関銀屏と行く   作:魔帝

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 ……………ロリコン?





第三話 誓い

 

 

 何と言うか、もの凄く大変な目に合いました。あの後、関羽様は私を強引に起こして外に出し、槍を持たせてきましたね。それで、関羽様はご自分の青龍堰月刀を持って私の前に立ちましたね。それでですね、うん。私に向かってこう言いましたよ。

 

 

「龍琥よ。銀屏が欲しくば、私を倒して見せよ!」

 

「無理です!」

 

 

 逃げましたね。だって無理ですやん。あの時の私は疲労で全身が動かないですし、無双ゲージなんて溜まってないし? それに何? 何で関羽様、全身から金色の気が溢れ出ているんですか? 何か刃から金色の気が溢れ出てるんですけど? 無理無理無理っ!! 何か回転しながらこっちに来たし!? まったく、別に私は銀屏様に手は出しませんよ。確かに? 可愛らしいですし、桃香に似ているから少しは興味ありますけど? だからって四歳の子に手を出しませんよ。それに私、転生前を含めたら何歳? 六十歳近くですけど? 幼い頃は身体に精神が引っ張られてる感がありますから何となく大丈夫ですけど? とにかく、銀屏様は私にとって守るべき存在ではありますけど、そういう恋愛面では見てませんから!

 

 

「りゅーく、もうだいじょうぶなの?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

 

 銀屏様が私の心配をしてくれました。本当にお優しい。今、私達は長椅子に座って月夜を眺めています。

 

 さて、ここから少し重い話をしますね。長安から脱出した私達は夏口へとやって来ました。被害は……甘夫人がお亡くなりになりました。流れ矢の傷によるものでした。劉備様は置き去りにしてしまってすまないと、亡骸の前で大泣きしておりました。一度に二人も夫人を亡くし、劉備様の悲しみは計り知れない。

 しかし、悲しんでいる間もありませんでした。夏口に逃れたとしても曹操は南進し続けており、このままでは曹操軍にいいようにやられてしまう。なので、諸葛亮様が呉の孫権との共闘を提案。自ら使者となって呉へ向かいました。見事、同盟を結び、曹操を討つ事になりました。そして曹操は荊州で水軍を手に入れ、長江を渡ってこちらに向かって来ています。なので、劉備様と孫権様は諸葛亮様と呉の軍師、周瑜様と魯粛様の提案で赤壁で決着を着けることになりました。これが、皆様も知っている赤壁の戦いですね。

 

 それにしても、何故私は歴史の流れを覚えていないのでしょうか? ただ忘れているとは考えにくい。何せ、性別が違えども三国志の歴史を身を持って体験しているのですから。なら、転生する代償がそれなのでしょうか? そもそも、何故私は転生を行なえているのでしょうか?

 

 

「りゅーく、むずかしいかおしてるよ?」

 

「あ、申し訳ございません。何でもないですから」

 

「ほんと?」

 

「はい。銀屏様、これから関羽様は戦場に赴きます。私達は安全な場所で帰りを待っていましょう」

 

「うん」

 

 

 今回は流石に私は戦に参加しません。私の本業はあくまで関銀屏様の護衛。ですから銀屏様が戦に参加しない限り、私が参加することは無いのです。長坂でのことは、アレは異例ですので。なので私は銀屏様に付き添い、一時的な集落に奥方様と一緒に居ます。関平様と関興様、関索様は集落の警備に当たっております。

 

 

「ねぇ、りゅーく」

 

「はい?」

 

「わたしもちちうえみたいになれるかな?」

 

「え?」

 

「わたしもちちうえみたいにつよくなって、みんなをまもりたい」

 

「銀屏様……。銀屏様、何も貴女が戦わなくても良いのですよ? 貴女は女の子なのですから、守られてもいいのですよ?」

 

「……やだ」

 

「どうしてですか?」

 

「……りゅーく、わたしをまもってくれた」

 

「………」

 

「こわいひとたちいっぱいいて、でもりゅーくはわたしをまもってくれた」

 

「当然です。私は銀屏様を守るためにいますから」

 

「……りゅーく」

 

「え?」

 

 

 銀屏様が小さな身体で私にしがみ付いてきましたって、ええ!? な、何を!?

