ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。 作:ゆかなおっぱい
しかしこれは敗北を意味するのか?
否!!始まりなのだ!!
地球連邦に比べ、我がジオンの国力は30分の1以下である。
にも関わらず、今日まで戦い抜いてこられたのは何故か?
諸君!我らジオン公国の戦争目的が、正しいからだ!!
一握りのエリートが、宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して五十余年
宇宙に住む我々が自由を要求して、何度連邦に踏み躙られたことか!!
ジオン公国の掲げる、人類1人ひとりの為の戦いを、神が見捨てるはずはない!!
私の弟、諸君らの愛してくれたガルマ・ザビは死んだ!何故だ!!
この悲しみも怒りも、忘れてはならない!
それをガルマは死を以って我々に示してくれたのだ!
我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて、はじめて真の独立を勝ち取ることが出来る。
この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。
国民よ、立て!!悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!!
ジオンは、諸君らの力を欲しているのだ!
ジーク、ジオン!!
______
閃光のハサウェイを4Dで見ました。アレはヤバい。
あとマドカちゃんに関してなのですが、専用機を持っていたと思うnですけどアレイギリスからの強奪品でセシリアとの兼ね合いもあって現在専用機無しという設定にさせて貰おうと思います。原作好きな方には申し訳ないですが、これについては後々の話で修正しますのでよろしくお願いします。
1月3日7時20分。
これを聞いて何の日時か分かる人は多いだろう。一年戦争。過去最悪の戦争と呼ばれた、こことは別世界の宇宙戦争。これが俺の原点。
__UC.0078 12/31 12:00 ジオン公国軍宇宙攻撃軍第六機動大隊第四小隊-ムサイ-モビルスーツパイロットブリーフィングルーム
「これから、君達に上層部からの命令を通達する」
シャア中尉から呼び出され、全員直立でブリーフィングルームのモニター前に整列する。全員といってもシャア中尉は3機1小隊の小隊長なだけで、シャア中尉と俺ともう1人だけ。
「1月3日7時20分を以ってジオン公国は地球連邦に宣戦布告をする。その直後に我々宇宙攻撃軍はサイド1、2、4を攻撃する」
遂に来たか……
ジオン軍人全員が、この通達を聞いてそう思ったことだろう。一年前の国家総動員令の発布により、国内や軍内が慌ただしくなっていたのは記憶に新しい。いつかくる戦争、それはすぐそこまで迫っているとは感じていた。
しかしその戦争が、3日後__
「明後日明朝にはここを発ってサイド2、ハッテに向かうことになる。今日中に本国で何かやり残したことがあればやっておくように。以上」
俺は、勿論母の墓に向かった。
小さいながら、遺族年金で建てたお墓。そこには漢字で「星川希」と彫られていた。
俺は墓前にお花をお供えし、しゃがみ込んだ。
「母さん、俺、戦争に行くよ」
「ごめんな母さん、他人に優しくするように教えてくれたのに、その教えを破っちゃうよ俺」
「こんな親不孝な息子でごめんな」
「今まで育ててくれて、産んでくれてありがとう」
「ここまで生きてこられて、俺は幸せだったよ」
「今度は、そっちで会うことになるかもね」
「またね、母さん」
「さようなら」
『地球連邦政府並びに、地球に住む全ての者達に告ぐ。私はジオン公国総帥、ギレン・ザビである。地球連邦政府は我々を宇宙へと追いやり、地上から宇宙を支配してきた。そして一握りのエリートが、その私利私欲を満たすだけのために、我々スペースノイドは自由を奪われ続けてきたのである。だがこの屈辱の歴史も、今ここで終わる!腐敗した連邦政府を砕き、スペースノイドの真の自立を勝ち取るため、我らジオン公国は、地球連邦政府に対し、宣戦を布告する!!』
