関銀屏と行く   作:魔帝

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 …………何も言うまい。これは二次創作なんだ。だから本物じゃないんだ……。


第五話 お友達

 

 

 

 結果から言いましょう。赤壁の戦い、私達が勝利しました。諸葛亮様と周瑜様と魯粛様、そして諸葛亮様と同門の龐統様の協力により大勝利を収めました。策は火計を用いたもので、まぁ簡単に申しますと、曹操軍が乗っている船に燃えている船を突っ込ませ火に包ませる。しかも諸葛亮様の祈祷で東南の風を吹かせて敵陣全体へと炎を押し広げたました。

 いやー凄かったですねぇ。戦場から離れている集落からでも空が炎の色で真っ赤でしたよ。不謹慎ですが、思わず綺麗だと言ってしまいましたよ。

 

 それで今はというと、諸葛亮様がちゃっかりと荊州の拠点を占拠してまして、劉備様が地を得るまで荊州を借り受けたいと孫呉に申し出たんですよ。最初は孫権殿は不服だったようですが、魯粛殿の取り成しで了承を得ちゃったり。こうして私達は荊州に留まり、今後の天下の為の準備を始める事になりました。

 

 ああ、そうそう。その孫呉なんですが、劉備様が荊州に入ってから暫く経った頃に、孫権様の妹様、孫尚香と劉備様の縁談を持ってきました。劉備様と孫呉の関係を強力にするための政略結婚なんですが、どうやらお二人は一目会った時から惹かれていたようで個人的にも良い話だったみたいです。

 糜夫人と甘夫人のこともあり、劉備様は優しくして下さる孫尚香様に惹かれて行ったのでしょう。お二人を亡くされて数ヶ月のことでした。今度こそは守り抜いていきたいものです。まぁ、銀屏様が第一ですが。いや、主君の主君ですからこういう考えはいけないのでしょうが、それでも私は銀屏様を第一に考えます。

 

 さてさて、今日はと言いますと、というか、今日もですけど……はぁ、溜息が出て仕方がない。

 

 

「くそっ……! またしてもか……!」

 

「……はぁ」

 

 

 今、私の目の前にはあの泣き虫がいます。そう、そうです。あの呂玲綺です。実はこれ、何度もあったんですよ。かれこれ、二、三十回ですかね。赤兎を狙って何度も侵入してきているんですが、その度に私と遭遇し、私と勝負して縛られてるんですよ。

 

 もうね、いい加減にして欲しいわけですよ。毎回毎回、誰にも気付かれないように戦闘し、捕縛し、大泣きされる。ほら、今ももう涙目ですよ。いやね? だったら逃がさなければ良いじゃんって思うじゃん? だけど、実は二回目の遭遇が私と銀屏様が一緒に居るときだったんです。とりあえず捕縛して衛兵に引き渡そうとしたんですけど、銀屏様が泣いてしまっている呂玲綺を見てこう言ったんです。

 

 

「ねぇ、りゅーく」

 

「はい?」

 

「おねえさん、にがしてあげて」

 

「は、え? 何を仰っているのですか?」

 

「おねえさん」

 

「無視された!?」

 

 

 ええ、ええ、無視されましたよ。初めてですよ。勿論、銀屏様にそんなつもりは無いというのは分かっています。でも、でもショックで思わず地に伏しましたよ。所謂、オーアールゼットっていうやつですよ。

 

 

「なんだ、むずめっ……?」

 

「おねえさん、せきととあそびたかったんですよね?」

 

「ころずならころ――――なに?」

 

 

 おいお前、それ嘘泣きだろ。何でそんなにころっと泣き止めるんだよ? もしかして前回のもか? っていうか、なんてイイ天然なんでしょう、銀屏様は!!

