ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。   作:ゆかなおっぱい

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新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
お気に入り数が一気に増えました。ありがとうございます♪
しかし、私はこの作品を、自分の妄想に沿って作り上げていきます。
なのでこの作品は皆さんのご期待に沿うものではないかもしれません。皆さんの思い描いている物語ではないかもしれません。伏線やキャラの扱いが下手です。展開も文もおかしいところは多いと思います。
その時はすいません。ですが、そのスタンスを貫いていきます。
今回はヒロイン勢の好感度が軒並み上がる回。タグにある超巨大ハーレムの片鱗が見えてきます。



碧き雫も白き騎士も食い散らかすは宇宙に巣食う黒き猛虎なり

色々あった初日が終わって二日目。俺はさっさと“布団”を片付けてジャージに着替え、部屋のドアを開けて外に出る。

 

「おぉ…朝はまだ寒いか……」

 

今の時点で分かった人はIS学園をよく知っている人だろう。そう、IS学園は全寮制で、それも高級ホテル並みの設備が整った寮なのだ。そして部屋のドアを開けても室内の廊下なので、寒いわけがない。

 

なら何故俺がこう言っているのか。それは…

 

「…やっぱり人の住むような場所じゃないよなぁ……」

 

俺の暮らす場所が寮ではないからだ。皆んなの住む寮からは大きく離れた、周りに木しかない元倉庫を少し綺麗にしただけのコンクリートの小屋。風呂はなく、いつも夜中に近くのアリーナまで2分ほど歩いていってシャワーやトイレを使わなければならず、ガスもないためボンベ式のコンロを使うしかない。電気と水道は通っているのがせめてもの救いだ。

可動式の調理台に、簡易的な安っぽい机と椅子。小さな冷蔵庫に小さな電子レンジが乗っかっている。

六畳程度の空間にあらゆる生活用品を詰め込んだため、かなり狭く感じる。

さらには壁も床も打ちっぱなしのコンクリートで足元は冷たく、窓も小さな開閉式のがあるだけで、もはや監獄だ。

監視カメラや盗聴器の類は無かったが、この仕打ちにさらにそれらがあったらブチギレていた。山田先生に連れてこられた時は唖然としたものだ。その後の山田先生の謝罪もあまり耳には入ってこなかった。

…とりあえずカーペットだけでも注文しておこう。

 

気を取り直して走り出す。日課の朝のランニングだ。コレをやらなきゃ気が済まない。走ることで自身の待遇への不満を吹き飛ばす。そうでもしないとストレスを溜め込んでしまうからだ。

 

 

 

〜〜

 

 

 

二日目の授業。今日も今日とて織斑先生が教壇に立っているのだが…

織斑先生は咳を一つし、話を切り出す。

 

「織斑、お前のISだが、準備に時間がかかるぞ」

 

「へ?」

 

「機体に予備がない。学園の方で専用機を用意することになった」

 

その言葉にクラスが大いに沸く。専用機は彼女たちにとって憧れの的。それを学園からの支給で賄われるのだから、凄いことだ。

しかし織斑君はそのことの重大さに気付いていないようだ。

隣同士近所同士で話を盛り上げているクラスメイト達を見て何でそんなに反応しているんだ?と言いたげな挙動だ。

 

「えっ…何かすごいことなのか?」

 

そんな織斑君に後ろの席に座っていた黒髪ロングの鷹月静寐さんがひょこっと顔を横に出して、右手の人差し指を立てながら説明する。

 

「あのね織斑君、ISの中心部であるコアは篠ノ之博士しか作れない完全なブラックボックスで、全世界に467個しかないの。その中で完全にその人専用の機体になる専用機を持っているってことはすごいことなんだよ」

 

説明の通り、ISは世界でたったの467機。おおよそザクが12000機、ドムが6000機、大戦末期のゲルググでさえ2000機あったのだから、この数がどれだけ少ないことかがわかるだろう。地球降下作戦で使われたのがこれの総数の大体半分、プラスでズゴックやら戦車や戦闘機にガウに潜水艦…さらにはコレと比較できないくらいの数が連邦軍にはあって、それらでさえもまだ地球全土を支配するには至らなかったのだ。いくらISが高性能にしても、覇権を握る兵器にしては数が圧倒的に足りていない。しかもISの方がサイズは小さく、ジェネレーターも弱いため出力・攻撃力・防御力共に弱いのだ。ザク程度なら戦えるかもしれないが、ゲルググあたりになると絶対防御を貫通するほどのビームライフルにビームサーベル、ISの装備である実弾兵器とレーザー兵器をもろともしないほどの装甲を持ったMSに勝つ術はない。