ザクC型のコックピットの通信機能でジオン総帥の宣戦布告を聞く。俺のパイロットスーツの中の手は汗で濡れており、小刻みに震えている。
これで、戦争が始まる__
『各機、戦闘開始!!』
続けてドズル閣下の言葉が響く。
『出るぞ!!』
シャア中尉の発進に続き、艦外で待っていた俺たちは一斉にペダルを踏む。急発進で体に負荷がかかり、機体がガタガタと大きく揺れる。
照準を絞る。目標、サイド2コロニー。何十万、何百万という人が住む、コロニー。
俺は、その震える手でバズーカの引き金を引いた。
1発撃てば、後は流れに身を任せた。その大きな的に容赦ない弾丸の雨を浴びせる。
何万人もの人が暮らすスペースコロニーを攻撃する。これを悪魔の所業と呼ばずして何と言うのか。何の罪もない一般市民を虐殺する。その1人ひとりに人生があり、未来があると言うのに。
俺は無心で撃ち続けた。何かを考えてしまっては、自分がいなくなってしまうような気がした。思考停止というのは、人間にとって1番甘えられることなのだろう。無というのは、俺という1人の人を悪魔に変えていた。
そして時は飛んで、地球近くの宙域。本来ならこんなところにあるはずのないアイランド・イフィッシュは、俺の目の前で、地球へと降下していった。
ギレン総帥が言うには正義の鉄槌らしいが、これはそんな高尚なものじゃない。
これは、ジオン国民の、スペースノイドの憎悪を込めた、人間の業がつまった、人類の膿だ。
崩壊したコロニーは見る限りオセアニアの方に落着、宇宙から見ても分かるくらいの爆発が起こる。
この爆風の下には、何万人の人がいるんだろうか。これが戦争というものなのか?
「ウッ……」
碌でもないことを考えてしまいヘルメット内で急に吐き気を催す。無重力下で吐けばどうなるかは分かっているので必死に喉奥に押し込むが、それでも心を蝕む何かは俺を確実に抉っている。
「久しぶりに見たな…」
気持ち悪い感覚と共にベッドから起き上がる。朝日の光が薄い白いカーテン越しに入ってきて眩しい。
隣を見やるとまだ山田先生はグッスリと眠っていた。明らかに異常なまでに深い谷間を晒しながらも年齢より幼い顔は幸せな寝顔だ。
俺はパシャリと一枚写真を撮ってから洗面台へ。
「……ひっでぇ顔」
顔を洗いうがいをして少し体を伸ばす。今日はちゃんとISを使った授業がある。一般生徒はバイオ模擬弾での洋上訓練や海に浮かぶポールに沿った高速機動演習など、代表候補生ら専用機持ちは各国各企業の武器の試験運用と模擬戦闘など。俺は倉持技研のヒカルノさんの手紙付きコンテナを受領してるのでこっち側。忙しい1日になりそうだ。
一度頬をパンと叩き、無理やり笑う。
そろそろマリーダも起こさなきゃな。
今日は7月7日、箒ちゃんの誕生日。そして、父親を殺した日___
朝食後小一時間経っただろうか、さっきまで寝ぼけ顔だった女生徒達は目をキリリと尖らせ砂浜に各組三列で並んでいる。
「よし、全員揃ってるな。…これより臨海学校特別授業を始める!!各自持ち場につけ!!」
「「「はい!!」」」
織斑先生の号令に従い駆け足でそれぞれの班に分かれる。俺達専用機持ちは砂浜の奥に移動したのだが、そこには箒の姿が。
(……束博士のおでましみたいよ。直上1kmにアンノウンを確認)
ほーん……久しぶりだな。
(これから騒動になるわよ)
……もう慣れた。
(人間の適応力って凄いわね)
全員分のコンテナの運び出しが終わり、それぞれの課題に取り掛かろうとした丁度その時だった。
(降りてきたわね)
マリーダの言葉の数秒後、砂浜にコンテナがどすん!!と落ちてきた。見た感じ最後に逆噴射していたから束さんも周りに気をつかったのだろう。
「来たか」
織斑先生はそう言ってそのコンテナに近づき、その見るからに硬いコンテナに一蹴り。
コンテナは桃太郎の桃のように綺麗に、織斑先生の蹴ったところではなく上から真っ二つに割れた。
その中には桃太郎……ではなく、新型らしきISの姿が。
(箒ちゃんの専用機、かしら?)
