ReⅢ闘神都市   作:eeeeeeeei

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本戦3日目

──────

 

【本戦3日目】 一回戦試合当日

 

第一試合

 戦士カキタロスvsマダラガ・クリケット

第二試合

 ナクト・ラグナードvsドギ・マギ

第三試合

 ラフレシア頭巾vs総統K

 

──

 

 

「んん…」

「おはよ。羽純」

「んーおはよぉ、ナクト」

 

 まだ少しだけ寝ぼけているのか、隣で眠っていた羽純はふにゃりと笑う。

 

「よく眠れたようで何より。今日は第二試合だし、ご飯食べてゆっくりしたらコロシアム行くか」

「……あ、うん」

 

 だんだんと意識が覚醒したのか顔を赤くする羽純。

 今の時刻は昼前で、いつも早起きの羽純らしくはなかったが試合前の緊張はないみたいで安心した。

 

 昨日とった認証シールを貼り新たなダンジョンに行けるようにしておきたいところだが、本戦出場者の試合日は認証できないルールだそうで、今日は万全のまま試合に臨むことにしていた。

 

「わ、わたし着替えてくるね」

 

 ベッドから出て自分の部屋に戻る羽純を見送ると俺も用意を始める。

 

 

────

 

 

 普段の私だったらきっと不安に押し潰されそうになってるはずなのに……なんでこんなに安心してるんだろう。

 

 昨日、ナクトの背中は私が知る昔のナクトとは比べものにならない程に、広く、大きかった。鍛え上げられた身体も、火傷の治療で見た、上半身にある夥しい程の古い傷痕も、私の知らないナクトが知れたから、今は不安よりも、嬉しい気持ちの方が強いのだろうか。

 

 おじさんの為に、頑張ってきたんだよね。

 よしっ!ナクトがあんなに落ち着いてるんだもん。私が慌ててちゃダメだよね。

 

「ナクト、朝ご飯何食べたい?」

 

 ナクトの好きなもの、精一杯おいしく作ってあげよう。

 

 

────

 

 

「おいしい?」

「ん、美味いよ」

「良かったー。また作ってあげるから」

「そーだな」

 

 羽純と朝とも昼ともつかないご飯を食べて、軽くストレッチをしていると、

 

「ナクト、そろそろ時間…」

「ん、行くか」

 

 羽純に言われ時計を見ると確かにもういい時間。

 

「あらー今日だっけ?試合」

「そーですよ」

 

 宿屋の前を掃き掃除しているマルデ夫妻に声をかけられた。

 

「応援してるぽん」

「ナクトくんに賭けてるんだから、勝ってよね。負けたら賭け金宿代に足しておくから」

「いや、それ関係なくないですか…?」

「いいのいいの。気にしないで。1ゴールド賭けただけだから。ナクトくんが勝てば15ゴールドで返ってくるのよ」

「1ゴールドて、やっす。まぁ、賭けてくれただけありがとうございます。あと、時間なんでそろそろ行きます」

「行ってきます」

「はーい。いってらっしゃい」

 

 二人で宿を出て、マルデさんとトコトンさんに激励なのかなんなのかを受けてコロシアムへと向かう。

 守銭奴のマルデさんが賭けてくれただけ良しと思おう。勝つし、1ゴールドだって返してやらない。

 

 倍率が15倍もある事に内心でイラついているのは、たぶん羽純には気付かれてないはず。

 

 

────

 

 

「ナクトさん、お待ちしておりましたー。いよいよですね。それでは控室までご案内しますね」

 

 シュリさんに案内されて控室へと向かう。控室は俺と羽純は同じ部屋のようだ。

 

「んん?あまり緊張されてないようですね」

「まぁ、ここまできたらあとはやるだけなんで」

「いい覚悟ですね。じゃあ決まりなので説明だけさせてもらいますね。ナクトさんが負けた場合、羽純さんは別室に移動頂き、勝者の方に試合終了から二十四時間の間自由にされます。自害の強要や殺害以外の事に拒否権はありませんので」

「……はい」

「ナクトさんが勝った場合は、特に何もありませんのでお戻り頂いて結構です。ナクトさんは逆に敗者パートナーの控室にそのまま向かって頂きますので。あと、免除金はお持ちですか?」

「有りますよ。ここに」

「そうですか。では、試合開始まで暫くお待ち下さい」

「わかりました」

 

──パタン

 

 説明を終えたシュリさんは駆け足で部屋を後にした。

 ドギの方への説明にでも行ったのだろうか。

 シュリさんの説明を受けて、羽純の緊張が増したのがわかる。

 

「羽純」

「わ、な、なに?ナクト」

「背中、思いっきり叩いてくれない?」

「え?」

 

 俺からの突然のお願いに困惑する羽純。

 

「羽純に、気合入れてもらいたくてさ。二人で闘ってるみたいだろ?」

「……ナクト…」

 

──ガチャ

 

「ナクトさーん、お時間でーす」

「わかりました。──羽純」

 

──バチンッ!!

