優雅にコーヒーを飲むアブデル。

 彼は彼でまた、自慢の霊視能力で今回の出来事の一部始終を全て見守っていた。

 

「まさか、リアスがそこまで馬鹿だったとは知らなかったが、それ以上にあのサーゼクス様が身内にそこまで甘い方だったとはな……」

「アンタは知らなかったの?」

「知りませんでしたね。なんというか…サーゼクス様は余り自分のしている事を表沙汰にするような方ではありませんでしたし……」

「はぁ…呆れる。流石にプライベートを公開しろとまでは言わないけどさ、それなりにメディアに対して色々と話をするぐらいはしておくべきでしょうよ…」

「昔からリーダーとしての素質はあったが、彼が率いる事が出来るのはあくまでも小隊規模までだ。少なくとも、大衆を率いるような器ではない。その事は口が酸っぱくなる程に教えた筈なのだが……」

 

 伊達に嘗て、サーゼクスに対して教練していたわけではなく、彼の性格や特性などをほぼ完璧に把握しているベリアル。

 そんな彼だからこそ思ってしまう。一体どこで自分は間違っていたのだろうかと。

 

「しっかし…加奈の義母がルシファー様なのは知っていたが、他の大罪の魔王さま方とも懇意にしていたとは驚きだ…。あのベルフェゴール様と直にこうしてお会いできただけでも光栄なのに、その上……」

「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……」

 

 テーブルに座ってから黙々と加奈が作った食事を食べているのは、ついさっき戻ってきたベルゼバブ。

 約束通り、加奈の手作り料理に舌鼓を打っていた。

 

「ベルゼバブ様までいるとはな…。噂通りの大食いだし……」

「その子ったら、もう既に駒王町にある飲食店の殆どを制覇しちゃってるみたいでね。一部店舗じゃ出禁になってるらしいのよ」

「マジですか……」

 

 こんな小さく細い体のどこに、これだけの食事が入るのか。

 暴食を司るからの一言で済ませていい問題じゃないような気がする。

 

「食事で思い出した。そう言えば、加奈に八皇君からお土産を貰っているんでした」

「え? 八皇先生から? なになに?」

 

 ベリアルが鞄の中から、とあるタッパーを取り出してからテーブルの上に置く。

 その中身をすぐに察したベルゼバブは、躊躇う事無く蓋を開けた。

 

「美味しそうな匂いがする…ごくり」

「どれどれ~? って、これは……」

 

 タッパーの中にあったのは、何とも美味しそうな豚キムチ。

 豚肉もそうだが、シャキシャキの白菜がなんとも良い具合の赤みを帯びている。

 

「おぉ~! 八皇先生の得意料理の豚キムチじゃないのよっ! これ、私も大好きなんだよね~♡」

「さっきから『先生』と言っているが、その八皇という奴とは知り合いなのか? ベリアル様が仰るには、新任の教師らしいが……」

「八皇先生は、前に私の家庭教師をしてくれてたことがあったんだよ。あの人からは勉強だけじゃなくて、料理とかも教えて貰ったんだ」

「そうだったのか……」

「ッてなわけで、ちょっと味見~っと。あむ」

 

 指で白菜と豚肉を一摘みしてからパクリ。

 その途端、加奈の顔が一気に笑顔になる。

 

「ん~♡ 相変わらず超美味しい~♡ 軟らかく煮こまれた豚肉に、鮮度が全く落ちてない状態で漬けられてる白菜! そして、程よい辛さに調節してある味付け! これこそ白米の最高の相棒だよ……」

「私も食べる。あむ……美味しい……♡」

 

 加奈に釣られてベルゼバブも一口食べる。

 普段は無表情な彼女の顔が、一瞬で満面の笑みに変わる。

 

「私も前に何回か、この味付けを再現しようと頑張った事があるんだけど、どうしても無理なんだよね~。惜しい所までは行ってる気がするんだけど、何か足りないような気がしてさ……」

「本人にしか分からない味付けがあるのかもしれんな。俺も一口貰おう。ん…これは美味いな……」

 

 これまたヴァーリが横から腕を伸ばしてから一口。

 ラーメン好きの彼にもドンピシャな味だったようで、一発で気に入った。

 

「そう言えば、今日は八皇くんだけじゃなくて、根呂さんも来ていましたよ。よろしくと言っていました」

「あの人もこっち来てたんだ…。またパトラッシュをもふりたかったなぁ~」

「『皇帝』の異名を持つ、超一流の霊媒師か…。冥界でも名が知られている程の有名人まで派遣されてくるとは…どんだけ日本神話を怒らせたんだ、リアスの奴は……」

 

 少し前までは、そのリアスと婚約するかもしれなかったと思うと、本当に自分の考えは複数の意味で英断だったと思うライザー。

 あのままだと、フェニックス家も本当に危うかったかもしれない。

 

「料理で思い出したが…ベリアル様。こちら、俺とウチの両親からの引っ越し祝いです。どうかお受け取りください」

「おぉ…これはどうも、ご丁寧に。フェニックス家の方々にはこちらも世話になっていますからね。今度、礼をしに伺わなくては……」

 

 ライザーから受け取ったのは伝統の引っ越し蕎麦。

 勿論、10割の超高級な一品だ。

 

 因みに、相良家とフェニックス家は種族とか関係無しに深い付き合いがあり、実は過去に何度か内密ではあるが加奈もフェニックス家に訪れる際に冥界入りしたことがある。

 この事を知っているのは、悪魔の中でも本当にごく僅かな者達だけだが。

 無論、サーゼクスを始めとする当時の魔王達は全く知らない。

 

