ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。 作:ゆかなおっぱい
この小説のR18書きたい
パーティが終わり、国家代表、代表候補生、その他参加者は各々母国へとチャーター便で帰っていった。毎日顔を合わせていた彼女達との別れは辛いが、仕方がない。
アメリカ出身のナタル、イーリ、レイン、そして新国家代表候補生のティナに見送られ空軍基地を発った。
元々IS学園からは国際IS委員会からの支給で2機の軍用機を手配して貰うはずだったらしいのだが、束さんがIS委員会など信用できないということで、束さんの移動室研究ラボで移動している。なんとアメリカ西海岸のロサンゼルスからイタリア・ローマまで5時間程度で着くそうだ。因みにほとんどの民間機が14時間半なので、およそ三分の一程度の時間で着くらしい。
(とんでもない速さねぇ…)
これでも皆んなを乗せてるから若干控えめな速度らしい。
そんなラボの窓から外を眺めていると、ヨーロッパの大地が見えてくる。恐らくあれはスペインだろう。
俺はトランプをしている皆んなと少し離れ、ずっとその大地を睨んでいた。
嫌な記憶はすぐ消えるものだが、あんなにも凄惨な記憶は消えることなく俺の頭を夏の蚊のように湧いて出る。俺は右腕に感じる何かを撫でながら、物思いに耽っていた。
………?
ふと右を見ると、顔を真っ赤に染めたマドカがいるではないか。
俺はどうやら無意識に彼女を右腕で抱き、手で彼女の長い黒髪を撫で回していたらしい。
(アナタねぇ……マドカちゃん可愛いから許したげる)
マリーダって可愛いのに随分と優しいよなぁ……
「ごめん、マドカ……」
「う、うん……その……気持ちよかったから、またやってくれても……」
「あ〜〜!!マドちゃんだけズルい!!私も!!」
束さんが機械のウサミミをつけた頭をんっ、と突き出してくるので同じように二、三回撫で回す。明らかに他の面々は不機嫌になっているが、ここは敢えて無視。これ以上求められても大変だ。
まもなくヨーロッパ・イタリアに着く。先回りして戻っているアリーシャさんが待っているらしい。
「よく来たのサ」
ラボから降りると、空軍基地の滑走路のど真ん中にあるにも関わらずアリーシャさんが腕を組んで立っていた。着物は胸元が開けており随分と大きな胸が盛り上がって双子山のように上乳が盛り上がっていた。
(ちょっと?最近胸見過ぎじゃない?)
仕方ないだろ……デカい人が多すぎるんだ………
「おいアリーシャ、この後すぐにテストマッチとは随分とイタリア政府も手酷い歓迎をするようになったものだな?」
「あー、それはナ……ま、チフユとチフユの弟君との晩餐会にしか興味がないんだロ。お上さんはナ。でも私はそんなのどうでも良いのサ!!さぁユウタ、こっちだゾ!!」
「あ、おい!!………ハァ、行ってしまったか……」
俺はいきなりテンペスタⅡを展開したアリーシャさんに担がれて超高速で滑走路の奥の方に見えるアリーナに向かう。
途中千冬さんの呆れる声がした気がするが、アリーシャさんの目にも止まらぬ行動の前には無意味だった。
(展開まで0.1秒………流石はイタリア国家代表、中々の速さね)
あぁ……俺はマリーダのおかげで展開早いけど、この人は自力だもんなぁ……
(私達は夫婦の力で戦ってるんだから、それで良いのよ)
俺は所謂お姫様抱っこの状態で運ばれているため、後ろを見ることが出来た。
一夏君達はどうやら政府の出迎え用リムジンで移動するようだ。
この後彼らは欧州連合首脳達と晩餐会、その後はフランス・イギリス・ドイツ・ロシア・中東諸国・中国と周るそうだ。
それでも俺がこうやって色々出来るのはここだけだろう。
「さぁ、着いたゾ」
そっと降ろされ、目の前の大きなアリーナに愕然とする。しかも先程は
見えていなかったが奥にもいくつかアリーナがある。流石は軍施設だ。
しかし滑走路の近くなのにもかかわらずアリーナがこんなに建っているのはおかしい。
(………これはエプロンの大部分と格納庫を潰してまで作ったみたいね……あそこの格納庫とエプロンからアリーナとの境目が不自然だわ)
………IS社会になってここまで変わるのか……すると戦闘機のパイロットや整備士は大規模リストラだろうな……それに戦闘機も………