 

 

「せきと、おっきいですもんね! つよくてはやいし、すごいおうまさんですもんね!」

 

「―――ふっ、子供のくせに良く分かっているではないか。お前はなかなか良い眼を持ってるな」

 

「おいコラテメェ……銀屏様に向かってなんて口きいてんだ、アァ? 何様のつもりだ?」

 

「ヒィッ!?」

 

「りゅーく! めっ!」

 

「はうぁっ!?」

 

 

 めって……めって言われた……! めって……まさか……俺がそんな事を銀屏様に言われるなんて……! 龍皇覇、一生の不覚!!

 

 

「ごめんなさい。でも、りゅーくはわるいひとじゃないからあんしんしてください! えっと、せきととあそびたかったらいつでもきていいですから!」

 

「グスン……お前、良い奴だな」

 

「わたし、かんぎんぺい! おねえさんは?」

 

「私か? 私は鬼神の娘、呂玲綺だ」

 

「きしん……? あれ? きしんって、このしんじゅをもってたひとのこと?」

 

 

 ちょっ!? 銀屏様、それは!? そんなものをみせたら!?

 

 

「そ、それは……!? 覚えているぞ……まだ私が幼かったころ、父上が虎牢関の戦いで無くした紫金冠に付いていた真珠。魔よけの力があるとされている物だ……」

 

「そうなんですか? でも、これちちうえがくれたものですよ?」

 

「父? っ!? 関!? もしや、軍神・関羽の娘か!?」

 

「そうです」

 

「……ふふっ、面白い。鬼神の娘と軍神の娘、どちらが強いかここではっきりと――――」

 

「何でそんな流れになるんだよこの弱虫泣き虫毛虫野朗ォ!!!」

 

「きゃああああっ!?」

 

 

 投 げ ま し た 。

 

 だって銀屏様に向かって刃を向けようとしたんですよ? つか、どうやって縄を解いた? とりあえず、呂玲綺を力一杯遠くへ投げ、星にしました。その後、銀屏様に「どうしてあんなことするの!?」って怒られました。これも、これも全部あの呂玲綺が悪い! だから私は呂玲綺が好きではありません。銀屏様のお願いが無ければ、即刻衛兵に引き渡しています。

 

 

「くそっ、私は諦めない! 必ずやお前を倒し、父が遺した赤兎を返してもらう!」

 

「……はぁ、お前さ、いい加減にしてくんない?」

 

「何だと?」

 

「何だと、じゃねぇよ。いいか? テメェは毎度毎度俺に遭遇して無力化されてんだから学習しろよ。テメェじゃ俺には勝てねぇんだよ。っつか、最近は赤兎じゃなくて俺を狙ってないか? なに? 俺のこと好きなの? 悪いけど俺はお前のことが嫌い。大嫌い。銀屏様に怒られたの、お前のせいだからな。ってか、十歳の子供に負ける大人ってなんなの? 鬼神の娘? 聞いて呆れるね。あ、泣くの? 泣いちゃうの? いいよ、泣いて。大声で泣けば? その声で俺以外の衛兵に気付かれて捕まるだろうから。そうなれば俺の苦労も消えて万々歳。ねぇ? どんな気持ち? 今どんな気持ちだよ? 十歳の子供にここまで言われてどんな気持ち? ねぇねぇねぇ? どんな気持ち? 俺は今すっごく後悔してるよ。なんたって本当に大声で泣き出してるからぁ!!?」

 

「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!!!!! ぢぢう゛え゛ぇぇぇぇぇぇえ!!!!」

 

「ちょっ!? マジで泣くなよ!? ご、ごめん! 悪かった! 俺が悪かったから! ストレスが一気に爆発しちゃってついね!? だから泣かないで! 見つかったら俺じゃどうにもできないから! ね!? 泣かないで!? 泣かないでくれよ!? な!? 泣くなってな!? 泣くなって言ってんだろうがァ!!!」

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!」

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああっ!!!!!? 頼むから泣かないでくれぇぇぇええ!!!」

 

 

 はわわあわわ!? どうしよう!? はわわ軍師とあわわ軍師が出てきちまったけどどうしよ!? このままでは誰かに見つかって呂玲綺が捕まる=俺のせい=銀屏様が悲しむ=オワタ。