しかしそんなことはこの世界には関係のない話だ。仮にこの話を俺がしても鼻で笑われるのが関の山、自分の心に留めておくのが吉だろう。

 

「そう聞いて安心しましたわ。私はエリートですから?『ブルー・ティアーズ』を持っていますの。専用機で訓練機相手に勝っても意味がないですから、丁度良かったですわ。」

 

いつの間に移動してたのか、オルコットさんは織斑君の前にまで出張って威張り散らかしている。昨日俺の前にいた時とは別人、いや俺と話した時の方が別人なのか?今の彼女は高飛車で傲慢な女の子に成り下がっている。

しかしそんなオルコットさんを尻目に織斑君は織斑先生に質問する。

 

「あの、星川さんはどうなるんですか?」

 

すると織斑先生の顔は少し曇る。

 

「…星川には専用機はない。ただデータ取りと自衛用に学園の方から一機訓練機が貸し出されることになった。星川は放課後に整備室まで来い。調整をする」

 

「はい、分かりました」

 

まぁ予想通りだ。基本的に俺の扱いは織斑のスペア、何なら有事の際は真っ先に切られる。専用機扱いにあたる訓練機を貰っただけでもありがたい。それにそもそも一週間後の戦闘の際に乗り慣れていない専用機で出る方がしんどい。ぶっつけ本番で十分に機体の性能を発揮できるような人間はシャア先輩くらいなものだ。

 

しかしそんな考えは俺だけのようで、織斑君は不公平じゃないか!と織斑先生に詰め寄っている。これでも織斑先生は色々掛け合って訓練機を俺に渡してくれたのだろう。ありがたいことだ。

そしてクラスの皆んなは俺だけ専用機じゃないと分かって完全に俺が負けると確信しただろう。ヒソヒソ話しているのが聞こえて来る。オルコットさんも何か言いたげな様子だが、あれだけ織斑君に啖呵を切った以上俺に物言うことが出来ないようだ。

 

しかし、みんな甘いなぁ。誰がその訓練機に乗ると思っているのか。

俺が何もしないと思っているのか。

俺にだってプライドはある。努力もする。対策もする。俺は元々負けん気の強いタイプだ。こうやって言われて黙って引き下がるような人間じゃない。

絶対勝ってやる。

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

お昼ご飯。基本的に俺はメシは一人で食べる派だ。前世でもマリーダと一緒に食べるようになるまではそうだった。

 

このIS学園の食堂は非常に大きく、全校生徒がキッチリ入るように出来ている。食券は買うのではなく好きなのを押せば良く、制限も基本的にはない。ただあまり他人の迷惑にはならないように、独占等は生徒会から禁じられている。

大多数は食堂を利用するが、一部は自分で弁当を用意するようだ。しかし弁当を自作する人はごく僅かで、殆どの人が食堂または各校舎一階にある購買部でパン等を買う(というよりお金はかからないので貰うという表現が正しい)らしい。

俺もそんな食堂の利用者の一人だ。

色んな視線を無視して唐揚げ定食を貰う。おばちゃんがサービスで大盛りにしてくれたのは俺の体が大きいからだろうか、何にせよ嬉しかった。

俺は極力目立たないように端っこの席に座り、1人で食べようとしていた。小さな半円状の机に、ソファがついたもので、何となくファミレスっぽい。

 

「隣良い?」

 

声のする方を見ると、トレーを持った金髪ポニーテールの女子生徒。リボンの色からして一年生だ。ただ、クラスでは見ない顔だ。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

彼女はサッとトレーを置き俺が座っているすぐ隣に座ってきた。

俺は端の方によって座っていたのだが、何故か彼女は俺よりの方に座ってきた。これはハニートラップかな?