どうやらそうらしいね。これは他の生徒にフォローを入れなければな。
「いやっほー!!」
束さんは全く隈のない、ツヤツヤサラサラとした髪とパッチリとした垂れ目に輝く笑顔で砂浜に降り立った。
「束……もう少し穏やかになれんのか」
「いやぁ、それは無理な話だよちーちゃん。……久しぶり」
「……あぁ」
織斑先生と束さんはいつになく優しい、平和な笑みでお互いアイコンタクトを交わす。
その後束さんは箒ちゃんの元へ駆けて行った。
「やーやー箒ちゃん、おっきくなったねぇ、特にその胸が!!」
「姉さん……」
「ウンウン、分かってるよ。これが箒ちゃんの専用機、紅椿だよ。……でも1つだけ約束して」
束さんは一度俯くと、先程の笑顔とは打って変わって真剣な表情になる。織斑家や箒ちゃんでも見慣れないその顔に3人はタジタジだ。
「箒ちゃん、力に溺れず、この紅椿と仲良くやっていくって、約束してくれる?」
視線で強く訴えかける束に、箒ちゃんも一度深呼吸してからキリッと目つきを変えて小さく頷く。
「はい、誓います」
「……うん。ならよろしい。基本的なデータは入れてあるから後は実際に乗り込んでみてね。そしたら後は紅椿が勝手に調整してくれるから。それと、お誕生日おめでとう!」
「……はい!」
お互い真面目な顔を崩して笑い合う。これが元々の姉妹の形なんだろう。失われた空白の時間を取り戻しは出来ないが、人間関係はやり直すことが出来る。
(彼女達のこれからに期待ね)
しかし、専用機を与えられたことに誰もが祝福するわけではない。むしろほとんどの人は嫉妬と怒りにかられるだろう。
お姉さんが篠ノ之束博士だからって……専用機なんて……そんな陰口が聞こえて来る。
束さんは怒って何か言おうとしたので、俺は手を束さんの顔の前に出して静止する。
「ゆーくん?」
「任せて下さい……皆んな、少し聞いてくれ!!」
俺が大声を上げるとさっきまで陰口を叩いていた人や他の生徒も全員こちらを向く。それを確認してから口を開く。
「篠ノ之さんは世界中から追われる身の篠ノ之博士の妹だ。そんな篠ノ之さんにはどんなリスクがある?ティナ」
「えっと……攫われたり、脅されたり?」
いきなりの指名にも答えてくれたティナにありがとうという意味も込めて頷く。
優秀なIS学園生ならこれだけでも分かってくれるのが楽で良い。
「そうだ。篠ノ之さんは俺達より遥かに危険な生活を強いられている。それも相手はISを使ったテロリストかもしれない。そんな妹への自衛手段、お詫びとしての紅椿の譲渡なんだ。確かにコネもある。しかし篠ノ之さんがその専用機を持つに値する実力と処遇であるのはわかるはずだ。色々思うところがあるかもしれないけど、そこは分かってあげて欲しい。俺からもお願いします」
そう言って俺は頭を下げる。
他人を思って流す涙と下げる頭は持っておけ。それがない奴は信用に値しない。
これは親父に言われたことだ。
最初は戸惑っていた他の生徒たちも、ティナや専用機持ち達の拍手につられて次々と拍手をしてくれる。専用機については各々色々な感情がある中でも一定の理解力を持っていてくれるのは非常にありがたい。
俺は頭を上げてもう一回礼を言ってから、織斑先生の方を見やる。織斑先生も自分の仕事は分かっていて、解散、元に戻れ!と指示を出して臨海学校が再開される。
(お疲れ様)
ん、まぁこれくらいはね。
俺はフッと息を一つ吐いて専用機持ちの皆んなの元へ戻る。すると箒ちゃんが俺の前に出て、ピシッと直角に腰を曲げ頭を下げた。
「ありがとう、ございました」
