東方龍帰章~Return of east Legendry~   作:朝霧=Uroboross

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お久しぶりです。

一応今回で過去編を終わらせるつもりで書きました。
ちょっと急ぎで書いたのではしょりすぎたところも見えるのですが、それはまた閑話として語るので、それまでお楽しみにしておいて下さい(笑)。




求・スペルカードルール採用

 

 静けさを持つ、枯れ桜の並木道。その外れにて、二人の剣士が盃を交わしていた。

 

「そう言えば、お主の言った通りに紫が動いたらしいな」

「で、あろうな。"アレ"が切欠とは言え、些か実力主義に頼り過ぎたのだろうよ」

 

 盃をグイッと煽り、そう締め括る刻縁。

 今現在居る冥界より見て下界、地上では八雲紫よりの通達によって、今までの実力至上から『スペルカード』という代物を使った遊戯対決へと変わっていく、とのことだった。

 

「思ったよりも早かったの。……儂も、もうじきかの」

「時が経つのは早いとよく言う。これもまた摂理であろうよ……寂しくはあるがな」

 

 物憂げな顔をする二人は、並木道の奥の巨大な枯れ桜を眺め見る。そうして、出会った頃を想い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──吸血鬼異変より数ヶ月遡り──

 

「貴様、何者か。ここが冥界が主、西行寺幽ヶ子様の邸宅の知っての狼藉か」

「無論、しかして狼藉に非ず。非礼は侘びるがしばし滞在させて頂きたい」

 

 向かい合う二人の剣豪。片や、半人半霊の庭師にして冥界の現番人。片や、四方を司る神獣の化身にして高天原の末席に並ぶ者。

 柄に手を置く二人の間には、目に見えないものの互いの発する気がぶつかり合い、せめぎあっている。

 

「……我が名は『青龍寺 辰神身右臣将 刻縁』。故有って此に来る去る者を斬らねばならん」

「西行寺家が庭師『魂魄 妖忌』。幽ヶ子様の許可なくその様な事は許可できん」

 

 交渉決裂と見たか、刀の持ち手に手を添え、すぐにでも抜剣できる体勢となる。

 それは二人共に自然体であり、対峙している二人のみにしか感じられぬ殺気の衝突が行われていた。

 

 たった数秒でさえも、数分以上に感じられる程濃縮された意識の中、二人の意識がほんの僅かにぶれた。

 その瞬間、互いに抜剣し──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あの時は、互いに頑固者であったなぁ」

「いや全く、返す言葉もないな」

 

 高笑いして談笑する。そうして二人だけの酒盛りは過ぎていき、思い出話に花を咲かしていく。

 だが、時の流れは残酷で、次第にお開きの流れとなっていく。

 

「──さて」

「む、逝くのか」

「うむ、逝かねば」

 

 言葉数の少ない会話。だが、剣を交えた二人の間にはそれだけで充分であり、それ以上を語る必要はなかった。

 

「では」

「うむ」

「「いずれ、また会おう」」

 

 蒼き剣士はなお大桜を見上げ、半霊を纏う剣翁は遠くへと歩みを進めていく。

 背を向け、別離する証左とした。そうして去って逝く盟友の背に、盃を傾けながら別れを告げる。

 

「さらば──柳生の血を持つ半霊の剣士よ」

 

 それよりその場に残るは、空になったものと、そのまま手の着けられることの無くなった、飲みかけの盃のみであった。

 

 

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 ~未だスペルカードが導入される以前の話~

 ──とある日──

 

「──何者だ」

 

 仮住まいを決めた日より幾日、刻縁が近場の森を散策しているときであった。

 背後に不可思議な気配を感じ、手元の刀へと手を置く。感じたのは、霊と魔法の気配。

 

「おいおい、そうカッカしないでおくれよ。あたしゃ何もするつもりはないぜ?」

 

 そう言って姿を現したのは下半身が幽体化した、見た目からも判る『魔女』であった。

 

「あたしは人呼んで『魅魔』ってもんさ。なーんか知らない気配があったもんで見に来たんだが……あんただね?」

「……で、あろうな」

 

 ある程度は警戒を解くも、その挙動に細心の注意を払う刻縁。その姿を見た魅魔は、なかなかに絡み辛い相手と判断した。

 それでも飄々とした態度は変わらず、少しでも刻縁の情報を得ようと会話を続ける。

 

「ところであんたは何者だい?見たところ、ここいらの者じゃなさそうだけど」

「……最近戻って来た者だ」

 

 淡々と短く答え、与える情報を少なくする。とは言え、魅魔もそれで誤魔化されるほどバカではなく、そこから得られたものを、脳内で整理していく。

 しかしそれを悟られたか、目の前の刻縁に半目で睨まれ、慌てて取り繕って誤魔化す。

 

「……まぁいい、あまり詮索はするなよ」

「わかってるさ、あたしもそこまで野暮じゃないよ」

 

 と返すと、刻縁はそのまま森の奥へと消えていく。

 残された魅魔は、今さら出てきた冷や汗を拭いながら、近くの木にもたれこむ。

 

「はぁ、やれやれ……久々におっかないもんと出会っちまったよ。ありゃぁ……滅多に見なくなったガチもんの神サマじゃないかい……」

 

 げんなりした様子で体を預け、ぐったりとする魅魔。

 そんな魅魔に、空から降りてくる影が一つ。

 

「──魅魔様ー!見つけましたよ!……って、大丈夫ですか?」

「ん──、あぁ、魔理沙かい。ちっとヤバいのと出会して、ね」

 

 ため息を吐きながら、自分の弟子たる魔理沙を見る。

 きょとんとアホ面を晒す弟子に頭が痛くなりそうだったが、それよりも今出会った相手に敵対しないことが優勢と考えた。

 

「いいかい魔理沙、よく覚えときな。────蒼い和装の剣士にだけはケンカ売るんじゃないよ」

「えっ?何のことですか?」

 

 突然何を言い出すのかと魔理沙は疑問に思うが、魅魔は有無を言わさず、脅すように言い聞かせる。

 

「いいね?返事は?」

「は、はいっ!」

 

 これで一応は大丈夫かと、更に溜めていた息を吐く魅魔。

 だが、これから数年後には、この不肖の弟子が彼と相対することになろうとは、今の彼女には夢にも思わぬことであった。

 





妖忌、魅魔と、過去の重要人物との関わりを見せる刻縁。一体彼は、いつ、どんなことを成すというのか。
それはまだ、先々のこと……。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
皆様からのご感想、評価等お待ちしております。

次回更新は4/10の23:30となります。
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