 

「アタシ二組のクラス代表やってるティナ・ハミルトン。ティナって呼び捨てて。敬語とかもいらないわ」

 

中々グイグイくるタイプの娘だな。隣に座ってきて肩を寄せてくる。

 

「そうかい。知ってるかもだけど、俺は星川裕太。裕太で構わないよ。…それにしても少し近くないか?」

 

近過ぎて彼女のハンバーガーを食べる腕が少し当たっている。サバサバした感じの女性だが、天然なのか?

 

「まぁまぁ気のしないでよ裕太、織斑君だってさっきアッチで女子生徒達とご飯食べてたし、私達も良いでしょう?」

 

ティナの見た方向にはクラスメイトの子達と談笑しながら食べる織斑君。なるほど、モテ男君は俺と違って女性が寄り付いてくるのか。良い御身分だ。

 

「ティナは織斑君の所に行かなくて良いのか?俺は君みたいな可愛い子と食べれて嬉しいけど、君は織斑君と食べたいんじゃなのかい?」

 

そういうと彼女は首をフルフルと振る。

 

「嫌よあんなヒョロくてガキっぽいの。私は貴方みたいなガッチリした体の大人っぽい男が好きなの」

 

珍しい人もいるもんだ、とも思ったが十中八九ハニートラップなのが今ので分かる。俺との接点を無理にでも作るつもりだろう。

 

「そりゃ光栄だ。だけど少しだけ離れてくれ。食べにくい」

 

「ん、悪かったわ」

 

意外にも俺の言葉を素直に聞いてくれるティナ。なんとなく熟年夫婦みたいな会話になっている気がするが、まぁ気にしない方が良いだろう。

 

「オッ、裕太じゃん。俺達も混ぜろよ!」

 

そんな中でいきなりティナとは反対側の俺の隣の席にどかっと座り込んでくる女生徒と、その奥に続けて座る女生徒3人。

隣に座ったのはダリルでその隣はフォルテだ。しかしその奥の2人は…

 

「今日の練習で一緒にやることになった私達の友達っス。こっちがグリフィン・レッドラム、こっちがベルベット・ヘル。どっちも3年生っス」

 

「ハーイ、私のことはグリって呼んでね!これでも一応ブラジルの代表候補生だよ」

 

「私はベルで良いわ。そこのちっこいのと同じギリシャ代表候補生よ」

 

「ちょ、ベル!!」

 

ベルにいじられたフォルテの隣に座っているのがグリ。彼女は輝く青空の様に綺麗なブルーの髪を黄色のリボンで一つに結ったポニーテールのラテン系の活発な女性。笑顔で自己紹介する彼女は近所の優しいお姉ちゃんって感じだ。

一方そのさらに隣に座るベルは真っ白な肌に真っ赤な少し跳ねた長髪の女性で、メガネをかけているからかクールな印象だ。

 

「こちらこそよろしく、グリ、ベル。今日の練習はよろしく」

 

そんな自己紹介が終わった所でダリルの魔の手がティナにのびる。

 

「オイオイティナちゃんよぉ、抜け駆けは禁物だぜ?2人で甘いランチタイムなんてのはこのIS学園じゃ御法度だ」

 

意地悪な顔で煽るダリルに、ティナは変わらず飄々と応戦する。

 

「それは私達の勝手でしょ?裕太も許可してくれてるし、貴女に言われる筋合いはないよ」

 

こうなるとダリルは弱い。IS学園の瞬間湯沸かし器と言えるほど、煽られた時のキレるスピードは速いのだ。

 

「何!?おいコラティナ!お前アメリカの次期代表候補生候補だからって今の代表候補生に生意気言って良いと思ってんのか?」

 

俺を跨いでの口論に巻き込まれる。ダリルは身を乗り出して怒ったため、俺に体が密着する。ふくよかなお胸が俺の手に当たっているのだが、気づいていない。こんな状況に乗じて少し手を動かしてその感触を味わったのはナイショだ。

 

そんな俺を他所に、ティナはダリルを無視してさらにヒートアップさせるが、ここで3人からストップがかかる。

 

「ちょっとダリル、後輩相手に大人気ないっスよ〜」

 

「そーそー。愛しの裕太君に構って欲しいのは分かるけど、だからってティナちゃんをダシにするのはどうかと思うよ〜?」

 

「ダリルは不器用なかまってちゃんね」

 

「んなっ!?そ、そんなんじゃねーよ!!大体俺はかまってちゃんなんかじゃ…」

 

