ReⅢ闘神都市   作:eeeeeeeei

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本戦8日目

──────

 

【本戦8日目】 二回戦試合当日

 

第一試合

 ナクト・ラグナードvs十六夜幻一郎

第二試合

 ウィング・シードマンvsワートナー

 

──

 

 

「おはよう。調子はどう?昨日の怪我は…」

「あぁ。おはよう。ん、問題ないよ。絶好調」

「ならよかったぁ」

 

 不安そうな羽純。

 昨日死にかけたので当然といえば当然だが、ヒーリングが効いているのか、身体は好調そのものだった。

 羽純との朝食を食べて、工房へと向かう。

 

「付与するマポは、どれにしよっか」

 

 羽純の問いに少し考えるが、昨日寝る前に考えていたので、他に選択肢はないか。

 

「ん。氷属性にしようと思ってる」

「氷?」

「うん。一番色々使えそうかなって」

 

 光と闇は正直よくわからんし、火属性とはつまり熱。熱は摩擦で起こせる。雷と迷ったが、より汎用性が高いと思い氷に決めた。

 

「あと、昨日見つけた付与素材もできたらいいな」

「うん。じゃあスロット図を見て……」

「それなんだけどさ、これからは羽純が決めてくれないか?」

「え?」

「いや、実際俺よりも全然詳しいだろ?それに、この剣はもう二人の剣だし。ダメか?」

 

 実際、ずっとそう思っていた。

 羽純の見せてくれるスロット図は二次元で表されており、確かにわかりやすいが、それはわかりやすくしているだけ。俺には本来どう見えているのかもわからないし、羽純に任せたいと思っていた。

 

「えぇー!でも…」

「素材は俺が選ぶからさ、あとは任せる」

「んー。わかった。二人の、剣だと思ってくれてるんだもんね」

 

 羽純はうなづくと剣を工房の作業台に置き、素材を何度か手に取りながら付与する位置を決めているようだった。

 しばらくすると動きが止まり、マポを手に取る。

 

「じゃあ、付与していくね」

「おぉ。頼むよ」

 

──ピコォォォン…

 

 素材は消え、剣に魔法が付与されたようだ。

 その後、強化素材も付与していき、羽純は息を吐き、差し出した剣を受け取る。

 

「はいっ!できたよ」

「ありがとう。じゃあ、行くか」

 

 その剣に篭る力を感じる。

 魔力というものかはわからないが、魔法の使用方法はすぐに頭に入り込んできた。

 

「……うん」

 

 そうして二人でコロシアムへと向かった。

 

 

──

 

 

「……クト」

「…ん?」

「ナクト、どうしたの?」

 

 コロシアムへ向かう途中の街角で、小さく声をかけてくる者がいた。

 それが誰なのかは、声ですぐにわかった。

 

「あ…!」

 

 羽純と二人、声のした方を向くと羽純は小さく声を漏らした。

 そこには、人気の少ない路地に立つレメディアがおり、俺と羽純は目立たないように路地へと入っていく。

 

「レメディア、昨日はありがとう」

「でも、どうしたの?出歩いてて危なくない?」

「ん…」

 

 いつもの返事。羽純の質問には答えていないような気もするが、昔から、いつものことだった。

 

「ナクトに用事?」

「ん…あなたたちに」

「私も?…なに?」

「今日、試合でしょう…?」

 

 二人の会話を聞きながらも、なぜかモジモジしているようなレメディアが普通に可愛い。

 

「うん。今向かうところなの」

「ナクトの…昨日の、怪我は…?」

「心配させちゃったね。でも全然平気。むしろ絶好調。もしかして、心配してきてくれたの?」

「……………ん…」

 

 今のは確実に照れてる。フードの奥の頬は気持ち赤くなっている気がした。

 うーむ。可愛すぎる。

 

「ナクトは勝つよ。私も信じてるの」

「レメディア、心配してくれてありがと。あと、ごめん」

「ごめん…?どうして?」

「街を走らせちゃったし、レメディア、あまり街中はうろつきたくないいだろ?あと、心配させて」

「………」

 

 カラーを狙うものは多くいる。故にレメディアは普段からマントとフードで姿を隠し、街に出ることはほとんどないはずだ。

 でも、俺のせいでそうさせてしまった。

 レメディアは無言のままでいる。聞こえてなかったのかな?

