ReⅢ闘神都市   作:eeeeeeeei

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本戦1日目

──────

 

【本戦1日目】

 

第一試合

 チャネラー伊藤vsぶるま大使

第二試合

 ナミール・ハムサンドvs銀河爆進ドルガーラ

第三試合

 ボーダー・ガロアvs黒ヒゲサミー

第四試合

 中華仙人vsレオパルド・マーラー

 

──

 

 

「ナークトっ!」

「ん、おはよ。早いな、もー着替えてるのか?」

 

 羽純は元気いっぱいで既に出かけられる格好になっていた。

 

「えへへ。今日は探索の前に少し一緒に行きたいところがあるの」

「昨日の用事ってやつ?いいよ。朝飯は…」

「作ってあるから、ご飯食べて、ナクトが用意したら行こっ!」

「ん。わかった…」

 

 朝からテンションの高い羽純。

 昨日から内緒って言って全然教えてくれなかったが、なんだろ?

 

「こっちだよ」

「はいはい」

 

 羽純に案内され街を歩く。

 手を引かれ、普段行かない通りへと入ると、鍛冶屋や革細工の工房など工房が多く立ち並ぶ通りだった。

 

「着いたよー。こっち、入って!」

「ん?ここって…」

 

 案内された小ぶりな建物の中は、羽純の実家でよく見た付与師の工房だった。

 

「えへへー。ここ、レンタル工房なの。大会期間中借りちゃった」

「え?」

「だからね、ナクトが付与を必要とした時はいつでもいつでも手伝えるよ。あ、付与素材は必要だけど…」

 

 話を聞くと、道具屋の店主の子からよくしてもらっているようで、道具屋からの付与依頼で家賃はなんとかなるとの事。

 付与に関してだが、付与師にしか視ることのできない『付与魔法をかけることのできる余地』、すなわち『付与スロット』に付与素材を付与していく事。付与素材とは、付与魔法で元アイテムに付与することによってその性能を上げる事のできるアイテム。例えば、鋭利化などの力を持つ素材で有れば剣の切れ味をあげたりなどの効果がある。付与スロットのある元アイテム自体が珍しく、元アイテムにある付与スロットは生まれつき持っている物なので、決して増減する事はない。更に付与素材を付与スロットに付与すると二度と外す事はできない。そのため、付与は慎重に行う必要があった。

 なかでもレメディアからもらったこの剣にある付与スロットは信じられないくらいのスロットが付いているとの事だったが、村にいた時は碌な付与素材は手に入らなかったので未だに何も付与してはいなかった。

 

「こんなに付与スロットのある武器は見た事ないもん。レメディアは本当にすごい剣をくれたと思う…」

「うん…レメディアから受け取った剣を、羽純が強くしてくれるんだもんな。大事に、しないとな」

「えっ、あ、ありがと…」

 

 少し照れたような羽純だったが、純粋にそう思っていた。

 俺が弱かったから…

 ん?今なんで、そんなこと思ったんだろ?

 この街に来てから、夢と現実がごっちゃになってきた……

 

「あぁ。しょーもない素材を付与しても仕方ないからな。スゲー付与素材見つけてくる。あ、そーいえばなんか光る貝殻見つけたんだけど、これはなんか効果あったりするのかな?」

 

 そう言って、きゃんきゃんをいじめていた突然変異っぽい魔物を倒した時に出た素材を見せると、羽純は息を呑んだ。

 

「…あ、えっと……これは、ごめんなさい…」

「ん?ひとまず、付与素材じゃないんだ?」

「……うん。これは、サクラ貝っていう貝だよ。普通は装飾品とかに使われてたりする、珍しい貝なんだけど…」

 

 怯えてる?

 羽純の様子がおかしいのでサッと仕舞う。

 羽純とは物心着く前からの付き合いだが、貝が苦手なんてあったっけか。

 

「ごめん、貝、苦手だったっけ?」

「うんん!違うの!そうじゃ…そうじゃないの…」

 

 顔を伏せる羽純。

 折角楽しげだったのに、申し訳ないことしたな。

 

「ふわっ…ナクト…?」

「理由はわかんないけど、ごめん」

「ナクトのせいじゃないの……私が…」

「それでもだ。──そろそろ探索行ってくるな。良い素材ゲットして帰ってくるから、元気だせよ」

 

 羽純の頭を撫でながらも、そろそろいい時間なので認証小屋へと足を運ぶ事にした。

 

「うん。気をつけて…ね」

「おー。ありがとな」

 

 

────

 

 

 夏ちゃんに昨日よりも強い魔物のいるダンジョンに設定してもらい、ダンジョンへと入る。

 

 狭い道が続くこのダンジョンの中にあった墓地で、手を合わせる女性が、墓から目を離し俺を見つめてくる。

 

