ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。 作:ゆかなおっぱい
あとロランの話し方これで合ってます?とりあえずテイエムオペラオーに似せたんですけど。
またかなり空きました……
案外大学でやること多くてしんどいです
そろそろ慣れてきたのでやっと安定するかも?です
「ここがドイツかぁ、近かったなぁ」
わずか2時間弱程でローマからドイツの歴史ある軍港、キールへと到着した。ジオン軍時代ブリテン島からの撤退で一度だけここまで連れてこられたことがあるのを記憶している。実際ヨーロッパ戦線は連邦軍有利であったためにノルマンディーまで到達したのはわずかひと月だけであり、その分毎日ブリテン島からの激しい抵抗とあと少しで欧州も制圧できると躍起になった我々で大激戦が繰り広げられた。すぐに戦線は後退し、三ヶ月か四ヶ月か経った頃にはオデッサ作戦で大敗北、ヨーロッパを完全に奪還された。
「ほう、懐かしい」
「そういや千冬姉は昔教官だったっけ」
千冬さんが噛み締めるように辺りを見渡すと、何を見たのか顔を顰めた。
「いるのか……」
ドドドドドドと地響きがしたと思ったら、何十人という女性士官達が一斉に千冬さんの前に整列した。全員黒を基調に赤のラインが入った軍服を纏い、眼帯をつけている。なんとなく察していた通り1番前にいるのはラウラだった。
「織斑先生……いや、教官!!」
「「お久しぶりです!!」」
「あ、ああ……相変わらず暑苦しい……」
(胸の部隊マークに、ウサギの絵とSCHWARZER HASEって書いてあるわ)
なるほど、黒ウサギ隊って名前か。可愛らしいなぁ。
(ラウラちゃんにピッタリねぇ)
「我が黒ウサギ隊にようこそお帰りなさいました!!」
「違うんだクラリッサ、今日はこの愚弟とそこにいるゆ…星川の付き添いなだけだ」
「そう……なのですか……」
何故だろうか、俺にはあるはずのないウサミミが萎れているのが見える。
「教官!!」
「貴様は織斑先生と呼べ、今は教官でもなんでもない」
「クゥ、織斑先生!本日は我がドイツ軍、そしてEU連合軍IS部隊の基地防衛訓練があります!!我々の成長を見てください!!」
「そうか、期待しているぞ」
「「はい」」
そう言って彼女達はIS用と思しき格納庫に駆け込んでいった。
「なんか、嵐みたいでしたね」
「あぁ……昔の教え子達なんだ」
そんな彼女達をなんだかんだで優しく見送った織斑先生は黒ウサギ隊と交代でやって来た女性と何か話した後、俺たちに振り返った。
「こっちに来い、とのことだ」
案内役の女性と千冬さんについて行き、管制塔に入る。どうやらここから訓練の成り行きを見守るようだ。
『始め!!』
掛け声と共に戦局が開始。とはいえ海からの攻撃を想定しているため最初は全く見えない。キールの基地の外、とても広い砂の空き地にいくつかの攻撃目標がホログラムで表示され、そこに黒ウサギ隊のIS3機、別部隊のISが3機陣取り防衛体制を整えている。
1分と経たない内に小さく攻撃隊役のEU連合軍の8機が見えて来た。
ISは数が少ない分、発展途上国は機体が無い国がほとんどだ。しかしEUは共同で出資しそこから更に分配する形を取ることで、基本的にはEU全体で軍を共有しようとした。しかし実態としてはドイツやイタリア、イギリスにフランスなど有力国家は10機ないし15機と多くのISを単独で保有しており、各国で勝手に部隊編成や国家代表と代表候補生の育成と選抜を行なっている。結局EU連合軍はギリシャやオランダなど、EUの中堅国が合同で動くことでかろうじて世界最大のIS保有国の日本や、米露英仏独伊といった列強国と同等の戦力になっているに留まっている。
(フォルテちゃんとベルちゃんが低空から侵入、ロランちゃんが上空から支援砲撃してるみたいね)
なるほど、国単位で部隊を分け役割分担しているのか。その方が上手く動けそうだな。
「フ、また腕を上げたな」
「近接戦闘タイプを地上戦に回して前線で食い止め、射撃タイプは対空戦闘……しかも良く当てている」
千冬さんとマドカの言葉通り、数で勝るEU連合軍を6機で良く食い止めている。特に黒ウサギ隊の動きがいい。
