ReⅢ闘神都市   作:eeeeeeeei

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予選3日目

──────

 

【予選3日目】

 

 

 今日も大した成果は得られないままに夕方を迎えた。

 既に予選通過の最低数は集めてはいるが、他の参加者がどれくらい集めているのかはわからない。

 明日に懸けて今日は宿へと帰る事にした。

 

 迷宮を出て羽純と並んで宿へと帰る。すると、そこで大男が道を塞ぐように現れた。

 

「ようチビッ子。それがお前のパートナーか?まだつぼみだが…わるかねぇな」

 

 盗賊の親玉のような見た目の、斧を持った大男が汚い顔を歪めて羽純を舐め回すように視姦している。

 

「な、ナクト…」

「確かに羽純は俺のパートナーだが……お前誰?」

 

 怯える羽純の一歩前に出るとさっきから思っていた事を伝えた。

 えらく馴れ馴れしいが、本当にわからない。

 

「な、なんだと小僧…!?俺を、ドギ様を舐めるなよッ!!俺はまだエントリーしていないからな、お前を殺してそのパートナーをお前の死体の前で無茶苦茶に犯してやるよ!!」

 

 ワナワナと震えて汚い顔を歪ませ叫ぶドギと名乗る男。

 闘神大会のルールで、参加者同士の私闘は禁止となっている。これを破ったものは例外無く失格とされるのだが、

 

「そうか。じゃあ逆に──俺がお前をぶっ倒しても、なんの問題もないわけだ」

 

 剣の柄に手をやり、羽純を自身の背で覆い隠すように立つ。

 

「ふざけるなよ…!!やっぱりヤメだ。テメーは生かしたまま、俺にシコタマ犯されるパートナーを眺めさせた後で、殺してやるッ!!」

 

 怒りに任せて振り回す斧を躱し、時に受け流す。

 幾度か斬り結んでわかるが、見た目に反して、力も今の俺の方が上らしい。

 

「チョロチョロと、鬱陶しいんだよ!!」

 

 ある程度捌いたところでスキルなのか、かなりの大振りでの一撃。

 

「ナクト!!危ない!!」

 

 羽純はそう言うが、はっきり言って受ける分には全く問題無い。だが、たった今この路地に入ってきた者が、なぜか高速でドギの前へと迫っている方が気になっていた。

 全身をマントで隠し、それは顔すらも覆っているためまったく得体の知れない乱入者。

 

──ガギィィィン!!!

 

 金属同士がぶつかり合う、大きな音。

 マントの剣士の剣に俺の剣を重ねて、二人がかりでドギの戦斧を受け止めていた。

 その勢いで剣士のフードはふわりと浮くも、外れるまでには至らなかった。

 

「おい。どうせお前も出場するのなら、こんな道端じゃなくて本戦でやりあった方がいいんじゃないか?」

「……チッ!おらぁ!見せもんじゃねぇぞ!!小僧、お前が本戦に出れるか知らねぇが、次に会った時が最後だと思えッ!!テメェもだ陰気ヤローが!!」

「………」

 

 二人相手は面倒だとでも思ったのか、騒ぎを聞きつけ集まり始めたギャラリーを蹴散らしながらノッシノッシと言わんばかりに巨体を揺らして去っていくドギ。

 マントの剣士もドギの言葉を無視したままに去ろうとするが、

 

「あ、あの!助けてくれて、ありがとうございます!」

 

 羽純が律儀にお礼を言い、マントの剣士は足を止めた。

 

「いえ、私は別に……それに、きっと私の助けは不要だった」

 

 俺は覚えてる。その太刀筋も、その声にも。

 今も昔も変わらない。忘れた事なんか一度も無い、凛とした声。その声の持ち主の名前を、無意識に呟いていた。

 

「……レメディア」

 

「「え?」」

 

 俺の呟きに、二人の声が重なる。

 なおも俺は言葉を続けた。

 

「レメディア、だよな?俺はナクト、ナクト・ラグナード。覚えてない、かな?」

「レメディア……なの?」

 

「──あなたたち……大きく…なったね」

 

 フードの隙間から見える瞳が少し見開いた後、身体ごとこちらへと向き直した。

 

「うん。本当に久しぶりだ」

「ねぇレメディア、良かったら私たちの宿はすぐそこなの。一緒にお話ししようよ」

「……ん、時間は、大丈夫」

 

 羽純の提案を了承し、三人で部屋へと向かった。

 

