ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。   作:ゆかなおっぱい

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更新遅れてすいません。



俺の願いは天にも地にも届かない

2月中旬。肌寒い風が吹いていて、乾燥した空気も相まって中々今日は外に出たくもないなぁと思い、炬燵に包まり勉強をしている。ウチの高校の入試の合格発表の日らしく、今日はお休みなのだ。勉強の合間に食べるみかんが美味しい。ちなみに親父は昨日からオーストラリアまで航海に出ている。国際線の船の船長となると拘束時間も長い。あと数十日以上は帰ってこないだろう。

 

勉強もひと段落付ついたところで少し休憩する。ゴロンと寝転がろうかとも思ったが、眠気もこないので座椅子に座ったままテレビをつける。

 

『彼の名前は織斑ー夏、かの有名なブリュンヒルデ織斑千冬氏の弟で、初の男性IS操縦者とのことです!!IS学園の入試に迷い込み、そこでISに触れた途端、適性があると判明したようです』

 

テレビでは番組表とは異なり、臨時の緊急ニュースをしていた。内容は初の男性IS操縦者が出現したとのこと。これからIS学園で保護され、他にも適性者がいるかどうか全国一斉調査するそうだ。

 

なんとも無駄な。どうせ出てこないだろう。

疲れた俺の頭はそんな感想しか思いつかない。番組ではテレビでよく見る偉そうなババァもブリュンヒルデ様の弟だから適性があるんだ、検査するだけ無駄だと豪語している。奇遇だなババァ、初めてお前と意見が合ったぞ。

一夏君については何も思うことはない。この世界でのキーパーソン的人物になるだろうなぁ程度しか考えることはない。あの美人揃いのIS学園に1人イケメンが入る。何のアニメだよ。

 

チャンネルを変えても同じ内容しかやってないようで、つまらなくなってテレビの電源を切る。さて、勉強を再開しようか。

良い感じに休憩を取れたので、その後も集中することができ、気づいたら夜になっていた。

前世ではお金がなくて中卒でジオンの兵学校に入ったのもあって、高校の範囲の勉強はしたことがない。だからこそ面白いとも思えるのだ。英語だけは前世で使っていたのもあって面白くもなんともないが。

 

この時が思えば今世で1番幸せだったのだろう。三浦市という田舎に住んでいるのもあって男性差別も都会ほど酷くは無く、男子校に通っているから女子からのイジメも無く平穏な時を過ごせていた。

来たる、IS適性検査までは。

 

 

ーーー

 

ーーー

 

時空は超えて3月中旬。場所は千葉県の沖合にある大きな人工島、IS学園だ。昨日あった適性検査でIS適性があることが分かった俺はすぐさま身柄を拘束され、ここに連れてこられた。ISの適性者だと分かった瞬間にフリーズしてしまい、簡単に拘束されてしまったのは仕方が無いと言えるだろう。

あぁ、かわいそうだなぁ。自分のことなのにそうとしか考えられなくなったのもしょうがないだろう。

夢だったら良かったのに。何故自分なのか。神など信じてはいないが、今日ばかりはその神様とやらに夢だったことにしてくれと祈りを捧げたい気分だ。

そんな神様は都合よくお祈りする俺のことなど見向きもしない。現実は変わらないのだ。

 

「お前が星川裕太か。私は担任となる織斑千冬だ。よろしく」

 

昨日の身体検査や再度の適性検査に続いて今日もまたIS学園。空き教室に連れてこられた先にいたブリュンヒルデが握手を求めてくる。

それに応じて手を差し出し返す。

 

「よろしくお願いします」

 

「早速で悪いが、受験生と同じテストを受けた後このISスーツに着替えて実技試験を行う。試験とはいっても入学は確定しているから、今の実力を測るのとデータ収集が目的だ。気負う必要は無いぞ」

 

「承知しました」

 

その後は入試問題を解かされた。特に困るところは無く、ミスしていなければISの問題以外は全問正解を取れているだろう。数学、国語、英語、IS知識の4科目これだけしか無いため昼までに全てを終わらせる。昼飯に食堂からハンバーグランチが届いたのには驚いた。どうせIS学園のことだ、俺には何も食べさせないだろうと思っていたので、意外だったのだ。

 

 

ーーー

 

ーーー

 

 

『準備は良いな?』

 

『えぇ、大丈夫です』

 

ISの無線を通じて織斑先生の声が聞こえる。こうやって機体に乗って無線で通信するのは、MSの時とは少し違うが、懐かしく感じる。

場所を移してアリーナのウチの一つ。ISスーツを着た俺は副担任となる山田真耶先生に誘導されカタパルトに用意されていたラファールに乗って発進。そこに待っていたのは打鉄に乗った実技試験の相手、織斑先生だ。

