東方龍帰章~Return of east Legendry~ 作:朝霧=Uroboross
結構長くなりました。
各所での彼らの動きを軽く出してみました。ある程度の強さはわかるかと。
各個人の情報はスペカ実装(本編)前に出す予定ではあります。気長にお待ち下されれば(要望ありましたら早めに出すつもりではあります)。
※残酷描写多めです。
苦手な方は流し読みorスルー推奨。
「さて…………」
ため息一つ。静かに佇む巫女の隣、妖怪の賢者たる紫は、周囲に溢れる下卑て不愉快な"雑草の群れ"を睥睨する。
「伯爵様は余興がお望みのようですけれど──」
呆れた顔で館を見る。それはなんともつまらなそうで、なんとも下らないと言わんばかりに眉を下げていた。
だが、それもまた、つかの間のことである。
「──付き合う義理はありませんわね」
静かなる殺気が周囲に満ち充ちる。その顔には先程の如く、穏やかな笑みが浮かぶ。
巫女は依然平然としており、そよ風のように流しているが、周囲の雑兵たる妖怪達にはそういうわけにもいかない。
皆全て恐れを無し、辺りへ三々五々に逃げていく。脇目も振らず、ただ其処にいる強大なまでの存在から逃げきらんとする為に。
「あらあら、幻想郷の妖怪も惰弱になったものね。だからこそ、余所者にいいように使われるのでしょうけど」
半ば侮蔑、半ば期待外れ、そして僅かばかりの憐憫を思わせる言葉を吐き、二人はがらんどうとなった門前に佇んでいた────。
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妖怪達は逃げていた。──勝てるわけがない、あんなのと戦えるわけもない。スカーレット伯爵よりもなお強烈な存在感を放った紫に、心の底から恐怖していた。
だからだろう。逃げることに手一杯で、目の前の存在に気づくこともなかったのは。
「──大盾構え!!踏ん張りなさい!!」
「「「「はっ!!」」」」
鈍痛がした。まるで壁にぶつかったかのような痛み。この痛みで半ば我に返った妖怪の一体は、周囲を改めて見る。
狂乱状態となって、反乱した川のように襲いかかる仲間達を、言葉通り壁のようなものが逃すまいと進路上に陣取っていた。
「弓射隊、構え!ここから逃すことは恥と思うのです!!──放てッ!」
弧を描くように取り囲まれていた自分達の頭上から、幾千もの矢が降り注ぐ。なまじ密集していたが為に避けることすらできず、その妖怪は脳天に矢を受けて倒れ伏す。
最後に見たのは、白く翻る、智将が矢を放った姿であった。
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妖怪達は逃げていた。否、逃げるしかなかった。スカーレット伯爵なんてどうでもいい。"アレ"から逃れるにはとにかくここから離れることだけ。
走る、走る。深い、深い森の中。自身の近くにはまだ仲間がいる。だが、確実に数が減っている。
視界を埋め尽くすほどにいた仲間達が、今では視界がある程度開けてしまうまでに減っていた。
──おかしい。この妖怪はそう思った。だが、その次は無かった。なぜならば、その首は気付かぬ間に切り落とされ、地を転がっていたから。
「……良。……次」
ボソリと聞こえた死神の呟き。妖怪は、最後まで自身が何を相手取ったのか、何に殺されたのか、知ることなくその意識を沈めるのであった。
ただ、細く煌めく、月光に反射した糸筋を脳裏に刻み付けて。
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屍が転がっていた。生き残った者は居らず、また、立ち上がった者すらも居なかった。
──ただ一人、屍の群れの上に佇む剣士を除いて。
「……夜九様、此方は粗方片付き申し上げます」
「……あい、判った。なれば、此の屍を燃やし候え。野に置けば、病の元とも成る」
「御意」
軽鎧を着けた若武者の一人が去っていく。剣士はただ静かに歩みを進め────一閃。
「ごはァ……ッ!?」
「戯け、己が部下さえ判らざるわけも無し。死して出直せ」
血を払い、鞘に納める。斬られた妖怪は、その倒れ伏す際に、その胴体を二分にし、破裂した水の如く血を撒き散らして転がる。
屍が転がる。歩むはただ独り、剣の道を選び、修羅が如き修練にて極致に至った剣客。