 

────

 

 

 カテナイ亭の部屋でレメディアとの再会を喜び、今までの経緯やらを話していた。

 

「はい。コーヒー入れてきたよ」

「ありがとう」

「それにしても、レメディアは…変わってないね」

「うん、カラーだから…」

 

 レメディア・カラー。

 俺と羽純が小さい頃に出会った、俺の……憧れの人。

 凛とした美しい顔も、青く長い髪も、青い瞳も、エルフのように横に少し伸び、ピンとした耳も、赤く輝く額のクリスタルも、何一つ、昔と変わっていない。

 親父と一時期パーティーを組んでいたので、俺の家に泊まっていた事もあり、俺に戦いと剣の扱い方を教えてくれた。別れる時、彼女の父親の残した『剣』をくれた、美しいカラーの女性。

 羽純の言う通り、あの時からかなりの年月が経ったが、見た目に一切の変化は見られない。その理由は、カラーという種族にある。

 

 カラーとは、女性しかいない種族で人間とは違い不死の種族である。カラーは不死ではあるが、ある時期がくるとこれまでの行いで天使か悪魔へと転生する。

 ほとんどのカラーはクリスタルの森というところに住んでおり森から出てくる事は無い。なぜかと言うと、カラーは常に人から狙われているからであり、その理由は額のクリスタルにあった。処女であれば赤いクリスタルだが、純潔を失うとそのクリスタルは青へと変わる。そしてカラーが狙われる最大の理由はその青いクリスタルは強力なマジックアイテムとなり、しかもそれは性交を行うたびに強力な物となるからだ。だから人間に常に狙われ、捕まった物は散々凌辱された後にクリスタルを抜かれるという悲惨な結末を迎える事が多かった。

 不死であるカラーであるが、額のクリスタルを抜かれると肉体は消滅し、天使にも悪魔にもなる事なく、終わりを迎える。

 そんな中で、カラーでありながら旅をするレメディアはかなり特殊なカラーだった。旅の目的は、小さい頃に聞いていた、探している人がいるんだと。

 

「そうだったね。──あ、探してた人は見つかったの?」

「それは……まだ」

「そっか。だと、どうしてレメディアはこの街に?」

「闘神大会に…出るから…優勝して、闘神になって、私は闘神区画へ行きたいの」

「えぇ!ナクトも、出場するんだよ…」

 

 レメディアと会話をしていた羽純は驚愕するが、俺は驚く事は無かった。

 

 闘神区画。

 闘神大会の優勝者のみが入る事を許された街の一画。その警備は凄まじく、一国の軍隊であろうとも弾き返すほど、と言われている。闘神になると区画内に専用の屋敷を与えられ、そこに住む事ができる。更にその屋敷にはメイドやら豪華な食事やらと、一生困らずに遊んで暮らせるという。

 レメディアが区画へ行きたいという事は、闘神しか入れないそこに探し人がいるんだろう。

 

「じゃあ、俺とも当たるかもしれないね。レメディアには、パートナーはいるの?」

「私に…パートナーはいない…」

 

 パートナーとしての条件は、見目麗しい女性である事。

 出場者がその条件を満たしている場合、パートナーを兼任することができる。

 そして、もちろんレメディアは条件を十分に満たしていた。

 

「じゃ、じゃあレメディアが負けちゃったら…」

「俺のパートナーは、羽純なんだ。俺の不注意で巻き込んじまった。レメディアにも言われたのに……だから、俺は負けられないんだ」

「ナクト、それは違うよっ!私が悪いんだよっ。自分ばっかり背負わないで……」

「ん、ごめんな、羽純。ありがとう」

 

 羽純、それでも俺は後悔してるよ。たぶん、これからもずっと……

 

 羽純の頭を撫でてやると、恥ずかしいのか顔を赤くして小さくなる。レメディアも、小さくだが力強く呟いた。

 

「私も…負けられない」

「…私はヤダよ…二人が戦うのなんて……」

 

 羽純はそう言うけど、考え方の問題だと思う。

 

「俺も負けられない。でもさ、勝った方が闘神になれば、負けた方も闘神区画に招待する事ができる。そしたら俺は親父を、レメディアは目的の人を探したら良いよ。免除金はあるんだ。そんで親父を何とかしたら、レメディアの望むものが闘神区画に無かったとしても、三人で探しに行こう。羽純がよかったらだけど、約束したもんな」