「こんにちは」

「こんにちは。あの、なんか付いてます?」

「いえ、そういうわけではないのですが…」

 

 ピンク色の髪をした美しい女性。顔を凝視されたので何か付いてるのかと思えばそうでは無かったようだ。

 

「あの…私を、150ゴールドで、抱いてくれませんか?」

「……理由を聞いても?」

 

 突然の申出。

 出会ったばかりで、しかも墓場で売春を持ちかけられるとは思っていなかったので聞いてみた。

 

「それは…生活のためです。それとも、こんな未亡人を抱くのは、嫌ですか…?」

「まさか。あなたのように綺麗な方に誘われて、断る男はいないでしょう。でも、誰にでもこんな事を?」

 

 魅力的な女性に安価で誘われて断るほど不健康な男子ではない。

 が、誰にでもホイホイ行くような女の人には、あまり惹かれない。

 余程溜まっていたら話は別だが。

 

「いえ…あなたが、亡くなった主人の若い頃に、似ていましたので……」

「そう、ですか。生活のため…」

 

 そのまま千代さんという女性と、この時間帯は人がいないと言うことでダンジョン内の小さな小屋へと入った。

 

 

────

 

 

「……はぁはぁ…」

「…ちょっと頑張りすぎたみたいですね。すみません」

 

 溜まっていたせいか、やりすぎた。少し反省。

 そもそもそんなに経験はないのだが、なぜか体が覚えているような。

 どこをどうすれば女性が気持ちよくなるのかを、なぜか熟知している俺は、千代さんに「あの人より、いい!」と言わせ、最終的に失禁までさせてしまった。

 

「いえ……お恥ずかしいところを……」

「恥ずかしいなんて、俺は嬉しいですよ」

 

 間違いなく失禁のことを言っているのだろうが、綺麗な女性の場合限定だが汚いと思う感情は持っていない。流石にスカは守備範囲の外だが。

 定時された金額は150ゴールドだが、その程度のお金であれば魔物を多く狩れば手に入る。俺はその何倍もの2000ゴールドを千代へと手渡した。

 

「そんな…私ばかり気持ちよくなって…何もできておりませんのに…」

「俺も気持ちよかったですよ。他の男に抱かれて欲しくないくらい千代さんは良い女ですし。お金はモンスターを狩れば良いだけなんで、気にはしないでください」

「……あ、ありがとうございます。あの、またしたくなったら…何時でも言ってください。私はここにいますから…」

「また、顔見にきますね。あ、千代さん、これもお渡しします。何か装飾に使える珍しい物とかで、俺は知らないんですけどもしかしたら、生活費の足しにはなるかも」

 

 毎日お墓参りに通っているために、稼ぎはなく生活費が底をつきたのだろう。

 滅茶苦茶に抱いた後に言うのもなんだが、親父が帰って来ると言ったはずなのに、帰りが遅すぎると気付いた時の母さんに、一瞬重ねて見てしまった。毎日、村の出入口で悲しげな顔で帰りを待ち続ける母を見て、俺は親父を探し出し、見つけたらまずはぶん殴ると決めていた。

 

 だから、千代さんに羽純が拒絶を示したサクラ貝も手渡した。

 

「サクラ貝…こんな高価なものまで、頂けません」

「いや、俺の幼馴染みがなぜかこれを見ると怯えちゃうんです。持ってても仕方ないので、もらってください。それじゃあ」

 

 無理やり手渡してその場を後にする。

 

「ナクトさん、ありがとうございます。お気をつけて…」

 

 千代さんの言葉に振り向いて手を振り、認証シールを求めて最奥へと進む。

 

 すると途中でまたも女性に出会い、声をかけられた。

 

「あの……」

「ん?」

「お願いがあるのですが…」

「お願い、ですか?内容によりますけど……どうしたんですか?」

 

 なんだか女性に絡まれるダンジョンだな。

 さっきは嬉しい絡まれ方だったけど、残念ながらこちらの女性は、見た目的に性的な展開には発展することは無いだろう。

 

「すみません、冒険者の方の足を止めてしまい大変申し訳ないのですが…」

 

 そこにいたのは、シスターだった。その修道着を着た金髪の女性はシスターに相応しく、清楚で可憐。立ち振る舞いも柔らかく、神聖さを感じた。

 話を聞くと、このダンジョン内には教会があるらしく、シスターはその教会に行きたいらしいのだが、道中を魔物に阻まれているとの事。この辺りの魔物よりも強く危険な魔物だというので俺は二つ返事でOKした。

 行為に及んだ後は、いつもより気持ちが昂ぶる。

 どこで聞いたかも覚えてないが、この世界には『淫力(いんりょく)』という力が存在しているらしい。そのせいだとは思うが、なぜ俺にそんな力が働くのかは謎だ。

 