因みにオペレーターは山田先生。

 

『でははじめますね。5、4、3、2、1、開始!!』

 

可愛らしい声を真面目なトーンにして放たれたその言葉と共に織斑先生は俺に向かって直進してくる。一度映像で見た時よりかは遥かに遅い、恐らく手を抜いてくれているんだろう。

だが、こちらもその慢心が己の命を失わせる戦場で戦ってきたプライドがある。しかし、それも今世合わせて約40年前のこと。実戦で言えばUC.0096のラプラスの箱を巡る一連の戦闘で最後の愛機となったサザビー2号機、漆黒の装甲が輝いていたペルセウスでジンネマン達とミネバ様とバナージ君を援護して以来だ。

当然、戦闘勘も鈍っているもので。織斑先生の袈裟斬りをそのまま合わせるようにブレードで受ける。当たり前ながらその勢いで後ろに大きく飛ばされてしまう。

しかし、そんな絶好の隙にも織斑先生は追撃はせずに少し距離を置き俺の様子を伺うように小刻みに動いている。その姿はまるでボクサーのようだ。いつでもストレートを入れられるという余裕の現れだ。

表情としては何か少し感心しているような笑みだが、そんな顔が俺の反骨心に火をつける。

 

何たる屈辱か。ブリュンヒルデとはいえ若くして引退した彼女だ。搭乗時間はISとMSとで違うものの数倍、いや数十倍は違うはずだ。実戦時間で言えば比べ物にならないほどだ。

いや、そんなことは考えるものじゃない。今は前世とは違う。今の自分は『ジオンの漆黒の虎』とまで言わしめたエースパイロットではなく、ただの高校生。要らないプライド、それもこの世界では何の価値もないものに縛られている間は上にいけないし、前世の勘と力を取り戻すことはできない。誇りは捨てず、傲慢な心を捨てろ。

ジオン軍人として負けるわけにはいかない。だからこそ、織斑先生の喉元を噛み千切るつもりで必死に喰らいつく。それが今できる俺の最善策だ。

 

「…っ!?」

 

俺の雰囲気が変わったのを感じ取ったのか、織斑先生も驚いた表情をした後、少し顔を引き締める。

まずは武器を出す。イメージしただけで武器が出てくるとは便利だ。先ずはMMPマシンガンに似た形状のアサルトライフルを左手に呼び出す。右手は織斑先生が再度突進してきたようにブレードを残しておく。確かラピッド・スイッチとかいう高速で武器を持ち変えるテクニックがあったはずだが、そんなもの使えないので緊急事に対応するにはこうするしかない。

 

アサルトライフルで指切りしながらバースト射撃で織斑先生の行動範囲を狭めるために上下、正面、左右に振り分けて牽制弾を撃つ。現役時と同じように刀状のブレード一本で戦う織斑先生はそれを避けていくが、避けるのに精一杯といった様子で、緩急上下左右を使った俺の射撃に翻弄され始める。

 

『お前、どこでそんな技術をっ!?』

 

通信の織斑先生の声から焦りが聞いて取れる。その答えは過去の実戦経験なのだが、ここでははぐらかすしかない。

 

「何となくですよ、昔やったFPSのゲームの技術と勘です」

 

そう言った俺の言葉に納得してくれたようで、織斑先生は機嫌良さそうに言い返してくる。やはりモンドグロッソで優勝するだけあり、その顔は好敵手を見つけた獣のようだ。

 

『フッ、そうかそうか。お前は才能があるな。どうだ、入学後も時々戦おうじゃないか』

 

「恐縮です」

 

会話をしながらも攻撃の手を緩めることはない。今は牽制だけでなく本気で弾を当てにいく。織斑先生には回避のクセがあるようで、横移動中に正面の弾がきたらブレードで弾いている。それを見抜いて俺はスラスターを使いながら側面を取りながら弾を直撃させていく。すこし苦しみながら回避していた織斑先生は我慢できなくなったか、転身して猛スピードで接近される。

 

しかし、それも俺の計算の内。今度は急降下して振り切る。

しかし、ISの操縦に慣れていない俺が急降下すれば、制御しにくくなるわけで。

 

ドッカーン!!!

