ReⅢ闘神都市   作:eeeeeeeei

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トーナメント組み合わせ発表日

──────

 

【トーナメント組み合わせ発表日】

 

 

「おはよう、ナクト」

「あぁ、おはよう」

「えっと、予選通過だと、紋章が光るんだったよね…」

「そう。でも、まだだな。朝としか聞いてないから、とりあえず朝飯食べよっか」

「うん。じゃあ、着替えてくるね」

 

 そうして羽純は部屋へと戻る。

 そして俺の着替えが終わると、

 

──きぃぃん…!

 

「……」

 

 手の甲が光り、紋章のようなものが浮かび上がると、形を変えて消えた。

 

「ナクト!コレって!?」

「うん。無事……に予選突破だな」

「ナクト、どうしたの?」

 

 答えながらすぐに振り向き羽純に背を向ける。着替えの途中で慌てて来たのか、シャツがはだけて谷間近くまで見えている羽純。

 

「いや、あのさ。前、開いてるぞ」

「え?…きゃ、きゃあ!!」

 

──バタン!!

 

 一瞬だったし、下着もちらりくらいしか見えてはいなかったが、そう言ったことに免疫の無い羽純は悲鳴を上げる。それと同時に力強くドアは閉まり、振り向くと羽純はいなかった。

 

「白、か…」

「ばかっ!!」

 

 心に思い浮かべただけのつもりが声に出ていたようで、隣の部屋から羽純に怒鳴られた。

 少しして、顔を真っ赤にした羽純と予選突破を喜びあい、朝食を食べて羽純は用があるとの事で別れ、俺はシュリさんに話を聞きにいく事にした。

 

 

────

 

 

「あ、ナクトさん。予選突破、おめでとうございます」

「ありがとうございます。トーナメントの発表って、いつされるんですか?」

「慌てない慌てない。それは厳正なる抽選をして、今夜の闘神ダイジェストで発表されますから」

「闘神ダイジェスト?」

 

 よくわからなかったが、闘神大会期間中は毎晩魔法ビジョンで闘神ダイジェストが放映されるとの事。

 

「そうですか。わかりました」

「でも、わざわざ来てくれたナクトさんにはおねーさんから良いものをプレゼントしちゃいますね」

 

 そう言ってシュリさんがくれたのは認証シールと、エリアカード。

 闘神都市内にある迷宮、『マビル迷宮』へ入る為のものらしい。都市内にある迷宮のためこうして管理されているんだそう。マビル迷宮はそれ自体が世界中の様々なダンジョンや場所に通じており、その移動は全て転送魔法陣で管理されている。転送魔法陣には認証シールを貼ったエリアカードが必要との事。更に認証シールをエリアカードに貼り付けるためには認証小屋で午前中のみ行っているため、早速これから向かう事にした。

 探索やレベルアップを考えても予選迷宮では完全に物足りなかったので嬉しいプレゼントだった。

 

「へぇー。これは本当に嬉しいです。ありがとうございます、シュリおねーさん」

「いえいえっ♪おねーさんは優しいですから♪じゃあ頑張ってくださいね、ナクトさん」

 

 おねーさんと呼んだので機嫌をよくしたのかはわからないが、綺麗な笑顔のシュリさんと別れてまずは認証小屋へと向かう。

 

 

────

 

 

「…あの、認証してもらいたいんだけど、ここで合ってる、よね?」

 

 迷宮前にある認証小屋へと来たのだが、ドアを開けるとそこはぬいぐるみやらが多く置かれた普通の部屋。コタツに入っていた白い帽子をかぶった大人しそうな子が挨拶をしてくれるが、思わず本当にここなのか聞いてみる。

 

「はい、合ってますよ。カードの認証ですね」

 

 ぴょこんとコタツから出る。

 物凄く大きな胸。爆乳と言って良いほどに大きい。

 肩、凝らないのかな?

 

「あの…初めて見る方ですけど、認証システムに関してはご存知ですか?」

「いや、知らないよ。ここに来るのは初めましてだから。認証シールを貼らないとエリアに行けないってのだけ聞いてる」

「そうですか、では簡単に説明させていただきますね」

「ありがとう、えっと…」

「私は御前 夏。夏ちゃんとお呼びください」

 

 真顔で夏ちゃん呼びを強要してくる。この子のキャラがいまいち掴めないなと思っていると、

 

「いや…ですか?」

 

 なぜか伏し目がちに聞いてくる。嫌ではないが…ちょっと変わった子なのかな?

 

「いや、全然嫌じゃないよ。ならそう呼ばせてもらうな。俺はナクト・ラグナード。よろしく、夏ちゃん」

「はい。よろしくです、ナクトさん」

 

 人懐っこい笑みを浮かべ、お辞儀をしてくれるが、思わず視線を向けてしまう程に大きく、お辞儀の瞬間にぷるんと揺れる胸。

 狙ってんのかと思うが、この顔は、流石に違うか。

 

「じゃあ、説明させていただきますね。ここではお一人様につき午前中に一回のみ認証ができます。一日の認証上限に限りがあるのでこのような決まりになっています」

「上限があるのか、それは午前中ギリギリとかだとできない日もあるって事?」

「ええと、そうですね。認証してくれる子たちに限界が来たら…」

「認証してくれる子たち?」

 

「せやで!ぼん!!」

「むひょひょひょ!!ワシらがおらんとこの迷宮には入らんからの〜」

 

 ここから先は、見るに耐えない光景だった…

 

………

 

「あ……ダメぇ…そこ、揉まないでぇ……」

「うひょひょひょ」

「嘘はあかんで、夏。これがええんやろー」

 

 小屋の中から卑猥な声が聞こえる。

 