ストップというよりおちょくっている。ダリルは怒りではなく、今度は羞恥で顔を赤く染めて反論するも、そんな振る舞いからして自ら墓穴を掘っている。

まともに宥めたのはフォルテだけ。後者の3年生2人はダリルと同級生ということもあって、随分な物言いだ。イタズラなお姉ちゃんのようなグリに、ストレートにズバッとダリルを抉るベル。

 

「何か4人を見てたら姉妹に見えてきたよ。まともな末っ子のフォルテに、暴れん坊な三女ダリル、そんなダリルの面倒を見る次女のグリに纏め役の長女ベルって感じだな」

 

俺の言葉にダリル以外は笑う。ダリルは拗ねちゃったが。

 

「誰が暴れん坊だよ…バカ……」

 

「ごめんってダリル。何か可愛らしいからそう言ったんだよ」

 

頭を撫でてご機嫌を取る。…やっぱりダリルは妹だな。

 

「それにしても…ダリルが妹って…アッハハハハ!!!」

 

「ダリルお姉ちゃん…うん、悪くないっスね!」

 

「私は嫌よ、こんな手のかかる妹達なんて。それより貴方が弟の方が良いわ。」

 

机をバンバン叩いて大笑いのグリに何か納得した様子のフォルテ、キッパリと切り捨てるベル。

三者三様の反応に俺は苦笑い。

すると隣からチョンチョンと肩を小突かれる。

 

「それ、わたしにもやって」

 

1番ヤキモチを焼きやすいのはティナみたいだ。ティナは五女だな。食いしん坊キャラも相まって、どこぞの五つ子の花嫁の漫画みたいだ。

 

そんな感じに騒いだせいで当初の俺の意思とは裏腹に食堂で1番目立ってしまった。

こんな空気が織斑先生が来て注意するまで続いた。鬼のような形相までになって織斑先生が怒ったのは、実は嫉妬が入っていたからなのだが、それは誰にも分からない。織斑千冬は案外可愛らしい性格の持ち主なのだ。

 

 

〜〜〜

 

 

放課後。生徒は思い思いのことをして過ごすこの時間、俺は指定された場所へと来た。

整備室。オイルやら鉄の錆の匂いがするかと思いきや意外と換気がしっかりしているのか、無臭だ。

機体が一つの区画に一機ずつ入れる様になっていて、小さなクレーンやらケーブルやらが多いが綺麗にまとめられ、灰色というか銀色っぽい壁と合わせて小綺麗な印象だ。少なくともジオンの基地よりは綺麗。

さて、織斑先生は行けば分かると言っていたが…

 

「あ、ゆーゆーだーー」

 

ラファール・リヴァイブがかけられたハンガーデッキにのほほんとした垂れ目萌え袖の少女の布仏本音さんと、対照的に吊り目三つ編みメガネという真面目系な上級生が立っていた。

 

「コラ!本音、星川さんでしょ?」

 

「え〜、ゆーゆーはゆーゆーだよー、お姉ちゃん」

 

なるほど彼女達は姉妹のようだ。どことなく雰囲気が似ている。

 

「貴女方が私の機体の整備をしてくださったのですか?」

 

「えぇ、私は3年生整備課の布仏虚といいます。こっちは妹の本音です。紛らわしいと思うので、私のことは虚と呼んでください。」

 

「よろしく〜ゆーゆー。私も本音で良いよ〜」

 

頭を下げる布仏先輩と萌え袖を振る布仏さん。なんともまぁ真逆な反応だ。

 

「よろしくお願いします、虚さん、本音さん」

 

俺がそう言うと2人とも少し吹き出す。

 

「呼び捨てで良いってば〜ゆーゆー」

 

「フフッ、私達も同級生ですし、呼び捨てで構いませんよ。私が敬語なのは癖みたいなものですので、気にしないで下さい。」

 

「分かった。俺も裕太で良いよ」

 

「それじゃあ早速説明します。知っての通りこの機体はラファール・リヴァイブ、フランスのデュノア社が設計した第二世代型ISです。乗ったことがあるので分かると思いますが、特徴としてはかなり移動速度が速く、第三世代にも引けは取りません。さらに拡張領域(パス・スロット)が広く、多くの武器を格納出来ます」

 

