東方龍帰章~Return of east Legendry~ 作:朝霧=Uroboross
どうも皆さん、二週間ぶりです。
さて、途中の内容ですが……大幅【カット】します。えぇ、カットします。内容は『東方先代録』をお読み下さい。
〈紅魔館 中庭〉
戦況は佳境を迎えていた。突如として融け始める自身の眷族と、同じく突如として不死の身である己の身体へと激痛を与えてくる、目の前の人間。
「ギッ────ィヒィィィィイイ"イイ"ッ!?」
己の喉元から放たれた異形な悲鳴。その身体に打ち込まれた部分から、焼けるような痛みとともに徐々に劣勢になっていく。
「バカな……バカなぁ!?」
スカーレット伯爵は混乱する頭を必死に振り絞り、自らの眼前に迫る『死』を、如何にして振り払うべきか──。
否、例え眼前に居るのが脆弱な人間であれ、最早敗北による『死』は目の前のこと。それは避けようがなく、刻一刻と足音を立てて迫ってきていた。
「ガッ──ハッ!!」
鳩尾に『太陽』が打ち込まれる。屋根からは弾き出され、宙へと放り出される。
理解できなかった、何も。
栄華、孤高、傲慢にして暴君。その一切を極めたはずの己が、たった一人の人間相手に、為す術もなく蹂躙され、そして敗北するという結末に。理解できなかった。
「ギッ──がほぁっ」
焼ける痛みと落ちた衝撃。幾本かの骨が砕け、不死身の体は限界を迎えていた。崩れ落ち、灰となり、よしんば今は耐えても次の一撃で塵と化すだろう。
「はっ、はっ、はぁ……ぁああああ"!!」
焼ける、焼ける。焼ける焼ける焼ける砕ける崩れる灼ける灼ける灼ける灼ける────死ぬ。
認められなかった、認めるなど出来るはずもなかった。こんなところで、あんな人間の小娘如きに負けるなど。
月光に影が映る。まもなく、その『太陽』が振り落とされるだろう。最早、なりふりなど構っていられなかった。
「あ、あ、あぁあああ"!!」
懐から、一丁の拳銃を取り出し、構える。恐怖心のままに引き金を引き、銃弾を放つ。
だが──その抵抗も虚しく、銃弾はその人間の手の中に握られ、当たることなく落ちていく。
「ぁ────」
拳が振り落とされ、その心臓に渾身の一撃が放たれる。
最後の最後に言おうとした言葉さえ紡ぐことさえ出来ず、その身体は消え去っていっていた。
──あぁ、死ぬ。死んでしまう。魂だけになっていく。
肉体が塵に変わっていくのを感じながら、スカーレット伯爵は茫然としていた。
──だが、まだだ。例え魂だけになろうとも、私は何度でもこの世界を支配しに──
「不死者も、ここまで来れば滑稽なものだ」
憐れむような、そして愚かな羽虫の戯れを見ているかのような声が聞こえる。気付けば周囲は見慣れた館の中庭ではなく、真っ白な地平線の上であった。
──何者だ!?
「何者、か。陳腐なことしか問えぬとは、な」
蒼がはためく。それは、圧倒的なまでの覇者の風格。長くを生きた己よりも、さらに永き時を重ねた者の存在感。そして、それは言うなれば──"神"の如き。
「我が故郷を穢す不届者よ。貴様は輪廻に乗せることはおろか、ただ消すにも不足である」
腰の剣が抜かれる。青く、蒼く。澄んだ蒼の刀身が抜かれ、先程の人間よりも遥かに、それこそ格の違う本当の『死』を纏っていた。
少なくともそれは、スカーレット伯爵にはそう見えた。
「故に、ただ往ね」
──舐めるな、下等種め!!
平時の、それこそ敗北を味わう前の伯爵ならば、このやうに勝負を焦ることなどなかっただろう。
しかし、今は敗北を。それもただの人間の小娘に負け、さらには目前に『死』が具現化して迫っている。
「愚かな」
ただ、一言。視界が割れる。魂が、砕ける。声すらも出ず、真っ白になっていく。
思考が──消えて────飛んで────し──ぬ──────。
「たかだか100年そこらの若造が。頭に乗るからそうなるのだ、戯け」
静かに納刀する青年。龍の髭のような襟足がはためき、粉々に砕け散っていく伯爵の魂に背を向ける。
来た道を戻るかのように歩み続け、次第に暗く静かな、石畳の並木道へと変わっていく。
「終わったかね、刻縁殿」
「あぁ、これで"片付け"た。助力感謝する──妖忌殿」
初老を迎えた半人半霊の剣士に礼を言う青年──刻縁。
それに頷くと、妖忌と呼ばれた老剣士は、刻縁と並び歩く。
「今回の件は幽ヶ子様にも伝えてある、が……」
「無論、紫には伝えん。私を知らすにはまだ尚早だ」
「ふむ、そうか……」
枯れた桜の並木道、その中央を通る二人の剣士。簡単なすり合わせを終え、他愛のない話をしていく。
「時に刻縁殿、またいずれ暇があれば」
「構わぬよ。私としても、よき修練になる」
「して、また宵の酒ですかな」
「ふっ、違いない」
仲良く談笑し、奥に見える屋敷へと歩いていく。
それは、つい近頃に出会った者達とは思えず、まるで旧年来の仲であるかのようであった。
スカーレット伯爵、魂レベルで消滅。
より具体的に言うと、【肉体が先代巫女に波紋シューッ!→魂は残ったけど刻縁によって一刀両断→転生すらも出来ず消滅ルート、ヤッタネ!】ということです。
幻想境大好きな奴が、そこ侵略しようとするやつなんざ許すはずもない件。
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次回更新は、3/27の23:30となります。