ジオン軍人がインフィニットストラトスの世界で生きる。   作:ゆかなおっぱい

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今回、あるお方が登場します。そしてあの人も。



ジオンの亡霊

ーーーニューヨーク

世界有数の巨大都市であり、数々の高層ビルが立ち並ぶこの街で一際大きいビルの一室で、真っ白なバスローブに身を包んだ緩いウェーブのかかった金髪の妖艶な美女が、携帯電話を片手に部屋をウロウロしている。表情から見ても何か逼迫した状況に置かれているのは間違いないだろう。

 

「どういうこと?一夜で本部が全滅ですって!?…あ、ちょっと!もしもし?もしもし!?…マズイわね……」

 

「どうしたんだよスコール…そんなに慌ててよ」

 

同じ部屋にあるベッドから、スコールと呼ばれた彼女と同じく白のバスローブを着た橙色の髪をしたアジア系女性が気怠そうに出てきた。まだ夜も開けていない時間ではあるが、昨夜の情事の疲れもあるのだろう。

しかしそんな泣き言を言っている場合では無かった。

 

「大変よオータム、ウチの本部がやられたわ。しかも全滅よ、全滅!私達もここを出ましょう、次はアメリカが狙われるらしいわ」

 

「何だって!?…オイ、M起きろ!!聞いてんのか!?」

 

「あぁ、聞いている…だが何処へ逃げるというんだ」

 

「日本…レインのいるところに一旦行くわよ…」

 

そう言ってMと呼ばれた少女も含め3人は手っ取り早く荷物を纏め、ホテルを出る準備を丁度整えた時だった。

スコールの携帯がまた鳴った。非通知からの着信に警戒するも、取ることにする。

 

プルルルル…プルルルル…ピッ

 

「もしもし?どちら様?」

 

『貴女は亡国機業のスコール・ミューゼルさんかな?』

 

電話の相手は中々渋い声も男性。知らない男の声にスコールの警戒MAXになる。

 

「だとしたら?」

 

『貴女の所属している亡国機業を倒したのは私だよ』

 

「…っ、貴方は何者なの?自分の名前くらい名乗ってほしいわね」

 

『名前か…それは今は言えないな…ただ、我々の組織の名前だけでも教えてあげよう…我々は“ジオン”、宇宙から舞い降りた鉄の騎士団だ』

 

そこまで言った後、すぐに電話は切れてしまった。

 

「ジオン…許さないわ、絶対に…!!」

 

 

 

 

 

 

 

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「そこだ!!」

 

『なぁ!?酷いっスーーー!!』

 

今日も今日とてアリーナでの訓練。段々軍にいた頃の動きをISで再現出来る様になってきたため、勝率はグングン上がっている。

そして今回はゲストとして織斑君と箒ちゃんを呼んでいるため、俺、たっちゃん、ダリル、フォルテ、ベル、グリ、ティナ、セシリアと合わせて10人、アリーナの同時使用可能上限で行っている。オペレーターをしている虚と本音を混じえて5vs5のタッグ戦を行なっている。

チームは、ダリル班のたっちゃん、フォルテ、ティナ、織斑君とベル班のグリ、俺、箒ちゃん、セシリアで別れている。

そしてさっきのは俺がフォルテのコールド・ブラッドをグレネードで仕留めた時のシーンだ。

 

『クソッ、俺が支援してんのに…何て速さだ!!』

 

「虚と本音に出力を1.5倍にしてもらったからな。最高の調整だよ」

 

『フフッ、ありがとうございます♪裕太君、5時方向よりダリルちゃんが』

 

「了解」

 

状況は大詰め、既にティナ、織斑君、箒ちゃん、セシリア、フォルテは敗北、ダリルと俺の一騎打ちとたっちゃんvsベル&グリコンビで、俺以外はもうシールドエネルギーが20%を切っている。

かくいう俺のシールドエネルギーも30%程度しかない。勝負は一瞬だ!!

