久しぶりにベッドで寝たからなのか、隣にシャナ=ミアがいるにも関わらずすぐに寝てしまった。
何か用があって呼んだのだとしたら少し申し訳ないことをしたなと思いつつ、シャナ=ミアの寝顔を眺める。
…流石に手は出さないからな?
ずっと眺めているのも悪くないが、お腹が空いてきたから移動する。
メルア「あれ?テニアちゃん…?」
トーヤ「テニアも居たのか。てっきりザフト所属になったものかと…」
なんでそうなる。悪くはないけどそんなことしたらシャナ=ミアがなんて言うか…。
「ごめん、私忙しくて何も知らないんだけど…なんでここに?」
ガウ=ラがゾヴォークまで行くのならともかく、プラントにあるだけだ。その気になればすぐに遊びに来れる距離だし、ここに住む必要性は薄いんじゃないだろうか。
トーヤ「いざと言うときにグランティードを動かせないと困るだろ?それに…」
カティア「テニアの手助けもしたいのよね?トーヤ」
「そっか…ありがと、トーヤ」
トーヤ達も手伝ってくれるなら心強い。
…そうなるとカルヴィナも居るのか?こっちに来ない理由がないと思うが。
メルア「あとカルヴィナさんもいますよ」
しまった、顔に出てたか?
そんな会話をしながら食堂で朝飯を注文する。
「私はこれとこれとこれで、ご飯は全部大盛りでー」
その場にいたフューリーの人達がこちらに困惑の眼差しを向ける。…ここでいつもの量を食べるのは初めてだったか。
テニア…俺の扱いはフューリーの中でも変わっていて、諜士ですらないがシャナ=ミアの護衛を勤めている。が、総代騎士であるアル=ヴァンに護衛をやらせるという案も出ている。
また、俺が保有しているラフトクランズはプラント製だからという理由でなんとか納得してもらっているが、一時期は取り上げろとの声も上がっていた。
簡単にいうとシャナ=ミアとアル=ヴァンが強引に話を進めて、俺が反感を食らっている。
トーヤは…何だろう。グランティードを普段から使うわけにもいかないだろうし、クストウェル・ブラキウムを無理なく授与できるよう禁士にでもするのだろうか。
メルアとカティアはトーヤとカルヴィナのサブパイロットを勤めるため、それぞれの専属だろう。
カルヴィナは…アル=ヴァン専属?
「ごちそうさまー!」
そんなことを考えながら朝飯を全て平らげる。
トーヤ「はやい!?」
メルア「ええっ!?」
「食後の運動ー」
カティア「す、少しはゆっくりした方が…」
カティアの忠告は無視してある場所に向かう。まず格納庫へ向かってから、通路を右、左…そのまままっすぐ通って…。
嫌な記憶も甦るが気にせず進むと、あった。周辺も探してみるがやはり何も見つからない。
そろそろ帰ろうと振り返ると足音が聞こえてくる。場所が場所なだけに嫌な予感がする。
フューリーはまだシャナ=ミアが就いたばかりで演説をしたくらいだ。地球人を見下しているフューリー人なんていくらでもいる。ましてや皇女の護衛を任されている事なんて簡単に受け入れられるものでもないだろう。
勿論手ぶらで来たわけでは無いので獲物を構えて迎撃しようとするが…
シャナ=ミア「テニア…!?顔が真っ青ですよ!?」
「シャナ=ミア…?」
足音の主の姿を見ると力が抜けてぺたりとその場に座り込んでしまう。
シャナ=ミア「どうしてここに…?」
「ここなの…気づいたら私はここにいた。だから、何かあるんじゃないかって…」
シャナ=ミア「……」
「でも、なかった。だからもういいの」
そのままシャナ=ミアと一緒に格納庫へ移動する。
シャナ=ミアは急に姿を消したテニアが心配になってあちこち探していたそうだ。そしたら不審な物音が聞こえたから行ってみると、青ざめたテニアが居たということらしい。
(宇宙 ガウ=ラ・フューリア周辺)
オペレーター『シャナ=ミア様、大変です!ガウ=ラ周囲にゾヴォークが転移してきました!』
シャナ=ミア「えっ…!?」
ゾヴォークということはゴライクンルだろう。ガウ=ラに目を付けたということか。
「バリアを張って、こっちもゾヴォークの機体を転移で出して!それで少し時間を稼ぐ!」
オペレーター『な…テニアか!?悪いが地球人の…』
シャナ=ミア「それで問題ありません」
オペレーター『は、はい!』
