東方龍帰章~Return of east Legendry~   作:朝霧=Uroboross

8 / 20

どうも皆さん、二週間ぶりです。

さて、途中の内容ですが……大幅【カット】します。えぇ、カットします。内容は『東方先代録』をお読み下さい。


捌・吸血鬼異変 Act.3

 

 〈紅魔館 中庭〉

 

 戦況は佳境を迎えていた。突如として融け始める自身の眷族と、同じく突如として不死の身である己の身体へと激痛を与えてくる、目の前の人間。

 

「ギッ────ィヒィィィィイイ"イイ"ッ!?」

 

 己の喉元から放たれた異形な悲鳴。その身体に打ち込まれた部分から、焼けるような痛みとともに徐々に劣勢になっていく。

 

「バカな……バカなぁ!?」

 

 スカーレット伯爵は混乱する頭を必死に振り絞り、自らの眼前に迫る『死』を、如何にして振り払うべきか──。

 否、例え眼前に居るのが脆弱な人間であれ、最早敗北による『死』は目の前のこと。それは避けようがなく、刻一刻と足音を立てて迫ってきていた。

 

「ガッ──ハッ!!」

 

 鳩尾に『太陽』が打ち込まれる。屋根からは弾き出され、宙へと放り出される。

 

 理解できなかった、何も。

 栄華、孤高、傲慢にして暴君。その一切を極めたはずの己が、たった一人の人間相手に、為す術もなく蹂躙され、そして敗北するという結末に。理解できなかった。

 

「ギッ──がほぁっ」

 

 焼ける痛みと落ちた衝撃。幾本かの骨が砕け、不死身の体は限界を迎えていた。崩れ落ち、灰となり、よしんば今は耐えても次の一撃で塵と化すだろう。

 

「はっ、はっ、はぁ……ぁああああ"!!」

 

 焼ける、焼ける。焼ける焼ける焼ける砕ける崩れる灼ける灼ける灼ける灼ける────死ぬ。

 認められなかった、認めるなど出来るはずもなかった。こんなところで、あんな人間の小娘如きに負けるなど。

 

 月光に影が映る。まもなく、その『太陽』が振り落とされるだろう。最早、なりふりなど構っていられなかった。

 

「あ、あ、あぁあああ"!!」

 

 懐から、一丁の拳銃を取り出し、構える。恐怖心のままに引き金を引き、銃弾を放つ。

 だが──その抵抗も虚しく、銃弾はその人間の手の中に握られ、当たることなく落ちていく。

 

「ぁ────」

 

 拳が振り落とされ、その心臓に渾身の一撃が放たれる。

 最後の最後に言おうとした言葉さえ紡ぐことさえ出来ず、その身体は消え去っていっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──あぁ、死ぬ。死んでしまう。魂だけになっていく。

 肉体が塵に変わっていくのを感じながら、スカーレット伯爵は茫然としていた。

 

 ──だが、まだだ。例え魂だけになろうとも、私は何度でもこの世界を支配しに──

 

「不死者も、ここまで来れば滑稽なものだ」

 

 憐れむような、そして愚かな羽虫の戯れを見ているかのような声が聞こえる。気付けば周囲は見慣れた館の中庭ではなく、真っ白な地平線の上であった。

 

 ──何者だ!?

 

「何者、か。陳腐なことしか問えぬとは、な」

 

 蒼がはためく。それは、圧倒的なまでの覇者の風格。長くを生きた己よりも、さらに永き時を重ねた者の存在感。そして、それは言うなれば──"神"の如き。

 

「我が故郷を穢す不届者よ。貴様は輪廻に乗せることはおろか、ただ消すにも不足である」

 

 腰の剣が抜かれる。青く、蒼く。澄んだ蒼の刀身が抜かれ、先程の人間よりも遥かに、それこそ格の違う本当の『死』を纏っていた。

 少なくともそれは、スカーレット伯爵にはそう見えた。

 

「故に、ただ往ね」

 

 ──舐めるな、下等種め!!

 

 平時の、それこそ敗北を味わう前の伯爵ならば、このやうに勝負を焦ることなどなかっただろう。

 しかし、今は敗北を。それもただの人間の小娘に負け、さらには目前に『死』が具現化して迫っている。

 

「愚かな」

 

 ただ、一言。視界が割れる。魂が、砕ける。声すらも出ず、真っ白になっていく。

 思考が──消えて────飛んで────し──ぬ──────。

 

 

 

 

「たかだか100年そこらの若造が。頭に乗るからそうなるのだ、戯け」

 

 静かに納刀する青年。龍の髭のような襟足がはためき、粉々に砕け散っていく伯爵の魂に背を向ける。

 来た道を戻るかのように歩み続け、次第に暗く静かな、石畳の並木道へと変わっていく。

 

「終わったかね、刻縁殿」

「あぁ、これで"片付け"た。助力感謝する──妖忌殿」

 

 初老を迎えた半人半霊の剣士に礼を言う青年──刻縁。

 それに頷くと、妖忌と呼ばれた老剣士は、刻縁と並び歩く。

 

「今回の件は幽ヶ子様にも伝えてある、が……」

「無論、紫には伝えん。私を知らすにはまだ尚早だ」

「ふむ、そうか……」

 

 枯れた桜の並木道、その中央を通る二人の剣士。簡単なすり合わせを終え、他愛のない話をしていく。

 

「時に刻縁殿、またいずれ暇があれば」

「構わぬよ。私としても、よき修練になる」

「して、また宵の酒ですかな」

「ふっ、違いない」

 

 仲良く談笑し、奥に見える屋敷へと歩いていく。

 それは、つい近頃に出会った者達とは思えず、まるで旧年来の仲であるかのようであった。

 

 





スカーレット伯爵、魂レベルで消滅。
より具体的に言うと、【肉体が先代巫女に波紋シューッ!→魂は残ったけど刻縁によって一刀両断→転生すらも出来ず消滅ルート、ヤッタネ!】ということです。
幻想境大好きな奴が、そこ侵略しようとするやつなんざ許すはずもない件。

読んで頂きありがとうございます。ご感想、評価等お待ちしております。
次回更新は、3/27の23:30となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。