 

「覚悟しろ!!ダリル!!」

 

「へっ、臨むところだ!!」

 

ダリルのヘル・ハウンドver2.5の繰り出す拳と、俺のラファールのブレードがぶつかり合う。

 

大きく火花が散り、激しく鍔迫り合うが、筋力の差で俺が押し切り、勝利。丁度同じタイミングでたっちゃんをベルグリコンビが仕留めたようだ。

 

全員が地面に降り立った後、本音と虚も混じえて反省会をする。その後それぞれの課題に合わせた個人練習をする。

 

「取り敢えずお疲れ様。各自課題がわかったところだし、個人練習に移るか」

 

セシリアとティナは偏向射撃、ベル&グリ、ダリル&フォルテは連携の練習をお互いする。そして俺達初心者組とたっちゃんはというと…

 

「じゃあ私達は裕太君と織斑先生の試合を見学しましょうか」

 

「えっ!?千冬姉と裕太さんっていつも試合してるんですか!?」

 

「いつもやってるわ。それも相当レベルの高いのをね。箒ちゃんと織斑君は私と一緒にそれを見て技術とかを盗むのよ」

 

それを聞いて織斑君の顔が怒りに満ちてくる。…何か変なことを言ってたか?

 

「楯無さん!!人の技術を盗むってどういうことですか!?千冬姉の剣術は千冬姉の物ですよ!?」

 

それを聞いて俺達は一瞬何を言っているのか理解出来なかった。…たっちゃんと箒ちゃんと顔を見合わせた後、なんとか言葉を噛み砕いて理解した俺が聞く。

 

「あー…君は人の技術を参考にしたりはしないのか?」

 

「当たり前でしょう!!」

 

…なんて奴だ……

しかし意外にもそんな彼を諌めたのは箒ちゃんだった。

 

「一夏、人の技術を見て盗むことは良くあることだぞ…剣道でもそうだ。素振りの仕方だけ教えて後の技術は見て覚えろ、そういう教え方だってあるんだぞ?」

 

そんな金言にも納得がいかない様子。ここまでシスコンを拗らせているのは、一体何故なんだ…

そんな織斑君の態度に箒ちゃんもたっちゃんも気を揉んでいると、後ろから声をかけられる。

その声の主は非常ににこやかで、寧ろ怖さまで感じる笑顔をしていた。

 

「星川、今日は昨日山田君に変わった分まで戦うぞ」

 

抜群のプロポーションを紺色のISスーツに包んだ織斑先生は既に打鉄を纏っており、今にも戦いたそうにウズウズしている。

 

普通毎回毎回同じ相手とやり合うというのは飽きてくるものだが、彼女は別格だ。近接格闘能力については素晴らしい技術を持っている。MSとは違ってISは生身の能力が非常に重要になるため、あまり剣道や剣術などが兵学校時代から得意でない俺からすれば彼女との戦闘経験は中々貴重な財産となるのだ。

 

「千冬姉!!他人の試合を見て技術を盗むのって、普通なのか!?」

 

「当たり前だ。それと、織斑先生と呼べ。…さぁはじめよう!」

 

必死にすがる織斑君を袖にして飛び上がる織斑先生。織斑君は凄くショックを受けているが、これで分かったことだろう。

他人の技術をどれだけ自分のモノにできるか。これはどの分野でもそうだが、その人の成長スピードを大きく左右するものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

ーーーーー

 

 

 

アリーナの使用可能時間が終わり、男女で別れてロッカールームでシャワーを浴び、着替える。俺と織斑君は先に終えて合流地点で待っていると、鈴がやってきて尊大な態度で織斑君に問う。

 

「一夏、あれから反省した?」

 

逆に聞きたい。鈴は反省したのかと。 

しかし2人の話だしそもそも鈴が俺のことを完全に無視している今、言っても流されるだけだろう。

そして肝心の織斑君はなんで怒られているのか全く分からないらしい。

 

「悪かったとは思ってるよ…でも、意味が分からないんだ。違う意味って何だよ」

 

織斑君は鈍感だなぁ…

「大きくなっったら私の酢豚、毎日食べてくれる?」

これ聞いたらある程度は分かるだろう。結婚までは考えられなくとも、かなり親密な関係であることは文章から分かるはずだ。

 

「んなっ…それは、その…自分で考えなさいよ!」

 

そして鈴は鈴で全く素直になれない。しかもそれで織斑君が悪いと言って責任転嫁している。これじゃあただの堂々巡りだ。

そしてそんな鈴の態度に織斑君も次第に自制が効かなくなってくる。

しかも運の悪いことに、女性陣がこのタイミングでやってきてしまった。

 

「だから、考えたけどわからないから教えてくれって言ってんだよ!」

 

「何よ!大体アンタはいつもいつも分からず屋なんだから!この唐変木!!」

 

「うっせぇ、貧乳」

 

織斑君の発言で場が凍る。

あーあ。

 