「後はゆーゆーのために少しスラスターを増やしたんだよー。ゆーゆーはもっと速く飛べるんじゃないかーって織斑先生が言ってたのだー」

 

流石は織斑先生、そこは見抜かれていたか。

 

「しかし注意点を一つ。この機体は裕太君専用機ということで、使用する度にデータがIS学園のコンピュータに送信され、逐一情報を抜き取られてしまいます。そこは…すいません、我慢して下さい」

 

それくらいは了承済みだ。

 

「あぁ。分かった。」

 

そう言うと2人とも笑顔になる。いや、本音ちゃんはずっとそうだったけど。

 

「この後アメリカ代表候補生のダリルさんと練習されると聞いています。頑張って下さいね」

 

「ん、ありがとう」

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

一週間後。アリーナには1組だけでなく、他組や他学年、更には教師達までスタンドに座っている。

 

そしてフィールドには既にオルコットさんがブルーティアーズを纏い、星川裕太と対峙している。

 

「ねぇねぇ、ダリルはどっちか勝つと思う?」

 

そのスタンドの中央、丁度ど真ん中の席にフォルテ、ダリル、ベルベット、グリフィンは陣取っていた。

 

「そんなん裕太に決まってるぜ。何たって俺たちやティナと練習したんだからな」

 

「あと山田先生や織斑先生まで練習に付き合ってたっスからねぇ〜。そんな中でも五分以上に渡り合ってた裕太は負ける訳ないっス」

 

「更には私と“2人っきり”でオルコットさんの映像を分析して作戦を立てたから。これで負けたらオシオキものよ」

 

「んな!?オイ、ベル!!お前まで抜け駆けしたのか!?」

 

「うわー、流石清楚系ビッチっス。やる事が悪どいっス」

 

「…ベル、後でその話聞かせてもらうよ。」

 

ベルベットの爆弾発言で一気に周りの空気の気温が下がったが、4人の顔は裕太の勝利を信じて疑わないものだ。そしてそれは少し離れた場所で友達と観戦しているティナも同じこと。

 

「ねぇねぇ、あの星川って人勝ち目無いんじゃない?」

 

「そうそう。代表候補生に喧嘩売っちゃってさ。織斑君と違って一般人なんでしょ?身の程知らずにも程があるよ。ね、ティナ?」

 

ティナは一緒に来たクラスメイトの話に内心軽蔑する。織斑一夏は確かにブリュンヒルデの弟で、毎日篠ノ之箒と剣道の訓練をしていたとしても精々その程度。

自分だけでなく2年生3年生の代表候補生だけでは飽き足らず、山田先生、そしてあのブリュンヒルデとも熾烈な訓練をしてきた彼のことだ。何も知らない貴女達とは違う。そんな考えが頭の中にはあった。

 

「さぁ?意外とやるかもよ?」

 

そんな彼女の一言は、他の女生徒達の少し先の未来を予言するものとなる。

 

 

 

ーーー

ーーー

 

 

「待たせたね」

 

不満な気持ちを一才隠さず俺を睨みつけるオルコットさん。その気持ちは俺じゃなくて倉持技研に言ってくれ。

 

「レディを待たせるのは紳士としてどうかと思いますわよ」

 

「それはごもっともだ」

 

そして俺達は黙り込む。オルコットさんは右手に持っていたエネルギーライフル、スターライトMK.Ⅲを構える。

スコープを覗き込み、俺に照準を合わせたのだろう。もう撃つ気満々だ。

確かにそれなら織斑君には先手を取れただろう。だが俺は違うぜ、お嬢さん。

 

『3、2、1、試合開始!!』

 

山田先生の号令が終わった瞬間、オルコットさんが引き鉄を引く。

そして俺は待ってましたとばかりに急降下、地面に降り立つ。

 

「な!?」

 

驚きワンテンポ遅れるオルコットさんに、俺は対物ライフルを取り出して下から狙い撃ちする。普通ISバトルではいつも地面に立っているように地面に垂直に、足を下にした姿勢で戦う。そうでもなければ重力に引かれて血が頭に昇るし、ISの操縦も上下逆になったり左右が反転したりで難しくなるからだ。

 

しかしそんなこと俺には容易いことだ。宇宙では上下左右の概念はない。そこで培った経験を活かして機体を上下左右反転させて縦横無尽にアリーナを飛び回る。観客も驚きため息を吐く程アクロバティックな動きに、オルコットさんも動揺を隠せない。

