短編小説集   作:nite

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これはネットのある人に
うそだぴょーん♪
トムとジェリーのグルーヴがエアグルーヴ〜♪
という訳のわからない書き出しを貰ったのでそれで書いてみたという謎小説です


うそだぴょーん

「うそだぴょーん♪トムとジェリーのグルーヴがエアグルーヴ〜♪」

「いや誤魔化すな。トムとジェリーで」

 

すぐ近くにあるテレビでは有名な猫と鼠のタッグがピアノを弾いている。動画投稿サイトでもよく切り抜かれている人気の高いお話を再放送しているらしい。俺はピアノなど分からないしトムとジェリーの面白さにも疎いのだが、妹は少なくとも楽しめているようだ。

 

「お前さ、高校生にもなって好きな人話すのがそこまで恥ずかしいのか?」

「洗濯カゴにトースター!ベランダにぶべら」

「話を聞け」

 

結構強めに顔面を叩く。

俺の正面にいるのはそこそこの付き合いのある友人、日下部。どういう流れか俺の家に遊びに来てこうして駄弁っている。先程も言った通り今の話題は好きな人。高校生になって幼稚な話題かもしれないが、子供心とはこういうものだろう?

 

「つってもよー、この俺があの桜さんに釣り合うと思うか?」

「そんなん知らねーよ。付き合ってみないと分からないんじゃないか?そういうのって」

 

どうもこいつは同じクラスの美少女、佐々木桜のことが好きなようであった。見た目だけで人気が集まる理由が分かるような人なのでまあこいつが惚れるのは仕方ないとして、それが結構ガチだったので俺が驚くと最初の言葉に行き着いた。こいつの言葉のセンスどうなってんだ?

 

「つーか、お前の話しろよ!桜さんが好き、なんてそんな奴いっぱいいて今更だろ!?」

「うるせえ、近付くな」

 

若干身を乗り出してそう訴えてくる日下部。俺の反応がそこまで気に食わなかったのだろうか。

俺はいいのだ俺は。そもそも俺は医学部志望なのでこんなときに恋愛なんかしてられない。今こうやって駄弁っている最中でも俺は手に英単語帳を持って勉強しながら日下部の話を聞いているのだ。

 

「日下部さんうるさい!」

「うっ…ごめんよ美怜ちゃん」

 

鼠がお辞儀をしてその話が終了したようで、妹は顔をこちらに向けて日下部を叱った。小学生に怒られる高校生とはこれ如何に。

 

「そういえば美怜ちゃんは好きな人とかいるの?」

「はあ?」

 

とうとうこいつ妹にも恋愛事情を訊き始めた。デリカシーのないやつだ。こんな性格しているから彼女も出来ないのだろう、と心の中で思っておく。口に出すとまた訳のわからないことを言い出しそうだからな。

 

「好きな人なんかいないし。私を巻き込まないでよ」

「へい、すみません…」

 

結構ガチトーンだったからかへりくだりながら話を打ち切る日下部。こいつ一体何がしたかったんだ。

 

「くそぅ!お前はいいよな!顔が良くて頭も良くて!」

「顔が良いは知らんが、頭に関してはお前は勉強していないだけだろ」

 

なんだろう、こいつ若干テンションがおかしい。とうとう壊れたか?

いや、こいつは元々こういう奴だったな。

 

「俺は男磨きをするんだ!」

「あーはいはい頑張れ」

 

バッグを持ち立ち上がる日下部。どうやら帰るようだ。

 

「俺に彼女が出来てもお前にはやらないからな!」

「人の彼女なんざいらねえよ」

 

そのまま大股で玄関のドアを開けた日下部。

ついでに一言。

 

「明日小テストだからなー!」

「ぐはっ」

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