 

「…レメディア?」

「あ…いいえ、そんな事、いいのに…」

「いや、悪いと思ったことは謝んないと、クソ親父と母さんにどやされるからさ」

「あはは。ナクトよく怒られてたもんね」

「でも、悪いと思ってない時は絶対に謝んないけどな」

「もー。意外と頑固だよね。ナクトって」

「……祈りが…」

 

 羽純に昔の事を掘り返されて話していると、レメディアが呟いた。

 

「ん?」

「祈りが通じることなど、無いと思ってた…だから、とっくに祈ることなどやめていたのだけれど…あなたたちと出会って、別れて、時々思っていた。あの子たちが、変わらなければいいと」

「あ……」

「……」

 

 レメディアの気持ち。別れた後も、俺たちのことは思っててくれたんだな。

 羽純は嬉しさからか思わず声を出し、手で口元を押さえていた。

 

「この街で出会った時も思ったけど……優しいまま、大きくなったのね。あの時のまま…」

「うん…」

「優しい、かな?」

「もう、レメディアがそう言ってくれてるんだからいいでしょ!」

 

 自分を優しいとは思ったことはないので呟いたが、羽純に突っ込まれる。そして、

 

──ッ!!

 

「え?なに!?」

 

 レメディアと俺は同時に剣を抜き、路地の先へと剣先を向けた。

 

「おいおい、オレも大会の出場者だぜ?コロシアムの外では、殺りあう気はねぇよ」

 

 独特の服装と体に刻まれた刺青のような模様。

 これらは虫使いの特徴、ということはコイツが…

 

「虫使い…マダラガ・クリケットがなんのようだ?」

「ガキに用はねぇよ。俺が興味があるのは、決勝で当たるそこのカラーだ」

「………」

「あんたの試合、見てて気にいってなぁ。余程の野郎が相手じゃなきゃあ順当に勝ち上がってくるだろう」

 

 そう言って、手に持った長いフランスパンを乱暴に噛みちぎる。

 

「パン…ながい…」

「虫使いは、腹が減るんだよ」

 

 羽純の問いに律儀に答えるマダラガ。殺りあう気は無いと言ってはいるが、俺は羽純を一歩下がらせた。

 

「羽純、俺の後ろにいろ」

「う、うん…」

「クククッ…はやくそのマントの中の体を見たくてたまらない野郎どもに見せてやりてぇな」

 

 イラつく。

 レメディアに対する言葉にもだが、なにより一目見たときからこいつへは怒りが湧いてくる。

 

「おい、お前は決勝にはいけねーよ。先に俺と当たんだから」

「……ナクト」

「おいおい、ガキが背伸びしてんじゃねぇよ」

「……私闘に及ぶ気がないのなら、立ち去りなさい」

 

 俺に食ってかかろうとしたためか、レメディアが話を終わらせにかかる。

 庇われている。

 それが無性に腹立たしく、感情が逆巻くのがわかる。

 

「そのガキごときに食われないように、せいぜい気をつけろ。続きはコロシアムの中で、やってやる」

「……言うじゃねぇか。お前は試合でバラバラにしてやる。今日は帰るとするぜ。じゃあ、またな」

 

 マダラガは元来た路地へと立ち去っていった。

 

「俺たちももういくよ。心配してくれてありがと」

「……ん…気をつけて」

「じゃあ、いってくるねレメディア。またご飯食べようね」

 

 そうしてレメディアと別れ、今度こそコロシアムへと向かった。

 

 

──

 

 

「それでは開始までもう少し時間があるのでそれまで控え室で待っててくださいねー」

「わかりました」

 

 二人で選手控え室にいる間、精神を研ぎ澄ましていると、羽純が手を握ってきた。

 

「ナクト…頑張ってね」

「おぉ。羽純の力が不吉なもんじゃないって、証明してくる」

「…ありがと……」

 

 不安そうな顔は晴れ渡り、まるで花が咲くような笑みを浮かべた羽純が、たまらなく可愛く見えた。

 家族でも、妹でも、姉でもない。女として羽純を見ている自分に気づくも、その気持ちは心の奥底へと仕舞い込む。

 そうこうしていると、声がかかり試合場へと向かう。

 

──バチン!

 

「うし。じゃあ、勝ってくる」

「うん!いってらっしゃい」

 

 

──

 

 

 うぉぉぉぉぉぉぉん!!!

