東方龍帰章~Return of east Legendry~   作:朝霧=Uroboross

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どうも皆様、朝霧です。

一応ではありますが、次話投稿の際に登場キャラの設定を投げようかと思っております。
ただ、設定については、ここ最近忙しいのもあって直ぐできるというわけではないので、都度を見て投稿する形になると思われます。

それでは、深秘録編、どうぞ。




拾陸・都市伝説なるもの

 

 屋敷の中、半ば談話室のような役割となっている会議室にて、椅子に座り悩ましげなため息を吐く刻縁の姿。

 その目線の先には、どこか神々しさを持った宝石のやうな煌めきを放つ銅鏡と、片手程度の大きさながらに多分な妖気を含んだ手鏡があった。

 

「……なぜ雲外鏡がここにある?」

「さぁ?いつの間にか紛れ込んでいたとしか」

 

 そう答える水京の周りには、撫でられて喜ぶ犬と狐と狸の三匹。見た目は普通の獣だが、相当に妖気を含んでいた。

 否、妖気ではない。これは妖気と似て非なるもの。言うなれば────"恐怖"。"畏れ"とも言うべきものである、と、刻縁はその直感で察していた。

 

「ふむん……これが噂の『都市伝説』、であるか」

 

 そう、いま巷では『都市伝説』に関するあらゆる噂が飛び交っていたのである。

 曰く────自身を見つけた幼子を執拗に追い掛けては拐う女、井戸の奥よりうめく声、見上げるほど巨大な緑色のヒトガタ等といった、様々な『ウワサ』が飛び交っていたいた。

 つまるところ、刻縁らの持つこれらもまたその『都市伝説』の一つであり、何を隠そう────

 

「──よもや、『合わせ鏡』に『狐狗狸(こっくり)さん』とは、な」

「らしいと言えばらしいわよねぇ」

 

 頬杖をついて、戯れる水京を見る狂骨。その姿は、普通の獣と何一つ変わらないようにも見える。

 だが、よくよく見れば完全に地に足をつけているわけではなく、ほんの少しばかりほど浮いているのだ。それが意味するのは、『この獣達は霊である』ということに他ならない。

 

「ははは……少々わんぱくではありますが、可愛らしい仔達ですよ」

「お主は良かろうが……なぜよりによって私が『合わせ鏡』なのか」

 

 はぁ、と深いため息を溢す刻縁。そうして雲外鏡から目線を外し、次いで視たのは、妖しく輝く球体──"オカルトボール"と称されたものである。

 巷で流行る『ウワサ』。それらが具現化したものを呼び寄せるこのオカルトボール。明らかに厄ネタであることは解りきっていたが、刻縁ははじめ、このような物を持つつもりはなかったのだ。

 それこそ、道端に転がっていたものを拾い上げ、訝しげながらもよろしくないものと理解し、すぐに捨てたのだ。だが帰って来てみれば、捨てたはずのオカルトボールが門前に転がっていたのである。

 

「……主」

「む?祟羅か、何事だ」

「…門前…捜索。推測……現代人(外の子)

 

 

 皆の顔が真剣味を帯びたものとなる。紫か賢者の招待ないしは採集(誘拐)がなければ、入ることすら能わぬこの幻想郷。

 そこに、誰の招待もなく外の世界からの者が入り込んだということは、それ即ち、外法を使っているということ。

 

()に行くぞ」

「私も参りますよ」

 

 どちらにしろ着いてくるだろうと思い、懐にオカルトボールを仕舞って、屋敷から大門へと向かう。

 大門の近くでは、如何にも外の世界での服装であるかのような格好をした少女が、あちらこちらをうろうろとしていた。

 

「其処な者、此処で何をしている」

「うおぅ!?ビックリしたぁ、どこから現れたのさ」

 

 多少過剰な反応を見せる少女。だが、その身の内に宿す"神秘"────否、"深秘"を、刻縁は悟っていた。

 二人は警戒しつつも、それを悟らせない気配の出し方をして、外の世界から来訪した少女に問う。

 

「問うているのは此方だ。質問には答えよ」

「うえぇ?うーんと、どう言えばいいかなぁ……うん、ちょっと探し物しててさ?────"オカルトボール"って、知ってる?」

 

 少し困ったような様子を見せる──しかし、二人はその一瞬を見逃さなかった。

 おどけたように振る舞う目前の少女の眼が、一際鋭くなったことに。

 

「ふん……青二才め。探りならもう少し上手くやれ」

「えぇっ、悟られるの早くない…?」

 

 警戒度をグンと上げた刻縁に対し、少女はげんなりしたように、それでいてしくじったと言わんばかりの顔をする。

 しかし、ため息一つで気持ちを切り替えたのか、懐から板状の何か──恐らくは外の世界の情報端末──を取り出してマントを翻らせる。

 