 

「ナクト、いってらっしゃい!」

「おぉ。勝ってくる」

 

 背中を叩かれ、笑顔で羽純に言えたと思う。

 気合も入った。程よい緊張と熱さがある。

 俺はベストコンディションで試合場へと向かった。

 

 

────

 

 

 ゆっくりとコロシアムの中央へと歩く。

 多くの観客の熱気と、割れんばかりの歓声。

 感じる風すらも熱さを感じる。

 本当に、何人いるんだろうと思う程に観客席は果てしなく広かった。

 

 そして、正面にドギが見えた。

 

「ぐへへへ。お前のパートナーは、観客の前で公開レイプしてやるぜ。それにしても、逃げれば少なくともお前は殺されなかったってのに、馬鹿なやつだな」

「………ん?なんか言った?」

「ぐぐっ!こんの…」

 

 本当に聞いてなかったのだが、どうやら意図せず怒らせたみたいだ。別に殺さなくても良いが、少なくともアイツに取っては命の奪い合いのつもりなのに、会話なんかしたいのか?

 まだ何か言おうとしていたが、アナウンスにかき消されて更に怒りでプルプルしていた。

 

「これより、大会3日目、第二試合を行います。龍のコーナーより登場は、若き剣士、ナクト・ラグナード!!」

 

 シュリさん、アナウンスもやっているのか。多才な人だなーと場違いに思っているが、とにかく歓声が凄く五月蝿い。

 

「そして、鬼のコーナーより登場するのは、巨大な斧使い、戦士ドギ・マギ!!」

 

──うぉぉぉぉん!!!

 

 両者の紹介も終えて歓声もピークになるが、アナウンスの声と共にそれはピタリと止んだ。

 

 

「それでは、試合開始でーす!」

「オオォォラァ!!」

 

 余りの怒り故か、開始の合図と同時にデカイ斧を振り被っての振り下ろし。

 前髪に触れさせて、ワザとギリギリで躱す。

 動きから、攻撃の軌道が手に取るようにわかる。

 良い感じだ。だいぶ落ち着けてるな。

 

「ウラァァァ!!」

 

 次は横薙ぎ。無駄にデカイ体から放たれる斧のリーチはなかなかの範囲だが、いかんせんスピードが足りない。

 そちらも楽々と躱し、右手で抜き放った剣を背に構え、左手を背に回し剣の先端を掴む。剣が震えるほどにその威力を高めるも、それを自身の左手で押さえ込み、弓矢を引くかのようにその力を溜める。

 

「クッソ、がぁァァ!!」

 

 ドギの振り下ろしに合わせて、左手を剣先から離し、右手の力を解放する。自分の体を弓として、剣を矢とする。その速さは純粋な振り下ろしとは比較にならない。

「なに!?…ぐぁぁぁ!!」

 

 後出しで放った剣はいともたやすくドギの斧を裂き、それでも剣の勢いは止まらない。

 そのままドギの右肘を斬り落とす。

 シュリさんがマイクに手を伸ばしたのがわかったが、試合終了のアナウンスよりも早く、やるべき事がある。

 振り下ろした右腕を右膝を前に出し押し上げ、左手も使い無理やり上方向へと軌道を変え、地面スレスレから鋭角に斬り上げる。

 振り下ろしから振り上げへと変化した斬撃は、道中にあったドギの左膝の半ばまでと左手の腱を断ち切った。

 

「ぐぐ…ぁぁ……」

 

 右手は肘から下を失い、左手は腱を切断されたために碌な握力もなく、斧の持ち手部分の重みにすら耐えられずその棒切れを力無く手放したドギ。そのまま唯一無事な右足の膝をつき、もう立ち上がることは無かった。

 

「ただいまの試合の勝者は…ナクト・ラグナード!!」

 

──わぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 割れんばかりの歓声が、コロシアムを包み込んだ。

 

 

────

 

 

「ナクトさん、一回戦勝利、おめでとうございます♪」

「ありがとうございます。──あの、羽純は?」

「羽純さんは既にお帰り頂きましたよ。こちら一回戦突破の商品です」

 

 そう言って俺にアイテムを突き出すシュリさん。

 流石、超有名大会の報酬。一回戦とは言え、わりと高価な物をもらう。

 

