短編小説集   作:nite

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布団 ブラジル フルーチェ 

熱にうなされて目を覚ます。どうやらまだまだ熱は引いていないようだった。こんなことになるなら、変に張り切って地球の裏側まで旅行しなければよかったな。

卒業旅行だと高校の間にずっと一緒に行動していた友達と一緒に、それぞれの親にお金を出してもらってブラジルまで行ってきたのだ。行きはワクワク、向こう側では怖がりつつもやりたいことはできたし、帰る途中はお土産話に花が咲いた。

さてじゃあ大学からもう出てる課題を終わらせちゃいますかと、いつも以上のモチベーションを振りかぶって机に座ると、同時に頭はフラフラとしてきたのだ。

ずっと揺れ動く視点をなんとか支え、ああ実家にいればこんなことにはならなかったなと一人の身で公共交通機関を乗り継いで病院まで移動した。大学に行くために一人暮らしを一足早く始めたわけだが、親がいなくて困ることをこんなにも早く体験することになるとはと、当時は思ったわけだ。

病院での診察では風邪と診断。でも、どうやら日本では珍しく、それこそ南米とかで起こりやすい風邪とのこと。ブラジルに旅行したのだと医者に伝えると、じゃあそこで貰ったのだと結論づけられ、錠剤を出された。

ブラジルの風邪だからと薬がないということにはならなくてよかった。とはいえ、錠剤は嫌いだからどうにかしたかったのだけど……

 

「これしか……ない……」

 

行きも絶え絶えで冷蔵庫を開けると、そこにあったのはフルーチェ。本当はお薬が飲める系ゼリー飲料を使わないといけないことは分かってるんだけど……親もいない現状だと、冷蔵庫に悪ふざけで入っているこれを飲むしかない。

こんな状態で初フルーチェになるなんて思わなかったけれど、裏面を見ながらせめて楽しみつつフルーチェを作る。入学まではまだ高校生だもんと自分を納得させつつ、小さい器にフルーチェを入れ、その上に錠剤を乗せる。

まだまだ錠剤は残ってるし、フルーチェがいっぱいあるわけじゃない。このフルーチェを何回かに分けて飲まなければ、私は錠剤を水で飲むことになる。

ブラジルの風邪よさっさとどこかに行け!と心の中で思いながら、私はフルーチェを喉に流した。

 

「んっ……」

 

思ったよりも飲みづらく、それにフルーチェの味の主張が強すぎる。

でも、錠剤を流し込むことはできた。錠剤の感触というのは喉が感じ取ってしまったけれど、なんとかお腹の中に入れることができた。

 

「はぁ、寝よ」

 

錠剤をのんだからか、さっきよりも上がったような気がする熱にうなされながら、私は布団に戻った。

しばらく旅行はいいかな……そう思いながら、私は目を閉じた。

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