「屍を焼却せよ。生者の是否は問わん」
「「「了解」」」
剣客の目前にある森から、いくつもの火柱が放たれる。屍を燃やし、この幻想郷に牙を剥かんとした不届き者達が一掃される。
その炎は、深海をも思わせる夜を照らしながらも、決して人にみられることのない"狐火"。
屍が燃える。幻想郷に仇なす者、許すまじ。そう言わんばかりに。
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混沌の世界が広がっていた。確かに目の前で"コイツ"は死んでいった。そのはずなのに、なぜ起き上がり、ましてや自分に牙を剥くのか。
困惑したままその妖怪は喉元を食いちぎられ、哀れ絶命する。しかしそれのみに収まらず、その屍もまた起き上がり、また仲間に喰らいつく。
「うぅん……"びぃきゅうえいが"、なんてシロモノにあった、"ゾンビ戦法"とか言うの?凄くえげつないけれど、私には合わないわねぇ……」
そんな混沌とした陣地の奥、巨大なガイコツの頭上で、頬の手の上に置き、ため息をつく遊女。
空いた片手には大きめの扇が下げられ、背には薙刀が背負われている。
「姉さんは容赦無さすぎですよぅ。そんなんじゃ、奴さんの立つ瀬すら無いですよー」
「そうかしらねぇ……」
眼下には混沌とした世界が平がるにも関わらず、ほのぼのとした会話が成される。
そんな中、ある一匹の妖怪が放った妖力弾が、丁度話していた、遊女を姉さんと慕う女性にかする。
「…………いい度胸ね?」
妖力弾は難なく避けていたが、その行動が頭にきたのか、凄惨な笑みを浮かべる遊女。
慌てて女性がなだめるも、時すでに遅し。
「"
本能から刺激されるかのような、おぞましい雄叫びと共に動きだす巨大ガイコツ──大妖怪たる"
その巨体に見合わぬ俊敏な動きで、まずは女性を狙った妖怪を。次にその周辺にいた悲運なる妖怪や、同じくして、自らの主たる者達を狙わんとした者達に鉄槌を下していく。
「ね、姉さぁぁぁんっ!!」
「フフフフ……私の妹を狙うなんて……許さないわぁ?」
遊女の逆鱗に触れた憐れな妖怪達は、次から次へと骸に変わり、死して尚赦されぬ地獄を味わうこととなっていく。
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吸血鬼達は焦っていた。何人かは館に残ってはいるものの、自らが屈服させ、集めに集めた妖怪共が戦わずして逃げる始末。
──このままではマズイ。そう思った彼らは至急妖怪達を集め直そうと飛び立っていた。だが────
「──ほう、格式高き吸血鬼ともあろう者共らが、他者に下るか」
頭上より注がれる一声。仰ぎ見れば、紅いはずの月は青くなり、それを背にして浮かぶ一人の和装の男。
勝てない。そう思わせるには充分な存在感であった。スカーレット伯爵は、それこそ言葉に出来ぬほど凄惨で、あの女共も強者であったろう。
だが、この男はそれらよりも格が違う。そこにいるだけで畏怖せざるを得ず、プライドの高い吸血鬼達ですら跪きかねないオーラ。
「さて……まぁ、答えんとも善い。我が故郷を侵さんとした不届き者故、な?」
鍔に指を付ける。──来るッ!。そう思った吸血鬼達は思い思いの構えを取る。しかし、
「遅い」
背後から聞こえる声、次いで刀を仕舞う金属音。鳴った、と思えば視界は縦にズレていき、そのまま体が焼ける感覚と共に墜ちていく。
何故、何故だ。何故何故なぜナゼナゼ────。疑問を浮かべながら、吸血鬼達は無残にも散っていく。
「ふむん……?あの紫をしても苦した手合であったと聞くものであるから、もう少しやると思ったのだが……」
吸血鬼達は決して弱くはなかった。それこそ、スカーレット伯が身辺警護を任せる程には。
だがそれさえも通じない彼こそが────
、
「さて……あと少しばかり露を払おうか。幕閉めにはまだ早い」
そう言って、男は翔ぶ。そこには先程まで吸血鬼だった、焼けた灰のみが落ちていた。
吸血鬼異変編は次で終わらせます。
その後は旧作編で、ちょびっと魅魔サマーとかと絡ませてから本編いきます。
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時間更新は3/16の23:30となります。