 

 観客の割れんばかりの歓声が響く。

 相変わらずうるさい。

 

「君がナクト君だね。桃花が世話になったようだ。ありがとう」

「世話になったの俺ですけどね。お礼を言うのはコッチですよ。桃花とはどうゆう関係なんすか?」

「桃花は私の妹だ」

「そうなんですね。それは、ありがとうと伝えておいてください。勝つのは俺なんで、会うとあいつは怒りそうだ」

「はっはっはっは!言うね、ナクト君。全力でいかせて貰うよ」

 

 十六夜幻一郎。

 白髪ロン毛のイケメン。忍者とは隠密に特化した忍ぶ者だと聞いていたが、随分と自己主張の激しい忍者だ。

 それに、桃花の兄…まだお礼言えてないけど、兄を負かした男からのお礼なんて嫌だろうし、もう会うこともないだろう。

 

 そんな事を考えていると、いよいよアナウンスが鳴り響いた。

 

「これより大会8日目第一試合を行います。龍のコーナーより登場は、若き剣士、ナクト・ラグナード!!

 そして、鬼のコーナーより登場は、華麗なる忍術の使い手、十六夜幻一郎!!

 

 それでは、試合開始でーす!!」

 

 

 試合開始と同時に切り込むが、当たらない。

 確かに、速い。

 純粋に移動速度がバケモノじみている。

 剣速は互角くらいだろうが、尽く当たらない。

 

 向こうの武器は、細身の剣。JAPAN発祥で『刀』と呼ばれている種類のもの。素早い攻撃にあった、薄く細い刀身は軽く切れ味のあるもののようだ。

 何度か掠った部分の服は綺麗に裂け、皮膚には一筋の赤い線ができており、そこから滴が垂れてきた。威力は低いが手数が多く、このままでは血を流しすぎて動けなくなる。

 

 出し惜しみしてる場合じゃないな。

 剣を構え、意識を集中する。

 そして、幻一郎へと剣先を向けた。

 

「凍れッ!!」

「むっ!!」

 

 剣先から吐き出された水色の玉は目にも留まらぬ速度で移動する幻一郎を追尾し、大きな氷の花が咲く。

 幻一郎は下半身は氷の花に覆われ身動きが取れなくなっていた。

 

「ふ…やるな、ナクト君。まさか魔法攻撃とは、誤算だったよ」

「勝ちに行ってるんで、恨みっこ無しっすよ」

 

 この好機を逃すはずもなく、話しながらも全力で距離を詰める。

 可能なら、一撃で沈めたい。

 

 剣を右手に持ち、左肩から背にかけてへ水平に大きく回す。左手は折り曲げて胸と右腕の間に。

 

「これは…ッ!!」

「俺の一撃は、重いですよ」

 

 幻一郎さんも、何をするか気づいたか。

 でももう遅い、これで──俺の間合いだ。

 

 右腕を左から右へと一文字に振り抜き、折り曲げた左手を前へと、剣を持つ右腕ごと前に押し出すことによって更に加速させる。

 幻一郎は刀を二本取り出し受けるが、残念、これは武器破壊の技でもある。

 

「く…!」

 

 障害物があろうとも、羽純により剣に込められた重撃と、さらに左腕によるダメ押しの加速。

 俺の剣は、受けた刀を二本ともへし折る。

 だが、まだ浅い。

 横回転している腕の肘を左手で下へと押し込み、軸足を沈めることで回転エネルギーの方向を変え、一回転した強烈な振り下ろしを放ち、そのまま幻一郎の体を大きく切り裂いた。

 

「グッ……」

 

 耐久力はそこまで無いようで、幻一郎はそのまま降参を宣言した。

 

「そこまで!!勝者、ナクト・ラグナード」

 

 

 アナウンスの後、一瞬静まり返った会場だったが…

 

──わぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 その直後、割れんばかりの歓声が、コロシアムを包み込んだ。

 

 

──

 

 

「はぁ…」

 

 勝者控え室に案内されている途中、なぜかシュリさんにため息をつかれた。

 

「……そんな意外でした?」

 

 聞いてみれば、幻一郎さんが勝つと思っていたのと、幻一郎さんがかっこいいから応援していたとのこと。

 

「…大会の運営側なのに贔屓は酷いな。まぁ別にいいですけど」

「あはは、ごめんなさい。でもナクトさんもあと数年したら、きっと素敵な男性になりますよ!」

「それはどーも」

 

 言われて悪い気持ちになることはないが、未来のことなどわかるはずもない。

 そのまま賞品を受け取り、

 