とまあこんな感じで地球人だからと下に見られることもしばしばある。
たまーにフューリー人として見てくれる人もいるが。
「…プラントにも要請出しておいて」
オペレーター「あ、ああ…」
シャナ=ミアが近くにいる以上断っても無駄だと判断したようだ。シャナ=ミアには悪いがそっちの方がありがたい。
カルヴィナ「メルア!行くわよ!」
メルア「ちょ、置いていかないでくださいー…」
トーヤ「シャナ=ミア…」
シャナ=ミア「グランティード・ドラコデウスですね?出しても問題ありません」
カティア「行きましょう、トーヤ!」
シャナ=ミア「私達も行きましょう、テニア」
「うん!」
???『もう終わりぃ?』
アル=ヴァン『…やはり時間稼ぎにしかならんか』
こちらのゾヴォーク機が全て破壊される。こうなることは想定内だ。
???『これは…新たな転移反応です』
グランティード・ドラコデウスとベルゼルート・ブリガンディが転移して出撃する。
カルヴィナ『ゾヴォークめ!懲りもせず!』
トーヤ『何が目的だっていうんだ!?』
???『目的ぃ?そ、れ、は、その巨大な艦と戦場の女神かなぁ』
カティア(戦場の女神…?)
アル=ヴァン『ガウ=ラを直接狙ってきたか』
カルヴィナ『何が女神だ!ふざけているのか!?』
遅れてテニアの青いラフトクランズも転移してくる。
本格的にガウ=ラを狙っているのか尋常じゃない数のゾヴォーク機が待機している。
シャナ=ミア「まさか、私…?」
ゴライクンルがわざわざフューリーの皇女を狙うか?いや、可能性はゼロじゃないだろうが。
???『ふざけてなんてないわよぉ?』
あのふざけた喋り方は…
「イラドーヤ!」
イラドーヤ『せいかーい、流石戦場の女神と言ったところかしらぁ』
アル=ヴァン『もしや…テニアの知識を狙っているのか』
もうゴライクンルにまで知られているのか。これからも色々な勢力に狙われるのかと思うと頭が痛くなる。
それとライグ=ゲイオスの隣にいるオーグバリューはあいつだ、間違いない。
「キハナ・ソコソコ!あんたもいるのね!」
キハナ『…は?』
イラドーヤ『あらぁ?見込み違いだったかしらぁ』
あれ、違った?
「えーと…じゃあ、キハナ・ソンココ!」
カルヴィナ『資料で見たことあるわ、キハナ・コソンコよ』
メルア『名前の方が間違っているんじゃないですか?』
キハナ『お前達ふざけているのですか!キハナ・ソコンコですよ!』
そういえばそんなんだった気がする。
シャナ=ミア「何をしているのですか…」
イラドーヤ『そんなことはどうでもいいのよ、戦場の女神だけでもくれるなら大人しく帰るわよぉ?』
キハナ(どうでもよくないですよ!)
「…ゴライクンルはいつから奴隷商人になったのよ」
とりあえず時間稼ぎだ。4機だけじゃ話にならない。
イラドーヤ『時間稼ぎのつもりかしら?まぁいいわ、教えてあげるわぁ』
キハナ『あなたの脳を解析してバイオロイド兵を強化するのですよ』
は…?ちょっと話が飛び過ぎて理解が出来ない。
「私、ただのハーフだよ?」
イラドーヤ『とぼけても無駄よぉ?あなたには心を読む能力があるって聞いてるわよぉ?』
「あ、なるほど」
心を読む力を解析してバイオロイド兵に組み込む…といったところか。
ゼロシステムでも作る気なのかこいつら。
俺にそんな能力はないから作れるわけないのだが。
カルヴィナ『なるほどって…』
オペレーター『各機、出撃!』
イラドーヤ『あらあらぁ…じゃあ仕掛けましょうか』
キハナ『……』
イラドーヤ『何よぉ、アレの性能も見ておきたかったし、ちょうど良いでしょ?』
アル=ヴァン『よし、全機かかれ!』
(2ターン経過…)
メルア『また敵の艦が転移してきました!』
アル=ヴァン『くっ…このままじゃジリ貧か…』
イラドーヤ『戦場の女神が投降するなら引いてあげてもいいわよぉ?』
「…各機、攻撃を中断して指定の座標まで下がって」
シャナ=ミア「テニア!?」
オペレーター『な、何を言って…』
「早く下がらせて!死にたいの!?」
オペレーター『り、了解…』
アル=ヴァン『…了解した』
カルヴィナ『…了解』
トーヤ『カルヴィナさん!?』
カティア『トーヤ…!』
トーヤ『わかった…』
キハナ『案外素直でしたね、それでは…』
かかったなアホが!