「冥界の実家に戻ってたと言っていたが、何をしに戻っていたのだ?」

「うちの両親や兄貴たち、それから眷属たちに色々と報告をな」

「報告だと?」

 

 アブデルに尋ねられると、照れくさそうに後頭部を掻きながらライザーが答える。

 それを見ただけで、加奈とアブデルはなんとなく察した。

 

「ユーベルーナに告白をして…な。正式に結婚を前提に付き合う事にしたんだ」

「「「「おぉ~!」」」」

「良かったではないか」

「あぁ…アブデルのアドバイスのお蔭だ。本当に感謝している」

「フッ…迷える者を導くのも天使の役目だからな」

 

 なんて言ってはいるが、実際にそんな事をしているのも加奈は一度も目撃したことは無い。

 それどころか、一歩でも外に出れば速攻で本屋に行ってから新刊のチェックをしている。

 熾天使の威厳なんてのはどこにも感じられない。

 

「それで、式場の手配とか色々と話し合っていたんだ。本当に忙しかったから、グレモリー領でそんな事が起きているなんて全く知らなかった」

「まぁ…私も秘密裏に行ってたからね。知らないのも仕方ないわ」

 

 伊達に原初の魔王の筆頭はしていない。

 並の悪魔たちが感知できないレベルに気配を隠すことは容易だった。

 

「そうだ。レイヴェルが加奈に会いたがっていたぞ。もしかしたら近いうちに、駒王学園に転入してくるやもしれん。なんか、それっぽい話を親父たちとしてた気がする」

「レイヴェルちゃんも来るのか~。リアス・グレモリーと変態三人組がいなくなった上に、眷属連中は軒並み無効化されてるから、来るとしたら今だよね。また賑やかになりますにゃ~」

 

 レイヴェルとは、ライザーの歳の離れた妹であり、ソーナと並んで数少ない悪魔で同性な親友の一人。

 実際には、親友と思っているのは加奈だけで、レイヴェルの方は完全に加奈に対して恋愛感情を抱いている。

 

「本当は、こっちの準備が終わった辺りに両親と一緒にグレモリー家に行って話を付けるつもりだったのだが…この分だと向こうから断ってきそうだな」

「別にいいじゃない。余計な手間が省けて」

「それもそうだな。今となっては、俺もグレモリー家に対しては何の感情も抱いてはいない」

 

 昔からグレモリーに対してはフラットな感じではいたが、今回の事で完全に見切りをつけたようだ。

 今ではもう、ライザーにとってグレモリーという存在は『人生という名の道に落ちている石っころ』同然となっている。

 犬の糞じゃないだけマシなのかもしれない。

 

「結婚式には私達も出席しなくちゃね~お義父さん」

「そうだね。なんなら、私が仲人をしてもいい」

「ベ…ベリアル様が仲人をっ!? なんと光栄な…是非ともお願いします! 両親もきっと喜ぶでしょう!」

 

 悪魔たちの中でも超絶的な有名人が自分達の婚約を祝ってくれる。

 これは嫌でも気合が入るというもの。

 フェニックス家の名に賭けてでも、必ず大成功させなくては。

 

「ベリアルが出席するなら、私達も出ない訳にはいかないでしょ」

「折角なら、私達七人全員で出席する~?」

「面白そうね、それ!」

「その為にはまず、ベルゼちゃんの為に食事を沢山用意しておかないとだけど」

「た…大罪の魔王さま方まで出席するだと…!」

 

 なんだか急激に規模が大きくなってきた。

 それはそれとして、料理人の手配が大変そうだが。

 

「けど…結婚か~…。私もいつか、誰かと結婚とかするのかな~…」

「加奈も花嫁とかに興味があるのか?」

「あのね…私だって女の子だよ? 人並みに憧れを抱いたりはするよ」

「そうか……」

 

 話題が別方向に行ったことで、スマホでウェディングドレスの販売サイトを見る事に。

 そこには多種多様のドレスが掲載されていて、それもこれもが美しい。

 

「…加奈ならば、どれも似合いそうな気がするがな」

「そう? ま、結婚云々よりも前に、まずは卒業後の事を考えないとなんだけどね。私ももう三年生だしさ。就職か、もしくは進学か……」

「加奈が大学に行くなら、俺も頑張って受験をして同じ大学に通おう」

「マジ? ヴァーリって頭いいし、大抵の大学は受かりそうだよね。そっかー…ヴァーリと一緒の大学生活ってのも楽しいかも……」

 

 こっちはこっちでまた近い将来の事を話し合っている。

 それを見てふと、ライザーがアブデルに耳打ちする。

 

「なぁ…あの二人って、アレで本当に付き合ってないのか?」

「そうらしいぞ。ヴァーリの方はどう思っているかは知らんが、少なくともまだ加奈の方には恋愛感情は無いようだ」

「それもそれで不憫だな…。ああしていると、完全にカップルにしか見えんのだが……」

「だよな……」

「レイヴェルの奴がこれを見たら発狂しそうだな……」

 

 大事な妹がバーサーカーにならない事を祈りつつ、目の前の二人を見つめるライザー。

 因みに、ソーナもまたこれを見たらバーサーカーになる可能性を秘めている事をここに書いておこう。

 

 こうして、ようやく駒王町と駒王学園に一先ずの平穏が戻ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで一件落着!……かな?

当然ですが、レーティングゲームの話はありません。

する理由がありませんからね。

次回からは一気に聖剣の話に行くかもです。

すぐに終わると思いますが。
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