「ありがとうございます。私はポロロム・グライコ。あの…」

「あぁ。俺はナクト・ラグナードです。よろしくポロロムさん」

「はい、あらためて宜しくお願いします。ナクトさん」

 

 エメラルドのような碧色の神秘的な目に吸い込まれそうになる。

 シュリさんや夏ちゃん、アリサちゃんを思い出し、この街は美人しかいないのかと心の中で思うが、羽純に会う前に唯一パートナーを引き受けてくれた強靭な肉体を持つフランケンのような女を思い出し、記憶から消すべく頭を振った。

 

「どうかされましたか?」

「あ、いや、何でもないんです。すみません、急ぎましょっか」

 

 ポロロムさんの柔らかな雰囲気に癒されつつも、教会へと向かう。

 

「……あの、魔物です」

「確かに、強そう…というか、デカいっすね」

 

 一つ目の巨大な魔物、サイクロプスが谷の間に陣取っていた。

 なぜこんなところにこんな奴がいるのか。

 その辺の魔物とはレベルが段違いだぞ。

 

「オイ、ここを通るなら新鮮なシスターを置いていけ」

「は?」

「いいから、新鮮な若いシスターを、連れて来い!!男はお呼びじゃねぇぇぇ!!!」

 

 新鮮なシスターってなんだよ。

 美人も多いが、人も魔物も頭のオカシイやつも多い街だった事を思い出す。

 

「まぁ、やるか。いくぞっ!」

 

 剣を抜き放ち構えると、即座にサイクロプスへと斬りかかる。

 5mはある巨体。一振りで倒すのは難しそうだと判断し、まずは足の先を斬りつける。

 

「ふっ!!」

 

 サイクロプスは斬撃を気にもとめず棍棒の一振りで大地を大きく抉る。棍棒は躱すも飛び散る瓦礫が襲いかかる。が、かまわない。淫力に満たされている今、痛みなど大して感じない。むしろアドレナリンを分泌する、ただの刺激でしかない。

 

「オラァ!!」

 

 何度も体中を石の塊などに襲われ痛みが走るが、その分俺の剣速は上がっていく。棍棒を握る手の指を二本斬り飛ばし、もう一回転して親指も飛ばす。

 

「ぐぁぁ!?」

 

 巨体とやりあうなら、末端から刻んでいくのが得策。

 その後も、残っている指から始まり腕を、足を、そして動きが鈍くなり、地面に倒れ込んだところで、首を刎ねた。

 その巨体はゴールドとアイテムに変わり地面に散らばる。見た事もないアイテムだったので拾い、帰ったら羽純に聞いてみようと思う。

 それに、だいぶスッキリした。

 

「ポロロムさん、これで通れますよ」

「………」

 

 確かに俺を見ているのだが、返事がない。

 どうかしたのかと思い再度声をかけると、ようやく反応してくれたようだ。

 

「あ、あぁ、ありがとうございます、ナクトさん。これで教会で勤めることができます……」

「いえ、俺も良い経験になったので。それじゃあ…」

「あ、待ってください。お礼に、と言っても私にはこんなものしかないんですけど…」

 

 貰ったものは、十字架?

 

「ありがとうございます。でも、これは?」

「いえ、私がまだ修道院に入りたての頃に使っていたものなのですが…」

「そんな大事なもの、貰って良いんですか?」

「えぇ。ナクトさんに、神の御加護がありますように…」

 

 そうしてポロロムさんと別れ、『教会と貯水池』と書かれた認証シールを取るとダンジョンを後にした。

 

 

────

 

 

「あ、おかえりナクト。今日は探索終わったの?」

「うん。あ、いくつかアイテム手に入れたんだけど、これって良い付与素材かな?」

「えっと……うん!すごく良いものだよ。市場では取り引きされてないようなものだし───」

 

 サイクロプスから手に入れたものは『重撃』の効果があり、ポロロムさんから貰った十字架は『呪い耐性』の効果があるらしい。

 付与素材として使用した場合、付与素材の持つ効果だけを元アイテムへと付与し、素材となったアイテムは消えてしまうが特段大事なものでもないのでサイクロプスの方は付与してもらう事にし、十字架の方は一応ポロロムさんに確認しようと思った。

 

「うん。じゃあ、これを付与するね」

「おー。羽純の付与するところ見るの、久しぶりだな」

「こほんっ。それじゃあ、始めるね」

 

──ピコーン!

