関銀屏と行く   作:魔帝

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 たぶんこれが一旦最後になるとおもいます。
 龍琥が転生しているからあいつも……?


第十二話 落ちる龍

 

 

 

 

 益州を発って数日。私達は数十名の兵士を連れて赤壁の地へと到着しました。徐庶様は幕を張る指示を出し、兵士達は幕を張っていく。今日はここで野宿をする予定なのです。今の時間帯は丁度お昼。今から明日の朝にかけて調査を行なう算段です。私は泣き虫と共に辺りを馬に乗って散策し始めました。

 

 

「空がドス黒くなるか……。龍琥、原因は何だと思う?」

 

「知らね。それを調べるんだろうが」

 

「それはそうだが……」

 

「それより、気になるのは聞こえてくる呻き声と巨大な何かが通った跡だ。お前も見ただろ、あの跡を」

 

「ああ。まるで大蛇が通った跡のようだ」

 

「……チビって泣くなよ?」

 

「泣くか!」

 

「どーだか」

 

 

 ここの辿り着いて眼に入ったもの。それはまさに大蛇が通った跡のような道だった。それももの凄く巨大な。普通の蛇じゃない。馬を二頭ほど横に並べるほどの大きさだ。もし本当に大蛇だとして、それに遭遇したら丸呑みされてしまうだろう。

 

 それと呻き声。聞けば、何かに苦しむ声で男性の声だったらしい。その呻き声はこの大蛇の跡が出る前に聞こえなくなったらしいが。何か関係しているのだろうか?

 

 

「……ん? 龍琥、あれは何だ?」

 

「あん?」

 

 

 泣き虫が指した方向には何かの茶色い塊だった。馬を走らせ、その塊の近くへ向かう。

 

 

「……なっ!? 何だこれは!?

 

「……惨い」

 

 

 惨い。この塊……血を全て抜き取られた人間の山だった。まるで何かに血を吸われたような死体。それに、身体の一部が無い者もいる。そこは食い千切られたかのような痕がある。

 

 

「っ……」

 

「泣き虫、無理して見るな。お前は徐庶様を連れて来い」

 

「お、お前は……?」

 

「もう少し調べる」

 

「……よく平気でいられるな」

 

「……さぁ? 何でだろう?」

 

 

 泣き虫は徐庶様を呼びに馬を走らせた。

 

 何故だ。確かに私は今、冷静でいられている。惨い死体の山を見ても取り乱さなかった。何事にも動じないように鍛錬はしてはいるが、ここまで冷静にいられるか、普通? 俺はどこか異常なのかもしれない。転生を二度しているからか? 何にせよ、今はここを調べよう。

 

 

「……女子供関係無しか。いったい何の目的で……いや、それより、この時代にこんなに綺麗に血を抜く技術があるのか?」

 

 

 五斗米道ならありえるかもしれないが、あいつらは謂わば善良な医者の団体。こんな事をする筈がない。なら一体誰が?

 

 

「龍琥っ……これは、酷いな」

 

「徐庶様……はい、女子供関係ないようです。全員血を抜かれ、中には身体の一部を喰われている痕跡があります」

 

「そうか……兵達をここに呼んで彼らを運ぼう。せめて埋葬ぐらいはしてやらないと」

 

「はい―――――」

 

 

『うわああああああああああああああああっ!!!!』

 

 

「っ!? 何だ!?」

 

「………玲綺? 玲綺!!!!」

 

「龍琥!? 待つんだ!!」

 

 

 今の声は陣にいる兵士の声だ。玲綺は徐庶様と来なかった。なら玲綺も陣にいるはず。くそ、一体何なんだよ!?

 

 

「玲綺!! 何が――――」

 

「龍琥!! 避けろ!!」

 

「なっ!?」

 

【シャァァァァァァァ!!】

 

 

 巨大な大蛇が口を開けて襲い掛かってきた。馬を蹴り飛ばし、自分もその勢いに乗って避ける。大蛇は後にあった大木を意図も簡単に噛み砕き、喰らった。

 

 

「何だ、こいつは!?」

 

「突然現れたのだ!! 気をつけろ!! こいつに噛まれたら血を吸われて食い殺されるぞ!」

 

 

 見ると、兵達の何人かがあの死体の山と同じ事になっていた。なら、こいつが彼らを殺したのか!

 

 

【シャァァァァァ!!】

 

「ええい! このクソ蛇が!!」

 

 

 素早い動きで襲い掛かってきたので、私は―――俺は二振りの槍で大蛇の頭を受け止める。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 なんつー力だよおい!? 俺が押される!?