「じゃあ、こちらの部屋でマニさんがお待ちですよー。これから二十四時間はナクトさんの自由となりますので」

「あぁ、そうでしたね」

「もーわかってたくせにー。じゃ、どーんと!」

 

 どーん、と押されて勝者控室へと入る。

 

 そこは、高級なホテルの寝室のような、大きなベッドにソファーセットがある部屋だった。

 そして、その部屋の中央に、マニさんはいた。

 

「…ナクトさん、おめでとうございます」

「ありがと。マニさん」

「それと、ありがとうございます。私を、解放してくれて…」

「結果的に、だけどね。あ、あとコレ」

「なんですか……って、え?」

 

 マニは渡した袋を見て驚きの声をあげる。

 

「こ、こんなお金…私…」

「大丈夫。ひたすらダンジョンに篭ってた時期があってさ、羽純の免除金分はまだあるし、マニさんも自由になるべきだと思う」

「で、でも、私が自由になればドギが…」

「それも大丈夫。二度と闘えないようにしたから」

 

 そう。武器を振るう右腕を切断し、左手は物を握れなくした。更に片足は、もう思うようには動かないだろう。

 これで、アイツが武器を振るうことは二度とない。

 

「あ……」

「ちょっと残酷かもしれないけど…勝負だし、ね」

「いえ、違うんです。そうじゃなくて……ナクトさんは、なんで私にこんなに優しくしてくれるんですか?」

「どーして、だろ。理由は、わかんないかな」

 

 嘘だ。本当はわかっている。

 あの夢の子と同じ、報われないマニを助けてあげたいと思ったから。それに、なぜかその子とマニさんは見た目も境遇も似ていた。

 

「じゃあ、俺は帰るね」

 

──ギュ…

 

 服の裾を掴まれ、立ち止まる。

 今この部屋でそれができるのは、マニさんしかいない。

 

「あの…なんで、帰ってしまうんですか…?」

「ん?なんでって、これでマニさんは自由だ。誰にも縛られず、好きなところに行って、好きな事ができる。それは少しでも早い方がいいだろ?」」

「…あなたが、自由にしてくれたんです。私は…ナクトさんに抱かれたい。今まで無理矢理されていたけど、私の意思で、ナクトさんに…」

「……」

「こんな汚れた女、嫌…で──」

 

 唇に人差し指を当てて、言葉を止める。

 

「嫌なわけない。マニが望むなら、俺は…」

 

 マニのせいにする卑怯者。

 だが、健全な肉体は正直だ。快楽を欲している。欲望に忠実でいる。

 

 そっと、俺から唇を重ねた。

 

「…ん…ちゅ……」

 

 スッと唇を離すと、装備を外して机に置く。

 自分ら上裸になり、マニの衣服を脱がす。

 

「汚れてなんかない。だって、マニはこんなに綺麗なんだから」

「ナクトさん…」

 

 マニを抱きしめて、意図せず言葉が口から溢れ出た。

 何故かわからないけど、確実に俺はマニに特別な感情を抱いてる。マニと、行為に及ぶのがまるで初めてじゃない気がする。夢とかではなく、まるで過去に経験したことのあるような……

 頭では小難しい事を考えていても、体は性を求めていた。ベッドへ誘うと優しくキスをする。それは唇から首へ、首から胸へと徐々に下っていく。

 

「…あ…ふぅ……んん…」

「嫌じゃない?」

「あ、い、嫌じゃ無いです…嬉しい、嬉しいです。こんな気持ち、初めてで……それに、凄く気持ちいい…!」

 

 その後も何度も体を重ね合わせ、お互いが満足するまで行為は続いた。

 

 

────

 

 

「マニ、大丈夫か?」

「はい。私…幸せです」

「ありがとう。この先もマニが幸せでいれるよう、俺も祈ってるよ」

 

 少し腰が引けているようだが、間違いなく俺のせいだろう。

 

「あの、二十四時間まで時間はありますけど……あ、羽純さんが、待ってますもんね」

「うん。だから、戻るよ」

「あ…また、わがままなんですけど…私も、ご一緒していいですか?」

「ん?良いよ。まだ夕方だしな。三人で夕飯食べよっか」

「……はい」

 

 軽くシャワーを浴びて、二人で勝者控え室を出た。

 

────

 

 

 試合はすぐに終わった。

 

 ナクトが部屋を出て行ってから、ものの5分で勝利を伝えられて帰宅する。試合が13:00からだった事もあり、それからずっとカテナイ亭でナクトを待っていた。

 今の時刻は17:00前。夕食の買い物に行こうかなと思うが、シュリさんに言われた言葉が頭から離れない。

 

『勝者の特権がありますので、ナクトさんも本日は帰らないかもしれないですねー。先に帰っちゃってたほうが良いですよー?』

 

 ナクト、帰ってこないのかな?