 

 

「ぎ、銀屏様!? 何を!?」

 

「りゅーく、あぶない」

 

「え………」

 

「だから、まもりたい」

 

「そ、そんな……銀屏様がそんな事をなさらなくても」

 

「りゅーく、おおきくなったらちちうえといっしょにいっちゃう」

 

「あ………」

 

 

 そうです……私が大人になれば、もしかしたら銀屏様の警護から外され、前線に行くかもしれない。私の武は趙雲様に一歩劣るほど。十歳でそれほどであれば、成長すれば私は必ず戦力になる。劉備様の理想の為に戦わなければならなくなる。それを銀屏様は四歳で理解されてしまわれている。

 

 

「そしたら、もっとこわいとこにいっちゃう。りゅーく、けがしちゃう」

 

「だ、大丈夫ですよ。私は大丈夫ですから」

 

「でも、わたしこわい。どこかでりゅーくがけがしたらいや」

 

「銀屏様……」

 

「だから、わたしもつよくなってりゅーくをまもる。そしたらいつまでもいっしょ!」

 

「っ……!?」

 

「りゅーく、わたしりゅーくといっしょにいたい! ずっとずっと、いっしょにいたい!」

 

「銀屏様……!」

 

 

 ――ねぇ、一颯君。ずっと私と一緒にいてくれる? これから辛いこともあるだろうけど……。

 

 ――桃香?

 

 ――ずっと、私の隣で支えてくれますか?

 

 ――………ああ、ずっとお前の傍にいるよ。

 

 

「………」

 

 

 そうか……これは……そうなんだな……桃香。これは……そういう事なんだな。私は……俺は……。

 

 

「関銀屏様」

 

 

 俺は銀屏様の前に移動し跪く。二振りの槍を銀屏様に掲げる。

 

 

「我が名は龍琥、字は皇覇、真名は一颯。我が槍、我が身、我が命、この日、この時を持って貴女様に捧げます」

 

「まな?」

 

一颯(いぶき)、それが俺の本当の名前です」

 

「いぶき……」

 

「関銀屏様、俺はこれからもずっと、貴女様のお傍にいさせていただいてもよろしいですか?」

 

「……はい! ふつつかものですが、よろしくおねがいします!」

 

 

 そう言い、銀屏様は俺の槍を両手で受け取った。可愛らしい笑顔で、この月夜にも負けない美しい笑顔で、俺の意志を受け取ってくれた。俺はこの世界で戦っていく。劉備様ではなく、銀屏様を己が魂として守っていく。もう、あの時のような最期は迎えない。命を守れても守れても、笑顔を守れなければ意味が無い。見ていてくれ桃香。俺は銀屏様を必ずお守りしてみせる。

 

 

「……りゅーく」

 

「はい」

 

「これ、すごくかるいね!」

 

「……それは貴女様だけです」

 

 

 一応、大人が持っても重く感じる槍なんだけどなぁ……。

 

 

 

 

 その後、銀屏様と私は手を繋ぎ、夜の散歩をしまして。ってかしてます。銀屏様はもの凄く可愛い笑顔で集落の中を一緒に歩いています。でね、実は私、ちょーーーーーーーーーっとだけ、ビクビクしています。あのですね? 先程の会話を思い出していたんですけど、端から見ればあれ、求婚ですよね? そうですよね? でね? あれをもし関羽様が知ったらいったいどうなるのかなーって。いや、銀屏様に誓ったことは本気ですよ? だけど、求婚したつもりじゃないのですよ。いやいや、あんなこと言っておきながらそれは無いでしょと思いますけど、そういう意味で言ったんじゃないですからね!? と、とにかく! もし関羽様に知られると真・無双乱舞、いえ、ここは7ですから確か真・覚醒乱舞ですね。それが飛んできそうです。

 

 

「りゅーく!」

 

「はい?」

 

「よんでみただけ! えへへ……」

 

 

 …………オモチカエリオケー? はっ!? いかんいかんいかんいかん!! 何を考えているんだ俺は!? お、落ち着け、落ち着け俺! あいや、私!

 

 

「む? おお、銀屏に龍琥。こんなところにいたか」

 

「か、関羽様!?」

 

「あ、ちちうえ!」

 

 

 なななななんでこんなタイミングで!? って、ああ!? 銀屏様!? 手は離してくださらないのですね!?

 

 

「ちちうえ、きいてください!」

 

「む? なんだね?」

 

「…………」

 

 

 私の無双ゲージ、ゼロ。体力ゲージ、緑。関羽様、通常状態―――。

 

 

「わたし、りゅーくとめおと(・・・)になります!」

 

「――――ほぅ?」

 

 

 あ、赤い気が溢れてきた。なるほど、攻撃力と防御力が二倍ですね。

 

 

「そうかそうか。銀屏、もう遅いから母のところへいって寝なさい」

 

「はい、ちちうえ! りゅーく、おやすみなさい! ちちうえもおやすみなさい!」

 

「あ、おやすみなさいませ、銀屏様……」

 

 

 銀屏様は手を振って行ってしまわれました。さて、と……。

 

 

 ――龍琥よ………。

 

 ――………何でしょう、関羽様?

 

 ――先程の話………少し詳しく聞かせてもらえぬか?

 

 ――で、でしたらその青龍を――――。

 

 ――吼えよ、青龍!!!!

 

 ――アーーーーーー!!!

 

 

 

 

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