東方龍帰章~Return of east Legendry~   作:朝霧=Uroboross

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投稿ミスした回。
年数間違えちまってたよ……orz


参・闇の子

 人も獣も妖すらも近寄らぬ鬱蒼とした森の中、迷うことを知らぬかと言うように突き進む幾人の影。

 化け茸の放つ毒胞子さえその歩みを止めることは敵わず、先へと進んでいた。

 

「しかしまぁ、ここまで鬱蒼としておりましたかねぇ……」

「そんなに変わっているのかしら?」

 

 識者の独りごちるよえな呟きに、花魁が反応する。先頭を行く剣士はともかくとして、忍と無頼の二人はただ静かに、その足を進めていた。

 花魁の問うたことに、剣士が反応し、先を見据えながら返答する。

 

「うむ。昔はここは多少気の流れが濃いだけの森であったのだ。どう言った理由でこうなったのかは詳しくは解らんがな」

「そうですのね。とは言え、誰にも出会わないというのもおかしな話ですわね」

 

 納得したそぶりを見せるも、すぐさま怪訝そうに辺りを見回す花魁。その様子に、今の今まで閉口していた無頼が口を開く。

 

「軽率な行動は控えろ『狂骨』。何もないとは言え、様子見しているだけやも知れん」

「あら、これでもすぐ対応できるようにしているのですよ?『夜九(やぎゅう)』さん。心配性もほどほどになさいな」

 

 腰に三本の刀を差す無頼が咎めるも、花魁は扇子を口元で広げ、目を細めて皮肉を返す。我関せずと沈黙し続ける忍。

 そんな様子に苦笑いを浮かべるばかりであった剣士だったが、不意に何かしらの気配を感じ、片手を挙げて気配を変える。

 それに合わせて和気あいあいとしていた空気は一転し、警戒体勢に入る。森の木々の暗闇から、何が向かってくる。

 

「あんた達、何?どうやってこの森に入ってきたのよ」

 

 長い金髪をたなびかせ、片手に闇を集めて警戒する少女。その眼光は鋭く、予断を許さないと言わんばかりである。

 そんな彼女に対し、剣士が前に出て軽い会釈と共に事情を話し始める。

 

「失礼し仕る。我々は幾ばくかこの地を離れ、舞い戻った次第。粗相、厄介あるならば謝る」

「いや、そういうこと聞いてるわけじゃないんだけど……まぁいいわ」

 

 肩を竦めながら、掌に集めていた闇を霧散させる。一定の、警戒は解いていいぐらいの信用はとれたと見て、他の面々を警戒をほどく。

 とは言え、本来であれば彼らは余程のものでない限り警戒をする必要すらないのではあるが。

 

「それで?あんた達何者?」

「先程も申し上げたが、我々は故あって外より戻った者。所以は失礼ながらお伝えできない事ゆえ、御免」

 

 懐疑そうに目を向ける少女に、剣士はただ瞑目して謝意を伝える。雰囲気と肩を竦めるような仕草で先を促す少女。

 

「私は、この一行を率いる者。名をば、『青龍寺(せいりゅうじ) 刻縁(こくえん)』と申す。役名等含めるともっと長いのだが……」

「そういうのいいから。で、そっちの人達は?」

 

 剣士──刻縁の後ろに控える者達へと視線を送る少女。

 視線を送られた者達の内、眼鏡をかけた柔和そうな識者が前へと出る。

 

「では僭越ながら私から。私は『想河(あいかわ) 水京(みなきよ)』と申します。古きの宋の出ですが、今は大和の地に帰依しております」

 

 綺麗な一礼をして口上を述べる識者──水京。育ちの良さや気品すら見受けられるその姿は全てが自然に見えるほどであった。

 水京が下がり、次の番かと花魁が残りの二人を見てから口を開く。

 

「私は『狂骨(きょうこつ)』よ。時折昔の名残で狂骨太夫だなんて呼ばれることもあるけれど、狂骨と呼んで頂戴な」

 

 柔らかな微笑みを浮かべて、親しみを込めた言葉遣いで語りかける花魁──狂骨。

 少女の目線が沈黙を貫く残りの二人へと向けられる。

 

「……拙は、『夜九(柳生) 陣兵衛(じんべえ)』と言う」

「…………我名、『祟羅(たたら)』。……姓、不語」

 

 二人してぶっきらぼうな回答であった為に、余計に懐疑的な目を向ける少女だったが、呆れたような水京と狂骨の反応に、いつものことなのだなと解釈する。

 そんな少女に、刻縁は話しかける。

 

「不躾だが、貴殿の名は?」

「ん?あー、ごめん忘れてた。私は『ルーミア』だ。よろしく、刻縁さん?」

 

 お互いに名乗りを終え、知己を得る。それから、ルーミアと名乗った少女の案内の元、魔法の森を出るための道を行く。

 しばらくは荒道ではあったが、次第に木々の隙間が多くなっていく。もうしばらくもすれば拓けた道へと出れるだろう。

 

「そういや、貴方達ってなんで外から帰ってきたのさ?」

「む?そうさな……強いて言うなれば────故郷が、懐かしくなったから、であろうな」

 

 ルーミアの何の気はない問いかけに、刻縁はただ、透き通るような、懐かしむような笑みを浮かべて答える。

 それに対しルーミアは、なにかあったのだろうと心の内にて秘めて思うのであった。

 とは言え、刻縁らは至極単純に故郷に帰りたいと思った──のもあるが、目的はまた別にある。しかしそれを語るのはまた後日。

 

 

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