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僕はがむしゃらに銃を撃つ。一発一発、9㎜弾の反動が腕にくるというのに、クリーナーズの男にはまるで効果がないようだ。
奴はこちらをしっかりと見据えて、かちゃりと火炎放射器を構える。
「ジョン!」
カイルの叫び声が聞こえる。もうだめだ。僕も伍長みたいに――
パララッ。何かが、僕とクリーナーズの間に飛び込んで、トレーラーの壁に穴をあけた。それが、銃弾だと気づくには少し時間が必要だった。
僕よりも早く、銃撃されたことに気が付いたクリーナーズの男は至近弾にひるんで、一歩後ずさる。その瞬間に、振り返ったカイルのM4カービンが火を噴いて、男に穴をあける。
耳をつんざくような5.56mm弾の銃声は、どこまでも続くように響く。そして、マガジンの弾が切れるまでその巨体をズタズタに引き裂いた。
どさり、と男が倒れる。現実が急に降ってきて、走馬灯から呼び戻された。
「……っ、はぁ、は、ふ」
僕はそこで、息を止めていたことに気が付いた。何もかもが一瞬の出来事で、理解が追い付かない。分かるのはとにかく、助かったということだけ。
「大丈夫!?」
声が聞こえて、人影がトレーラーに飛び込んでくる。女性――ディビジョン・エージェントだ。彼女は僕らと並んで遮蔽に身を隠すと、僕とカイルの様子を伺った。
「エージェント……」
僕はそれ以上に声が出ない。
「生きてるみたいね、よかった。そっちに二人、奥に二人。まだ戦える?」
彼女は腕のオレンジ色に光る腕時計を確認していた。たぶん、レーダーか何かの機能があるようだ。
「ジョンは脚をやられてる。俺はバッチリだ」
カイルはM4のマガジンを交換しながら言った。
「分かった。合図したら攻撃して。まずは手前にいる二人を排除する」
淡々と告げたエージェントは背中から球体を取り出し、それを地面にひょいと投げた。球は腕時計と同じオレンジ色に光ると「キュルリ」と不気味な音を立てて、動き出す。
僕とカイルは奇妙なその物体を見つめてしまった。
「ほら、見てないで準備して」
彼女はそんな僕たちをとがめるように言う。僕は這いつくばりながらトレーラーの端まで戻り、二人の援護をできるように拳銃を構えた。
エージェントが腕時計を操作すると、球はころころ転がって、トレーラーの陰から飛び出してクリーナーズの方に向かっていった。
「なんだぁ、あれ?」
遠くからそんな声が聞こえた。直後――爆発音が響いた。
「今よ! 撃って!」
エージェントが叫び、カイルは驚きながら身を乗り出してM4を撃つ。僕も体を半分だして拳銃を撃つ。すぐ目の前には手製のシールドと消防斧を構えた『
僕たちは『盾持ち』に攻撃を集中させる。カイルの銃弾はその盾に次々と穴をあけて、粉々に砕く。僕は無防備になったところに9㎜弾を撃ち込んで、そのまま倒した。あの球の爆発によってクリーナーズは混乱していて、まだ反撃は来ない。
エージェントは僕たちの射撃に隠れるように、トレーラーから飛び出した。彼女は敵の銃弾を恐れないように道路を駆け抜け、そのままG36小銃を撃つ。
引き金を引いて僕は彼女の攻撃を援護する。間もなく体制を立て直したクリーナーズ達が反撃を始めて、ヒュンヒュンと銃弾が僕らの横を飛び交った。
『盾持ち』を倒して、『銃持ち』に攻撃を集中するが、奴はなかなか倒れず、辺りに炎をまき散らす。そんな中では流石のエージェントも近づけず、放棄された
激しい銃撃戦が続く中、パチンと弾が固い何かにあたったような音がすると、状況は一変した。
「まずい! あたった! あたった!」
『銃持ち』はそう叫んで、急にうろたえ始める。そのまま火炎放射器を手放して、その場でくるくる回る。まるで炎に包まれたアラン伍長のように。
奴が背を向けた時、背負っているガスタンクから火が噴き出ていることに気が付いた。
「だれか助け――」
次の瞬間、ボンと音を立ててタンクが爆発した。
クリーナーズは背中を吹き飛ばされて、その場に血をまき散らしながらぺちゃりと倒れた。残された体はパチパチと燃えながら、白い道に血の水たまりを作る。
爆発の後、戦場に一瞬の静寂が訪れた。クリーナーズも、僕たちも、あまりのことに言葉を失っていた。
少しして、残された二人のクリーナーズは慌てて逃げ出し始める。
まだ呆然としていた、僕とカイルは攻撃を止めてしまった。
でも、エージェントは違った。
逃げ出すクリーナーズの背中に向かって容赦なく銃撃を加える。そして、一人のガスタンクにまた火がついて――ドン――二人のクリーナーズは一つの肉塊になった。
それは少しの間燃えて、風と共に焼けた肉とガスの不快な臭いが辺りを漂った。
戦いは終わり、僕たちは勝った。クリーナーズに勝った。
けど、喜びの感情はわかない。
脳を支配していたアドレナリンが消えて、またしても現実が降って来る。残酷な地獄絵図を脳がしっかりと認識し、理解をしてしまう。
火炎放射器に焼かれて筋収縮を起こしながら、それでも助けを求めて手を伸ばしたままに固まったアラン伍長。
物言わぬまま地面に倒れた『盾持ち』、背中が無くなった『銃持ち』、肉塊になって二人が一つになったクリーナーズたち。
頭を割られ、脳をまき散らしたルーカス。
次々頭を駆け抜けていって、胃がひっくり返ったように――。
抑えようとしたが間に合わずに、僕は吐き出した。監禁されている間は何も食べていなかったので、ほとんど胃酸と水だった。
「ジョン……大丈夫か……」
気丈に振舞っていたカイルも、この悲惨な光景には堪えたようだった。
「大丈夫? これ飲んで」
戻ってきたエージェントは背負っているバッグの中からペットボトル入りの水を出すと、僕に差し出す。
こんな中でも、彼女は恐ろしいほどに平然としていた。