先程のクラリッサと呼ばれていた人の機体はベルと激しい格闘を繰り広げている。お互いレイピアの刺突がメインであるため、中世の海賊同士の戦いのようだ。
ラウラは上空からのロランの猛攻をAICでいなしつつ、レールガンで厳しくカウンター。高低差の不利を全く感じさせない。
この模擬戦は結局、30分以内に5個の目標の撃破判定を取りきれず、2個までに留まったEU連合軍の攻撃負けとなった。
「あぁ!!麗しき私の箒!!こんなところで出会うとは、やはり私達は運命の赤い糸が繋がっているようだ!!」
「ええい鬱陶しい!!裕太さん助けて下さい!」
やはりロランはロランだった。千冬さんが参加者全員を労おうと下にあるIS搭乗者待機室へ降りたところ、先に集まっていた14人の内の1人だったロランは箒を見つけるとすぐさま駆けつけ抱きしめた。
「君は相変わらずだね、ロラン」
「あぁ……あぁ!今日はなんて良い日だろう!我が心を奪った罪深い君にまで会えるとは……さぁ、僕の初めての男の恋人になってくれ!」
「え、えぇ……」
なんだコイツは。
先日出会った→箒をナンパしてたから注意した→今日再開したらいつの間にか目を輝かせて告白された
……わけわからん。
(……今度はどんなパターンで落としたのよ)
知らんがな、てか落としてない。
そんなこんなで困惑していると、バサッとたなびく紫の髪が目に入った。
「コラーーーー!!箒ちゃんだけじゃなくゆーくんまで口説くなんて!!一体君は何なんだよ!」
「姉さん!?」
なんと自分のロケットに引きこもっていた束さんが飛び出してきた。束さんはズンズンと歩いて俺とロランの間に入る。
「裕太……また?」
「今度は何事ッスカ」
「ベル、フォルテ……なんとかしてくれ、知り合いなんだろ?」
「あー……ロランは苦手なんスよねぇ」
「わたしも……」
ベルとフォルテも嫌な顔をする。実際ベルは同性愛者ではないし、フォルテにはレインがいる。それでもロランのことだ、何度も執拗にアプローチしたのだろう。2人とも同情するような目で箒と束さんを見ていた。
「なんと!?貴女が先月からIS学園に拠点を構えたと噂のドクター・篠ノ之か!!……あぁ、なんという幸運!!さぁDr.篠ノ之、姉妹揃って私と3P…いや、裕太と4Pをしようじゃないか!!」
(うわぁ……処女2人にはキツい下ネタ)
あぁ……2人とも固まってるよ。他のIS乗りは……見て見ぬふりか。巻き込まれたくないんだなぁ。あ、箒から湯気出てる。
「さ、さささ、さんp……」
「どうだい裕太、美女三種盛り!!こういうのを……海鮮丼、というんだっけ?」
「違うよ……海鮮丼はこんな如何わしいものじゃない」
「フム……日本語のエロワードは難しいネ」
ここでようやく束さんが再起動した。さっきからずっと姉妹揃ってフリーズしていたようだ。
「ハッ!?ちょっと、4Pとかはまだ早いよ!!最初は一対一がいい!!」
何口走っとるんやこのエロ博士は。
(そういえばアナタって多人数プレイの経験あるの?)
あるわけないだろ……
ここで意を決したか、ため息を一つ吐きベルが援護に入る。
「そろそろやめたらどうなの?ロラン」
「あぁ……どうやらこのままでは痴話喧嘩になってしまうようだね」
「いや、痴話喧嘩って……もうカップルにでもなったつもりッスか……」
やっとロランが落ち着く…そう思った時だった。
「わ、わわわわたしはどんなプレイでも、う、受け入れるぞ!!」
「「………」」
(あぁ、箒ちゃんが壊れちゃった)
いや、マジでどうするんだよこの空気。
束さんは羞恥心でダウン、ギリシャ2人組は頭を抱え、他のパイロット達はこちらに冷たい目を向け黙っている。さらにロランまで空いた口が塞がらず、誰もこの状況を止められそうにない。
そんな時、部屋のドアが開いた。救世主の髪は長い銀髪だった。
「ん、なんの騒ぎだ?」
「私と裕太と箒とDr.篠ノ之とで初夜をどうするか話していたんだ」
「初夜か……私は初めてだから優しくが良いぞ」
なんでこっち見るのラウラ。止めて?このロランを止めて?
(そういえば、ラウラちゃんは何かを伝えに来たんじゃない?)
