テニア『ところでさ』
「なぁに?」
ザフト過激派の残党にプラントのシャトルが狙われているとの情報があり、今はその帰りだ。
テニア『この世界に連れてこられたこと、怒ってない?』
「どうしたのさ、急に」
どちらかというと困惑の方が強かったが。
「んー…むしろ連れてきてくれてありがとう、かな?」
テニア『そっか…ありがと』
どうしたんだ急にとは思ったが、そういえば忙しくてゆっくり話すことが出来なかったな。
「逆にさ、俺が来てどう思ってる?」
今までずっと聞きたくても聞けなかった質問をぶつける。本当にどう思ってるんだろう、自分の体で好き放題されてるわけだし。
テニア『どうって…楽しそうだなぁって』
そりゃ楽しまなきゃ損だろ、こんな世界。
「後は?」
テニア『え……な、内緒!』
そんなのありかよ…まぁいいけどさ。
これは一連の騒動の後の話なのだが、フェステニア・ミューズを人工冬眠で長生きさせて、その知識で戦争を事前に回避したり有利に進める計画が進められた。
もちろん俺の他にトーヤやカティアやメルアなど、フューリーの半分以上の人が反対した。後生のためと言われると少し気が引けるが、俺もそこまでして英雄扱いされたいわけではない。…その反論の中には反地球人もいるのだが、この際どうでもいい。
だが、俺達の反論を無視して地球政府側が話を強引に進めた…。
俺を眠らせる安全な人工冬眠は貴重なエイテルムを使う関係で付き添いは無し。つまり俺だけがほとんど歳をとらずに過ごすことになる。
眠る前にあるお願いをしあ。
自分と全く同じ入れ物を作って『テニア』だけそこに移してくれ、出来るだけ内密に、と。
そして5年後…。
「皆…老けたね…」
「第一声がそれってどういうことよ、ケンカ売ってるの?」
「まあまあ、カルヴィナさん…飴でも舐めて落ち着いてください」
「情勢に変化はないわ、平和そのものよ。今日生活したらまた5年…」
「もう5歳も差が…次起きたら10歳か…」
「テニア…前に話した事ですが、『テニア』の肉体は作れても魂までは宿せないそうです…」
「そっか…」
5年も経っているにも関わらず、ガウ=ラの中はあの時と全く同じだ。
昨日まで同化計画に猛反対していた人もすっかり大人しくなっていて、地球人の嫁さんをもらっていた。
ルリルリに通信で近況報告をしてもらった後は、かつて一緒に戦った仲間達とパーティーをした。
そしてまた眠りにつく。
数年後、フューリーの小型艦が外宇宙の探索をしに旅立った日と同日…何者かに冬眠していたフェステニア・ミューズが拉致されて大騒動となり、後にフューリーの過激派に殺された事が明らかになっている。
ちなみにその外宇宙探索艦の艦長は元皇女のシャナ=ミアで、ちょっと騒がしいオペレーター兼パイロットの子がお気に入りらしい。
「皆…また老けた?」
「ぶん殴っていいかしら…」
「落ち着けカリン」
「飴舐めます?キャンディもありますよ?」
「どっちも一緒じゃあ…」
「またこうして会えて…よかった…」
「艦長、転移で太陽系の…あの、イチャつくのは後で…」
「あ…申し訳ありません…」
「私もシャナ=ミア艦長みたいに髪伸ばそうかなぁ…あ、転移先に問題はないって」
「各部、問題ありません」
「では…転移開始」