女性の身体について男性側から物申すのは絶対にやってはいけない。基本的に現在は世間的にセクハラも厳しくなってきている。もし褒めるにしても密接な関係で、肉体的コミュニケーション(所謂アレ)をヤる時だけだ。

 

鈴は完全に怒ってしまい、怒りに震える拳に専用機『甲龍』を部分展開し、横の壁を殴ってめりこませていた。

 

「言ってはならないことを言ったわね…」

 

「あ、いや…」

 

織斑君も流石に言わない方が良かったと思ったのだろう。顔を青くして焦っている。

しかし鈴の怒りは既に絶頂。完全に怒らせてしまったようだ。

 

「次のクラス代表戦、ぜっっっったいアンタをぶっ飛ばす!!」

 

怒りながらガニ股で帰る鈴がなんか鬼のように見える。

くわばらくわばら。

 

「パワー系ですわね」

 

「あぁ、それに結構力もあるみたいだぜ」

 

「うわぁ…クレーターみたいになってるっス」

 

「ハァ…これは生徒会でまた処理しなきゃ…」

 

代表候補生組の冷静な観察と生徒会組の仕事が増えたことに対するため息が、鈴に対する皆んなの関心と初期評価が表れている。

 

さぁ、織斑君はどうするのか…見ものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

やっぱりと言っていいだろう、予想通り織斑君は鈴を全く意識せずにこの日まで来た。鈴は鈴で陰でチラチラ織斑君を気にしていたようだが、勿論仲直りの類ではなく、織斑君が謝ってくれるのを待ち望んでいただけだった。

お互いすれ違って数日、今日の試合でまた一悶着あるんじゃないだろうか。

 

俺は織斑先生、山田先生、セシリア、箒ちゃんと一緒に管制室で観戦している。

試合はついさっき始まったばっかり。

いきなり鈴の専用IS『甲龍』の近接格闘武器である青龍刀の双天牙月を投げ、織斑君にダメージを与えた。

 

『今のはジャブだからね』

 

勝気な鈴はそのまま双天牙月で押し切ろうとするも、そこは剣道経験のある織斑君、しっかりと反撃し体勢を整える。

 

しかし鈴にはまだ龍砲が残っており、それで織斑君を撹乱、攻撃して一気にシールドエネルギーを削っていく。

龍砲は空気を圧縮して放つ不可視の弾丸なため、織斑君は苦戦しているようだ。

それを見たセシリアが苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「厄介ですわね…見えない弾なんて避けようが無いですわ」

 

「さぁ、それはどうかな?」

 

しかしそれも俺の目なら癖を見抜ける。それは

 

「鈴は龍砲を撃つ時、全部目を細めるんだ。あれで狙いを定めてるんだろうけど、あれじゃ丸わかりだな」

 

「クックック、お前も気付いたか星川。鈴の龍砲はそれさえ気をつければ当たることは無い」

 

織斑先生も俺に同意する。流石は元ブリュンヒルデ、見る目がある。

しかし見抜けなかった3人はそれを確かめようと鈴の目に集中する。

 

そんな時だった。

いきなり管制室のパネルに警告の文字が出て、その数秒後

 

ドッカーーン!!!!

 

という爆音がアリーナの中心から鳴り響く。舞っていた砂塵が晴れてくるに連れ、謎の物体の影が段々クッキリとしてくる。

完全に晴れると、そこには銀色の武骨な見た目の機械が立っていた。

さらに此方では何もしていないのにアリーナ全体が警戒レベル4まで上がり、自動的に隔壁が観客席を覆う。モニターを見やると、生徒達が慌てふためき混乱する様子が映っていた。

 

「不味い…織斑、鳳!!一度撤退しろ!後は教員部隊が対処する!」

 

『いや、敵はオレ達が倒します!!』

 

「な!?やめろ織斑!…クソッ!」

 

織斑先生の命令を無視して織斑君と鈴は敵のISに突進していく。

しかしそんな中、箒ちゃんの姿が無いことに気付く。

後ろを振り返るとドアが開けられている。どこかに逃げたか、それとも…

 

俺は箒ちゃんを探しにダッシュで管制室を出る。廊下を走り奥の階段を降りた時だった。

 

『一夏ア!!その程度の敵を倒せないで何とする!!』

 

「クソ、放送室か!」

 

織斑君が戦うのを見て我慢出来なくなったのだろう、放送室に行って応援する。しかしその行動は、今の状況では命取りになる。

敵ISは放送室の方を向き、銃口を箒ちゃんに向ける。

 

間に合え!!!

