家庭教師PRINCIPESSAユニ!   作:霧ケ峰リョク

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頭の中のアイディアを吐き出したくて作った作品です。
取り敢えず以前の作品のリメイクみたいなやつです。
ちなみに難易度はハードです。


日常編
プロローグ


「なぁユニ、本当に良いのか?」

 

 イタリアにある空港、ボルサリーノを被った黄色のおしゃぶりの赤ん坊が椅子に腰かけていた。

 その視線の先には一人の少女が立っている。

 黒色のおかっぱ尻尾の髪型ま蒼い双眸、そして左頬の五弁花の痣が特徴的な少女で、その容貌は紛れもなく美少女だった。

 

「はい。リボーンおじさま」

 

 黄色の赤ん坊────リボーンの問いに五弁花の痣の少女────ユニは凛とした態度で答える。

 

「今回の仕事はオレが引き受ける筈だったものだ。確かに日本は平和だがな、お前一人だと危険じゃねぇのか?」

「確かにその通りかも知れません。ですがボンゴレ10代目、その候補の家庭教師(かてきょー)。私が行きます。それに、私が今イタリアに居てはお母さんを困らせちゃいますから」

「…………そうか」

 

 ユニの力強い言葉にリボーンはこれ以上何も言う事が出来なくなる。

 今言った通り、本来ならば自分が受ける仕事だった。正確には仕事の依頼として正式に受理する前なのだが。

 ボンゴレファミリーはイタリア最大のマフィア。どんな仕事でもボンゴレが最優先になる。

 それは他のファミリーの依頼の途中であってもだ。その事はボンゴレ傘下のファミリー全員が理解しているし、リボーンもそのつもりだった。

 

――――そう、そのつもりだったのだ。

 

 想定外の事態が起こり、リボーンは現在家庭教師を務めるファミリーから離れられなくなったのである。

 ボンゴレ10代目候補の家庭教師。それも今は依頼人であるボンゴレ9代目から保留にしてほしいと言われ、暫くは事態の解決に努める事になった。

 そして家庭教師としてリボーンの代わりにユニが送られる事となった。

 尤も、家庭教師といってもそれは建前であり、実態は平和な日本に避難すると言う事なのだが。

 

「悪いな、ユニ」

 

 本来ならば彼女は自らのファミリーで過ごしていた方が良いのかもしれない。

 しかし、とある事情から彼女のファミリーはユニの存在を知らない。それどころかユニの事を知っているのは裏社会でも数人だろう。そういった事情も含めて、今のイタリアに居るよりは日本に居た方が安全だった。

 

「色々と窮屈な思いをさせちまうが我慢してくれ」

「いいえ、大丈夫ですよおじ様」

 

 リボーンの謝罪にユニは笑みを返す。

 彼女は此方の事情を全て理解した上で、一人で行くと言っている。

 とはいえ、ボンゴレ10代目候補は年頃の男子だ。そんな輩が住んでいる所に何も持たせず行かせるのはイタリア男としてどうだろうか。

 そう考えたリボーンはボルサリーノの上に乗っていた緑色のカメレオンをユニに預ける事にした。

 

「形状記憶カメレオンのレオンだ。お前に預けとくぞ」

「えっ、良いんですか?」

「ああ。オレからの餞別だ。後はこれも受け取れ」

 

 ニヒルな笑みを浮かべながら、リボーンはユニにあるものを渡す。

 

「オレの方もなるべく早く日本に行くつもりだ。それまでの間、家庭教師…………頑張れよ」

「――――はいっ!!」

 

 激励を受け止めて、ユニはリボーンに背を向けて歩き出した。

 

   +++

 

 今日も今日とてダメライフだ。

 学校をサボって帰宅し、自室に戻った綱吉は溜め息を吐く。

 勉強はダメ、運動もダメ。何も無い所で転ぶのは当たり前。犬や猫の尾を間違って踏んでしまい、それが原因で追いかけ回されるのは日常茶飯事。

 自他共に認める劣等生、付けられたあだ名はダメツナと正に言葉の通りとしか言いようが無かった。それでも毎日並盛中学に通っていたのはクラスのマドンナにして憧れの少女、笹川京子が居たからだ。

 尤も、持田先輩と一緒に居るのを見て付き合っているという噂が事実だった事で、学校に居る意味すら無くなったわけなのだが。

 

「ツッ君。今日学校から電話があったわよー」

 

 ベッドに横になり、スナック菓子を食べようとした瞬間、綱吉の耳に母親の沢田奈々の声が耳に届く。

 

「また途中でサボって…………将来どうするつもりなの?」

「別にぃ…………」

 

 ダメツナなのだ。何をやったってどうせ上手くいくわけがない。

 このまま将来もダメライフを送るのだろう。そう考えていると扉の前に来ていた奈々が部屋に入って来た。

 

「ちょっ、勝手に入って来るなよ!!」

「別に良い大学に行け、とかそういう事を言っているわけじゃないのよ。退屈そうに暮らしていても一生、楽しく暮らしても一生なのよ。同じ一生なら生きているって素晴らしい! って感じながら生きていてほしいのよ」

「…………よくそんな恥ずかしい台詞が言えるよな」

 

 臆面も無く恥ずかしい台詞を言った母親に冷ややかな視線を向け、それから視線を逸らす。

 

「別に今すぐやれと言っているわけじゃないわ。ただそういった目的があったらツッ君だって私の言っていることが分かるわよ。ほら、あの人の子どもなんだから」

「ん…………」

 