(世知辛い世の中ね…)
___モビルスーツの出現も相次いでるという報告がある……MSの数が増える前に大口径砲や戦車、戦闘機で対処しないと手遅れになるぞ。一年戦争時はMS以外で連邦は抵抗していたわけで、それでもジオンは攻めあぐねていた……たった467機が世界中にばら撒かれてるだけのISだけでは国土は守り切れんだろうに……これは確かに狙い目だ
基地を少し見渡した後、手を振ってこっちだと主張するアリーシャさんのところへ小走りで向かう。
「私はもう下にISスーツは着てるが……ユウタはどうなのサ?」
「えぇ、自分も既に着てますよ」
「よし、なら早速はじめちゃおうカ」
アリーシャさんがついてきて、と言わんばかりに歩き始める。俺も後に続こうと足を踏み出した時、ふと視界の端に並べられた様々な火砲が映った。
しかしどれも砲口に布がかけられており、クレーンで大きな輸送トラックに積まれている。
「ユウタ?」
「あ、すいません。……因みにあれはなんですかね?」
「ン?……あぁ、不要になった大口径の火器は全部売り払うらしいのサ。戦車に榴弾砲に小型ミサイルはISに何も手が出ないからナ。なんでもISの配備されてない中南部アフリカの国が高値で買い取るそうダ。
そんなことより早く始めるゾ」
興味なさげにアリーナに入っていくアリーシャさんに今度は付いて行くが、それでも意識は先程の光景に引きずられていた。
(集中しないと痛い目を見ますよ)
あぁ。そろそろ切り替える。
(それにしてもこの御時世でもああいう旧兵器は需要があるのね。ISが配備されてない発展途上国からしたらああいうお下がりでも立派な戦力ですものね)
……兵器は腐っても兵器だからな
(腐ったら使えないじゃない)
事情を知らないマリーダの楽観的な話を聞いて、イタリア軍の上層部の考えていることと一致していそうだなと感じる。確かに使う機会の大幅に減った維持費のかかる兵器はお荷物でしかない。それは確かだ。でも……
__MSには痛手だもんね。大口径のああいう弾って。
____俺達のトラウマだもんな。地上でのゲリラ戦は。
『3、2、1、GO』
軍用の広いアリーナの長いカタパルトから射出される。軍だからか発進シークエンスは全てシューターが仕切っていた。いつもよりキツいGに耐え、ビーコンの出ている初期位置に停止する。ほぼ同時にアリーシャさんのテンペスタⅡも向かいに陣取る。
『フッフッフ。このテンペスタⅡの初実戦の相手として不足ナシ。今までの戦闘ビデオも見てユウタの実力はわかってるのサ。だから、今日は全力で相手するヨ!』
「こちらこそ、全力でぶつかります」
『Are you ready?3、2、1、fight!!』
合図とともにお互い距離をとる。お互い相手が射撃戦を得意とする同士、まずは撃ち合いで様子を見る算段だ。
『ハハハ!!まずはお手並み拝見と行くヨ!!』
アリーシャさんは両手に一年戦争で連邦のジムが持っていた……ビームスプレーガンのような小さめの銃を構えたと思うと同時にとんでもない速さでエネルギー弾を連射してくる。
(計算したところ当たったら50は削られるわね。あの数で当たったら大ダメージよ)
ほぉ。
流石はイタリアの第3世代機、高火力高発射レートの武器は開発済みってところか。
『どうだい、このヴィットーリアⅡの威力ハ』
「いやはや、随分と恐ろしい武器ですね」
『その割には全部躱してるじゃないカ!!』
情報収集も兼ね、敢えて回避だけに専念する。データによればアリーシャさんは今まで速攻即決の電撃戦が得意なようで、長時間の戦闘には堪え切れないのか命中率・勝率が落ちてくる。
しかしそこまで耐えられるのは今では少なくなった防御型の機体かアリーシャさんの猛攻に耐えられるだけの手練のみ。どちらも殆どいないためアリーシャさんの戦闘はたったの10分程で終わるのが多いらしい。
アリーシャさんは今回も今までの例に漏れず、蛇行しながら接近しては高火力のヴィットーリアⅡを乱発する。それをドッジボールのように一個一個かわし、出来る限りアリーシャさんから距離をとり、時々ライフルで威嚇をいれる。
そして20分も逃げ回れば、アリーシャさんの表情に変化が見え始める。