 

俺は放送室に入り怯える箒ちゃんの前に出てラファールを展開する。箒ちゃんの、文字通り盾になったのだ。

 

敵ISの高威力のレーザーが直撃し、フルだったシールドエネルギーは絶対防御を発動したせいで一気に0%まで落ちる。

 

「裕太さん…?…ッ!裕太さん!!血が…!」

 

一部装甲が破損し、内部の爆発によって太腿、背中から火花が散り、血が少し流れ出す。金属片も幾つか皮膚に突き刺さり、グロテスクな見た目になってしまう。

 

しかし敵ISはまだ健在だ。

俺は敵に隙を生み出すために対物ライフルを取り出し構えたと同時に発射。頭部に命中し、よろけさせる。

 

「…織斑君、鈴!…今だ、敵に突っ込め!!」

 

『分かった!!』

 

『…ッ、えぇ。分かったわ!!』

 

織斑君と鈴が敵に取り憑いたのを確認して、後ろを振り向き力が抜けたのか座り込む箒ちゃんと目を合わせる。

 

「箒ちゃん…君は、管制室に戻れ…」

 

痛みを堪えてなんとか声を絞り出す。

しかし箒ちゃんは動かない。もう頭が混乱してまともに考えられないようだ。

 

「で、でも裕太さんが…」

 

「いいから!!早く!!織斑先生のところへ行くんだ!!」

 

俺に怒鳴られ、フラッとしながらも何とか走り出すことに成功する。

それと同時に織斑先生から通信が入る。

 

『星川!!そこから逃げろ!!近くにもう一体いる!!』

 

なんだって…!?恨言を言いたくなるが、そんなこと言えるだけの暇はない。

刹那、頭に電撃が走る。映像が頭の中で再生される。

 

「…いいえ、そいつは俺が対処します」

 

『何言ってるんだ!?その傷じゃ…』

 

織斑先生の声色には焦りと心配が色濃く反映されている。俺のことを思ってくれているからこそ、ああやって言ってくれているのだろう。しかし

 

「俺がやらなきゃ…誰かが、俺の代わりに…犠牲になってしまう…それならISを持っている私が…対処します」

 

痛みと出血が増えてきて、ますます声が出なくなる。

 

『待て!!そr』

 

申し訳ないが時間が無い。織斑先生との回線を一方的にぶち切って、さっきの映像と同じ場所へ急行する。

そこへ着くと、本音がまた違うISに銃を向けられていた。しかもそれは見覚えのある形。

緑色のボディに円盤状のマガジンののったマシンガンを携えた赤目の機体。

 

「ザク、だと!?」

 

驚くのも束の間、すぐに本音を庇うように抱え込み、スライディングする。

しかしダン!!と一発だけ放たれた銃弾が俺の左肩を貫通し、更に出血が酷くなる。

 

「ゆーゆー!!血が…!!」

 

いつものほんわかとした笑顔ではなく、切羽詰まって目を見開き俺を見つめる本音。

 

「間に合って、良かった…本音…お前も、管制室まで走れ!!俺は何とかなる。さぁ早くいけ!!」

 

血が喉まで上りもはや掠れ声しか出なくなっているが、それでも本音だけでの逃がそうと必死に声を振り絞る。

本音も俺の言葉を受け止め、一瞬悔しそうに唇を噛むが、すぐに立ち上がって俺の後ろへ走り出す。

しかし敵は待ってくれない。ザクマシンガンをもう絶対防御の発動しないラファールに撃ち込んでくる。狭い廊下での戦闘のため、一切避けることが出来ない。

 

腸のあたりや腕、足に数発弾を受けてしまうが、それでもかすり傷程度なため抵抗を続ける。俺はブレードを出して、それでザクマシンガンの銃身を断ち切る。そして間髪入れずに胸のコックピット部分を貫く。

ISなため本来のMSとは弱点が違うかもしれないと警戒したが、ザクもどきの敵ISは後ろのバックパックが爆発、活動を停止した。

 

しかし動けなくなったのは俺も同じこと。意識が薄れてきて、まともに歩くことさえ出来ない。ボロボロのラファールを纏ったまま、血だらけの状態で倒れ込む。

 

前から水色のIS、おそらくたっちゃんのミステリアス・レイディだろう。

何か必死に話しかけるたっちゃんの言葉を認識できない。

視界もブラックアウトしていく。

 

 