 

 

「べづにお前を狙っでるわげじゃない!! 赤兎がお前のぢがぐにいるがらじかだがながっだんだ! お前のごどなんでずぎじゃないぃ!! ぞれにわだじばぎじんのむずめだぁ!! れっぎどじだむずめだぁ!! お前がづよずぎるんだぁ!!!」

 

 

 あ、そう言えば最近やたらと赤兎が俺の近くにいたな。てっきり銀屏様とのお遊びを気に入ったから厩舎を抜け出してるんだと思ってたけど、もしかして赤兎の奴……これが狙いか? ってか俺は別にそこまで強くねぇし。前が弱すぎるんだろうが。

 

 

「あーーーーー!! りゅーくがまたれいきおねえさんをいじめてるー!!」

 

「んなっ!?!?!? 銀屏様ァ!?」

 

「もうっ!! だめだよ!! これでなんかいめ!?」

 

「い、いや、銀屏様、これはですね……!?」

 

「“せいさいおねえちゃん”からもおこってください!」

 

「―――――え?」

 

 

 せいさい―――つまり星彩とは張飛様の娘様であり、関家と良好な関係を持つ。いや、ギャグじゃなくて。それ故、銀屏様とも面識があり、まるで仲の良い姉妹のようだ。因みに、張飛様には息子様もいて、星彩様の兄君。関興様とはもの凄く仲が良い。

 

 恐る恐る銀屏様の後へと視線をやると、短い黒髪と力強い眼、銀屏様よりも少しだけ身長が高い女の子―――星彩様が居られた。

 

 拙い……この状況はもの凄く拙い。呂玲綺のことがばれてしまったら絶対に呂玲綺は捕まってしまう。それに星彩様は真面目な方だ。確実に見逃してもらえない。

 

 

「せ、星彩様……! これは、その……」

 

「龍琥」

 

「はい!?」

 

 

 詰んだ。もう、終わった。

 

 

「――――“お友達”は大切にしなさい」

 

「はい! 申し訳ありません――――どうぇ?」

 

 

 お、お友達ぃ? え? 星彩様? 何を馬鹿な事を仰っているんですか? 私とコイツがお友達?

 

 

「あ、あの? 何を仰っているのか良く分かりませんが……?」

 

「もう皆知ってる」

 

「な、何を……?」

 

「龍琥に壁を作らせない友達がいること。銀屏とはまた違った、龍琥でいられる友達がいることを」

 

「……パードゥン?」

 

「ぱー……? ともかく、もう皆知っているから隠さなくていい」

 

 

 ヘイヘイヘイ、ちょっと待とうか? え? どゆこと? 俺が壁を作らない友達? ってか、壁って…………あ。そういえば、俺って普通にこいつと素で接してる……? いやいや、敵なんだから別に礼儀なんて…… え? そもそも呂玲綺が毎日毎日侵入してたの知ってたの? もうっ、だったら皆教えてくれたらいいのに! もう、何なんだよぉー!

 

 

「って違う!! 星彩様!? こいつのことをご存知なのですか!?」

 

「詳しくは知らない。龍琥に歳の離れた女性の友達がいることしか」

 

「―――――――そ、そうなんですよ! いやー、ばれちゃっていましたかー!」

 

「ちょっ!? 何をする!?」

 

「こいつ、玲綺っていいまして、いやーなかなかどうしてかこいつと一緒に居たらめいいっぱいはしゃげまして! あ、申し訳ありません銀屏様、星彩様! そろそろこいつを送っていかないといけませんので! それじゃ!」

 

 

 呂玲綺を担いでお二人から離れました。よくよく考えたらお二人になんて口をきいてしまったのでしょう。これは後で自分を戒める必要がありますな。それもこれも全部こいつのせいだこの野朗。

 

 

「いたっ!? こらっ! 尻を叩くなこの変態!!」

 