 

「くぅ、狙いが定まりませんわ!!」

 

そう、オルコットさんが得意とするのは正確な射撃、つまり静止している相手や直線的に動く相手には無類の強さを発揮するが、逆に動き回る、それも上下左右不規則に高速で移動する相手には撃つことさえ出来なくなる。彼女の完璧主義的な性格が仇になっているのだ。これはベルが教えてくれたことだ。

 

そんな中で俺はアサルトライフルに持ち替えて射撃している。かつてのような高速移動中の精密射撃は今は出来ない。ならばせめて連続で弾を発射して少しずつ削って勝つしかない。

 

しかしそれでやられっぱなしになるほどオルコットさんも腐ってはいなかった。

 

「ブルー・ティアーズ!!行きなさい!!」

 

4機のファンネル、いやBT兵器がオルコットさんの背中から発進、俺の真横を挟む形で陣取られる。そして放たれるエネルギー弾の雨に俺は劣勢を強いられる。

この手の兵器の弱点はマルチタスクを必要とするためかなりの集中力を要することだ。かくいう俺も当時は苦労した。そして彼女も例に漏れず制御に手一杯で、本体が動かなくなってしまうという欠点を抱えている。(byベル)

 

それでも4機を相手にするのは厳しいものがある。ニュータイプ能力の無い今、全てを反射神経で避けなければならないため、オルコットさん同様こちら側もかなり神経をすり減らす攻防が続く。IS版神経衰弱だ。

 

斜め右、左下、直上、急降下、反転…あらゆる手を尽くして回避しつつ、アサルトライフルから持ち替えたスナイパーライフルで各個撃破を図る。

観客、そしてオペレータールームの織斑、山田の両先生までもが引き込まれる様に集中して見入る。唯一織斑一夏だけがなんか凄いなぁ程度の感想を抱いている。

 

(凄い…流石です、裕太さん……)

 

観客席で1人見守る箒ちゃんが手を胸の前で握って祈る姿が見えた。心なしか箒ちゃんの想いも伝わってくる。

 

頼むぞラファール、俺を導いてくれ。

優しく光ったラファールを駆り、俺は一機のブルー・ティアーズの前に出る。

 

「先ずは一つ!」

 

オルコットさんは撃とうとして停止させたブルー・ティアーズの銃口前に出てきた俺に動揺し、動きを止めてしまう。

 

まだまだお子ちゃまだな。

 

俺はスナイパーライフルの銃先をブルー・ティアーズの銃口に入れ、発砲。中から爆発して落ちていった。

 

「な、なんて戦い方…っ!」

 

「驚く前に動くべきだぜ」

 

戦場では一時の気の緩み・動揺が命を刈り取る。俺は続け様に取り出したブレードで残った3機を斬る。

 

「さぁ、あとは本体だけだ」

 

オルコットさんは獰猛な笑みを浮かべる俺に恐怖する。こんなのは知らない、と。彼女自身、ここまで優位に試合を進められてしまったのは初めてのことなのだ。

 

「まだ…まだ勝負は終わっていませんわ!!」

 

やっと気づいたか。オルコットさん。

 

何事においても大事なのは、最後まで諦めず努力を続けることだ。普段は薔薇の如き華やかさを持つ彼女だが、今の彼女を形容するならば道端のタンポポだろう。踏まれても折れずに、逞しく花を咲かせるタンポポが、俺は何より好きなんだ。

 

後ろに逃げながらも、的確に俺の進路を狙い撃つオルコットさん。

 

だが、俺にも負けられない理由がある。俺を指導してくれたみんなのためにも、必ず勝つ。

 

シールドエネルギーを減らしながらも突撃する。オルコットさんとの距離が3m、2m、1m…ここだ!!

 

俺の振り下ろしたブレードは、オルコットさんの首付近にあたり、絶対防御を発動させる。急激に減ったシールドエネルギーはあとわずか。

 

「トドメだ!!」

 

ドン!!と残っていた対物ライフルの弾を腹部に当て、シールドエネルギーを削りきった。

 

『セシリア・オルコット、シールドエネルギーエンプティ。勝者、星川裕太!!』

 

ワァァァァァァ!!!!

