関銀屏と行く   作:魔帝

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 取り合えず、今日は気が済むまで投稿を続ける。


第一話 約束

 銀屏様の護衛に着いて早一週間。私の毎日の生活は銀屏様で始まり銀屏様で終わるようになりました。

 先ず朝。日が顔を出す頃に起き、軽く朝食を済ませ、身嗜みを整えて関羽様一家が住む家に向かう。そこでは既に関羽様は起きており、朝の挨拶をする。

 

 

「おはようございます、関羽様」

 

「うむ、今朝も早いな」

 

「これぐらい、当然でございます。では、私は銀屏様を起こしてまいります」

 

 

 頭を下げ、家の中に入る。家はそこまで広いという訳ではないが、やはり大きめである。奥の寝室に向かい、扉の前で跪いて声をかける。

 

 

「おはようございます。お目覚めの時間です」

 

「ん~……もう朝か……」

 

 

 扉の向こうから声が聞こえる。だが銀屏様の声ではない。この声は銀屏様の兄、関平様の声である。

 

 

「おはようございます、関平様。関興様、関索様、銀屏様はお目覚めでしょうか?」

 

 

 関興様、関索様も銀屏様の兄であり、関平様が一番上、次いで関興様、関策様、銀屏様である。

 

 

「ん、ああ……まだだ。すまない、また頼む」

 

「失礼します」

 

 

 私は扉を開け、中に入る。中は少し広めの寝室で、真ん中に布団を敷いて、兄妹仲良く一緒に寝ている。私は身を低くしたまま銀屏様に近付き、肩を揺する。

 

 

「銀屏様、銀屏様、起きてください」

 

「ん~………」

 

「興、索、お前たちも起きろ」

 

 

 関平様がお二人を起こす。実は、関平様以外は朝起きるのが苦手なようで、特に銀屏様にいたっては中々起きてくれなかったりする。

 

 

「ん……おはようございます、兄上」

 

「おはよう、興」

 

「んー……おはようございます、兄上」

 

「おはよう、索」

 

 

 お二人がお目覚めになられた。しかし銀屏様はまだ起きてくださらない。仕方がなく、少し強めに肩を揺する。すると徐々に起きはじめ、薄らと瞼が開く。

 

 

「おはようございます」

 

「……おはよー、りゅーく」

 

 

 ギチィ……!

 

 

 はて、この音は何でしょう? 私の手から聞こえてきますよー? 恐る恐るといった感じで私の手を見ると、銀屏様が私の手を握っておられました。まぁ、これだけを見ればとても可愛らしく思えるんですけどねー。ほら、見てくださいよ、関平様たちの顔を。もう真っ青ですよ。何故かって? 実は銀屏様、もの凄く力が凄いのですよ。どれぐらい凄いかというと、大人の拳サイズの石をですね、 両手で割れるぐらいなんですよ。ですから、今の状況、もの凄く痛い痛い痛い痛い痛い!?

 

 

「おおおおっ、おはようございますっ。おおおお目覚めの時間ですよっ……!」

 

「うん……もう少しー……」

 

「ほわぁっ!?」

 

 

 おっと、更に力を込めてきたので思わず変な声を出してしまった。いやー、これは後で冷やさないといけないかもですね。私は何とか銀屏様を目覚めさせ、手を隠しながら部屋を出て行った。流石に着替えの手伝いは出来ないから。

 

 

「龍琥!」

 

「関平様……」

 

「す、すぐに処置をしなければ!」

 

「……はい」

 

 

 お優しい。関平様はもの凄くお優しいです。この後、関平様に連れられて井戸に向かい、冷たい水で布を濡らして冷やし続けた。

 

 

 

 

 銀屏様たちが朝食を済ますまで私は部屋の外で待機し、辺りを警戒しておく。

 

 

「りゅーくー!」

 

「はい、銀屏様。如何なされました?」

 

 

 朝食後、私は銀屏様のお傍で銀屏様の時間に付き合います。庭で遊ぶ時も書物を読む時も武術の鍛錬をする時も片時も離れたりはしません。

 庭で遊ぶ時は蝶々を追いかけたり、小鳥と遊んだり、私で遊んだり。書物を読む時は私の膝の上で呼んだり、私で遊んだり。武術の鍛錬の時は私と軽く組み手をしたり、私で遊んだり。………ん、少し待とうか。可笑しい。可笑しいよね? 何で全部私であそんだりが入っているのかな? まぁ、仕方がないといえば仕方がないけど。

 だって銀屏様、可愛いんですもん。さらさらの綺麗な黒髪に可愛らしいお顔、真っ直ぐ純粋な心。実際に外を歩くと皆の眼を惹きつけますから。もう、可愛い妹が出来たみたいでね。身分を考えなって言うのは分かっているんだけどね。可愛すぎるんですよ! まるで………幼い桃香を相手にしているようで……。駄目だ、これは失礼だ。最悪だ、()

 

 

「ねぇ、りゅーく。にいさまたちは、きょうもたんれんでいないの?」

 

「そうですね……。関平様も関興様も関索様も、関羽様と一緒に軍の鍛錬所で夕方まで帰ってきません」

 

「……わたしも、ちちうえとにいさまたちといっしょにたんれんしたい」

 

「それは……それは銀屏様がもう少し大きくなられたら叶いますよ」

 

「ほんとう?」

 

「はい、本当です」

 

「りゅーくもいっしょだよ?」

 

「………はい、必ず」

 

「じゃあ、ちぎり!」

 

「え?」

 

「わたしはりゅーくといつまでもいっしょにいる! りゅーくもわたしといっしょにいてくれる?」

 

「……はい、何時までも一緒に。銀屏様、小指を出して下さい」

 

「こゆび?」

 

「はい」

 

「ん」

 

 

 差し出された右手の小指に私の右手の小指を引っ掛ける。

 

 

「これは指きりと言って、約束をする時にするおまじないのようなものです」

 

「おまじない?」

 

「ええ。それからこう歌うんです。ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたらはーりせんぼんのーます、ゆびきった」

 

「はりせんぼんのむの!?」

 

「はい。ですから、約束は破ったらいけないんです」

 

「うぅ……こわいけど、わたしうそつかないもん! だからだいじょうぶ!」

 

「そうですか。では、一緒に」

 

『ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたらはーりせんぼんのーます、ゆびきった』

 

 

 今度こそ、私は約束を破りません。桃香と一緒にいると約束しましたが守れませんでした。ですが、銀屏様との約束だけは、絶対に破りません。

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