東方龍帰章~Return of east Legendry~   作:朝霧=Uroboross

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お待たせしました。
前話の題名が無記名だったので修正して入れておきました。

あと先に言っておきます。
……ストーリーグダりました。ごめんなさい……。



陸・吸血鬼異変 Act1

 拠点を取ってよりしばらく、時にして二つ三つ程季節が巡った後の、麗らかなる季の夜。

 刻縁らは人里と関わり合いつつも、彼らは幻想郷をあまねく網羅していた。それは地理を、草木を、そこに住まうあまねく知るということ。

 

 更に季節を巡り、三つ。借り受けていた家を、以前よりも綺麗して返し、彼らは人里を後にする。

 

「先見より至るに、この地が宜しいかと」

「……なかなか賭けに等しいな。だが、気に入った」

 

 水京が探し留めた地を見るなり、刻縁はそう告げる。立地は、妖怪の山と畏れられる大山と、彼の警戒すべきたる博麗神社との中間。

 細い笑みを浮かべながら、刻縁は自身の領域たる邸宅をその場に召喚する。そこに隠蔽、不可視、自然透過、不接触化などという術式を重ね合わせ、複雑かつ高度な召喚陣を形成する。

 

 驚くべきは、これを一人で、なおかつ片手間に行う点であろう。"召喚したものを隠す"のではなく、"召喚を行っていることさえも感知されない"ようにしているのだから。

 はたして、刻縁の屋敷────"龍幻楼"はここに、誰にも知れることなく呼び出され、何人にも判られることのない泡沫の屋敷として顕界した。

 

「使用人一同、皆余すことなく参内してございます。我らが当主当代にして主君──────

『青龍寺 辰神身右臣将(たつみだいうじんしょう) 刻縁』様」

 

 屋敷の大広間、畳が敷かれさも大将軍との謁見が如き空気が流れる。

 其れは大神に非ず、なれども"神"為り。其れは座して世を視る者である。神は人を救わず、為れども神は人を視、人を護らん。

 其れを体現するかの如き武はただ、静かに座するのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それより十と少し。花咲く季が巡り巡りて蝉が鳴く頃。相当に濃き瘴気が、静かなる幻想郷に満ちる。

 大広間に、一堂集う。

 

 ──笑みを絶やさず、為れども静かに気を巡らす水京。

 ──瞑目し、下知を下されればすぐにでも跳ばんとする夜九。

 ──隠密として気配を断ち、しかしてそこに居る祟羅。

 ──当主の参内を待ち、使用人一同と共に黙する狂骨太夫。

 

 入り口の襖が開く。集った者達は皆伏してその頭を下げる。開けられた中央を通るは、蒼き和装に身を包んだ刻縁。

 上座の段に座り、睥睨する。

 

「────面を上げよ」

 

 皆が静かに頭を上げる。

 しかし空気は、一層に引き締まる。

 

「かねてより予見せし吸血鬼伯、スカーレット卿の侵略が来た。故、議を始める。水京」

「はっ!それではこれより、簒奪者スカーレット卿の侵攻に対する我らの動きを開示致します」

 

 淡々と、そして朗々と告げられる水京の策謀。

 曰く──簒奪者スカーレット伯の討伐は既に行動中の"八雲 紫"、及び"博麗 ■■"に一任す。

 当方らは両名の討伐行動中にて陰ながらに人里、及び妖怪の山の守護を行う。

 遵守条件は人里、及び妖怪の山の守護貫徹。ないしは逃げた敵対者ないしは"外の世界の技術"の抹消。

 

「──以上を以て幻想郷防衛計画の概要と成します。齟齬はございませんね?当代」

「無い。各々、奮励努力せよ」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 覇気纏いし閧の声が響く。座りながらに一礼して、各々の動きへと向かっていく。

 皆が去り、腹心たる四人と己のみが残る。

 

「祟羅」

「……(ここに)

 

 己の忍を呼び、忍は刻縁の前にて座して応じる。

 

「館を視よ。敵を逃すな」

「御意」

 

 残像を残して去る。

 直後、刻縁は次々に指示を下していく。

 

「水京、お前は──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わり館前。並び立つ二人の強者。

 眼前には無数の妖魔怪物共。涎を垂らし、強者とは言えたった二人の獲物に、その獰猛性を見せつける。

 

「最悪な夜ね。本当、最悪だわ。……そうは思わない?」

「あぁ。……敵は多いな、紫」

 

 澱んだ瘴気が流れる。

 呆れ、軽蔑にも似た溜息と共に、傍らに佇む巫女を流し見る。

 傷痕の多い巫女はただ、無愛想な感じで言葉を返す。

 

「……いや、大したことはないか」

 

 そう言って、巫女は紫に顔を向ける。

 澄ました顔で紫は黙する。

 

「今夜は、私とお前で二人掛かりだからな」

「──えぇ、まったくその通りね」

 

 薄く微笑み、幻想郷の賢者は顔を正面にて蠢く有象無象へと向ける。

 

「訂正しましょう。──今夜はなかなかいい夜になりそうだわ」

 

 妖魔怪物郎等こと有象無象。牙を向き、おぞましいほどの殺気を向ける。

 それをさも涼しく受け流す、真に強者なる二人。今、戦闘の幕が開く。

 

 





最後の場面は東方先代録のセリフまんまです。
次回は紫&先代側の視点から始めます。

皆様からのご感想・評価お待ちしております。
次回更新は2/27、23:30です。お楽しみに。
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