短編小説集   作:nite

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解せない皮肉

私は性格がいいとよく言われる。

これは、善性があるということではない。私もよくわかっていることではあるが、つまり、性格が悪いということだ。所謂煽りであり、皮肉なのである。

インターネットでは意外と見かけることのある皮肉だが、実際リアルだとそこまで使っている人がいない。まあ、他人に皮肉を言う機会がそう何度もあるわけではないから、観測数が少ないだけだろうけど。

 

「あなたならもっと早くできますよね?」

「はは、まあな。お前、本当にいい性格してるわ」

 

私は、他人を煽りたいわけではない。ただ、言葉選びが悪いだけなのだ。

だというのに、私はリアルで性格がいいと言われる。それだけ、私は他人のことを苛立たせ、不快にさせてきたのだろう。

そして、私はそれを言われるまで、他人を不快にしたことに気が付けないのだ。

 

「流石、先輩は違いますね」

「ガチャが爆死したことにか?お前、まじで性格がいいわ」

 

意図としたことではない。ただ、事実を述べただけ。だというのに、人々は不快になる。

事実だとしても、それを他人の口から聞くのは不快だという人がいるというのは、最近になって知ったことであった。

また、親しい仲であれば言われてもいいが、他人から言われることは不快だという人もいる。勿論私はこんな性格なので、基本的に話す相手は他人扱いだ。

 

「いいコメントでしたね」

「お前が言うと皮肉っぽいんだよなぁ」

 

どうしても理解できないことがある。なぜ人々は皮肉と捉えてしまうのだろうか。

言葉の節々に棘があるような文章ならば、不快になっても仕方ない。だが、誉め言葉の字面だというのに、それを皮肉と捉えて不快になってしまう人がいるのがなんとも不思議なのだ。

皮肉だと捉えてしまうということは、少なからず自分にそういう自覚があるということなのではなかろうか。他人に煽られるという、欠点がある自覚に他ならないのではないか。

 

「そういう自覚がないところが、一番性格がいいよ」

「いやいや、私は自分の性格が悪いことは理解してますよ」

「そのうえで続けてるなら猶更……」

 

非常に解せないのだ。なんせ、説明しようにも説明できないような文章、ただの日常的な言葉一つをとっても、皮肉のように言われるのだから。

私が他の人と分かり合える日は一生来ないのだろうなと思う。私の考え方と、他の人の考え方が違ううちは、私はどんなことを言ったって皮肉としてとらえられ、私は爪弾き者となるのだ。

 

「お前、最終的に被害者ぶってないか?」

「そんな。私は事実を述べただけです」

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