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【予選4日目】 ─予選最終日─
──チュンチュン…ピピピ……
予選最終日の朝。
目が覚め、ベッドから体を起こす。
「おはよう、ナクト」
「……おはよう」
羽純とレメディアと共に迎える朝。
目が覚めて、二人の顔を見るだけで、なぜか胸に込み上げてくるものがある。
「うん、おはよ」
ベッドから降りて二人に声をかける。
今はまだ朝9:00までには時間がある。
「朝ごはん作るね。二人はそのあと探索に行くでしょ?」
「おー。今日が予選の最終日だからな」
「…私も、行くわ」
「じゃあ栄養のあるものにするね♪」
そう言って羽純は共同のキッチンへと向かう。
レメディアと二人きりになるが、何故かレメディアは部屋から出ずになぜか俺の顔を眺めていた。
「レメディア?俺、着替えるからさ…」
「あ、ごごめんなさい…あちらの部屋にいるね」
どもるレメディアなんて、珍しい光景だな。なんて事を考えながら着替えて身嗜みを整えると羽純が朝ごはんを持って来てくれた。
「美味しい?レメディア?」
「……うん。とても…誰かと食事を取る事も、久しぶりだから…」
「そっか。でもこれからは俺たちがいる。嫌じゃなければまた食べようよ」
「うん!それがいいよー」
「……二人とも…ありがとう」
三人で朝食を終えると予選迷宮へと向かう。
レメディアは今日からは自分で宿を、堅牢な守りが売りのホテル、『アルカトラズ』の予約をとると言っていた。闘神都市の街の紹介パンフレットにも乗っているようなホテルなので、今の俺と羽純では、大会終了までともなると、とてもじゃないが払える額ではない。でもカラーであるレメディアには守りは何よりも大事だろうと思い、俺は何も言わなかった。
ちなみに、カテナイ亭はもちろん街のパンフレットには乗っていない。
「じゃあ、本戦で会おう。またね、レメディア」
「えぇ。ナクトも、気をつけて」
迷宮前でレメディアと別れて、今日も魔物狩りへと向かう。
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さて、ひとまず奥まで進むか。
迫りくる魔物を全て一刀のもとに斬り伏せる。
この迷宮の魔物では俺の相手になるものはいない。
すんなりと迷宮の最奥にたどり着くと、女の子モンスターである、うさ耳をつけた下着姿の女の子にしか見えない『きゃんきゃん』が男の子モンスターにいじめられている。いじめてる方はヒトデが立ち上がっているような、完全に異形な見た目の魔物だ。
「ふぇぇん、いじめちゃやだぁ」
「むきょーむきょー。ねえちゃんこっち来いや、ほほほほ」
珍しい光景。きゃんきゃんのような女の子モンスターをいじめる男の子モンスターなんて滅多にいない。だが、この魔物は通常の同種よりもかなり大きく、色もおかしいので突然変異なのかもしれない。
「あーん、誰か助けてーー!」
きゃんきゃんをいじめる魔物を倒すべく、地面に向かい前のめりに、文字通り倒れる。そして、鼻先が地面に付く寸前に、重力により下へと発生するエネルギーを殺す事なく、前へと変換すべく足を出して魔物へと疾る。
「──疾ッ!!」
身体は下から前へ、そして剣は下から上へ。高速で振るわれる剣はまるで豆腐でも切るかのように簡単に魔物を縦に両断した。
「な…なんや、ワレ…」
最後の呟きと共にその巨体は左右に分かれて絶命すると、その体はゴールドとアイテムとなって地面へと散らばった。俺はゴールドとピンク色の綺麗に光るアイテムを拾い、きゃんきゃんへと手を伸ばす。
「ほら、大丈夫か?」
「ふわぁ。…おにーさん、きゃんきゃんのこと、助けてくれたんだ?」
「まぁ、助けてって言ってたし、流石にな」
「おにーさん、いい人なんだ…わーい♪きゃんきゃんと遊んで遊んで♪」
「いや、それよりいかなご探してるんだけど、持ってたら欲しいし、それかありそうな場所を知らないか?」
「ん?それならあるけど…でも、人間の男の子はおっぱいで気持ち良くされるのが好きだよね、えっちなことして遊ぼ♪」
きゃんきゃんはそう言って跪くと躊躇なく俺のズボンのファスナーへと手をやる。そして、今の俺はぬるい戦闘でたまった不満と、この街に来てから羽純との共同生活がすぐに始まった為に、溜まった欲求もある。が、思うところがあった。
「ちょっと待て。毒になるのは、知ってるだろ?」