「ナクト……うん、大人になったよ、私たち。約束通り、レメディアの旅について行けるくらいに」

「………ん…」

「俺が負けても、相手がレメディアなら羽純は安心だし、俺が勝っても変な事なんてしない。俺はレメディア以外には負けないから、レメディアも、俺以外に負けないでよ?」

 

 笑顔で俺がそう言うと、二人も微笑んでいた。

 

「…ありがとう……強くも…なったんだね」

「うん。そりゃあもう滅茶苦茶に鍛えたから。受け取った剣も、言ってた通り今はちゃんと使えてるよ」

「……うん」

「ナクト、そんな事してたの?ベルナーさんのお手伝いしてるだけだと思ってた…」

「大会に勝つなら、それなりに力は必要だったからな。それは羽純がかかってる今は尚更だけど。だから俺はまだまだ強くなる、ならなくちゃいけない」

「ナクト…」

「……あなたは、どうして大会に?」

 

 そしてレメディアに闘神大会に参加した目的を話した。

 俺の目的は五年前にこの闘神大会に出場し、優勝したから帰るという手紙を最後に一向に帰ってこない親父の消息を辿って来た。そんな俺を追って、というのも少しはあったのかもしれないが様子を見に来てくれた羽純は俺が巻き込んだため。そしてレメディアは優勝して闘神区画で探し人を見つけるために。

 親父の話になると、レメディアは親父の名を呟き顔を伏せた。

 

「あ、もうこんな時間!レメディア、今日は泊まって行く?宿は決まってるの?」

「…ん、実は…まだ…」

「じゃあ決まりだね。私夕飯作ってくる」

「あ、羽純、俺も手伝うよ。レメディアはゆっくりしてて」

 

 という事で、羽純の提案にレメディアも乗っかる事になった。

 三人で羽純と俺の作った夕食を食べながらも昔話に花が咲き、夜もふけて来たのでレメディアは羽純の部屋で一緒に寝るという事になった。

 

 

────

 

 

「……あの…レメディア、起きてる?」

「えぇ」

 

 レメディアは旅のカラー。

 安心して眠るという事は無いって言って、椅子に腰掛けている。

 意識は警戒したままに目を閉じて少し体と心を休ませるだけ。

 そうやって、生きてきたんだって昔聞いた事がある。

 

 私はレメディアと二人でいるこの時を、昔と重ね合わせていた。

 

「あの時の事、思い出すね。夜中、怖くて眠れなくなった私にレメディアが膝枕してくれた事を」

「うん…」

 

 ナクトの父であるレグルス・ラグナードに連れられて来たレメディアをはじめは怖いと思っていた。ても、実際はレメディアが、ではなくマントを羽織る女性に、過去の怖い体験から恐怖の感情が生まれてしまったのだが、その出来事を境に私はレメディアの事が怖くなくなって、むしろ大好きになった。

 

「あのね。…椅子じゃなくて、もっと近くにいてくれないかな?」

「……ん」

 

 うなづき、私の眠るベッドに腰掛けた。

 私は、レメディアの手を握りずっと不安だった事を聞いてみる。

 

「ナクトは、勝てるかな…?レメディアが強いのはわかるんだけど、ナクトの事は、よくわからなくて…」

「……勝てる…かは、わからない…」

「……そう、だよね」

 

 レメディアは嘘をつかない。たぶん、つけないんだと思うけど、レメディアがそう言うのなら、そうなんだろう。

 とたんに怖く、悲しい気持ちが押し寄せて来た。けど、レメディアはそんな私の心情を察したのか言葉を続ける。

 

「違うの…ナクトは強い。私も、驚くくらいに…でも、勝負に絶対はないから…」

「…そうだよね。私もね、ナクトとこうして一緒にいるの、実は久しぶりなの。…ナクト、なんだか私の知らない内にすごく大人っぽくなっててね、それにね────」

 

 レメディアも驚くくらいなんて、ナクトは三年間の間に何をしてきたんだろう。でも、レメディアの言葉で安心した私はレメディアと色んな事を話している内に、いつの間にか眠ってしまっていた。

 

 




現在のナクトステータス
Lv.30
活力:900
攻撃:240
防御:90
 
・スキル
①身体操作術
②威圧 ※自分より弱いものに対して必ず先制できる。力の差によって気絶効果あり。
③逃走術
④剣術 Lv.4 ※攻撃補正は無し。剣の扱いが上手くなる。速さ+1
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