「────十六夜選手のパートナー、桃花さんがお待ちでーす。張り切ってどーぞー」

「え?桃花?って、うわっ!」

 

 シュリさんに押されて部屋に入ると、見知った顔の子が憮然とした態度でこちらを見ていた。

 

「桃花って言うんだね。昨日は助けてくれてありがとう」

「……どんな卑怯な手を使ってお兄様に勝ったの?」

 

 頭を下げてお礼を言う俺に対して睨み付けるように見てくる桃花。

 その言葉にも態度にも、トゲしかない。

 

「付与した魔法は使わせてもらったな。それが卑怯だと言うのなら申し訳ないとしか言えないけど」

「…わかってるわよ…馬鹿…ちょっとやつあたりしたかっただけ…」

 

 俯き小さな声で呟く。

 俺より少し背が低いだけのはずの彼女が妙に小さく見えた。

 

「そうか……でも、本当にありがとな。昨日もお礼を言いたかったんだけど、会えなかったからさ。じゃあ、俺はこれで」

「ちょっ…ちょっと!私の……私の初めてを、奪わないの…?」

「奪うって……俺は、恩人を強姦するタイプじゃない」

 

 そのまま部屋を出て行こうとするが、なおも桃花は話しかけてくる。

 

「だ、ダメよ!お兄様を負かした相手に、その、してもらわないと…私くのいちになれないんだし…」

「いや…なんの話?」

 

 さっぱりわからない話だったが、勝手に話始めたので聞いていると、

 忍者のなかでも女性はくのいちと呼ばれ、夜の伽での暗殺などの仕事もあるとのこと。

 処女では一人前として見てもらえないんだとか。

 

「だったら国の好きな人としたらいいんじゃないのか?」

「そ、そんな人お兄様以外にいるわけないでしょ!」

 

 その後なし崩し的に抱くことになったのだが、如何せんやる気が出ない。別に抱くことに関しては桃花は可愛いし嬉しい限りだが、いやいやだったり妥協でするのは趣味じゃない。

 そんな俺の心情を悟ったのか桃花は煽るように俺を罵る。

 

「なによ…怖気付いたの?意気地なし!」

「……桃花は好きだから、無理にとか、変な理由があるのは嫌なんだよ」

 

 少し考えるそぶりをした桃花は、顔はあげるが目は伏せたまま呟いた。

 

「……初めてはナクトが、いいの。他の人は嫌…」

 

 顔を赤くして呟く桃花。

 ここまでして処女を捨てたいのだろうか?ここまでしてくのいちになりたいのだろうか?

 でも、桃花は俺を受け入れる覚悟はとうにできていたようだ。それに答えないのは、男じゃない。

 

「……なるべく、優しくするな」

「きゃ…」

 

 桃花を抱き上げるとそっとベッドへと誘う。

 

「ちゅ…」

 

 唇を重ねると、慣れていないのかびくりと桃花の腰が浮く。

 俺の舌が桃花の唇をこじ開け口内へと侵入する。

 

「…ちゅる…はむ…ん…はぁ…んん…」

 

 少しづつ、桃花も舌を絡ませ始めたところで、下着の上から恥丘を優しく撫でた。

 

「……んっむぅ!」

 

 桃花の腰が跳ね上がり、唇を重ねた状態のため、あまりにも近い距離でこちらを不安げな顔で睨む。

 

「痛かった?」

「ん、うんん…そんなところ、触られるの…お兄様にも…」

「幻一郎さんじゃなくて、今は俺を見ろ」

 

 もう一度唇を塞ぎ、次は少し強引に舌をさしこみ口内を優しく蹂躙した。

 桃花もだんだんと気持ちも良くなってきたのか、最初は両足をすり合わせて指が侵入するのを拒んでいたようだが、少しづつ足の力は緩んできたようだ。

 

「…ぷは…ん…あぁ!ナクト…なんか…変……変な気持ちに…」

「変じゃないよ。桃花が、気持ちよくなってくれてるだけ」

「気持ち、いい?」

「良くないの?」

「ん…気持ち、いいかも…」

 

 ピチャピチャと小さな音がし始めると、桃花のくぐもった声が静かに部屋に木霊する。

 

 そうして、だんだんとそれは嬌声に変わっていった。

 

 

──

 

 

「ぐすっ…見ないで……お願い…お願いよぅ……」

 

 最終的にやりすぎたためか、桃花は失禁してしまった。

 恥ずかしさのあまり幼子のように泣き出してしまった桃花を抱きしめる。

 

