短編小説集   作:nite

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雨の洞窟

洞窟の中で今日も一人焚き火を囲む。一人なので囲むという表現が正しいのかどうかはわからないけども。剣を取り装備に身を包んで冒険の旅に出たのは二年前。村の人々に見送られながら一人旅を始めた。世界に魔物が増えたから……なんていう正直なところ普通の理由で旅を始めた。定住するにはこの世界は過酷で、お金を稼ぐ方法がそもそも乏しい。村で貧しい生活をするよりも冒険している方が良い生活だなんてこともあるのだ。

しかも僕は勇者でもない。なんせ聖剣を抜いたという勇者は別にいるらしく、僕とはぜんぜん違うところで魔王だとか竜王だとか呼ばれている魔物の親玉を討伐する旅をしているらしい。そっちは各国からも支援されて輝かしい旅をしていることだろう。僕には関係のない話だ。

話を戻そう。

洞窟の外には雨が降っている。この状態で戦闘を行うともれなく足元をすくわれて窮地に陥る可能性がとても高い。わざわざ死にに行くような行動をするわけにもいかず雨がやむまでこの中で休息をとることにした。前もって焚き木を集めていたのは幸運だったな。

さすがに二年も旅を続けていれば嫌でも旅のコツなどはわかってくるもので、今日も雨が降りそうな予兆を感じたらすぐに小枝などを集めて洞窟を探し、焚き火を作った。ついでに道中で狩った魔物の肉も置いてある。最初のころは魔物の肉なんてとも思っていたが、一度食べてみたらこれが意外と美味しく、家畜の肉を食べることもなくなった。

魔物も焼いてみると変な色をしていた生肉も美味しそうな焼き色がつく。若干の緑色が残ってしまうので色合いだけは豚とか牛には遠く及ばないが。見た目も食欲や美味しさの感じ方に影響するというが…慣れてしまえば嫌悪感も生まれない。

しかしそんな肉は焼いているうちに美味しそうな匂いがしてくる。そろそろ食べ頃かと思っていたら洞窟の奥からうなり声が聞こえてきた。僕はすぐさま剣を抜き唸り声がする方に切っ先を向けた。

 

「魔物?」

 

予感は見事に、生憎と命中。大きな犬のような魔物だ。口からは涎が絶えず漏れていて、空腹状態であるのがとてもよくわかる。どうやら僕が焼いていた魔物の肉につられてやってきたようである。

僕は迷わず魔物に向き合った。空腹状態の魔物は通常の魔物に比べて凶暴になり、今ここで焼いた肉を渡したところでそれで許してくれる、なんていうことはない。

魔物が飛び掛ってきたので剣で弾いて反撃の一閃。匂いによって集中力を欠いていたのか、容易に攻撃があたりしかも目に命中した。

続いて二回目を当てようとしたところ死角からの攻撃により洞窟の外に吹き飛ばされた。

 

「もう一匹か!」

 

なんともう一匹いた。

追撃をしてきたもう一匹に反撃するため攻撃をしようとしたら……見事に足が滑った。

これだから雨の中で戦闘はしたくないんだと魔物が迫る中思う。雨の日は恨んでやると心に思いながら僕は死亡した……

 

……アーメン

 

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