「じゃっかましいわアホォ! テメェのせいで俺はテメェとお友達設定だよボケェ! なんで俺がこんな目に遭わなくちゃならねぇんだ!」

 

「なっ!? 言わせておけば……! お前は目上の者に対して何て口のきき方をしている!?」

 

「目上もクソもあるかよダァホ! テメェなんかこの大樹に縛られて反省でもしてやがれェ!!」

 

 

 近くの森の中の大樹に呂玲綺をぐるぐる巻きにし、動けないようにする。しかしこうしてもまた明日には普通にやって来そうで怖い。もう、俺の中ではこいつは変人扱いだ。絶対に銀屏様に近付けるものか。

 

 

「くそっ! 縄を解け!」

 

「……なぁ、知ってるか? この森って、出るんだってさ」

 

「出る? 何のことだ?」

 

「戦で死んだ者達の霊が、月に何度かこの大樹の根元に集まって来るんだとさ。この大樹は特別な力があるみたいだから、それのせいらしい」

 

「…………」

 

「しかもその集まる日がちょうど今晩らしい。また明日会えたらどんな霊だったか教えてくれ。ま、生きて会えたら、だけど」

 

「………待て、何処に行く?」

 

「銀屏様のところに帰る」

 

「……解いてから行け」

 

「だが断る」

 

 

 俺はダッシュでその場から立ち去った。後ろから泣き声が聞こえてくるけど、気にしない。つか聞こえない。俺は街に帰って沈んでいく夕日を眺めた。

 

 

「……俺、か……」

 

 

 思えば何時からだろうか。俺が私を使い始めたのは。転生したと分かった時からだったっけ。桃香のところにいた時はずっと俺だったのに……。二度の転生で達観しすぎてしまっているのだろうか。

 

 

「考えてみれば本当に久しぶりなのか、こんなに慌てふためく俺って……」

 

 

 そもそも俺ってそんなクールキャラじゃないけど。でも、こっちに転生してからずっと戦場以外ではしゃぎ回ったことってないよな。っつか、友達がいない。あれ? 俺って友達いないじゃん。関一家には良くしてもらってるけど、主人の家族っていう関係だし。関平様も優しくしてくれているけど、友達としてではないだろうし。あれ? 俺ってどうおもわれているんだろうか?

 

 

「………はぁ、何でこんな事を考えてるんだよ、俺は」

 

 

 ――お友達は大切にしなさい

 

 ――壁を作らせない友達がいるってこと

 

 

「…………」

 

 

 ああ、もう。俺、何やってんだか。

 

 

 

 

 関銀屏の日記

 

 きょうは、とてもうれしいことがふたつありました。れいきおねえさんがまたあそびにきてくれました。でも、りゅーくがまたれいきおねえさんをいじめてました。めっておこったらちゃんとあやまりました。えらいえらい。

 

 それから、もうひとつのうれしいことは、れいきおねえさんがりゅーくとおなじおしごとを、りゅうびさまからいただいたのです。あまりむずかしいことはわかりませんが、りゅーくがれいきおねえさんをりゅうびさまとちちうえにしょうかいして、りゅーくがせっとくしたみたいです。

 

 これからまいにちりゅーくとれいきおねえさんといっしょにあそべるなんて、とてもうれしいです。はやくあしたにならないかな。

 

 

 

 

 

 ――呂布の娘とな……。生きていたのか……。

 

 ――むぅ……銀屏がな……。

 

 ――はい。戦力には申し分ないかと(まぁ、私より二歩ほど下だからそれなりだとは思う)

 

 ――うん、龍琥がそれほど言うのだ。大丈夫だろう。

 

 ――え?

 

 ――うむ! 兄者の言うとおりですな! では龍琥よ! そなたは呂玲綺と共に銀屏の護衛に当たってくれ。

 

 ――…………は。(あれ? 私って皆からほんとどう思われてるんですか?)

 

 

 

 

 

 




 早く成長した銀屏と龍琥を出したい。


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