 

 

「龍琥! そいつには剣が効かない! 矢もだ! 硬すぎるのだ!!」

 

【シャァァァ――――――ッフッフッフッフ―――】

 

「なっ―――!?」

 

 

 大蛇の額に……人の頭が浮かび上がってきやがった。その顔……忘れるはずもねぇ……!

 

 

【クハハハッ! 久しいですねぇ……龍琥】

 

「于吉ぅぅぅ!!!」

 

 

 俺と共に崖から落ち、殺したはずの男なんだからなぁ!!!

 

 

「テメェ!? 何でこんな所にいやがる!?」

 

【それは貴方と同じですよ。ま、もっとも? 私が転生したのはつい最近で、肉体は殆ど駄目になっていましたがね】

 

「まさかここで起こっていた奇怪な現象はテメェのことか!?」

 

【はて、何の事でしょうか? 私はただあの苦しみから解放される為に妖術で身体の組織を変え、足りない部分をそこいらの人間から貰っていただけですが?】

 

「この―――外道がァ!!」

 

【おやそうですか? ありがとう、最高の褒め言葉だ!】

 

「龍琥!」

 

【チッ……】

 

 

 玲綺が投げた十字撃を于吉は皮膚で弾き、玲綺に襲い掛かる。俺は地を蹴り、于吉へと迫る。そして尾を槍で突き刺し、地面に打ち付ける。

 

 

【ぐあっ!? この!? 何故!? 私の皮膚は刃を通さないはず!?】

 

「玲綺! 下がっていろ! こいつは俺が仕留める!」

 

「馬鹿な事を言うな! 人間が相手なら兎も角、相手は妖だぞ!」

 

「いいから!」

 

【私を余所に痴話喧嘩ですか!】

 

「黙ってろクソ野朗! 今からズタズタに引き裂いてやる!!」

 

【クハハハハハ! その口の悪さは変わらないようで!】

 

「龍琥! さっきから誰に言っているんだ!?」

 

「は!? 誰にって―――」

 

【ああ、私は貴方にしか視えてもいないですし、聞こえてもいませんよ。私は貴方にしか興味がありませんからねぇ!】

 

「チッ、相変わらずキモイ奴だ!」

 

 

 俺は于吉の牙を槍で弾いていき、刺した槍を抜き取って陣から離れていく。于吉は本当に俺にしか興味が無いようで、俺に続いて陣から離れていく。これで何とか兵達の被害は抑えられたか。

 

 しかし、何故于吉も転生している? いや、俺と同じ条件ではなかったか。だが一緒の世界にいる。まさか、俺達が落ちた場所がここに繋がっていたとかか?

 

 

【何を考えているんですか? 余計な事を考えていると、足を掬われますよ? ほら、こんな風に!】

 

「なにっ!?」

 

 

 于吉の尾が俺の下半身に巻き付き、俺の動きを封じた。油断した。余計な事を考えている場合じゃなかったか!

 

 

【さて、実は私はまだ完全ではないんですよ。まだ血と肉が足りていない。完全に復活する為に、貴方は私と一つになってもらいますよぉ】

 

「はっ! テメェと一つになんざなってやるかよ!」

 

 

 全身から金色の気を溢れ出さす。それにより力が溢れ出てくる。尾を強引に振りほどき、金色の気を纏った刃で斬り付けていく。

 

 

「まだまだまだまだァ!!」

 

【クッ!? これはっ!?】

 

「うぉぉらぁぁぁぁっ!!」

 

 

 槍を突き、衝撃破を飛ばす。嘗てのようにここで体力を消耗しきって倒れたりはしない。ただ、やはりまだ覚醒しきれていない。まだ全力を出せていない。けど、ここで決めてやる。

 

 

「続けて行くぞ!」

 

 

 一瞬で于吉の懐に入り、身体を捻って黒い雷を刃に纏わせる。

 

 

「消し飛べ!!」

 

【ぐおおおっ!?】

 

 

 黒い雷の竜巻が于吉を呑み込み、焼き斬っていく。俺は上に飛び再び雷を纏わせる。

 

 

「失せろ!!」

 

 

 槍を投擲し、黒い雷の爆発を二発、于吉に与える。前世ではできなかった技だ。前のようにはいかねぇぞ!