こちらが指定した座標に大型の機体が転移してくる。
ミーティアユニットを装備したストライクフリーダムと∞ジャスティスだ。
キラ『ターゲット、マルチロックオン!いっけぇぇぇぇ!!』
アスラン『うおおおっ!』
イラドーヤ『…機体単体で転移してくるなんて聞いてないわよぉ?』
そりゃそうだろう。フューリーの転移を使ったからな。
ゾヴォークの物と違いオルゴ転送機さえあればいくらでも転移させることが出来る。
続けてゴライクンルを挟むようにラー・カイラムとエターナルが反対側から転移、ナデシコBがボソンジャンプをしてくる。
ブライト『各機、出撃せよ!』
イラドーヤ『やってくれるわねぇ…!』
テニアを虐めようとするからだ。実際、先ほどまでテニアの恐怖心が伝わってきておかしくなりそうだった。
「1つ良いことを教えてあげる!テニアを弄くり回していいのは私だけよ!」
『テニア』も含めてここにいる全員が呆れているようだ。真意はごく一部の者にしか伝わらないだろうが。
キハナ『はぁ?』
ルリ『相変わらずバカで安心しました』
アル=ヴァン『…全機、攻撃を再開せよ』
コウタ『フューリーで商売しようとしたこと、後悔させてやらあ!』
シン『ああ!』
シャナ=ミア「何か…温かい何かに包まれていくような…」
各機が攻撃を再開し、こちらもそれに続く。
「いくよ!」
~(ラフトクランズ バスカーモード・ライフル)
「バスカーモードをお願い!」
シャナ=ミア「はい…バスカーモード、起動…!」
「こいつなら、どんなやつが相手でも!」
「ふっ飛べぇぇぇぇっ!」
シャナ=ミア「モード、チェンジします…!」
(なんだっけ…)
シャナ=ミア「これで、終わりですっ!」
~
SP02話「奴隷商人」
勝利条件
イラドーヤとキハナの撃破
敗北条件
テニアの撃墜
味方戦艦の撃墜
SPポイント獲得条件
無し。
キハナ『こんなの、冗談じゃありませんよ…!』
イラドーヤ『やっぱりこうなるのねぇ…』
ハリ『敵機、撤退しました』
シャナ=ミア「皆さん、ありがとうございました」
(ガウ=ラ・フューリア)
カルヴィナ「まったく。ヒヤヒヤさせてくれるじゃない」
メルア「ハッタリだとは思いましたけど、それでもドキドキしちゃいました」
トーヤ「あんな無茶なこと、もうやめてくれよ?」
少し間違えていれば本当に鹵獲されていた可能性もあった。それに同じ手はもう通じないだろう。
「わかってるって」
シャナ=ミア「ゴライクンルはテニアの事を戦場の女神だと言っておりました。もしかしたら別の勢力にも狙われるのでは…?」
それは勘弁してもらいたいが、直接関わりがなかったゴライクンルが知っていたということはその可能性も否定できないだろう。
「それはちょっと嫌だなぁ…」
また少しずつ恐怖心が沸き上がってきて、思わずシャナ=ミアに抱きつく。
シャナ=ミア「ご、ごめんなさいテニア…怖がらせてしまって…」
それを受け止めて頭を撫でてくる。
カルヴィナ「どういう経緯で知ったのかしらね」
アル=ヴァン「よくわからんが、商人と言うからには情報の売買もするのか?」
「…するんじゃない?」
メルア「大丈夫よ、テニアちゃん」
カティア「ええ。私達がいるもの」
それもそうか。それにこちらにはラースエイレムが2基ある。アウルンのエイテルムはフューリーとの戦いで長くは持たない計算で、あまり頼りにしすぎるのは良くないが、不意討ちを防ぐことくらいは出来るはずだ。
修正
ラースエイレム1基→2基