「いいよ箒ちゃんそこまでしなくて。でもこれで君も専用機持ち、その重責がのしかかってくる。他の生徒に示しをつけられるようにより一層努力すること。いいね?」
「……っはい!!」
(良い返事)
あぁ。これなら心配はないだろう。箒ちゃんは自力で他人を認めさせるだけの器がある。彼女ならやってくれるさ。
すると後ろからドン、と衝撃が。立派なお胸の当たる感触と腰に回された白い腕が、その後ろにいる人物が誰なのかを分からせてくれる。
「束さん?」
「……ゆーくん……ホントにありがとう、ゆーくん」
俺を掴む腕は震えていた。
俺はその腕を優しく解いてクルッと回り束さんを正面から抱きしめる。
「大丈夫ですよ、束さん。……束さん、貴女にはこれからの世界をもう一度変える使命がある。ISを間違えて受け入れてしまった世界を、もう一度正しい方向へ持っていくという使命がね。そして色々思い詰めていることもあるでしょう?俺はいつでも待っていますから、辛くなったりアイデアが思い浮かばない時は俺の元に来てください」
そう言って彼女の小さな背中と後頭部をさする。天才は総じて孤独になりがちだが、束さんには皆んなが付いている。ここにいる専用機持ちや織斑先生といった近しい人達は必ず仲間になってくれる。それが何よりの励みになるはずだ。
束さんの頭が俺の胸元で何度も何度も上下に動いた。
束さんが調子を取り戻し箒ちゃんは紅椿の試運転、他はそれぞれの課題をこなしていた時、山田先生が慌てた様子で織斑先生に耳打ちする。織斑先生の顔が急に険しくなった。
「どうしたのでしょうか?」
「千冬姉ぇ……?」
織斑先生は砂浜の中央に移動してパンパンと手を叩き、大きな声で言う。
「全ての訓練を一時中止とする!全員旅館へ引き返せ!!そして自室にて待機、絶対に外に出るな!!」
困惑の声が各地で上がる。しかしそれも教師陣の連携によって全て統制され、全員が速やかに旅館へと引き返す。
「専用機持ちは教員部屋に来い、事態の説明をする」
教員が会議や昨日の宴会で使っていた大広間は電気を付けず暗く、そして幾つかの電子機器が持ち込まれ中央にはモニターがテーブルのように空中に表示されている。
「状況はこうだ。ハワイ沖で試験中だったアメリカ、イスラエルの共同開発していたISが突如暴走、太平洋を西に移動している。アメリカ軍はハワイの部隊がやられて当分動けず、ロサンゼルスの基地から国家代表イーリス・コーリングが向かっているが日本への到着には間に合わないらしい。また日本国防軍のIS部隊は現在故障とパイロットの招集が間に合っておらず対応出来そうにない。そのため我々IS学園に協力が依頼され、何としても暴走IS、シルバリオ・ゴスペル、以降は福音とするが、これを止めてその中に搭乗しているアメリカ国家代表候補のナターシャ・ファイルスを救い出して欲しい」
それを聞いて俺は呆れた。日本の国防軍のISがこんな時にスクランブル発進出来ないのかと。
(今調べたんだけど、この世界はスクランブルは戦闘機の仕事でISは最終手段のようね。ISが領空侵犯することは無くて、戦闘機同士の小さな小競り合いが起きているだけでIS部隊に緊急時の対応は必要ないみたい)
そうか……それにしても酷い話だ。国民を守る軍が、世界中でそんな体たらくか。
話を戻すと、ISの暴走を止めるのが任務らしい。
俺はふと隣に座る爆乳博士を見やる。
「束さん、なんとかできませんか?」
必死に自身のデバイスを高速でタイピングしていた束さんは諦めたように手を止め、両手を上げて頭を横に振る。
