君たちは、砂糖を食べる鳥というのを知っているだろうか。今ネットで「砂糖 鳥」と調べたそこの君、それで出てくるのは砂糖鳥という甘いものが好きなインコだ。
違うのだ。私が言っているのは、砂糖の袋から砂糖を盗み食べるという鳥のことを指している。それはとある町でのみ発見され、しかしその姿を収めたものがいないことから図鑑には未登録の種類の鳥である。
「先輩、論文の書き出しってこんなのでいいんですか」
「これは論文ではない。私の伝記だ。今後未発見の生物を数々と見つけて世界のダーウィンと呼ばれることとなるこの私の!」
「ダーウィンは未発見を次々見つけた人じゃないですけど」
えっとどこまで書いたっけ。
そうだ。現在我々が追い求めているのは、その砂糖を盗むという通称砂糖鳥という種類の生き物で
「先輩、砂糖鳥っていうインコはもういるって書き出しにあるじゃないですか。通称と被るのってどうなんですか」
「ええい。君は観察を続けるんだよ!」
その対象はニ十センチほど、色は目撃者によって様々であり、緑だったり紫だったり青だったりする。つまり、その鳥は複数の個体が発見されているということだ。
特徴としては、気配のなくなった台所にどこからともなく侵入し、砂糖の入っている瓶を器用に開いて中からスプーン一杯ほどの砂糖を掠め取っていく実に賢い鳥である。気付きにくい量を盗むというのが、これまたその鳥の知能の高さを象徴して
「そもそもニ十センチの鳥ならそりゃそれくらいしか取れないでしょう。単純に持っていける量の限界だっただけじゃないんですか?」
「さっきからうるさいなぁ!私の伝記を盗み見るくらいならちゃんと観察をするんだよ!」
「違いますよ。先輩が書いてる内容を全部口に出してるから僕にも聞こえてくるんですって」
「じゃあ聞くな!」
「そんな無茶な」
ひとまず。
その鳥を発見するためには、やはり人気のない砂糖を用意するべきだという結論に至った。実にシンプルながら、確実な方法である。
そのため我々は小屋に瓶に入った砂糖を置き、遠い場所から望遠鏡で姿を確認するという手法をとることにした。一度姿を見つけてしまえばそのあとのことは容易い。田舎ということもあって簡単に場所を用意できたのも我々にとっては非常に都合のいいことであった。
「先輩!」
「うるさい!私は今から私のこれまでの偉業を書き連ねるパートに」
「違います!目標が来ました!」
「それを早く言えい!」
……ふむ。
「あれ、先輩、ちゃんと見えました?」
「そういえば望遠鏡の精度を担保するために蓋のついているやつを使ってるんだったな」
「先輩!」
最初のコンタクトは失敗。砂糖の瓶は開け放たれたまま放置されているので、もう一度閉めるところからやりなおしである。
だが、後輩が遺してくれた手掛かりで私はさらなる考察を
「先輩、それだと僕が死んだみたいです。正確には残すですよ」
「やっぱり盗み見てるじゃないかぁ!」
ひとまず私は、生意気な後輩を再教育するところから始めることにした。