ダンジョンに幼女(少女)戦記をブチ込むのは間違っているだろうか 作:仁611
ターニャ・デグレチャフになって数日が過ぎたが、女性である事に正直まだまだ慣れて居ない。風呂は自分の身体だから髪を洗う以外はそこまで変化が無いが、トイレはそもそも構造も我慢できるタンクの大きさが違い過ぎて膀胱炎になり掛けた…
最近では布とワイヤーで手作りした簡易トイレを持参してダンジョンへと向かっている。ダンジョンも既に8階層で大量のキラーアントが正直気持ち悪い…
考えて下さい。
蟻が人間サイズになったらどんな風に見えるのか、産毛がリアルだし関節や触覚なんかは黒光りしてる。キラーアントだけは魔導刃は使わず全て射撃で対処している。
「うへぇ〜」
頭部が弾け飛び緑の粘液が床に飛び散る…早めにサポーターを見つけて魔石回収をお願い……⁉︎リリルカを探せば良いのか⁉︎
俺はベル君には悪いがリリをゲットする為色々と手を打つ事にした。ソーマファミリアが悪徳過ぎるからそれらを利用し、言い逃れできない状況を作り出そう。
その日は早めに切り上げリリを探す為情報収集に励んだ。路地などにある質屋の様な買取店を彷徨い、身長的な容姿の特徴で情報を集めて行った。
集まった情報でリリらしき人物が行く店は基本3店舗存在する様で、ランダムに利用して足が付かない様にしてるぽい。後はリリを搾取しておるソーマの団員が滞在してる拠点も見つけた。
俺は翌朝リリルカ・アーデに接触を図った。今回の作戦にはリリの協力が不可欠であるが為、彼女の嫌いな搾取を是とする冒険者を貶める甘言にて彼女と協力する。
彼女はいつもの様にダンジョンの入り口近くで獲物を探して周囲の観察をしながら丸まって居た。大きなバックパックで身体が後方からはうかがえず、目線の低さから他の冒険者には彼女の表情は見えない。
「サポーターさんサポーターさん。貴女にとってとても嬉しい提案があるのですがお話しをお聴き頂けないですか?」
「え⁉︎」
リリは伏し目がちな目を大きく開き、警戒からかバックパックの肩紐を握り締めている。身長差的にベルよりは若干大きい俺を見上げる形で見つめ互いに認識しあった。
「混乱してる様ですが簡単な話しですよ…。貴女の現状を理解した上で私が復讐の機会をプレゼントするだけです」
「えっと、それはどう意味でしょうか?」
「リリルカさんは優秀なサポーターですが、ソーマファミリアと言う劣悪な環境故に貴女の価値を認められる事が無い。私は貴女のサポーターとしての腕を買い、先行投資をしようとソーマファミリアから貴女を解放する作戦の提案に来ました。リリルカさんの警戒心やこれまでを踏まえると疑うのは理解出来ます…私の提案はあくまで貴女をソーマから解放し、サポーターとして雇いたいだけです。下心は貴女の知識ですから分かりやすいですが如何ですか?」
「あっあの…リリにそこまでの価値は無いと思います。冒険者様の利益よりリリの方が大きい気がするのですが」
「そうですね。私はターニャ・デグレチャフ、ファミリアはヘスティアファミリアですが結成したばかりの零細ファミリアです。リリルカさんにはファミリアに入って欲しいとは思いますが強要はしません」
「ターニャ様はLv.1と言う事ですか?」
「ええ。ですが貴女を救う事は出来ますよ」
その日からリリとの作戦が実施されて行き、彼女には貸金庫をもう一箇所契約してもらう。毎日リリとダンジョンへと赴きソーマファミリアの団員には俺がターゲットだと認識させる。
リリは本当に有能だった。アニメで見てるのと違い魔石回収やサポート、その上知識量がさすがベテランサポーターだと舌を巻いた。リリの硬い口調も日に日に和らぎ打ち解けて行った。
そんなある日の朝、遂に私に話し掛けて来た冒険者が現れたのだ。内容はベル君に言った内容と同じくリリから強奪する作戦だった…