「こうすれば見えないだろ」

「わっ!バカ!汚いよぉ」

「汚くないよ」

「……うぅぅ…」

 

 その後シャワーを浴び、床を掃除したので落ち着いた桃花から声をかけられる。

 

「この事、お兄様にバラしたら絶対に許さないからねっ!」

「おもらしのこと?」

「バカ!!!」

 

 少しからかいすぎた。今のは本気で怒ってるな。

 

「悪かったよ。別に言われなくても幻一郎さんにも誰にも言わないって」

「……なら、いいわよ。──ところで、ナクト」

「ん?」

「…この先、負けたら駄目だからね」

 

 真面目な顔をした桃花。まさかこんなこと言われるなんてな。

 初めて会った時のツンツンした自信家な面はなりを潜め、今は一人の女の子として応援してくれているように感じた。

 

「あぁ。桃花が応援してくれるなら、負けないよ」

「べ、別に応援ってわけじゃないけど…ナクトは、私の初めての相手だから…」

 

 恥ずかしがって言う桃花が可愛すぎて思わず抱きしめるが、またいつもの桃花に戻ってしまった。

 

「あっ…じゃ、じゃなくて、お兄様を負かしたんだから闘神大会くらい優勝してくれないと困るのっ!早く離れてよ」

「……」

「も、文句ある?」

 

 コロコロと表情の変わる桃花をいつまでも眺めていたいとも思うが、宿で羽純が待っている。

 

「ないよ。幻一郎さんと、桃花のためにも死力を尽くすな」

「うん。────もう、行くの?」

「あぁ。宿に戻るよ」

「……そう。さよなら…」

 

 今度は寂しそうな顔を浮かべる桃花。

 

「そんな顔すんなよ。もう少し一緒にいようか?」

「べ、別にいいわよ。行くなら早く行って。せいせいするわ」

「今の方が桃花らしいな。じゃあ、またな」

「なによ、それ……また、ね」

 

 そうして部屋から一歩踏み出したところで、微かに桃花の声が聞こえた。

 

「さよなら…ナクト」

 

 

──

 

 

「ナクト!お帰りなさい」

「ただいま。ほら、不吉なことなんて起きなかったろ? 羽純の力はそんなんじゃない」

「うん…ありがとうっ!」

 

 笑顔の羽純。

 よかった。数日前から色々とあり様子が変だったが、今はいつもの羽純だ。

 

 その後、羽純と夕食を食べながら闘神ダイジェストを見るために魔法ビジョンをつけた。

 

『大衆はブタだーーー!』

 

 クリちゃんの突然の叫び。

 最近流行っているとの事だが一体どこで流行っていると言うのか。

 

 その後試合の解説に入るが、切り裂きくんには付与魔法だと言う事はわかったらしい。それと、剣の扱いが非常に上手いとも。クリちゃんは将来の成長が楽しみなイケメンとの評価をもらう。有名人に名指しで褒められたようで少し嬉しい。

 そんな俺の感情を読み取ってか羽純は少し冷たい視線を向けてくる。

 

「調子に乗っちゃダメだからねっ!」

「乗ってないって。誰からであれ褒められれば嬉しいだけさ」

 

 その次の試合結果を聞き、俺はゾッとした。

 シードの選手だったウィング・シードマンは夢ノートとやらに名前を書いただけで、相手を突然死にさせるという恐ろしい能力を持った本の使い手。

 羽純も心配そうにしていたが、もし闘うのなら書ききられる前に、倒すしかないという話で終わった。

 

「じゃあ、おやすみ羽純」

「うん。おやすみなさい」

 

 心地よい疲れとともに、俺はすぐに眠りについた。

 

 




【試合結果】
◯ナクト・ラグナードvs十六夜幻一郎×
◯ウィング・シードマンvsワートナー×

現在のナクトステータス
Lv.38
活力:1482(1140+228)
攻撃:401(304+97)
防御:136(114+22)
 
・スキル
①身体操作術
②威圧
③逃走術
④剣術 Lv.4
⑤テクニシャン
 
・付与剣性能
活力+20%
攻撃+32%
防御+20%
命中+4%
回避+4%

重撃…全ての斬撃が重くなり、硬いメタルな敵にもダメージを与えられる。剣の重さは変わらない
耐呪抵抗+…呪い効果を持つ魔物の呪いを無効化でき、呪い攻撃に耐える率も上昇
氷マポ 残り2回
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