テニアになって好き放題暴れる   作:ルサー

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0話「プロローグ」

俺は薄暗い部屋の中で目を覚ました。目を開く前に危険状況だと気づいてしまう。何故なら両腕と両足を拘束されており、服らしきものを纏っている感覚がないのだ。つまり全裸ということになる。

 

???「あら、お目覚めかしら?」

 

目の前に興味無さげにこちらを見る女性がいた。緑髪のポニーテールで顔には独特の化粧をしていて、何処かで見たことあるような印象だ。

 

「ここはどこ!?あんたは誰!?」

 

…なんだか声に違和感がある。ふと視線を落としてみると妙に膨らんだ胸と赤い髪が見える。これはもしかして…!

 

???「悪いけどその質問には…」

 

「フー=ルー!」

 

フー=ルー「…っ!?」

 

ビンゴだったみたいだ。目の前に居るのはフューリーの騎士のフー=ルー、それに対して俺はフェステニア・ミューズ。どちらも『スーパーロボット大戦』のオリジナルキャラだ。どうして俺がテニアになっているのかは謎だが、上手く立ち回ればヒロインとしてフューリーと戦えそうだ。

 

まず目の前の状況をなんとかしなくてはいけないのだが…。

 

フー=ルー「…何故私の名前を存じているのか知りませんが、生かして帰すわけにはいきませんわね」

 

「このっ…!」

 

暴れてみるがガチャガチャと音が鳴るだけで外れる気配はない。

今はどういう状況なのだろうか。テニアだけ捕まっているのも不自然だし近くに統夜かメルア達も居るのだろうか?それにしては見張りが豪華すぎる気がするが。

 

フー=ルー「いくら暴れても助けは来ませんわよ」

 

「…」

 

完全に詰んでいる気がする。仲間が居ればまだなんとかなるが、1人で、しかも見張りが騎士だとどうしようもない。せっかくテニアになったのに何にも出来ないで殺されるのは嫌だ…!

スパロボ世界なら生きてさえいれば割とどうにでもなるから最終手段を使う。

 

「なんでもする…!なんでもするから命だけは!」

 

フー=ルー「命乞いなんて………はい、なんでしょう。」

 

もうダメかと思ったその時、懐から通信端末を取り出した。

 

フー=ルー「了解しましたわ、すぐに向かいます………命拾いしましたわね」

 

「行くならせめて服くらい着せなさいよ、この変態!」

 

こちらの言葉は無視して行ってしまった。…どうにかしてこれを外さないと本当に殺されてしまう。それだけは避けなくては。

 

今の状況からどの場面かを割り出すのは難しい。わかったとしても助けてもらえるかは微妙な所だろう。

もし外に出られたとしても月に何があるかわからない。ここが本当にスパロボ世界なら月に敵の本拠地がある可能性は十分にあるし。

 

「ふぎゃっ!?」

 

暴れていると鎖が外れて倒れてしまう。おそらく体重がかかり続けていたから歪んだのだろう。

手錠と鎖は付いたままだが、とりあえず自由に動けるようになったため行動を開始することにした。

 

部屋にテニアの服はなかったので仕方なく全裸で飛び出す。

護身用に武器を探した方がいいのだろうか、それともアル=ヴァンを探して匿って貰う方がいいのだろうか。そんなことを考えながら走り続けた。

 

すると曲がり角で誰かとぶつかってしまう。

 

「うわっ!」

 

???「きゃっ…!」

 

悲鳴を聞いてすぐに踏み込み、全身を使って声の主を捕らえる。テニアの腕力だとすぐに解かれてしまうかもしれないが、そこはもう気にしていられなかった。

 

???「えっ…!?」

 

「動かないで!」

 

近くにいた者が構えるがこちらには踏み込んで来ない。そのままソレを盾にしながらゆっくりと後ろに下がる。

 

「動いたらこれでぶん殴るよ!」

 

従士「なっ…!?」

 

我ながら情けない脅しだと思う。腕に付きっぱなしの手錠を構えて捕まえたソレに構える。回り込まれたらもう終わりなのだが。

自分の裸体が隠れて恥ずかしくなくなるがそれだけである。

 