きゃんきゃんの肩を掴み止める。ナニをする気かはわかったが、女の子モンスターにとって人間の男の精は毒となる。もしも行為に及ぼうものなら、たちまち女の子モンスターは絶命しゴールドと、運が良ければアイテムへと変わってしまう。流石に行為の途中や直後に相手が金に変わるのは勘弁だ。
「知ってるよぉ…だから、お口とおっぱいで気持ち良くしようと思ったんだけど……きゃんきゃんのおっぱい魅力ないかなぁ…?」
きゃんきゃんは自分の胸を両手で寄せて谷間を強調する。決して小さくない、二つの丘は男の欲望を刺激するには十分なサイズ。
無垢な瞳で見上げるように言われ、モンスターとは言えそこらの人間よりも遥かに可愛いその目には、思春期真っ盛りで体力と精力も有り余っている俺は逆らえなかった。
それに、口や胸でそうなるとは、確かに聞いた事はないしな。
「そんなわけないだろ」
そう言って、俺はきゃんきゃんの双丘へと手を伸ばした。
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「はぁはぁはぁ……」
今は俺の出した白濁液を顔に浴び、自身も俺の、指でだがで幾度も昇天させたからか肩で息をしているきゃんきゃんの背をさすっていた。
「ありがとな。でも、初めてだったとはな」
誘ってきたのでよくしているのかとも思ったが、反応と、指の挿入時の感触が初めてだった。
「うん…はじめてだよぉ……でも、こんなに気持ちのいい事だったんだね……また、して欲しいな……」
「また会うことがあったらな」
「あのね、コレ…きゃんきゃんの宝物だけどおにーさんに全部あげるっ!」
きゃんきゃんから大きな袋に入ったいかなごを100匹ももらった。これだけあれば本戦への出場は間違い無いだろう。
「宝物なのに…悪いな…でも、ありがとな」
「ふふふ♪助けてくれたのと、何度も気持ちよくさせてくれたお礼だよ。ありがとぉ。じゃあねぇ!ばいば〜〜いっ!!」
笑顔で手を振るきゃんきゃんに手をあげて答えると、流石はモンスターだけあって復活したのか、元気に走り去って行った。その背を見送り、俺もいかなごを提出して迷宮を出る事にした。
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「…あ……?」
「ん?あぁ、街で会った子だね。迷宮、入れる時間終わったけどどうかした?」
予選迷宮から出てきた俺の方を向いて思わず声を上げられたが、この街に着いた時に出会った子だった。今覚えばドギと歩いていたからこの子がパートナーか。
「あ、はい…マニです。こんにちは…」
おどおどとしながらもマニは挨拶をしてくれたが、質問には答えない。
自信のなさそうな、怯えたような表情を常に浮かべているが黄色に近いオレンジ色をした長い髪を持つ綺麗な女の子。
「探し物?ウロウロしてるみたいだけど?」
「そうなんですけど、ドギの落とし物で…それに、ごめんなさい、私…他の人と話すと怒られるんです。その人も…」
「そっか」
この子はこの子なりに耐えているのだろう。
俺がここで何かをすればこの子は宿で何かをされるのかもしれない。
ドギの、というところでさっき出口で見かけた卑猥な表紙の小汚い本を思い出した。
そこまで歩いて行き、少し大きく独り言を呟く。
「なんか本が落ちてんな。誰かが落としたのかな?」
「あ…!」
マニはとてとてと近くまで歩いてくるとエロ本を拾い、丁寧に埃を払う。
「……あ─────」
お辞儀をすると、悲しそうな顔を浮かべて街へと戻っていく。
小さすぎて聞こえなかったが、お礼を言われたのかな。
なぜあんな子がドギのパートナーをしているのかは知らないが、もしあいつと本戦で当たれば解放してあげたいと思った。
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「ナクトっ、ごめんね。ちょっと道を間違えちゃって。おかえりなさい」
マニと別れると、入れ替わりに羽純が小走りで駆け寄ってきた。
「あぁ。ただいま。良いことすると帰ってくるもんだな。助けたモンスターから大量にアイテム貰ってさ」
「へぇーそんな事もあるんだね」
「たぶん、今回は運が良かったんだけどな」
「でも、モンスターを助けるって何があったの?」
「きゃんきゃんがいじめられてて、助けてーっていうから助けただけ」
「きゃんきゃんって、いかなごを集めてるんだねぇー」
「全部が全部そうなのかはわかんないけど……ともかく、本戦へはきっと出れる。安心して明日を待とう」
「うん!」
俺の報告に笑顔で答えてくれた羽純。
その後も羽純と話をしながら宿に戻り、明日の本戦出場者の発表を待つしかないので眠る事にした。