 

 羽純が素材と剣を重ね合わせハンマーで叩くと、素材と剣、二つのアイテムから光があふれて、素材は消えた。

 

「はい、出来たよ」

「おぉ。ありがとな、羽純。失敗する事もあるって聞くけど、羽純は百発百中だもんな」

「もぉ。熟練の付与師なら、失敗はそんなにしないんだよ」

 

 ずっと付与していなかったこの剣に初めて付与を施し、それを羽純にしてもらった。

 剣を掲げると、確かに今までとは違う力を感じる。

 

「ありがとな。これでもっと強くなれる。羽純のおかげだ」

「え、う、うん。ありがと…」

「ごめんな最後に仕事させて、宿に戻ろっか」

「うんん、ナクト、強くならなきゃだもんね。そうだね。じゃあちょっと片付けてくる」

 

 しばらく待っていると、羽純の片付けは終わったようで二人で工房を後にした。

 

 

────

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 街を歩いていると、前をよろめきながらフラフラと歩く女性がいる。

 

「ん?あれは……」

「ナクト、知り合い?でも、大丈夫かな…具合が悪そうだけど…」

「いや、ドギのパートナーだよ。何度か会った程度だけど──」

 

──ぱたん…

 

 そのままフラフラと地面へと倒れた。

 息を荒げて目を閉じている。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「…羽純、大丈夫みたいだから落ち着いて。脈も速いし息も荒いけど…一旦、部屋で休ませよう」

 

 命に、というよりも心身的な疲労だとは思うが、手足に付いた縛られたような跡が気になる。ただ、ドギの宿など知るはずもないので、ひとまずカテナイ亭の俺のベッドに寝かせると羽純が介抱してくれ、だんだんと脈も呼吸も落ち着いてきた。

 

「羽純、俺簡単な晩飯買ってくるよ。扉には鍵をかけて、カーテンも閉めておいて。すぐ帰ってくるから」

「うん…わかった」

 

 ドギがマニを探してこの宿まで来ると厄介なので用心するように伝えて俺は買い出しに行くが、どうやら杞憂だったようだ。足早に帰るとマニさんは既に気が付いていた。

 

「おかえり、ナクト」

「あ…ナクトさん、ありがとうございました…」

「ただいま。気が付いたようで良かった。大丈夫?」

「はい…もう、大丈夫です…」

 

 そうして買ってきた簡単な食事を摘みつつも、羽純と事の経緯を聞くと、マニは泣き出してしまった。

 羽純が諭すように、ゆっくりとマニの縛りつけられた心を解いていくと、その理由を話してくれた。

 

 マニは元々貴族の娘だったのだが、ある時、母へのプレゼントを買いに一人で街に出たところ、ドギの一味に拐われた。そうしてマニは、それ以降ドギに……

 

「そんな、ひどい…」

「ドギは俺が倒すから、マニさんは、解放されるよ」

「え…?」

「無償労働にはなっちゃうけど、それは闘神区画に守られるのと同意だから、ドギじゃ手を出せない」

「あ、そうか!でも、免除金があれば……」

「…それは、大丈夫です。お金はあると使ってしまうので、3万ゴールドなんて大金は、ドギは持ってません…」

「ナクト、絶対勝たないと、だね」

「おぉ。羽純とマニさん、二人がかかってんだもんな。心配しなくても、決勝に行くまで俺は負けないから」

「ナクトさん…羽純さんも、ありがとうございます…」

 

 ニコリと笑うマニに、少し心がざわついた。

 こんなに綺麗に、自然に笑えるんだ。というか、これが本来のマニさんなんだろう。

 

 その後は歳が近い事もあり、昔からの友達のように三人で会話を楽しんでいると、

 

「もう、こんな時間…あまり遅くなるとドギが怒るので、私、帰りますね」

「…マニさん、またお話ししようね」

「試合まであと2日、もう少しだけ、待ってて」

 

 そうしてマニはまたもニッコリ微笑むと、カテナイ亭を後にした。

 

 そろそろ闘神ダイジェストの時間だったので、二人で見る。

 気になる内容は特に無かったが、試合内容がめちゃくちゃなものもあるので、何が起きても対処できるようにならなければと気を引き締める。

 

「それじゃあ、おやすみ。羽純」

「うん、おやすみ」

 

 




【試合結果】
×チャネラー伊藤vsぶるま大使○
○ナミール・ハムサンドvs銀河爆進ドルガーラ×
○ボーダー・ガロアvs黒ヒゲサミー×
×中華仙人vsレオパルド・マーラー○

現在のナクトステータス
Lv.31
活力:930
攻撃:248
防御:93

・スキル
①身体操作術
②威圧
③逃走術
④剣術 Lv.4
⑤テクニシャン ※クリティカル・回避・命中率上昇。+α効果あり。
 
・付与剣性能
重撃…全ての斬撃が重くなり、硬いメタルな敵にもダメージを与えられる。剣の重さは変わらない
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