個性:ミノ粉   作:春猫

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早くもサブタイ選択に苦しんでおります


ぼくらの

 

 中学生活も終わりに近づき、受験が差し迫る今になってショート君と顔見知りになった。

 

 とは言っても会話を交わしたりはしていないし、向こうはこちらの名前も知らないだろう。

 

 どういうことかと言うと、受験直前まで道場通いを続け痣や内出血だらけの姿で入試当日を迎える訳にもいかず、また雄英入学後も道場に通い続けることは不可能だということもあって道場を辞めたのだが、体が鈍ってはいけないと道場で動かなくなった分を補うべくランニングを始めたのだ。

 

 最初の頃は「俺の他にも走ってる奴が居るんだな」程度の感覚だったが、どうもショート君の早朝ランニングコースと俺のコースが重なる部分があり、そこに差し掛かる時間がほぼ同じ、なんとなく競争めいた事を何回かする内に「コイツには負けたくねえ」的な男の子の意地のぶつかり合いが発生したのだ。

 

 クール系のショート君だが、ああ見えて実は負けず嫌いだ。

 俺は最初はどうでもいいと思ってたんだが、競った後の互いのコースが分岐する地点での別れ際、自分が勝った時のショート君の「今日も俺の勝ちだったな」的表情にちょっとムキになった。

 

 なんとなく毎朝競い、一喜一憂し(負けるとその日一日悔しい)、一言も交わさなきゃ、接触も無いけど、ライバル関係っぽいものになってる。

 

 

 受験は雄英一本、とは言ってもヒーロー科と普通科両方の受験だ。

 

 志望者の多さからヒーロー科の受験が先に行われ、サポート科、経営科、普通科の受験が後になることから可能になる受験スタイル。

 個性で可能なこととしてソーラレイモドキを公にすることで、なんとか逆髪先生もヒーロー科受験を納得してくれたようだ。

 

 

 あ! あとこの間、初めて生オールマイト見た。

 

 模試の帰り、暴れてるヴィランが居て「初エンデヴァー遭遇か?」とか思ってたら、オールマイトが来た。

 

「私が来た!」の安心感スゲエな。

 人としての質量というか存在感というか熱量というか、確かに別格だわ。

 

 漫画だとトゥルーフォームや教師としてのへっぽこぶりで矮小化されてるけど、オールマイトは確かにヒーローの頂点だわ。

 そりゃ、人間だから欠点もあるけど(特に漫画だと、この世界の俺ら一般人が知ることのない情報とかも見れるからな)、街の婆さんとかが拝んじゃうのも分かるし、デク君や苦労マンが憧れるのも当然だわな。

 

 雄英行きゃ、この人が居るんだろ?

 そりゃ受験対策にも力が入る。

 

 

 空を飛ぶのは流石に音速超えはしてないが、父ちゃんの会社の試験場を使わせてもらった練習で飛行機レベルの速度は出せる様になった。

 

 その気になれば自宅から雄英に通学出来るな…しないけど。

 父ちゃんに自分の背よりちょっとだけ大きいサーフボード形状のサポートアイテムを作って貰って、それで飛ぶ練習もしてる。

 地上では(長さを少し縮めて)盾になるし、アイテム収納も出来る(父ちゃんはもっと色々仕込んだり変形させたりさせたかったらしい)。

 

 サーフボードに乗った場合の方がアクロバティックな機動がし易い。

 イメージをしっかりと想像しやすいのと、ボードの方がミノフスキーフライトに適した形状だからってのの両方だろう。

 

 ヒーロー科入学後ならともかく、受験時には使えないだろうから、今は生身での飛行メインだけどね。

 

 

「美延須、雄英だって?」

「ああ、一応ヒーロー科が第一志望」

 巨田はバカだから、他の連中より気にせず俺に話しかけてくれる。

 お礼も兼ねてエガちゃんのネタを教えてやったんで、以前ほど女子から顰蹙をかわずに済んでるっぽい(「タヌキのキ◯タマ~!」で実物巨大化はセクハラを通り越してるもんなぁ…許されるのは小学生までだよな、そのネタ)。

「ウチの中学は轟とお前の2人が雄英か~?」

「蔵館さんが経営科受けるとか聞いたけど?」

「蔵舘、お金大好きだもんなぁ」

 

 隣のクラスの蔵舘さんの個性は「銭勘定」ばら銭でも、金庫内に無造作に積まれた塊でも一目で正確な金額を把握する上に、偽札なんかはどんなに精巧でもその金額にカウントされない(それで偽札が発見されたことが何回かあり、警察や銀行に内々に頼まれてチェックしたこともあるんだとか)。

 財布の中身ぶちまけた時なんか、ブチまかれた金額を正確に把握してるから、見つけ損ねた硬貨があるとか教えて貰うという形で世話になった奴も何人か居る。 

 

 お金が好きだからそういう個性なのか、そういう個性だからお金が好きになったのか、ともかく彼女が「お金大好き人間」であることは全校生徒が知っている。

 雄英経営科志望と聞いて皆が納得している。

「ああ、あいつなら成功するな」って。

 

 まあ、そんなこともあり、この学年の成績トップ3は俺、ショート君、蔵舘さんで競ってる。

 

 うん、雄英目指す以上、俺、成績いいんだよ?

 でも、巨田とか以外、あんまり話しかけてくれない。

 

 俺が有名ヒーローになったら、何故か中学時代の親友が生えてくるんだろうけどな?