「リリ。数日以内にゲドから接触があるでしょうが、私は魔法で隠れてリリを追い掛けますから手筈通り抵抗せず怪我しないようにお願いします」
「分かりました。遂に…ソーマファミリアのクズから解放される日が来るんですね」
「油断だけはしないでください」
「はい⁉︎ターニャ様」
我々は手筈通りリリが俺の荷物を奪った様に見せかけ、リリがダンジョンの安全ルートを走り抜ける手はずだ。私は目の前でリリが蹴られる姿を唇を噛みながら見るしか出来なかった。
リリを襲ったゲドとは別に、カヌーが現れゲドを脅迫してリリの荷物を奪い取った。リリは貸金庫の偽物を奪われた時『それはターニャ様の物です⁉︎それだけは』そう言ったがカヌーは無視してキラーアントをリリに投げつけ去って行った。
俺はリリの背後から現れ直ぐ瀕死のキラーアントを射撃し、リリにポーションを飲ませた。
「リリ⁉︎大丈夫ですか?」
「うぐっ…これでクズと縁が切れるならこの程度平気です」
「直ぐに追い掛けます。背負いますから背中に」
俺はリリを背負いカヌー達を追い掛けた、俺は追い付いてからも直ぐに声を掛けず敢えてギルド付近で大声で「止まれ」とカヌー達に銃口を向けた。
当然大声で叫べばギルド員は数名出てくる。そこに追い打ちの様にパーティーであるリリに預けた俺の貸金庫の鍵を返せと要求した。
「は?テメェのもんなんか何一つ持ってねえ」
「ではギルド員の前で証明できますか?」
「は?別に良いぜその代わり違ったらお前はどう責任取るんだ?」
「何でもしてあげますよ」
男達は下衆な視線で俺を見て要求に従った。当然貸金庫の鍵を持っており、中身が何か聞いてもしらを切り認めないので実際にギルド員とガネーシャファミリア数名と確認に向かう。
そこには俺の軍服予備とお金など、決してカヌーが持っている筈も無い代物が仕舞われており青ざめ「アーデが盗んで来た」だとかを言い訳し出したが、俺が戦闘で無くさない様に預けていたと言うと逃げようとしたが直ぐに取り押さえられた。
この後は思った以上の展開になる。カヌー達は焦ってザニスの指示で犯罪をしたと口走り、ザニスはガネーシャファミリアに連行されギルドで聴取され多くの罪が明らかに…
今回の殺人未遂にプラス窃盗など多くの余罪によりソーマファミリアは解体が決定し未来永劫ファミリアを持つことを禁止された。だがどうせならと俺は直に神ソーマに提案と言う形で彼から利益を得る事を考えたのだ。
「神ソーマ。貴方は余りにも無責任に団員を放置し過ぎた、その代償が解体と再結成禁止…このまま行けば貴方はお酒作りが出来なくなりますね」
「……そう、だな」
「貴方は神失格だ」
「……」
「どうしても酒作りを続けたいなら提案があります」
「何か方法があるのか⁉︎」
「ヘスティア様と神として契約して下さるなら酒作りの場を設けましょう。それが条件ですが良いですか?」
その日ソーマファミリアは事実上オラリオから消失した。ヘスティアファミリアはソーマの神酒を手に入れ、ヘスティア様と言う人格者との間で契約がされ完成品は神にのみ販売され失敗作は街で販売される事になった。
ヘスティア様はソーマに説教を2時間もすると言う状況だったが俺は別に企みが存在していた。因みにリリは今横で神ソーマをこき使ってヘスティアファミリアの自室を掃除させている。
ソーマファミリアのホームは一応ソーマの持ち物である為ヘスティア様の管理に属す事をギルドへ提出し、その日のうちに俺は資金調達にとあるファミリアの門を叩いた。
『ロキファミリア』ソーマの神酒に目が無く、ここなら間違いなく大金を貰えるからだ。ソーマファミリアの団員が居ない故に生産力が低下し販売ルートがかなり絞られる。