なるほど。流石は俺の妻だ。
「そんなことよりラウラ、何か用があって来たんじゃないのか?」
「ん?そういえばそうだったな。裕太、お前に基地攻撃側をしてもらいたい。出来るか?」
「勿論」
これによって俺はこの地獄を抜け出した。
入れ替わりで降りてきた千冬さんがこの後始末をさせられたのは言うまでもない。
『準備は良いな?……スタート!!』
今回の模擬戦は単機で乗り込んできた敵偵察兼先導攻撃を迎撃するという設定。その敵役が俺だ。
(慣れてるでしょうから、アシストはしないわよ)
あぁ、それで構わない
『来たぞ!!撃てぇ!!銃身が焦げるくらい撃ちつくせ!!』
ドイツ軍の射程圏内に入り、一斉射が俺の行手を阻む。ラウラは俺相手となると本気で殺しにくるので、先程の模擬戦よりはるかに弾幕は厚かった。すぐ下に海があるからか反射して見づらいであろう上下の精度は悪いが、左右の揺さぶりは他の隊員が各々砲撃しているところをラウラが上手いことカバーして絶妙だ。タイミングや左右のバランスを意図的にズラしているのは俺から盗んだのだろう。俺のマシンガン射撃パターンに似ているものだった。
それを俺は一つ一つ丁寧にかわしていく。ズラして来るリズムに敢えてのっかり、蝶のように不安定な飛行で接近を続ける。
(そう言いつつ、1発も当たってないようだけど?)
これに当たってちゃ一年戦争は生き残れないさ
『クッ、これが隊長のみならず教官までも落としたという男の強さというのか!!しかし、負けるわけにはいかない!!』
クラリッサさんがついに痺れを切らしレイピアで突撃してくる。右斜め前からの接近に対して、砲撃は俺の逃げ場を塞ぐ形に変化した。
(上手いわねぇ、ピンチなんじゃない?)
まさか。まぁ見てなよ
俺はクラリッサさん目掛け真っ直ぐ全速力で突撃する。右手にはライフル、左手にはブレード。
『っ!?』
殺気を放つ。
本当に人を殺してきた人間の怖さを、教えてやる。
衝突を防ごうと一気に頭に血が昇ったであろうタイミングで両手の武器を斜め上に投げ上げる。
『_______』
パァン!!
『あっ…』
クラリッサさんのか弱い声と共に、彼女のラファールは俺の真横を通り過ぎていき、落下軌道に入った。それを振り向くことなく俺は投げた武器をもう一度キャッチする。
(ちょっと、ねこだましなんて面白くないんじゃない?)
そうかな?俺は好きなんだけど。
_______殺されると思った瞬間、人間は過剰なまでに敏感になるのさ。よーく知ってるんだよ、俺は。
その後はクラリッサさんが一瞬にして戦闘不能にされたショックを隠せないままに乱雑になった射撃の隙を突いて攻撃、まともな迎撃がラウラだけになったことにより後は俺の射撃練習となった。
俺は皆んなが待つ待機室へ戻ると、色んな視線を感じた。
「流石ゆーくん!もう一軍隊レベルの腕だね!!」
ワールドレベルの胸の感触を胸板で感じつつ、千冬さん達からお褒めの言葉を頂いた。
するとそこに意気消沈といった黒兎隊のメンバーが帰ってきた。ラウラは見るからに悔しそうだ。
「くぅ……私も成長が足りない!!」
「いやいや、ラウラはメチャクチャ成長してるよ。最初の方の射撃は本当に危なかった」
「そ、そうか……えへへ」
(可愛い!!)
相変わらずだなぁ。
しかし、疲れたといった感じだけの他の隊員と違い、クラリッサさんが不穏な雰囲気をまとっている。
(あぁ、またか)
「あの、クラリッサs「感動しました!!」あはい」
顔が近い。近いったら近い。鼻があたりそうだ。
「私は感動しました!これが性癖開発イベントなのですね!!」
(……??)
「……はい?」
何を言っているんだこの残念美女は。鼻息を荒げ頬を赤く染め目を輝かせて下ネタを言うんじゃない。
「他の隊員の目の前で失禁させる……なんというドS!!これは私が裕太さんの言いなり奴隷になるイベント!!そうですよね!?」
「違うと思います」
「いや、これはクラリッサが正解だと思うぞ」
ラウラも何を言っているんだ。
もう皆んな関わりたくないのか目を合わせてくれない。せめて助けて。
「私は日本の文化、特にポップカルチャーには詳しいので分かりました。これはR18漫画によく見る即メス堕ちイベントに違いない!」
……もうやだこの部隊。
ありがとうございました。