太陽が沈んで少したった頃、縦にロールをかけた髪の巻き方、それに似合う柔らかな美人とも言える少女、巴マミはパソコンを前に考えていた
「やはり疲れかしら…ここ最近は魔女が多かったし」
もう一つの可能性である加齢は考えないことにした。いくらなんでもうら若き15歳の少女には当てはまらないだろう
巴マミを悩ませているもの、それは耳鳴りであった。何時ごろからかははっきりとはしていない。気がついたら突然甲高い音が頭に響いていた
最初は魔女の攻撃かと最初は考えたが、ソウルジェルが反応しないのとあまりに不規則だった
なら体調不良と判断した。魔法少女の体調不良ならある程度はどうにかなる。が、それは全く治らなかった。むしろここ最近は耳鳴りの感覚が狭くなっている気すらする
『大丈夫かいマミ?』
脳に響く声で語りかけるのは兎と猫を掛け合わせた様な生き物であった。口は動かさずに、テレパシーでの会話だった
『大丈夫よキュウベェ。心配かけてごめんなさいね』
『いいんだ。むしろ見滝原にはマミ一人しか魔法少女がいないのに無理をさせているこちらこそ謝るべきだよ』
キュウベェと呼ばれた存在は語る。巴マミにはそれだけで十分だった
『ありがとうキュウベェ。あなたのその一言がもらえるだけでもありがたいわ』
『そう言ってもらえるとこちらとしても助かるよ。でも、体調が悪いのなら無理しない方がいいと思うよ?君が倒れたら誰もいなくなってしまう』
『そうね……』
一瞬隣町にいる元弟子の存在が頭によぎるがすぐに切り替える。彼女とはもう何年も会っていない
「実際何が原因なのかしらね……」
巴マミはそう言いながら何気なしにソウルジェルを見る。そして表情が引き締まる。ソウルジェルは強い輝きを放っていた
「これが元凶ならいいのだけど……」
そう言いながら巴マミは場所の特定をするために外に出た。油断はしていなかった。慢心もしていなかった。だが、この後の出来事に対してはそれでも足りなかった
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時を同じくにして、隣町の風見野では1人の少女が壁にもたれかかっていた
「くそっ……!」
赤を基調とした派手ながらも動きやすい衣装はあちこちが破け、血でさらに赤く染まっていた
一つに束ねていた髪も髪留めが切れ、特徴的な八重歯も割れていた。槍こそ無傷だがこれまでに何本も折られている
「なんなんだよあんた……あたしなんかしちまったか……」
息を整えつつ目の前の存在に問いかける。その回答はいつもなら自分が挑発のためにする様なものだった
「あァ?そんなのイライラするからだろうが」