裕太が倒れてすぐ、楯無や上級生の専用機持ち達が裕太を救出にやってきた。皆血だらけで倒れる裕太を見て絶句するも、織斑先生の必死の指揮で保健室まで運ばれる。その姿を見た生徒と教員は全員慄いた。その中には箒や本音、虚、セシリア、ティナなどの親しいメンバーもいた。

何故、裕太だけがこんなに酷い目に遭わなくてはならなかったのか…彼女達はその日の夜、全く寝られなかったという。

 

そしてIS学園から少し離れた移動式ラボでも、1人の女性が急いで支度を始めていた。

 

「ゆーくんを助けなきゃ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

ーーーーー

 

 

ん…ここは……

俺は死んだのだろうか。また真っ白な空間に来てしまった。

折角貰った人生、意外と早かったな…

 

「ユウタ、君はもうこっちへ来るつもりかい?」

 

「シャア先輩…」

 

いきなりシャア先輩が現れた。前回のように軍服姿ではなく、何も身に纏っていない。

 

「フッ、君付けを外すとプライベートに戻ったみたいだな…さて、君は少し腕が落ちているようだ。あれしきで重症を負うとは、見かねたぞ」

 

「すいません…」

 

見られていたか。恥ずかしい限りだ。

 

「まぁ、ISの操縦にもじきに慣れてくるだろう。それはそうと、あの娘達もどうする気だい?」

 

あの娘達、か。マリーダの事を忘れられない以上、特に何かをしようとは思わない。

 

「…何もしませんよ。彼女達は友人、親しい友人なだけです」

 

そう言うと先輩は高らかに笑う。

 

「ハッハッハ、あのハマーンに手を出した君がそんなことを言うとはな?取って食べるんじゃないかと思ったよ」

 

痛いところを突くなぁ…俺が捻り出した答えは、随分と苦しいものだった。

 

「あれは…先輩が抱いてやれば良かったんですよ。先輩に振られたからああやって俺のところにとばっちりが来ただけで…」

 

意地悪な笑顔のまま、先輩は俺を攻め立てる。

 

「私は君みたいに女を見る目が無い訳じゃないからな。あんなメンヘラ女を一度でも抱いたら、死ぬまで執着されそうだからな」

 

何も言い返せなかった。思えば俺はマリーダ以外割と女運は無かったかもしれない。マリーダが妻でよかった。

 

そんな裕太の心内とは裏腹に、シャアは

(マリーダも割と執着心が強い女だぞ…君はつくづく女性にまとわりつかれる人生のようだ)

と思っていたのだが、敢えて口には出さない。マリーダは既に、裕太の近くにいるのだから。

 

「じゃあなユウタ。君のこれからの活躍を、ララァと見届けるとするよ」

 

そう言い残してサッと霧散してしまった。もう少し話がしたかったが、残念だ。

しかしこの空間からまだ出られないことに違和感を感じる。まだ何かあるのか?

 

「アナタ」

 

この声を聞いた瞬間、俺は何も考えられなくなった。後ろから聞こえた、懐かしく愛おしいこの声は

 

「マリーダ?…マリーダ!!」

 

バッと振り向き、すぐ後ろにいたマリーダに抱きつく。

マリーダも少し困惑するも、それに合わせてがっちりと抱き合う。

いつまでもこうしたかったが、話したいことがあったためマリーダは一旦抱擁を解除する。

 

「久しぶりですね。アナタ」

 

「あぁ…でもどうやってここに?」

 

「…私は今年になって、この世界にやってきたんです。アナタが今使ってるラファール、そのコア人格は私なんですよ」

 

これには驚いて言葉も出ない。再会がそんな形でなされていたとは…

 

「え…じゃあ、今までの学園生活は」

 

「…えぇ、もうバッチリと!見させていただきましたよ。随分と女性に好まれているようで…」

 

段々とマリーダの顔から優しい熱が消えていく。かつて洗濯物の取り忘れやお使いの忘れなどで怒られた時の、あの顔だ。懐かしさと共に恐怖を思い出す。それもまた良い思い出なのだが、再現はして欲しく無かった。

 

「いや、あのそれはだな…」

 

ハァ、と溜息を一つ。少しの沈黙の後に顔をあげる。

怒り顔かと思いきや、目の座った笑顔だった。

 

「良いですよ、別に。それにこれからはアナタと永遠に一緒ですから」

 

「ん?どういうことだ?コア人格じゃ話なんて出来っこないだろう。授業でコア人格と話したことのある者はいないって言ってたけど…」

 