 あまり思い出したくないが、ポガとネジと言う大会公認のセクハラ不思議謎生物のビームにより認証シール貼られ無事にマビル迷宮へと向かう。

 初めて入るエリアは指定されているらしいので『ファースト』というダンジョンへと入った。

 

 

────

 

 

「はぁ、全然物足りないな。これじゃあ明日のダンジョンに期待した方が早いか…」

 

 進みながら思うが、ここはファーストの名に相応しく、初めて冒険に出る冒険者の為のダンジョンなのであろう。ほとんど一本道だし魔物は雑魚ばかり。

 途中で通せんぼハニーやら、頭のおかしい卑猥変態記者に会ったが、それ以外は特に何ごともなく認証シールを手にしてすぐにダンジョンを出た。

 

 まだ夕方には早いので、小腹を満たそうと酒場へ寄ったのだが、

 

「はにゃりーん。いらっしゃい、ナクトさん」

「アリサちゃん。奥、何かあるの?」

 

 アリサちゃんが微妙な顔をして接客してくれたので、奥にできている人だかりの理由を聞いてみた。

 

「あ〜。えっと、大会出場者の人のご乱心。本戦出場者の人に何かしちゃうとウチの営業にも支障が出るから放置するしかないんだけど、迷惑だよねぇ……あ!ナクトさんもまだこの街にいるってことは出場決まったんだよね!おめめ〜!奥のことは、気にしなくて良いからね!ドリンクサービスしちゃうよぉ〜!」

 

 頭にハテナが浮かぶが、気にするなと言われると気にはなる。サービスしてもらったドリンクを飲み終えると、少し背伸びしてギャラリーの上から見ると、あられもない姿のマニと目があった。

 

「…あ、いやぁ…見ないでぇ……」

 

 女性の秘所を剥き出しにしてドギにいいようにされている。

 今のは俺に言ったのか?

 はだけて見える裸体には目も向けず、ジッとマニの目を見つめる。

 

「………っ!」

 

 フルフルと首を振り泣きながら俺の目を見つめ返す。

 手は出さないで、と言うことか。

 ドギも出場者のようだし、この場でアイツをやるのは、ルール上失格になるし、確かに俺には不可能だ。

 そのままマニに背を向けると、アリサの方へと顔を向ける。

 

「アリサちゃん、先に謝っとくわ。ごめん──」

「え?」

 

──ドゴンッ!!!

 

 剣を抜く事なく、鞘のまま机を粉砕する。

 文字通り、切ったわけではなく粉々にしてギャラリーの男たちを威圧した。

 

「……あぁ?」

「全員出ていけ。今からここは俺の貸切だ。こうなりたければ、残っててもいいぞ?」

「う、うわぁぁぁー!!!」

 

 ギャラリーたちは次々と店から出て行き、数人は腰を抜かしている。

 が、ドギだけは、ただでさえ歪んだ顔を更に歪ませて俺を睨んでいた。

 

「おぃガキィ……殺されてぇのか?」

「あ?お前には、そう見えてんのか?」

 

 ドギの馬鹿な質問にイラつき首を傾げる。

 もう、この店内に残っている者は俺とドギとマニ、アリサちゃんと伊集院さんしかいない。

 

「……ナクトさんの言う通りですー。貸切のお時間になったので、すみませんがお引き取りを」

「チッ…」

 

 ドギは汚い股間を納め、マニはいそいそと衣服を整えながら俺の顔をチラリと見ていた。

 

 俺も出場者であり、手を出せないという事くらいには流石に気付いているようで、乱暴にマニの腕を掴むと酒場を出て行った。

 マニは、捉え方によっては会釈にも見えるように、本当に小さく俺に向けて頭を下げていた。

 あんな事されてんのに……自分のことだけを気にかけてればいいのに……

 

「ナクトさーん。じゃあ、机のお支払いを…」

「あぁ、ごめんね。いくら?」

「なんてね♪今回はいいよー。迷惑だったし、ちょっとスッキリしたもん」

「でもね、ナクトくん。突っ走りすぎるのも…危ないよ」

 

 伊集院さんの言葉、なぜか胸に刺さるな…

 

「えぇ。肝に銘じます。お詫びじゃないんですけど、一回戦の試合のトトカルチョ、俺に賭けてくださいよ。絶対に、勝ちますから」

 

 一回戦の相手、なんとなく感じるものがある。

 いつか夢で見た斧使いの男とドギが被る。

 あんな奴に、負けるはずも無い。

 

 腰を抜かしている連中を起こし、二人に謝罪をしてから酒場を出た。

 

 

────

 

 

 宿に戻り、羽純と闘神ダイジェストを見る。

 

「ナクトー、はじまるよー」

「ん、今いく」

 

 二人で魔法ビジョンの前に座り番組を眺めていた。

 

 司会でありアイドルのクリちゃんと、解説であり人形のような見た目の切り裂きくんが中身の無い会話を繰り広げ、遂にトーナメント表が発表される。

 俺は自分の名前と、レメディアの名前を探していた。

 

「あ…この組み合わせだと…」

「うん。レメディアとは、決勝か」

「うんん、そうじゃなくて…ナクトの一回戦の相手…」

 

 ドギ・マギ。そして試合は、3日目の第二試合。

 

「あぁ、そうなんだ。見てなかったけどそれはラッキーだな」

「もぉ。レメディアも勝負に絶対はないって言ってたよ」

「それはもちろんだけど、それでもさ。負ける事はないよ。あんな奴に…」

 

 今日の『ハニワ浪漫』での事もあるし、やたらと突っ掛かってくる鬱陶しい奴。初日で潰せる相手がドギで良かったと、心から思った。

 

 あと3日。探索で強くなるように頑張るからと羽純を宥めて、今日は眠りについた。

 

 

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