「ダメだね、完全に暴走して何も受け付けないみたい。こうなったら物理的にダメージを与えて強制解除させて、それで出てくる人をキャッチして助けるしか方法は無いよ」
「そうか……ならどうする?事態は急を要する。どうやって対処するか……」
「高速移動のできるISで移動して洋上で向かい撃つしかないな……」
ラウラの呟きは賛成だ。地上戦など出来やしない。民間やこの旅館にどんな被害が出ることか。
「それでは私のブルー・ティアーズが高速移動用パッケージを今もらっていますからそれをインストールすれば……」
それに織斑先生も考えるが、それはダメだな。
(専用機持ちでも彼女達は国を背負ってるからねぇ)
「いや、ダメだ」
「裕太さん?」
「今回の作戦、IS学園への依頼なのは分かるが国家代表候補生である鈴、セシリア、シャル、ラウラ、簪は巻き込めない。何かあったらIS学園に責任がいくし、国家相手にそんな真似は出来ない。そうでしょう、“理事長”」
俺はそう言ってモニターの端っこにサウンドオンリーで表示されていた理事長に目を向ける。
するとメイン画面が変わり、学園長と理事長夫婦が顔出しで映る。
『えぇそうですね。“星川君”の言う通りです。今回の作戦は篠ノ之さん、織斑君、星川君の3人で行ってもらいます』
「そんな!!僕達は戦えます!」
「そうよ!!この3人だけなんて危険すぎるわ!!」
『我慢して下さい。貴女達は国家代表候補生でしょう。
……あと非常に言いづらいのですが………』
那月さんは代表候補生sへの叱責と違い、本当に悔しそうで言いづらそうにしている。それを十蔵は察したか、変わりに口を開く。
『日本政府から追って連絡がありました。少なくとも織斑一夏、篠ノ之箒の両名は生還させてくれ、とのことです。
星川君、君は人柱になって下さい』
……生意気だなぁコイツ。
こんな感想しか抱かず内心苦笑していた俺とは対照的に他の全員はそのストレートな物言いに激怒した。
「理事長!!いくら貴方でもそんな言い方は!」
「そうだよ!アンタが誰かは知らないけど、束さんの大事なゆー君をよくも!!」
「そうですわ!!裕太さんが人柱など……っ!」
「許容できる訳ありません!」
「理事長だか何か知らないけど、俺はー「やめろ一夏君」っ。裕太さん……」
全員の悲しい目線が突き刺さる。
(愛されてるわね)
あぁ。でももう少し信頼して欲しいかな。ありがたいけどさ。
「俺は構いません。一夏君にはヒットアンドアウェイで近接戦闘、箒ちゃんは自由に動いてもらって良い。それを俺が支援し防衛する。万が一、一夏君か箒ちゃんのシールドエネルギーが切れかけたら2人とも撤退させ補給を受けさせる。そしてその際俺が囮になる。それで良いですか理事長」
『えぇ、その作戦でいきましょう。健闘と作戦の成功を祈っています』
そう言い残して元の画面に戻る。俺はサッと立ち上がり、部屋を出る準備をする。
「よし、一夏君、箒ちゃん。聞いての通りだ、いこう」
「……なんであんな作戦にしたんですか?」
一夏君の険しい目が俺の心に刺さる。君達はまだ、死の危険に対処出来る程の年齢ではないんだぞ。
「あれが合理的ってだけだ。さぁ行くぞ」
俺は強引に2人の腕を引っ張って立ち上がる。部屋を出ようとすると後ろから声がかかる。
「待て星川」
「……はい」
「……絶対に帰ってこい」
「えぇ、元よりそのつもりです」
そう言って俺たちは夏の空へと飛び立った。
___一方、IS学園生徒会室
ここには楯無、虚、レイン、フォルテ、ベル、グリ、スコール、オータムが一年生の臨海学校に合わせて今日は休みになったので集まっていた。
パリーーン!!
