ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。   作:ゆかなおっぱい

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プロローグ?というより短編のガンダムのSSみたいですね。


プロローグ

自分の周りに闇。そこにはおびただしい数の光線が飛び交い、花火が咲いては消え、咲いては消えていた。

 

「もう持たない!!助けてくれ!!誰か!誰かーー!!」

 

無線から聞こえてくる仲間達の悲鳴と罵声。そのどれにも良い感情は入っていない。あるのはただ恐怖と、憎悪だけだった。

 

「弾をくれ!!誰か!早く弾をーー」

 

また一つ、回線が切れたようだ。無線が切れる、それ即ちその機体…MSが破壊され、乗っている搭乗員の死を意味する。

 

UC.0089アクシズ、後の第一次ネオジオン抗争と呼ばれる戦争の末期。グレミートトの反乱により我々ネオジオンは数を減らしている最中だ。なぜ同士討ちをしなければならないのか。それはこの戦闘に参加している俺にも言えたことだ。

 

一年戦争初期からブリティッシュ作戦、ルウム戦役、ジャブロー攻略戦、ア・バオア・クー攻防戦にも参加してきた。所謂古参兵というやつだ。17歳で戦争に巻き込まれ、結局自分だけが生き残ってしまった。生き別れた父とは敵同士として戦場で再会し。そして殺してしまった。

兵学校時代からの友人達は皆んな先立ってしまった。

さらに先ほどからハマーン様の気配は消えている。お情け程度でしかない俺のニュータイプ能力が、この戦場に渦巻く怨念と終戦を感じさせる。

そんな俺の脳が一つの思念を感じ取った。その思念はまだ幼く、怖さを感じさせない。ただ、そこはかとなく寂しさを思わせるものだった。

 

「これは…?」

 

その思念を追いかけるように、いや、それに引き寄せられるように俺は愛機のゲルググJ改を動かす。

一年戦争末期からチューンアップを施しながら10年間使い続けてきた歴戦の友も、幾度となく繰り返してきた戦闘によって既に満身創痍といったところで、所々の装甲はビームの熱線によってただれ、無数の傷が真っ黒なボディに付いて銀色に光っている。

主戦場は既に終戦しており、先程までのように爆発が起きることも無くなっていた。

それでもなお俺の頭を蝕む数多くの怨念が戦闘の悲惨さを物語っている。

 

段々と近づくにつれ、俺を呼ぶ思念が何であるかわかった。

 

傷だらけになり、右腕と両足を失った緑色の装甲が輝くクィン・マンサがデブリに寄りかかるようにして倒れている。もう動かないのか、MSとはいえ死体のようで気味が悪い。

俺は一応拳銃を構えながら、コックピットのハッチを開ける。中にはパイロットスーツを身に纏った栗色の髪が特徴的な少女が体育座りでシートの上に座っていた。この子もニュータイプなのだろう。相当強い思念を発している。

 

「君は何故逃げない」

 

俺は拳銃を下ろして彼女に問う。彼女は俯いたまま答える。

 

「マスターが死んじゃった」

 

マスター、という言葉で俺は全てを察してしまった。これでも俺はネオジオン軍の幹部だ。少佐という立ち位置がある。それ故に知っているのだ。クローニング遺伝子を組み込んだ試作品。そのうちの1人が彼女なのだと。

俺はそれでも真顔を崩さずに問い続ける。

 

「だから君もここで死ぬのか?」

 

「わかんない…でもこのままじゃ死んじゃう…怖い…怖いよ…」

 

泣いているのだろうか、顔は見えないでも彼女の声に震えがあるのがわかった。

今までの俺ならここで帰っていたかもしれない。しかし俺はそうはしなかった。腕を組んで顔を伏せる彼女の腕を掴み、強引に立ち上がらせる。ビクッと驚いた彼女は腫れて赤くなっている目をこちらに向けてきた。まだまだ幼く、小学生程しかない彼女に、俺達大人は一体どれほどの負担をかけたのだろうか。直接接点があった訳ではないものの、彼女に対して罪悪感のようなものを抱く。それでも、俺は彼女を引っ張るのを辞めなかった。

 

「生きてこそ、出来ることがある。君は若い。死ぬには早過ぎる。…俺はユウタ・ホシカワ少佐だ。君の名前は?」

 

「名前なんてない。プルトゥエルブっていうコードネームがあるだけ。」

 

彼女はアイデンティティが形成されてないのだろう。実験動物であることに徹し、戦闘人形としての任務を終えて生きる気力もなくなっているのだろうか。そんな彼女を放っておけなかった。

 

「なら君は、これからーーー

 

 

〜〜〜

 

 

昔、ジオン公国と呼ばれたコロニーの林の中にポツンと立つ一軒家のベッドに横たわる俺。

 

一年戦争、第一次、第二次ネオジオン戦争、ラプラス戦争。多くの戦争を経験した俺は、もう60歳になった。

しかしもうお別れの時が来たようだ。何かが、俺を呼んでいる。

俺の周りを家族が取り囲む。

 

娘達や妻に見送られて死ねるとは、若い時には夢にも思えなかったことだ。

 

「貴方は私をもう一度産んでくれた光でした。ありがとう、ユウタ。」

 

俺の右手を握り、目を合わせてくれる栗色の長い髪がチャーミングな妻。俺は彼女に出会えて本当に幸せだった。

 

「俺からも言わせてくれ。君がいなければここまで生きていられなかった。君こそが、俺の生きがいだった。君がいてくれたから、ここまで頑張れた。ありがとう。愛してるよ、

 

マリーダ。」

 

 

ーーー

 

 

時が、見える。

これが死ぬということか。

魂が何かに引かれる感覚に身を委ねていたら、誰かに腕を掴まれる。

その方向へと顔を向けると…

 

「シャア、大佐」

 

「やぁ、ユウタ君。君はまだ、やることがあるようだ」

 

何だろう。もうやる残したことはないというのに。

シャア大佐は俺に微笑み、言葉を紡ぐ。

 

「いいや。君はまだ生きることになる。まだまだ、君の人生は終わっていないようだ。

おっと、これで私とはおさらばのようだ。君の健闘を祈る。」

 

そういうとシャア大佐はスッと消えていなくなってしまった。

 

直後、何かに巻き込まれる感覚が俺を襲った。

 

俺の人生という旅は、まだ続く。




次回からISの世界に入ります。
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