観客席からは割れんばかりの大歓声が飛ぶ。皆一様に拍手をし、俺達の健闘を称える。

 

「よっと、大丈夫か?オルコットさん」

 

機体を維持できなくなったブルー・ティアーズが強制解除され、空中で生身となったオルコットさんをキャッチする。お姫様抱っこのような形になり、客席からキャアッ!!と黄色い歓声がする。

 

「んん…星川、裕太……」

 

少し気絶したのか、閉じていた彼女の目が開く。

 

「お目覚めか?試合は終わった。ピットへ戻ろうか」

 

俺は彼女を抱えたままピットに入り、観客から見えなくなったところでそっと降ろす。

 

「私は負けたのですね…」

 

落ち込む彼女。こうなるとは分かっていたが、少し胸が痛む。

だがこのまま終わるわけじゃない。次に繋げて欲しい。

俺は若い彼女を励ますことにした。

 

「あぁ。だが、君はこのまま終わるのかい?」

 

「えぇ…あれだけ大口叩いて、クラスの皆さんの前では日本の悪口を言って…もう終わりですわ……」

 

彼女の火が消えかかっている。…あまりやりたくはないが、やるしかない。久しぶりに俺は怒りに震えた。

俺はISを解除して降り立ち、彼女の前に立つ。

オルコットさんがこちらを向いた時…

パァン!! と、頬を引っ叩いた。

 

オルコットさんは赤くなった左頬を押さえて、何が起きたのかわからない様な顔で俺を見る。

 

「挫けるな!!君は、君はその程度の人間か?オルコット家の当主はそんなものか!!」

 

怒鳴る俺にビクッと体を震わせる。

 

「いいか、よく聞け。君は生きているし、これから先人生は長い。IS学園での生活だって始まったばかりじゃないか!その…その途中で君は投げ出すのか!!」

 

段々と彼女の目が反抗的になってくる。そうだ、その調子だ。

 

「君は優秀だ。そして勇敢だ。さっきの戦い、俺も君も本気でぶつかり合ったじゃないか。最後まで諦めない君の姿勢に、俺は惚れたんだ!!なのになんだ、今の君は!!まるで死にかけの鳥じゃないか!!羽を無くした死にかけの鳥じゃないか!!」

 

オルコットさんの体がワナワナと震えてくる。あともう少し。

 

「さっきまでの君の羽はどこへやった?どこへ捨てたんだ!!いってみろ!!」

 

遂に堪えきれなくなったオルコットさんが、やっと奮起する。そうだ。それが君だ。

 

「私はまだ羽を捨ててなどいません!!まだ、まだ飛べます!これから先、もっと高く、空の果てまで飛んでみせますわ!!!」

 

心を曝け出す。それが、一度折ってしまった心を溶かし、再度新たな心を精製することもあるのだ。

 

俺はそんな彼女を見て、やっと表情を軟化させる。懐かしいな、こんな表情をするのはいつ以来だろうか。一度死んだ時以来じゃないかな。

 

「そうか。戻ってきたみたいだな、オルコットさん」

 

彼女の晴れやかな表情は、豪雨の後の虹のように燦然と輝いている。

 

「えぇ。立ち直れましたわ」

 

「ん。あとはみんなに謝っておきな。この一週間、ずっと1人だったろう」

 

「えぇ…皆さんは、許してくれるでしょうか……」

 

「大丈夫。君が誠心誠意謝れば、必ずみんなに伝わる筈だよ。…じゃあ俺はこの後織斑君と戦うから」

 

そう言って振り向こうとすると、オルコットさんに引き止められる。

 

「待って下さい。その…裕太さん、とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

 

縋る様な表情の彼女が、不覚にも犬に見えてきた。

 

「良いよ、“セシリア”」

 

俺はもう一度ラファールを身に纏い、カタパルトから発進する。

 

「織斑先生、続けて戦います」

 

『あぁ。丁度良いハンデだな。ククク……』

 

…悪い先生だこと。

 

 

 

 

 

〜〜ーー

 

 

 

 

「疲れた〜」

 

二試合を続けて戦ったことで、疲労はピークに達していた。

 

「ゆーゆーは強かったねぇ」

 

俺の目の横に座る本音が、ボヤく。

アリーナの中のロッカールームに本音と虚、ベル、グリ、ダリル、フォルテが労いにやってきたのだ。

 