とカップが割れる音が奥から聞こえた。
「虚、大丈夫?」
「いえ。私は何も無いのですが……」
「どうしたの?」
ベルが見に行くと、ハッと息を飲むのがわかった。テーブルに残っていた他のメンバーもその現場に駆けつける。
「これ、裕太のティーカップだよな?」
「これだけが割れている……?」
「スコール、オレ、何か胸騒ぎがするぞ……」
「えぇ、私もよ」
そんな中、レインのヘル・ハウンドの待機状態がバイブする。
「なんだこんな時に……Hi?」
『あぁレイン、貴女は出撃して無いでしょうね?』
英語の会話だが優秀な彼女達に分からないことはない。レインは敢えてスピーカーモードでその会話を流す。
「出撃?何のことだ」
「あれ?聞いてないの?実は___」
そこで聞いた内容はその場にいる全員に先程の胸騒ぎを更に強まらせる結果となった。
レインは途中でその会話を打ち切り、ブランと腕を下げる。
「ISが暴走……?」
そして丁度その時、生徒会室のモニターに学園長からの着信が入る。
「学園長、シルバリオ・ゴスペルのことですか?」
『えぇそうよ。どこで知ったのかは知らないけどまぁ良いわ。……そこに固まってくれてたのは幸運ね、全員に伝えるつもりだったけど、手間が省けたわ』
「学園長、早く教えてください」
スコールにはあるまじき急かすような言葉。それだけ彼女達に落ち着きが無いのがわかる。
すると次は理事長が口を開いた。
『シルバリオ・ゴスペルの討伐には織斑一夏、今日篠ノ之束博士から新型ISを貰った篠ノ之箒、そして星川裕太の三名が向いました』
「オイ、あそこには他にも代表候補がいたろ。何で出てないんだ?」
『それは国家間の問題というやつですよ。ですから貴女達にも出撃命令は出されていないんです』
しかしこれに今度はベルが食い下がる。篠ノ之博士の新型ISというビックリワードにも関わらず、彼女達の怒りはそれ以外に向けられていた。
「待ちなさい。それでは彼ら3人が相当な危険に晒されることになるわ。それについてはどうなのかしら?特にあの3人は篠ノ之博士の妹に世界で2人だけの男性IS操縦者でしょう?」
『えぇ。ですから日本政府からは織斑一夏と篠ノ之箒両名の命だけは確保しろと言われました』
彼女達にとって大事な男の名前が、含まれていない。
「……裕太君は、どうなんですか?」
虚まで理事長に星川ではなく裕太君という言葉を使ってしまう。それほどこのことは重大だった。
『星川君には2人の護衛、最悪囮になってもらうことになりました。これは本人も承諾済みです』
「……2人が良ければ、裕太はどうでも良いってこと?」
普段明るく温厚なグリまでもが、かなりの低音で喋っている。
『日本政府はそうだ、ということです。……あぁ、あとこれについてそこにいる全員に待機命令を出します。これは理事長権限です。出た場合は謹慎や国からの処分が出ますよ』
「お待ち下さい理事長。更識家の当主としての参加もダメですか?」
『えぇ。ここにいる限りIS学園生として命令は受けて貰います。……星川君は出撃前、必ず帰ってくると言っていましたよ。信じてあげてください』
そう言ってモニタは消え、会話も途切れる。
その後全員が自室に戻り、神棚や十字架に向かって祈りを捧げた。
_主よ、必ず心優しき彼を生還させてください。
前書きのネタが無かったので、ガルマ国葬のギレンの演説を書きました。YuTubeに動画があるので見てみて下さい。
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