(努めてポーカーフェイスを保とうとしているけれど、大分苛立ちと焦りが出ているようね)
それもそうだろう。ここまで俺相手に1発たりとも当たってないんだから。しかし国家代表ともあろう者がたった20分で集中力散漫になるとはいただけないな。
(それでも射撃は正確なんだから大したものよ)
マリーダの言う通り、実際まだ真剣に逃げなければいけないレベルで射撃は纏まっているし、リズムも一定ではなくタイミングをずらすことで回避し辛くしている。いくら読みやすい正確“すぎる”射撃とはいえこうも変則的なリズムだとこちらまで不快になる。根性比べはもう飽きてきた。
(機体性能のデータはもう問題ないわ。あとはもう少しアリーシャさんの戦闘データが欲しい)
了解
というわけでやっとこちらも攻勢に出る。
今まで引き撃ちばっかりであった分、今度は前進しながらマシンガンを連発する。理由は至ってシンプルで、引き撃ちと前進しながらだと弾速に差が出るからだ。射撃を当てるコツは正確さだけでなく、狙う場所やリズム、弾速を変化させることで相手に単純な逃げを許さないことだ。どんな性能の銃であれ避けることは出来る。しかしどんなに性能の低い銃であれ、当てさせすれば当たらない銃よりダメージは与えられる。
『クゥッ、避けにくイ!!』
その証拠にアリーシャさんは既に避けるのに精一杯、それでも何発も命中しジリジリと残りシールドエネルギーも減ってきている。
アリーシャさんのシールドエネルギーが半分を切ったあたりで、マシンガンの弾倉が尽きかける。
あちゃ、ベルト式にしてかなりの量撃てるようにしたんだけどな。
(丁度良い頃合いだし、近距離のデータ頂戴)
了解。人使いが荒いなぁ
(文句言わない)
『ヘヘ、もうお終いカ?なら反撃サ!!』
アリーシャさんは温存していたのだろうヴィットーリアⅡの追加エネルギーパックをセットすると、俺に容赦ない弾幕で応戦する。
これでは迂闊に近づけない。
仕方ないので、一度地面スレスレまで降下してから一気に急浮上。太陽とテンペスタⅡの間に来るように調節する。
『クク、太陽に隠すのは良い判断ダ。だがそんな戦法私には効かない!!』
(テンペスタⅡは内部にサングラス、暗視ゴーグル加工アリ、ね)
厄介だなぁ……逆に他の機体にはついてないのがおかしいんだが。
流石軍用機、太陽光も全く射撃に影響はないようだ。
だからこそ、まずはそのヴィットーリアⅡから退場してもらおう。
初手、テンペスタⅡの四方に手榴弾を落とす。
これは簡単に避けられる。自由落下の物体なんて国家代表には屁でもない。
二手目、残りわずかの弾薬全てで手榴弾を起爆、テンペスタⅡの上空は黒煙に包まれる。
『こんな誤魔化しは通用しなイ!!』
反撃にヴィットーリアⅡの反撃が煙を切り裂き俺のすぐ真横を通過する。
三手目、今度はライフルで煙の中心部、恐らくテンペスタⅡの居場所であろうポイントを狙い撃つ。
『そんなのは効かないサ!』
手応えナシ。アリーシャさんの綺麗な紅の長髪が未だ濃い黒煙の中から完全に飛び出る。
「わかってますよ。だから」
_______こっちが本命
すぐにブレードに持ち替えた俺は急発進で斬りかかる。
『ナッ!?』
ここでトドメをさしても良かったが、マリーダのデータ収集のためヴィットーリアⅡのエネルギーパックのみを剣先でぶった斬る。
『ウワッ!!』
俺が過ぎ去った後、一際大きな爆発とともにヴィットーリアⅡは大破、テンペスタⅡのシールドエネルギーも残りわずかまで減った。
『やるじゃないカユウタ!!しかし……負けはしない!!イタリアの名誉にかけテ!!』
流石の二代目ブリュンヒルデ、主兵装の破壊にも動じない。さて、近接兵装は……
(レイピアね)
『これで心臓をぶち抜いてやるヨ!!』
「その前に切り裂く!!」
上下に全速力でぶつかる。高速の切り合いの中、俺のブレードは空を切り、レイピアは俺の左肩を擦る。しかし俺には大きなダメージが入った。
『チフユとの戦いのために射撃をメインで鍛えてきたが、私はこっちの方が得意なのサ!!』
言葉通り、俺のブレードを上手く躱しつつ、レイピアで的確に俺の胸を狙ってくる。
(なにジリ貧になってるの!しっかり!)