そう。ISにはコア人格なるものが存在していて、一機一機に魂のようなものが篭っていると言われている。そのことは授業で習ってはいたが…

 

「コアに自由意志があるのはあるのですが、それを操縦者が受信できることは稀です。しかし今の私はコア人格と一体化した思念体、いつまでもアナタの心にい続けることが出来るんです。簡単に言えば、アナタは前世での魂を今の肉体に宿しましたが、私はコアに宿したということです」

 

マリーダの言葉に納得し、そして笑顔になる。本当に嬉しいのだ。

そうか…この世界でも一緒にいられるのか……こんなに嬉しいことはない……

 

「そうか…俺たちはこれからも一緒にいられるんだな…」

 

「えぇ…それじゃあ、一旦体を起こしましょう。アナタの“ご友人”が待ってますよ」

 

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

少しずつ瞼を動かすと、薄らとした灯の光が目に入ってくる。しかし見える天井はいつものグレーのコンクリートではなく、しっかりと白く塗装されたものだった。

背中の感触的にベッドの上だろうか?

 

「ゆーくん!」

 

完全に目を開けたと同時に右横から何か柔らかいものがギュッと俺を抱きしめる。

 

「篠ノ之博士…?」

 

「ゆーくんなら束さんで良いよ」

 

そう言いつつも中々離してくれない。最近溜まり気味だからその柔らかい身体を押し付けられると滾ってしまう。

 

(…アナタ、今襲ったらセクハラになっちゃいますよ)

 

分かってるってマリーダ…でも結構限界が近いんだ。

 

「それで束さんは何でここに?」

 

そう聞くと束さんはスッと腕を離し、少し離れてオレを見つめる。

 

「お礼を言いにきたんだよ。箒ちゃんを救ってくれてありがとう」

 

「どういたしまして」

 

あまりにも甘ったるい応酬にお互いフリーズしてしまったが、束さんがプッと、吹き出した。

 

「アハハハ!ゆーくんと居ると楽しいや」

 

「そうですか」

 

「うん。それでね、そのお礼にゆーくんの傷ついた身体を治しにきたんだよ!どう?身体の調子は」

 

そういえば全く身体に痛みがない。自分の肌を見てもどこにも銃痕や傷がない。

 

「あぁ…痛みも傷もないです。ありがとうございます」

 

「フフッ、良いんだよ。それじゃそろそろ束さんはお暇するかなぁ。あまり長くいるとちーちゃんに怒られそうだし。それじゃあねゆーくん!また来るから!!」

 

そう言い残してバッと窓から飛び出す束さん。

束さんが出ていった数分後、織斑先生や山田先生、それにいつものメンバーも集まり保健室が賑やかになる。

皆んな俺のことを心配してくれていたようで、口々に回復して良かったと言ってくれた。

 

(良い“友人”を持ちましたね、アナタ)

 

あぁ、恵まれた今世だよ。

友人の沢山いる学園生活の幸福感を味わう。前世ではありえないことだ。兵学校の同期たちは殆ど全員俺より先に逝ってしまったからな。

 

そんな俺とは裏腹に、未来の妻となるヒロイン勢は心の中に恋愛感情を芽生えさせ、それが育ちつつあることに、幸か不幸か今の俺は気がつかない。

 

 




マリーダやハマーンの重たい愛情を受け止められるくらいの器がある主人公…結構良い男かも?

さて、序盤のジオンとは一体何者か…誰が電話をかけたのか…予想してみて下さい。シャアでは無いです。

というか実はスコールとオータムをどうやって惚れさせるか難しいですね。特にスコールはどうしたらヒロインになってくれるか…


あとラウラって鈴と違って白人系だからちっこい身体でもお尻周りは普通くらいはありそう。(by my friend)

あとその時国際恋愛の話になったんですけど、男の方が国際結婚の数自体は多くても殆どがアジア系(それも近い中韓や発展途上国系)、女性はアメリカやイギリスなど白人系もそれなりにいるそうで…日本人の男性というのはお金以外取り柄は無いと思われているんしょうか?

個人的には黒人男性とかカッコいいんでアフリカ系男性モテそうだなぁなんて思ってたんですが、男だと白人系の一強らしいっすね。

…そう考えたらISって恋愛面でも結構リアリティないんですね。
元々そういう作品なんで良いんですけど、日本人男性は東、東南アジアくらいしかモテないと聞いて少し悲しくなりました。

次回、ヒロイン達の独白(仮)
良ければ次も見てください。
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