 

 

 

 そうして、迎えた雄英ヒーロー科入試当日。

 飛べばあっと言う間、当日、自宅から出発しても間に合うけどヒーロー資格取得前にそんなことは出来ない、前日に会場近くのホテルに泊まり、余裕を持っての会場入り。

 

 なんか、凄そうな奴いっぱい居るけど、見た範囲内に原作で見た顔は居ない。

 ってことは、こいつらは合格出来なかったってこと。

 

 頑張って色々やって来たし、実技試験の内容と評価基準を知ってると言うアドバンテージもあるけど、それでも不安だな?

 

 ここからでは見えないけどデク君が飯田君に注意されてる声が聞こえる。

 

 ああ、原作のスタートだね。

 

「僕のヒーローアカデミア」が「俺のヒーローアカデミア」になるかどうか?

 

 ここまでくれば腹をくくるしかない!

 

 

 

 筆記試験は無事終了、ちなみに俺が一番得意なのは国語。

 速読術とかは出来ないけど、素で普通の人間より文を読むのが速い。

 文庫本とか厚さによっては一時間未満で読破出来る。

 で、この文を読む速さ、国語以外の教科でも強みになる。

 俺がなんとか雄英合格圏内に入れた要因だ。

 

 見直しとかもしっかりしたんで、ケアレスミスでの思わぬ失点とかも無い。

 

 

 という訳で実技試験。

 知ってる顔は口田くんくらいかな?

 彼の個性はこの課題向きじゃないけど、素の攻撃力も高いんだっけ、彼は。

 

 プレゼント・マイクが叫んでる。

 返事をして悪目立ちをしたりはしないが、拳を突き上げるくらいはしてあげよう。

 

 試験スタート、前に進むみんなを尻目に上空へ。

 

 漫画やアニメだと視点が色々動くから問題無いけど、死角が多いし、そういうトコに敵ロボ多いなぁ。

 

 まだ、ほとんど接敵してないこともあり、要救助者、要支援者は居ない。

 他の受験生から遠い位置に居るロボから破壊。

 

 胴体か頭ぶち抜くのが簡単だけど、試験の主旨を酌んで足と腕を破壊する。

 ソーラレイモドキ、殺傷力高いからね。

 遠いトコからやってるのも、学校側がフォローする余地も無く、他の受験生をミスで殺してしまう危険性があるためだ。

 

 

 たぶん、ヴィランポイントは確保出来たと思うんで、他の受験生のフォローに回ろう。

 

 対ロボ向けの個性じゃなかったんだろうなぁ。

 手や足なんかに怪我をしてるのが何人か居るし、疲れ切って座り込んでる子も居る。

 

 ただ、まあ、現時点ではそうそう諦められるものでもないだろうから、声をかけ、希望者だけを搬送する。

 男でもお姫様抱っこで空を飛ぶ。

 黒歴史が量産された。

 

 

 本人やる気でも終了時間間近になったら、問答無用で退避させるけどね?

 

 なんか、見てる範囲じゃ「なんでコイツ合格しなかったんだろう?」って奴もいるねぇ。

 筆記が悪かったのか、それとも漫画じゃ描かれて無かったマイナス評価基準があったのか。

 

 そうしてレスキューポイントを稼いでいると、0ポイントのお邪魔仮想ヴィランが登場。

 

 周囲をチェックしたが、可愛い女の子が逃げ遅れてるとかヒロアカ二次のお約束展開は無かった。

 葉隠とか居なかったハズだから、万が一、逃げ遅れの可能性があるとしたら保護色同化系の個性持ちだけど……念のため、地上で確認しとくか?

 

 ホバー風移動しつつ声かけ。

 退避済みだね、これ。

 無駄足、乙。

 

 お邪魔はヴィランじゃなく、ロボ扱いして平気だよね?

 

 まあ、倒れると二次被害の危険もあるし、日常では余り使えない個性使用をやってみよう。

 

 ミノフスキー粒子による電算機器への干渉。

 クラフト使ってお邪魔ロボの顔の高さに上昇。

 不安定じゃない、直立してるタイミングでミノ粉アタック。

 

 

 

 はい、終了~!

 

 後ろの方で小鳥が飛び交ってたの、もしかすると口田くんが要救助者チェックしてたのかもね?

 彼の性格からすると凄くありそう。

 

 よっぽどの番狂わせ(俺以外の転生者が居るとか?)が無ければ、無事、合格出来たと思う。

 

 

 ……思うんだけど、漫画と違って高校卒業後も俺の人生は続く。

 だから、保険として普通科も受験。

 高校受験浪人はね、流石に避けたい。

 ヒロアカ本編じゃその手の話出て無かったけど、雄英目指す奴の中には一年くらいなら浪人してでも、って奴もいるかもね?

 

 そんなこんなで入試も終了。

 あとは合格発表を待つだけ。

 

 ショート君との朝の勝負は続いてる。

 最近じゃ、これ見よがしにパワーアンクル見せつけて来るのがムカつく。

「ハンデつけてやるよ!」ってか?

 くそっ、こっちはそんな装備したら、父ちゃんに「そんなものより、このスーパーアスリート養成ギブスを使うのだ!」とかトンデモ装備用意されかねないんだぞ!?

 

 

 そんな毎日を過ごしていたある日「私が投影された!!」と合格通知が届いた。

 大喜びで父ちゃんが母ちゃんに電話して、その晩は久々に3人での夕食。

 

 

 こうして「俺のヒーローアカデミア」が始まることとなったのだった。

 

 




雄英入試のヒーロー科、その他の受験日分割は捏造です
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