 

 

【ぐぎゃああああああっ!?】

 

 

 于吉は黒炭になり、焼き焦げてピクリと動かなくなった。俺は流石に体力が切れ掛かり、肩膝をついてしまった。周りを見てみるとここは崖付近で、于吉のすぐ後は崖だった。下は河が流れている。落ちたら恐らく死ぬだろう。

 

 落とせば良かったかな……いや、蛇だから泳いでそうだ。

 

 

「はぁ、はぁ……!」

 

「龍琥!」

 

「龍琥、無事かい!?」

 

 

 玲綺と徐庶様がこちらに向かってくる。俺は無事なことを教えるために左手を掲げて振っ――――。

 

 

【いただきますよ、貴方の肉】

 

 

 ガチンッ――――。

 

 

「―――――な――――」

 

 

 俺の左腕から牙と牙がぶつかる音がした。見ると、大蛇の口が俺の左腕を肩から噛み千切って――――。

 

 

「ああああああああああああああッ!!!?」

 

「龍琥!?」

 

【クハハハハハハッ!! さあ、お次は彼女らでも頂きましょうか!!】

 

 

 腕が……腕が喰われた……!? 血が勢い良く溢れ出てくる。すぐに止血しなければ失血多量で死んでしまう。俺は気が飛んでいってしまうような激痛を堪え、走ってくる玲綺と徐庶様を見る。

 

 何だよその顔は……泣いてんのか怒ってんのか良く分かんねぇ顔だな。徐庶様も、そんなに怒っている顔、初めて見たよ。ってか、このままだと拙いな……俺じゃなくて二人が。どうする。俺は正直もう戦えない。だが、このままでは玲綺と徐庶様が喰われてしまう。何故か分からないが、于吉には俺の槍しか効かない。いくら二人が強くても、攻撃が通らないのでは意味が無い。

 

 

【クハハハハッ! さぁ、私の糧になりなさい!】

 

「この化け物がぁ!!!」

 

「よくも龍琥を!!!」

 

 

 クソ、このままじゃ二人が……!

 

 

 ――ねぇ、龍琥! 必ず帰ってきてね! 待ってるから!!

 

 

 銀屏様……! 俺は……!

 

 

 ――帰ってきたら、一緒に行こう!

 

 

「………申し訳、ありません、銀屏様。約束………果たせそうにありません」

 

 

 俺は右手の槍をまだ近くにあった于吉の尾に突き刺す。

 

 

「ぉぉぁぁぁぁぁぁあああああああああああっ!!!!!」

 

【ぐおっ!? この、まだ生きて……!?】

 

「おい于吉……俺達の最期……覚えてっか!?」

 

【き、貴様……!? まさか!?】

 

 

 尾を掴み、後へと下がる。おいおい、そんなに暴れるなよ。お前、俺にしか興味が無かったんだろ? 喜べよ、クソ野朗―――――また心中してやるよ。

 

 

「龍琥!? 何をするつもりだ!?」

 

「龍琥、そのままそいつを抑えてろ! 俺が斬る!」

 

【くそっ、邪魔なんですよ!】

 

 

 徐庶様が剣で斬りつけるが、刃が通らない。于吉は徐庶様に喰らいつこうとするが、俺が尾を引っ張って体勢を崩す。

 

 

「玲綺……銀屏様に……申し訳ありませんと……伝えてくれ」

 

「な、何を言っている!?」

 

「馬鹿な真似は止すんだ! 君はまだ死んではいけない!」

 

「約束を守れず……申し訳ありませんと……」

 

「止めろ!! 死ぬな!!!」

 

「俺は―――――“貴女様を愛していた”と」

 

 

 

【くそくそくそっ! こうなれば、先に貴様から喰ってやるぅ!!】

 

「このクソ野朗が。テメェのせいで銀屏様を泣かせることになっただろうが! この落とし前、テメェの命で償えや!!!」

 

 

 もう、俺の足場は無い。俺は噛み付いてくる于吉と共に崖から落ちていく。これで、二人をあの場で死なせずに済んだ。俺だけではなく、玲綺まで死んだら、きっと銀屏様は心に治せない傷を負ってしまう。だから……これで良いんだ。俺が死んで傷を負ったとしても、玲綺が居れば癒してくれる。

 

 

「玲綺!!!!!!!!!!! 銀屏様を頼んだぞ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 さようなら、申し訳ありません、ありがとうございました………銀屏様。龍皇覇、貴女様に出会えて幸せでございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍琥ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 なんか、書いたら突拍子も無いことになってる気がする……。ん~、もう少し上手くかけなかったものだろうか。


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