わかってる!!
俺は1発で決めるために上から下へ、下から上へと急降下急上昇を繰り返して一撃の威力を高める。アリーシャさんもそれに呼応するように一撃離脱を繰り返す。
『ハハハ、ユウタは格闘が苦手なようだナ!』
「……っ」
今までで1番の危機だ。千冬さんとは真っ当な鍔迫り合いだからこそ勝てる。しかしこういう高速格闘戦は苦手なままだった。
『そろそろ決めさせてもらうヨ!!』
アリーシャさんが今までの一撃離脱をやめ、レイピアで俺を突いた直後に反転、逆噴射で俺の後ろを取る。
やられる_______そう思った矢先だった。
『ナニッ!?』
突如テンペスタⅡのバックパックが火を吹いた。ブースターから火炎放射器のように出た炎により急加速。シールドエネルギーの枯渇により絶対防御が満足に働いておらず、機体制御もロクに出来ない状態でアリーナのバリアを突き破ったテンペスタⅡはローマ市街地へと飛んで行った。
(テンペスタⅡのシールドエネルギーは0、コントロール不可、絶対防御もさっきのバリア突破で解除)
了解、補助頼んだぞ。
俺は迷わずバリアに空いた穴から飛び出てアリーシャさんを追った。
イタリアの首都、ローマの郊外にあった基地から飛び出たテンペスタⅡはあっという間に中心街上空へと至っていた。100mもない高度で飛んでいるため市民の驚き、怖がる顔がよく見える。
(無理もないサ……明らかに私とこの子は制御不能、いつ建物にぶつかるかも分からなイ。そしたら大事故になるのは言うまでもなイ。……生まれ故郷を自分の血で汚したくなイ!!持ってくれテンペスタⅡ!!)
私は必死に足の補助ブースターでなんとか高度を保とうとする。しかし虚しいかな、勢いを増したバックパックのブースターは上を向いた。
眼前にはコロッセオ。祖国イタリアの象徴とも言えるこの歴史的建造物へぶつかろうとしていた。
_______あぁ、神よ。故郷へ悪事を働くこの私をお赦しください。
『間に合え!!』
何か声が聞こえた。
いきなり体が持ち上がった。
見覚えのある黒鉄の腕。
神は、いた。
「どうなっているんだ、ここの警備は!!」
「落ち着いて下さい千冬さん。こうやって美味しい食事を頂けてるんですから文句はないでしょう」
俺達は今、ローマ市内最高級のホテルのスイートルームにいる。
簡単な経緯としては、
テンペスタⅡのバックパックの安全性、姿勢制御に問題点が発覚→緘口令→ゴマスリのために急遽宿泊場所が軍施設から高級ホテルスイートルームに→太陽の国の美女を脇に抱え向かいの大和撫子にワインを注ぎながらイタリア料理を堪能中
といったところ。
「おいアリーシャ、貴様は何故そんなに裕太と引っ付いている?」
「ニヒヒ、私の勝手だロ?」
「このっ!!おい裕太、早く次を注げ!!」
(あーあー酔っ払っちゃって。女の嫉妬は怖いわぁ)
そう言うマリーダさんも体を締め付けないでくださいます?
(??)
話聞けよ……
そんな大人2人の世話をしていたところ、マドカが山盛りにパスタを盛り付け持ってきてくれた。
「裕太、これも美味いぞ」
「あぁ、ありがとう」
今回のヨーロッパは良い思い出になりそうだ。
この後箒と束によってさらに俺の周りがカオスになったことは……まぁいいだろう。
ありがとうございました。
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