完成品は『ロキファミリア』失敗作は限られた飯屋などに下ろす話を取り付けた…これなら瓶詰の必要も無く樽でおろせコスパが良い。現在の在庫は市場では最後の品だと思われかなりの高値で売れる為、オークションに半分の量を出品した。
ロキファミリアでは始めかなり怪訝な顔で門番に見られたが、ソーマの蓋を開けると神ロキは原作の様に飛んで来た。初めてロキファミリアのメンバーを見たがバラエティー豊かだな。
「何や〜こっちの方から芳しい匂いがするやん」
「ロキみっともないからやめろ」
始めに登場したのは神ロキとリヴェリア・リヨス・アールヴだった。俺を見るや否や飛びついて来た…
「おぉぉ〜かわい子ちゃんやん⁉︎」
俺は思わずライフルの尻で神ロキの頭をはたき落としてしまった。門番と俺は思わず「あっ」と声が被り、リヴェリアの後方からティオナ・ヒリュテがお腹お抱えて笑う姿が見え、リヴェリアはこめかみに手をやりため息をついた。
「えっと。すみません、つい反射的に神ロキを」
「いや。構わんよ、所で貴方はどの様な要件で来たのだ?」
「今回のソーマファミリア事件はご存知ですか?」
「ああ。事件を起こしファミリア解体などの事だろう」
「はい。そこで私のファミリアが神ソーマを保護し神酒に関しての扱いにも一任されています。そこで神ロキに提案を持って来させて貰いました」
「なっなんやて〜」
復活したロキの叫び声にてフィン・ディムナ、アイズ・ヴァレンシュタイン、ラウル・ノールド、アナキティ・オータム、ティオネ・ヒリュテがやって来た。
ガレス・ランドロックはどうやら自室で酒を呑んでいたらしく現れなかったが、応接室には現れソーマの取引に個人資産で話に入って来たのだった。
団長のフィンは程々なら良いがと言い、リヴェリアが渋い顔をするとロキが拝み倒すと言うカオスを他ファミリアの目の前で繰り広げられると、毎月完成品はロキの小遣いから2樽・失敗作は20樽ファミリアとして買うらしい…。
「では今日は完成品2樽と1瓶はサービスさせて貰いますが宜しいですか?」
「流石分かってるやんか〜んでターニャたんはどこの神のファミリアなん?」
「申し遅れました。神ロキのだいすきなヘスティア様です」
「なっなっな⁉︎何やて〜」
「神ロキ…貴女がヘスティア様を毛嫌いするのは理解してますが、団員である私は別です。取引も不公平な内容では無いですからご安心下さい」
「ぐぬぬぬぬっ分かってわいるんやけど…。うぉぉ〜ターニャたん改宗せえへん?」
「嬉しい申し出ですがヘスティア様は何だかんだ言って神格者ですからね。憎めないポンコツ振りが好きなんです」
「まあドチビはその辺だけは間違いあらへんからな〜まあしゃあないわなあぁ〜いつでも遊びに来たらええで⁉︎アイズたんと合わせて両手に華や〜グヘグヘ」
その言葉を発した瞬間リヴェリアに杖で殴られ撃沈した。帰り側にアイズから話し掛けられたのは正直驚いた。どうやら俺の戦闘を一度見たらしく手合わせしたいと提案され、稽古を含めてしてもらえるなら喜んでと言うとアイズはリヴェリアに上目遣いでお願いしていた。
結果、リヴェリアはフィンやリヴェリアの立会いを含めて良いならと言う事になり、改めて伺うと言う話で来週の今日と同じ曜日に約束した。
ソーマの売り上げは何と6億ヴァリスを超え、ザニスがいかに私利私欲に走っていたか痛感したが…。リリと話し合ってヘスティア様には内緒にしておいた。
またヒキニートになられても始末に負えないので、リリが神ソーマから帳簿を預かり資金は俺が管理している。ソーマ的にはファミリアが居ない分100%酒に時間を使えるのが心底嬉しいらしい。
リリは複雑そうにその話を聞いていたが、前とは違い目には希望が浮かんでおり翌日のダンジョンでは過去最高額の26万ヴァリスを叩き出すのだった。