???「フェステニア…!?その格好は…それより何故ここに!?」

 

一番危険な目にあってる人に心配されてしまった。…同じ状況をゲームで見たら確かに心配したくなるが。

手出しはしないみたいだけど、これからどうしようか。こういうのって脱出用のシャトルを要求しても追撃されて落とされるのがオチだし、テニアの知り合いにフューリーなんて…

 

???「…皆さん、道を開けてください」

 

彼女の声を合図に従士達が通路の端に避ける。このまま月面都市まで逃げらればいいのだが、許してくれないだろう。

 

???「ここを右へ…」

 

「どこに連れていく気?」

 

???「……」

 

彼女の言われるままに進む。

テニアが知らない知識を出して従わせる事も考えたが、リスクもある。後に味方になるとはいえ今は黙っていた方がいいだろう。

 

「警備が全然いない…」

 

???「……」

 

まぁ、向こうに脱走者が人質を取って逃走したなんてもう知られているだろう。何処かで囲んで叩けばそれで済む話だ。

だがこちらも死ぬつもりはない。最終手段を使う事も考えなくては。

 

「逃げるついでに服もくれると嬉しいんだけどなぁ…」

 

???「…ここを左です」

 

彼女は文字通り鍵だ。向こうも手荒な手段は取れないはず、それを逆手に取る。相手に諜士も居たら…『ムーン・デュエラーズ』基準だったら諦めるしかないが。

 

???「…これを使ってください」

 

そう言って折り畳みのナイフを手渡してきた。

姫でも普段からこんなのを持ち歩いているのか、先程の従士にこっそり貰っていたのか。

そんなことを聞いている時間はないみたいだ。

 

従士「大人しくしろ!」

 

「こっちの台詞よ!この人が…シャナ=ミアがどうなってもいいの!?」

 

そう言い放ちながら貰ったナイフをシャナ=ミアの首元に突き付ける。

 

シャナ=ミア「…誰かこの者をアシュアリー・クロイツェルまで送ってください」

 

アシュアリー・クロイツェルへ送るということはムーン・デュエラーズ基準なのだろうか。全く別の設定という可能性もあるが…

それにしてもおかしい。シャナ=ミアはフューリーの中でもトップの人だ。この場に従士しか居ないのは変じゃないか?

アシュアリー・クロイツェルがまだ存在すると言うことはプロローグ前という事になるし、可能性は十分にある。

 

「…早く!」

 

従士「わ、わかった…すぐに用意するからシャナ=ミア皇女をこっちに…」

 

ナイフを握る手が震える。脅しとはいえ人にナイフを向けたことなどない。ここで失敗したら間違いなく殺されるし、選択を誤ったらメルアとカティアも危ない。

 

「やだ!早く私をここから出しなさいよ!」

 

今はシャナ=ミアがいるから平気だが、解放した瞬間に襲われるのではないだろうか。

 

シャナ=ミア「それと羽織る物もお願いします」

 

やっぱり心配されていた!?

こうなったらシャナ=ミアも連れて連邦に行くしかない。色々と歴史がおかしくなるがテニアが殺されるよりはマシなはずだ。

 

???「何の騒ぎだ!?」

 

シャナ=ミア「アル=ヴァン…」

 

「近寄るな!」

 

とうとうアル=ヴァンが来てしまった。一応面識はあるはずだが、今はフューリーの彼がこちらを助けてくれるとは考えにくい。

 

アル=ヴァン「申し訳ありません。ですがヤツはシャナ=ミア様を人質に取っています」

 

関係ない、殺れとでも言われているのだろうか。もしグ=ランドンならやりかねない。ならばこれが最後のチャンスになる。

 

「アル=ヴァン!アシュアリー・クロイツェルまで送って!!さもないと…!」

 

アル=ヴァン「アシュアリー・クロイツェルは…もうない…」

 

「えっ…?」

 

シャナ=ミア「そんな…!」

 

…そういうことか。諜士が居なかったのアシュアリー襲撃の為に出払っているからだった。フー=ルーが呼ばれたのもそれと関係があるのだろうか。

ということはもうエ=セルダがグランティードを持ち出していることになる。

 