「本当です。しかも織斑君にはブレード一本しか使わないなんて」

 

「あぁ。織斑のヤツ、雪片弍型と白式を使って翻弄されてたもんなぁ」

 

「でも思ってたよりオルコットちゃんとの戦いは接戦だったよねぇ」

 

「そうっス。でもなんだかんだまだ初心者の裕太が代表候補生に勝ったのは衝撃っスねぇ。特に他の生徒にとっては」

 

そんな中でもベルは得意げな表情を浮かべる。

 

「私の作戦が良かったからね」

 

その後も俺がベンチで座っている前でワイワイ騒ぐ3年生+フォルテ。本音は本音で俺が差し入れてもらった塩飴を舐めて酸っぱそうな顔をしている。…何も運動せずに舐めたらそうなるよ。

 

「本音、スポド飲むか?」

 

「いるー」

 

塩分をさらに取らせる俺はかなりの鬼畜だろう。しかしそれも何の抵抗もなく飲む本音にはビックリだ。しかも俺の飲みかけなのに…

 

賑やかなのも悪くないな。そう思えた。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

サァァァァァ…

 

ノズルから出る暖かいお湯が自身の絹のように綺麗でシミ一つない白い肌の上を跳ねる。そしてそのお湯は自慢の均整の取れた体をなぞる。

しかしそんなお湯さえも冷たく感じるほど、彼女の心は熱っている。

 

「星川…裕太…不思議な人……」

 

思い返せば小さい時に母に怒られて以来数年ぶりに人に怒られた。しかしそれは、自分自身を思って、赤の他人の自分を想ってのもので…

そう思えば思うほど心が温まる。

 

自分と織斑一夏の試合が終わった後、彼の部屋に行った時もそうだった。

自分の身の上話を親身になって聞いてくれて、その上で

 

「頑張ったな、セシリア」

 

と頭を撫でてくれて。

…まるで親のようだ。

そして私は親についても話した。

実の父はとても弱く、母や自分のご機嫌ばかりを伺うような人だった。母の会社でもいつも他の人に頭を下げる、そんな父が嫌いだ。

それを話した時、彼はこう言った。

 

「それはお門違いだよ。君のお父さんは君と君のお母さんのことを守っていたんだ。君のお母さんは立場上色んな僻みや嫌がらせもあっただろう。それを自分を盾にして守っていたんだろうさ。まぁ予想だけどね。

ただこれだけは言えるってことがある。それは君のお父さんは紛れもなく君のお母さんと君を愛していたってことだ」

 

私はその言葉に、長年感じていた重りが外されたような気がした。

何もかも貴方のおかげです。貴方は私のナイト様みたい。

 

私がそう言うと彼は顔を曇らせた。

私と同様、貴方も辛く悲しい過去を背負っているのでしょう。でもそれを取っ払うだけの力は私にはない。

いつか、今日貴方に助けられたように。今度は貴方を救ってみせますわ。

覚悟していてください、裕太さん。

 

 

 

 




好きなキャラ3人あげれば大体好みがわかると言ったら、結構感想で教えてくれた方が多くて嬉しい限りです。
因みに私の好きなキャラは、
野上冴子(シティーハンター)、マリーダ・クルス(ガンダムUC)、シロナ(ポケモンDPPt)
お姉さん、年上系ですね。他の好きなキャラ見てもその傾向があります。リアルに妹がいるので妹キャラがあまり好きでなく、甘えられる年上が好きなのかもしれません。つまりインフィニットストラトスの年上系は……


あと専用機はラファールリヴァイブです。やっぱり専用機持ち達と訓練機で互角以上に戦ってこそ強者感があるかなと思いまして。それに専用機で変なワンオフアビリティーなんか持ってたりしたら、元々チートな主人公が更にチートになっちゃうんでね。

あと色々ISキャラのバストサイズを調べたんですが…

ヴィシュヌがDカップ?絶対違う。少なくともGくらいある。
ISキャラは何か絵に比べて設定のサイズが小さいことが多いですが、ヴィシュヌのあのはちきれんばかりのバストでDカップはない。
多分シャルDセシリアEのほほんF刀奈GスコールH箒I束J真耶Kくらいはある。多分こんな感じ。
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