 帰ってこなかったら、ナクトは、マニさんと……

 

「羽純、ただいま」

「あ、ナクト!おかえりなさい!」

 

 良かった…ナクト、帰ってきてくれた。

 でも、なんだかもう一つ、人影が…

 

「羽純さん、お邪魔します…」

「あ…マニさん…」

 

 マニさんも、一緒だったんだ。

 嬉しいはずなのに。ひどい事をされていて、三人で仲良くお喋りして、助けようねって、ナクトと話してたのに。今、ナクトと共に帰ってきたマニさんに感じてしまうこの感情は、なんだろう…

 

「夕飯一緒に食べようってなってさ。酒場でも行こうか?」

「ナクトさんは試合の後でお疲れでしょうから、お風呂に入ってきた方がいいですよ。羽純さんのお料理、とても美味しいとナクトさんから聞いたので…その、お疲れじゃなければ…」

「あ、良いですよ。ちょうど買い物に行こうと思っていたところで…じゃあ、ナクトはお風呂で、私は買い物に行ってくるね。マニさんは、ゆっくりしていてください」

「私も、羽純さんと一緒に行きますよ。そう言った事も、もう随分と久しぶりですから、なんだか嬉しくて」

 

 ニコリと笑うマニさん。

 可愛いし、綺麗。胸も私より大きくて、ずっと魅力的な女性だ。

 ナクトも、マニさんみたいな女性が好きなのだろうか。

 でも、今からお風呂ってことは、その……してないのかな?

 

「羽純さん、行きましょう」

「あ、はい。じゃあナクト、行ってくるね」

「え?お、おー」

 

 

────

 

 

 ナクトを置いて、二人で街を歩いていると、

 

「ナクトさん、かっこいいですよね」

「え?ナクトが…ですか?うーん、かっこいい、かな?私は、小さい頃から見てるから…」

 

 それこそ、ヤンチャな男の子のイメージがまだまだ強い。優しくは、あるけど。

 

「かっこいいですよ。それに、優しい……羽純さんが、羨ましいです」

「羨ましい、ですか?」

「はい、私、ナクトさんの事が好きです」

 

 ズキンと、胸に何か鋭利なものが刺さったような…なんだろう。呼吸がしづらい。マニさんはナクトが好き。ナクトは、マニさんが好き?

 

「でも、ナクトさんは私ではなく、別の人が好きみたいだから」

 

 そう言って、微笑んでいるが、どこか悲しそうなマニさん。

 なぜかその言葉に安心したのか、胸のつっかえは取れ、呼吸も楽になったけど…別の人って、誰だろう?やっぱり、レメディアかな?

 

「ふふふ。だから、羽純さんが羨ましいです」

「……え…えぇ!?」

 

 それって、ナクトが、私を?

 嘘…だってナクトは、家族で…

 頭の中をいろんな物が駆け巡り軽くパニックになるが、

 

「羽純さん、落ち着いて」

「は、はい!」

「二人が恋人と言った関係でないことは聞きました。でも、ナクトさんは私じゃダメみたいです。本当は、他に好きな人がいるとも聞いてはいませんけど、ただ、私はナクトさんの相手は羽純さんだったら良いなって」

 

 少し落ち着き、マニさんとの会話を整理する。

 つまり、ナクトはマニさんの事は、恋愛的な意味では好きじゃなくて、でも別の人が好きなのかはわからなくて、マニさんはそれが私だといいなと思ってるってこと。

 

「ごめんなさい。混乱させる気は無かったんです。ただ、私を救ってくれたナクトさんと羽純さんには、幸せになって欲しくて」

「マニさん…」

 

 その後は二人で買物をしながらお喋りをして、すっかりマニさんとは仲良くなれた。

 そうしてカテナイ亭に帰ると、椅子に座ってうたた寝をしているナクトの寝顔を見て、マニさんと二人で顔を見合わせて笑った。

 

 




【試合結果】
×戦士カキタロスvsマダラガ・クリケット○
○ナクト・ラグナードvsドギ・マギ×
○ラフレシア頭巾vs総統K×

現在のナクトステータス
Lv.33
活力:990
攻撃:264
防御:99
 
・スキル
①身体操作術
②威圧
③逃走術
④剣術Lv.4
⑤テクニシャン
 
・付与剣性能
重撃…全ての斬撃が重くなり、硬いメタルな敵にもダメージを与えられる。剣の重さは変わらない
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