アル=ヴァン「ゲスト…ゾヴォークに襲撃されたとの報告が入っております。自分もこの目で確認しました。」

 

「カルヴィナは!?ねぇ、カルヴィナも死んじゃったの!?」

 

本来ならカルヴィナとテニアがベルゼルートに乗ってアル=ヴァンを目撃することになっている。でも自分がこんなところに居るし、もしかしたら…

 

シャナ=ミア「ゾヴォーク…」

 

アル=ヴァン「生存者は居なかったがベルゼルートは無事だ。…大人しく投降しろ」

 

良かった、予定通りベルゼルートの飛行テストを前倒しにしたみたいだ。

ならば、冒頭は『ムーン・デュエラーズ』とほぼ同じだ。

 

「そんなこと言って私に酷いことするつもりでしょ!外道!卑劣!悪魔!カルヴィナに言いつけてやるから!」

 

アル=ヴァン「なっ…ま、待て!命の保証はする!」

 

「あんたらは信用できないのよ!ゾヴォークとか言って、本当はソ=デスがやったの知ってるんだから!」

 

喋り方が女性に近づいている気がする…。

勢いでとんでもないことを言ったが大丈夫だろうか。

 

アル=ヴァン「…!?」

 

シャナ=ミア「えっ…!?」

 

従士「!?」

 

???「そこまで知っているのなら生かしてはおけんな」

 

「カロ=ラン…!」

 

最悪だ。カロ=ランまで来てしまった。

というかもう人数差で押されて圧敗だろう。

 

シャナ=ミア「待ちなさい!彼女を殺してはなりません!」

 

カロ=ラン「ちっ…」

 

庇って貰えた…?いや待て、この流れは非常にマズイ。

また捕まったら薬浸けにされて情報を吐かされるに決まってる。下手したら地球側が敗北するかもしれない。

 

「カロ=ラン!あんたの秘密は知っているんだからね!動いたら喋るよ!」

 

カロ=ラン「ほう…?例えば?」

 

「…エイテルムを温存してる事とか?」

 

カロ=ラン「…それだけか?」

 

カロ=ランがこちらに銃を向ける。

撃たないとは思うが、一応シャナ=ミアを盾にする。

「ごめん…!」

 

シャナ=ミア「カロ=ラン!」

 

カロ=ラン「…………了解した。シャナ=ミア皇女と小娘を生きて捕らえろと命令があった、下手な真似をすると撃つぞ」

 

「…撃てるの?死んだら鍵として機能しないでしょ?」

 

カロ=ラン「殺さなければいい話だ」

 

そう言いながらこちらの足に銃口を向ける。

こいつはこういう性格だから嫌なんだよな…

 

というか、詰んでる。味方はまだ居ない…この場から逃げれるだけの技術などもない…

 

「さよなら…シャナ=ミア…」

 

こんなやつらに捕まるくらいなら死んだほうがマシだ。最悪テニアがいなくてもメルアとカティアが居ればなんとかなるし、そんなことより俺のせいで地球側が負けるほうが問題だ。

 

シャナ=ミア「なっ…捕らえてはなりません、ベルゼルートが収用された艦に送ってください!」

 

そのままシャナ=ミアを解放して自身の首にナイフを向ける。

 

カロ=ラン「どうした、手が震えているぞ?」

 

「カロ=ラン!グランティードを仕留め損ねた事、そしてトーヤ達を怒らせた事を、後悔するがいい!!」

 

そう言い終わって首を切る…はずだった。

辺りに轟音が響き、まともに立っていられなくなる。

 

シャナ=ミア「アウルン…!」

 

カロ=ラン「正気か!?」

 

アル=ヴァン「…シャナ=ミア様の指示に従います」

 

運が良かった…のだろうか…。アル=ヴァンの誘導に従いラフトクランズ・アウルンのコックピットへと乗り込む。2人乗りなため少し窮屈だが、ワガママは言ってられない。

 

連邦にどの面子がいるのかはわからないが、アル=ヴァン達は捕虜として扱われるだろう。ここに帰って来た所で反逆者として処理されるのは目に見えているし。




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