奴隷騎士は再び魔剣を握る   作:青い灰

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別で作ってた設定集が消えて大変でした()
現在復元中なので今回は短めです。




旅の始まり

 

 

 

「準備はこんなものかしら。

 それじゃ、後は町の外で馬車に乗るだけね」

 

 

その言葉に頷く。

剣を買って一晩経った翌日。

俺は今日、この国を出ることになる。

早朝の街路で買い物を終え、

なんとなく、町の中央に聳え立つ城を見上げた。

今あそこには、姫と白騎士がいるのだろう。

何をしているのだろうか。

 

 

「…………気になる?」

 

 

視界の端でフードをしたルシアが

顔を出して聞いてくる。

………確かに気にはなる……が、それまでだ。

何をしているのか、としか思わない。

昔と変わらない日々を過ごしているのか。

今は風の刻(朝6時頃)だ。

もし、今から鍛練所に行けば白騎士が………

 

 

「おーい、聞こえた?」

 

「……悪い、聞こえた。

 気にはなるが、そこまでさ」

 

「ふーん……復讐とか考えないワケ?」

 

 

……………復讐、か。

確かに牢を出たからには妥当なことだろう。

だが、そんなことをする必要性は感じられない。

故に俺は首を横に振った。

 

 

「…………いや、怒りは沸いてこない。

 仕返しをしたとして、

 楽しかった昔に戻ることはないしな。

 それに、無意味だし、無謀だ」

 

「……………」

 

「俺の使命は君を守ることだ。

 もし白騎士に戦いを挑んだとして、

 おそらく……いや、確実に俺は負けるからな」

 

 

そう言うと彼女は眼を細める。

そして一瞬、躊躇う……もしくは考えるように

視線を泳がせ、口を開く。

 

 

「負けるから、復讐しないのね?」

 

「そうだな。

 俺は奴隷、主の使命に従わなければならない。

 失った騎士の誇りも、今は君に捧げている」

 

「あっ今キュンとした。

 それいいわね」

 

「真顔で言われてもな………」

 

 

冗談なのか本気なのか、

主の言葉に俺も頬を緩める。

彼女も同じようにクスクスと笑う。

だが、その笑みにはどこか物悲しげな感じがある。

それを聞こうと口を開くが、

彼女が先に問うてくる。

 

 

「………セト、国を出るのだから最後に聞くわ。

 姫と白騎士フィーネに、会う気はないのね?」

 

「ない。

 捨てられた玩具は塵箱の中で良い。

 玩具の新しい持主は現れたしな」

 

 

自虐的に言う。

牢で、新たな持主の元で、考え直した。

俺はこれで良い。

余計な思考は捨てて、命令に従うだけで。

 

 

「彼女等に…いや、国に俺が不要ならば、

 俺は新たな持主に拾われるのが最善だ。

 改めて………この命、使い潰してくれ」

 

 

その言葉に彼女は溜め息をつく。

そして嬉しそうな……どこか、悲しそうな

笑みを見せて、こう言った。

 

 

「安心なさい。

 私、綺麗好きだから磨き直してあげる。

 その信念も、剣も……人としての在り方もね」

 

 

彼女は俺の手を取る。

そして彼女は走り出し、

俺の手を城下を囲む大壁の門へと引く。

 

 

「さぁ、行きましょう。

 きっと、とても楽しい旅になるから」

 

 

その言葉が脳を揺さぶる。

身体の芯が熱い。

その笑みが、失った欠片を取り戻してくれた。

 

 

「………あぁ」

 

 

頷き、共に走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを、金髪の女は見ていた。

 

 

「…………ふふっ」

 

 

女は感情の読めない笑みを漏らし、

腰の純白の剣、その柄に触れる。

剣は主に答えるように燐光を纏い、

カタカタと揺れ始めた。

 

 

「良かった……これで────」

 

 

口を吊り上げ笑みを浮かべた白の聖剣を携えた女は

外套を翻してその場を後にした。

 

 

 

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