「まぁいいわ、バレちゃあ仕方がない。

 ────私は宇佐見菫子!!貴方の持っているそのオカルトボールを手に入れ、私はこの幻想郷を手に入れる!」

「ほざいたな、小娘。我が郷里に仇なす者がどうなるか、その身にしかと刻み付けてやろう」

「些か貴女はオイタが過ぎましたね。加減無しですので、どうぞ、死なないように」

 

 静観していた水京も、どこからともなく双剣を取り出して構え────るように見せて、陰で三匹を呼び出していた。

 二人の高まる闘気と覇気と、そして荒ぶらん程の神威をひしひしと感じ、菫子は覚る。

 ──これ、手を出したらアカン人達だったわ──と。

 

「な、なんの、先手必勝!!スペルカ────」

「スペルカード発動──────

 

 

 

 

召霊「拾円ぽっちじゃ物足りない」

 

 

 菫子の言葉に重ねるようにして、水京が先手を打つ。

 水京の陰から、彗星のように飛び出した"何か"が菫子へと当たり、更にその後ろに待ち構えていた"何か"が今度は上へと吹き飛ばす。最後に上からさっきまでのとは別の"何か"が落ちてきて菫子を撃墜する。

 

 地面へと激突した菫子は、肺の中の空気が一気に吐き出しかねない衝撃を覚える。よろけながら立ち上がると、ふと懐が寂しく感じ、物をしまっていた場所をはたく。

 

「お探しのものは此方ですか?」

「へ?──うぇ!?な、なんでぇ!?」

 

 呼び掛けられた水京へ顔を向けると、彼の手には菫子のスペルカードやアイテム、さらには集めた"オカルトボール"といった所持品全てが集まっていた。

 ニコニコとした表情を崩さない水京に呆気にとられていると、背後より強烈な気配を感じる。それに振り替えると────目の前には、『鏡に映った自分の顔』があった。

 

「加減せんと言われただろう。スペルカード発動──────

 

 

 

 

 

 

 

*昨日と明日の顔合わせ*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぐっ……ひぐっ……うぇぇぇん、ごめんなさいぃぃぃ……」

「当代……流石にやりすぎかと……」

「うむ……私もそう思った……」

 

 刻縁らの目の前には、号泣し、あまりの恐怖に失○*1してしまっている菫子がいた。それに加え、オカルトボールも、中に溜められていたもの全て霧散され、一つ残らず木っ端微塵に破壊された後のものが散らばっていた。

 ただ、発動された刻縁の『オカルト』が相当なものだったらしく、流石に大人げないということで、二人共に良心が痛んでいた。

 

「はぁ……あー、菫子であったか?」

「ひぐっ……ひうっ、はいぃ……」

 

 刻縁(トラウマ)に呼ばれたことで跳ねる身体。それに苦笑するも、刻縁はそのまま話し続けていく。

 

「そう恐れるな、もう何もせんよ……。幻想郷は特別なルールによって成り立っている。むやみやたらに"外"と繋げられるのは困る、解るな?」

「は、はい……」

 

 すっかり怯えきってしまった菫子に、困ったように頭を掻く刻縁。水京に助けを求めるも、我知らぬと顔を逸らされる。

 ため息一つ吐いた刻縁は、ふと菫菫子に、手をかざすと、なにやら光の粒子が菫子へと入っていく。

 

「っ………ふぇ?」

「お主に、眠る合間のみ此方へこれるよう術をかけた。無論、軽度ではあるが加護も掛かっているからな。悪影響はない……はずだ」

 

 まさしく開いた口が塞がらない菫子。先程まで敵対していた相手に、なにより、この幻想郷を破壊しようと考えていた相手にそのような塩を投げるのかわからなかった。

 しかし、刻縁の言葉を反芻するうちに、ある言葉に引っかかる。

 

「"加護"、って………」

「む?あぁ、言ってなかったか。私の名は、『青龍寺 刻縁』。外の世界では夜刀神なぞと呼ばれていた時もあったが────まぁ、"天照大御神の部下"、で、あろうな」

 

 思った以上のビッグネームが出てきたことに、菫子は驚きを隠せず、絶叫を挙げてしまう。

 そして菫子は思った────今後、彼らにケンカを売ることだけはやめよう──と。

 

 

*1
名誉保護の為、伏せ字






ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
刻縁のラストワードは、ドッペルゲンガーがいいかなぁと当初は思っていたのですが、原作を調べていたら菫子に既に使われていたので、都市伝説を片っ端から調べ上げて一番適当だったのが『合わせ鏡』になりました。

刻縁のラストワードがどういうものであるかは皆様のご想像にお任せします。決して、考えるのが面倒とかではないんです。本当に……。


皆様からのご感想・評価、いつでもお待ちしております。
次回更新は7/31、23:30頃を予定しております。



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