 話から察するにあの人とは間違いなく父さんのことを言っているのだろう。

 奈々の口から出たあの人という言葉を聞いて綱吉は顔を顰める。

 沢田家光――――母親である沢田奈々の夫で、綱吉の実の父親だ。

 普段からいい加減な面が目立っていて正直苦手な人だったが、今から一年前に唐突に蒸発した。

 当時の奈々は星になったと言っていたが、その理由は今ならば何となく分かる。

 その事から綱吉は家光に対する印象はあまり良くない。いや、最悪といっても過言ではなかった。

 正直な話、何で今も母さんが父さんの事が好きなのか全く理解出来ない。

 綱吉が心の中でそう思っていると、奈々は懐から一枚の紙を取り出す。

 

「あ、そうだったわ。ツッ君。家光さんから手紙が来てるわよ」

「あいつ蒸発したんじゃなかったのー!?」

 

 奈々の言葉に綱吉は叫ぶようにツッコミを入れる。

 

「蒸発したのなら私は専業主婦やってないわよ」

「た、確かに…………でも、何で蒸発しただなんて」

「家光さんが言ってたのよ。その方が浪漫があるって。それで今は海外で働いてるのよ」

 

 目を輝かせながらそう言う奈々を見て、綱吉は一人納得する。

 あの父親にしてこの母親あり。仲が良いのは至極当然の結果なのだろう。

 内心呆れながらも、綱吉は奈々から差し出された家光からの手紙が入った封筒を受け取り、その内容に目を通す。

 

『ツナヘ。

 元気にしているか? 父さんは大丈夫だ。本当は奈々やツナの顔が見たいんだがあまり家に帰る事が出来なくてなぁ。

 本当は長々と今までの気持ちを伝えたいところなんだがな。

 手紙とはいえ話が長くなるのは嫌だろう?

 だから手短に纏めようと思う――――ツナ、誕生日おめでとう。

 この手紙が届く頃には多分過ぎているとは思うが気持ちだけ受け取って欲しい。

 それと俺が戻るまでの間、奈々を頼むぞ』

 

「…………こんな手紙じゃなく、電話とかでも良いだろ」

 

 不貞腐れながらも、あのちゃらんぽらんな父親がちゃんと自分の誕生日を覚えていた事――――その事実は素直に嬉しかった。

 浪漫とかほざいて自分にだけ何も知らせずに何処かに行った事は今でも許せる気がしないが。

 

「だけど、父さんも頑張ってるんだな…………」

 

 綱吉は家光に対する評価を改めて上方修正する。

 少なくとも頑張って仕事をしているのは事実だし、忙しくて会えないというのも本当の事なのだろう。

 そう考えながら手紙を見ていると、封筒の中に何か小さい物が入っていることに気が付く。

 

「ん…………何だこれ?」

 

 封筒を逆さにして、入っていた何かを手のひらの上に落とす。

 中に入っていたそれはチェーンが通されたオレンジ色の小さい石が付いた指輪だった。

 

「もしかして誕生日プレゼント?」

 

 だとするなら普通にゲームの方が良かった。

 そう思いながらも綱吉はチェーンが付いた指輪を首から下げる。

 その際に奈々に「似合ってるわよ」と茶々をを入れられ、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤くする。

 

「あ、ツッ君。今日家庭教師の先生が来るの」

 

 奈々の口から語られた言葉に赤かった顔色が一瞬で青くなった。

 

「家庭教師!?」

「今朝ポストにチラシが入っててねー。お子様を次世代のニューリーダーに育て上げます。学年、教科は問わず。ユニ――――って書いていたのよ。ステキでしょ?」

「胡散臭いよ!」

 

 冗談ではない。ただでさえ学校の授業を聞いているのが嫌だというのに、どうして家の中でも勉強をしなくてはいけないのだ。

 そう考えた綱吉は何とか家庭教師を拒否しようと、御世辞にも良いとはいえない頭で思考を巡らそうとするが――――。

 

「あの人も外国で頑張ってるんだし、ツッ君も頑張らなくちゃ」

「うぐっ」

 

 奈々の言葉に反論する言葉を失ってしまった。

 もし、その事を知らないでいれば家庭教師なんか無駄、どうせ何をやったって無駄だと答えただろう。

 だが家光も外国で一人頑張っている。そう言われれば少しは見直したとはいえ、父親に対する対抗心から負けてたまるかという気持ちが湧き上がってくる。

 とはいえ、自分でも分かる通りダメツナだから何も言う事が出来ないでいた。

 何も口にせず、一人唸っているとピンポーンとチャイムの音が鳴った。

 

「あら、もう来たのかしら?」

 

 奈々はそう呟きながら綱吉の部屋を出て階下に移動する。

 少し遅れて綱吉も、このままでは家庭教師をつけられることになると思い出し、何とかお引き取り願おうと思いながら奈々と同じように階段を降る。

 しかし時既に遅く、先に降りた奈々が玄関の扉を開けた。

 

「こんにちは。はじめまして」

 

 扉を開けた先に立っていたのは一人の少女だった。

 黒色の髪を尻尾のように伸ばした蒼い瞳の外人の少女、その左頬には五弁花のような痣がある。

 奈々に遅れて下に降りて来た綱吉は、家庭教師を追い返そうという目的を忘れて、少女の笑顔に見惚れた。

 

「私はユニと申します。此方の家に家庭教師として参りました。よろしくお願いします」

 

――――これは、少年がマフィアのボスになるまでの御話。




家光は手紙でも送っていれば、ツナにそこまで嫌われなかったと思う。
リボーンキャラは割と年齢不詳なのが多いですから、ブルーベルとかユニとか。
割とどうなってるか気になります。

*本文を追記しました。
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