 

と大きな音を立てて地面に突き刺さる。…それでも怪我なく生きていられるのは絶対防御様様だ。

 

シールドエネルギーはギリギリだが、まだ戦える。

そう思って上を向くと、またもや織斑先生は唖然とした表情になっていた。

 

『…今の、どうやったんですか』

 

山田先生から通信だ。彼女の声は何かとんでもないようなものを見て呆然とする少年のようだ。…俺が地面に突っ込んだのに何かおかしなところでもあったのだろうか?そもそも地面に急転直下する方がおかしいが…

 

「何か、出来るだけ早く動こうとしたら制御できなくなって…すいません」

 

『い、いえ…今のは瞬間加速(イグニッション・ブースト)といって、高等技術の一つなんですが…』

 

山田先生の一言で場に微妙な空気が流れる。織斑先生も山田先生もありえない、といった様子だ。

しかし、そんな感想は俺も同じだ。何故このくらいの加速が高等技術なのか。確かにジオンでもスラスターを思いっきり吹かすのは難しかったが、高等技術という程ではない。何なら俺やシャア先輩やジョニーさんレベルになると、アクセル全開の状態で方向転換しながら銃弾を避けつつ射撃と格闘をするくらいのことはしていた。

…この世界の人達のレベルはそこまで高くないのかもしれんな。

 

『ハッハッハッハッハ!!なるほど、お前が…そうか…ククク…』

 

そんなことを考えていた俺をよそに、織斑先生の豪快な笑い声が耳に響く。こう言っちゃ何だが…ホントに女性か?あのハマーン様でももう少し…おっと、何か寒気が!?

 

『クックック…私はお前を待ち望んでいた!!さぁまだ戦うぞ!』

 

『ちょっと、織斑先生!?試験はとっくに…あぁもう、知りませんからね!』

 

俺に嬉々として突進してくる織斑先生と、それを止めようとして放棄する山田先生。試験が終わったのなら早く終わらせたいのだが…織斑先生の追撃の速度が速くなっており、今の俺では逃げられない。何とか攻撃をいなすのが精一杯だ。

 

正面からスラスターを吹かして突撃しながら居合斬りをかましてくる織斑を、斜め後ろに移動しながらブレードを斜めにいれて反対側へと攻撃を流し受ける。…クソ、防戦一方だ。

 

数回そんなやりとりを交わすと、突如パターンを変えてきたために鍔迫り合いになり、織斑先生の生の声が聞こえるまで接近する。

 

「どうした、お前はまだまだ出来るだろう!!」

 

絶世の美女とも形容できそうな程に美しい彼女の顔は今、女性のものというより、野生動物のそれだ。

欲しかった獲物を前にして喰らいつく。そんな勢いすら感じる。

 

「…ッシ!!」

 

俺は持ち前の筋力を活かして織斑先生との鍔迫り合いを強制的に外し、左手に再度アサルトライフルを取り出して引き撃ちする。徐々に織斑先生のシールド・エネルギーも減っていくが、そこは元世界王者。後一歩といったところで射線から外れて急接近。アサルトライフが素早い一振りに一刀両断され、手放さざるを得ない状況に。

それを見た織斑先生は一旦引いて、少し間を空けて両手にブレードを構える。

なるほど、最後は一発勝負を望むということか。

互いにシールド・エネルギーはあと僅か。さぁ、勝負を決めよう。

 

『…行くぞ!!』

 

瞬間、アリーナに突風が吹く。

 

 

 

〜〜

 

〜〜

 

 

 

 

 

 

「もう、試験が終わったら直ぐに終了するって言ったじゃないですか!!先輩!!」

 

アリーナの入り口前で、着替え終わった俺と織斑先生、怒っていますアピール中の山田先生が再度集う。

怒っている山田先生に全く怖さは無く、表現するならプリプリといった感じ。そのせいかは分からないが織斑先生に反省の色は全くない。

 

「いやぁすまんすまん。思った以上に熱中してしまってな。…それにしてもナイスゲームだった。入学後は私が稽古をつけてやろう」

 

「あっ、先輩抜け駆けですよ!星川君、こんな乱雑な織斑先生より、私が優しく教えてあげますからね」

 

そう言った途端、二人は目を合わせて火花を散らす。

俺はそんな状況に辟易し、言葉も出ない。

…あぁ、これからは騒がしい生活になるなぁ……

 

 

 




ペルセウスは、サザビーの赤い装甲を黒く塗っただけで形状や性能はサザビーのまんまだと思ってくれたら良いです。
これは自分のオリジナル設定なので、抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、今のところはストーリーに関係無いので無視していただけるといいかと…

この世界ではオリジナル主人公君の強さは結構なものです。
でもISに不慣れな部分が二人に不信感を抱かせなかったといったところでしょうか。

次回は教室、ダメな方のバナージ君とあのパツキンですわ美乳美尻貴族パツキンヒロイン登場!!
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