オーバーロード 仮面の剣士   作:てこの原理こそ最強

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1話

(楽しかったんだ。本当に楽しかったんだ...)

 

「いやー、本当にお久ーですモモンガさん」

 

「正直来てもらえるなんて思ってもいなかったでしたよヘロヘロさん。2年ぶりくらいですかね」

 

「そんなに時間が経ってるんだ。ヤバいな、残業ばかりでこのごろ時間の感覚が変なんですよね」

 

「それかなり危ないんじゃないですか...?」

 

「身体ですか?超ボロボロですよ」

 

「あぁ...」

 

「すいません、愚痴ばっかりこぼしちゃって」

 

「気にしないでください」

 

「っと僕はそろそろ。ちょっと眠すぎて...」

 

「あー...ゆっくり休んでください」

 

「本当にすいません。でもナザリック地下大墳墓がまだ残っているなんて思ってもいませんでしたよ」

 

「え...」

 

「モモンガさんがギルド長としてずっと維持してくれていたんですね」

 

「ナザリックはみんなで作り上げた本拠地ですからね」

 

「モモンガさん。お疲れ様でした。またどこかでお会いしましょう」

 

ーヘロヘロさんがlogoutしました。ー

 

「今日がユグドラシルのサービス終了日ですしせっかくですから最後まで残っていかれませんか...」

 

大きな会議室のような部屋にこれまた大きな円形のテーブル。そしてイスが41脚。ここは円卓の間。そこにいるのは現在残っているのはヘロヘロがlogoutしたことによりモモンガ1人のみ。今のモモンガの小さな小さな呟きを聞いてくれる人もましてや返事してくれる人もいない

 

「はぁ...いや来てくれただけでも感謝しないとな。またどこかでお会いしましょう、か...どこでいつ会うのだろうね...ふざけるな!」

 

モモンガの悲しみと怒りの想いを乗せた拳が円卓を鳴らす

 

「ここはみんなで作り上げたナザリック地下大墳墓だろ。なぜそんな簡単に捨てることができる...」

 

モモンガは嘆く

 

「いや違うか。誰も裏切ってなんかいない。ギルド武器、”スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン”。これを作るのに大分無茶したよな。有給取ったり、奥さんとケンカしてまで素材集めに来た人もいたっけ。でも41人中37人が辞めてしまった。残りの3人だって...行こうか、我がギルドの証よ」

 

モモンガは壁の隙間に飾られていた”スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン”の名を呼ぶと引きつけられたかのようにゆっくりとモモンガの手元まで降りてきた。それはヘルメス髪の杖(ケーリュケイオン)をモチーフにした黄金のスタッフ。七匹の蛇が絡み合った姿をしており、のたうつ蛇の口が神器級(ゴッズ)アーティファクトの宝玉を咥えている。握りの部分は青白い光を放つ水晶のような材質をしている

 

「<ギルド:アインズ・ウール・ゴウン>の加入条件は2つ。アバターが異様種であること。そしてプレイヤーは社会人であること。そう、みんな生活がかかっている。夢を実現した人だっている。リアルを取るのは仕方のないことなんだ」

 

円卓の間を出たモモンガは幅の広い階段を降りるとそこには戻ってきた主人に頭を下げる1人の執事と6人のメイド服をきた女性達がいた

 

(セバス、あぁそんな名前だったか。それに戦闘メイド、プレアデス達。お前達には玉座の間を守ってもらっていたけどとうとうここまで攻め込んできたプレイヤーは1人もいなかったな。ギルド長たるもの最期くらいは彼らを働かせるべきか)

 

「”付き従え”」

 

モモンガの命令コマンドに従い執事のセバス・チャンを筆頭にプレアデスも続く

 

(ギルドのみんなも今日くらいオレの勝手にしても許してくれるよね)

 

そしてモモンガの向かった先にはバカでかい扉が。そしてそれが開くと奥に広がったこれまた広い部屋があった。ここが玉座の間である。そして玉座の傍には純白のドレスをまとった美しい女性が立っていた

 

(アルベド)

 

その名はアルベド。僅かな微笑を浮かべた顔は女神のごとく。ドレスと正反対の黒髪はつややかに流れ落ち、腰のあたりまで届いている。しかし人ではなく悪魔であり、瞳は金色で瞳孔は縦に割れ、頭から突き出した山羊のような角、腰から漆黒の天使の翼が生えている

 

玉座に上がったモモンガは一度振り返る

 

「確かコマンドは...”待機”だっけ?」

 

その命令にセバスとプレアデス達は一礼をして横へ移動した。それを見届けてからモモンガは玉座に腰を下ろした

 

「ふぅ。あとは時間を待つのみか。ん?」

 

モモンガは上の階層に違和感を感じた

 

「ははっ、やってるな〜。まさか本当に最後まで挑むなんて」

 

モモンガは天井を見上げたまま上の状況に嬉しさを感じる。ここ最近ナザリックへの挑戦者は皆無といって相違ない。しかし今も上層部にて戦闘を行なっている()()その人だけは何度負けても諦めず挑み続けてくれた

 

(人種じゃなかったらウチに誘ってたのにな)

 

先程の御仁とは人種、つまり<ギルド:アインズ・ウール・ゴウン>の加入条件を満たしていないのだ。しかし彼の根っからの対抗心に興味を惹かれたモモンガは数ヶ月前より彼とは有効な関係を持っている

 

(しかしアルベドってどんな設定だったっけ...)

 

モモンガはアルベドの情報を出す

 

(ナザリック地下大墳墓の最上位ノンプレイヤーキャラクターで守護者統括。長っ!そういえばアルベドを作ったのは設定魔のタブラさんか。え、なにこれ...ビッチって、はぁ...ギャップ萌えだったっけタブラさんは。それにしてもいくらなんでもこれは...本当ならツールが必要だけどこれがあれば)

 

アルベドの設定情報の1番最期の”ちなみにビッチである”という言葉にこうべを垂れるモモンガ。そしてその設定情報の画面にスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンをかざしその一文を消去した

 

(何か入れた方がいいかな)

 

「モモンガを愛している」

 

モモンガは発した言葉をそっくりそのまま入力した

 

(うわ恥ずかし〜バカじゃないの俺...)

 

そして一度アルベドを見て画面を消した

 

(確かコマンドは...)「”ひれ伏せ”」

 

その命令通りアルベドやセバス達はその場にひれ伏した

 

(そういえばあの人プレアデス達全員好みだって言ってた気が...ふむ)

 

モモンガはどうせもう終了だし自分もやっちゃったしいいよね、という軽い感じで6人のプレアデス1人1人の設定情報の最後に”カイトのことを愛している”と勝手に付け加えた

 

「はぁ...過去の遺物、か...」

 

(俺、たっち・みー、死獣天朱雀、餡ころもっちもち、ヘロヘロ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜、タブラ・スマラグディナ、武人建御雷、ばりあぶる・たりすまん、源次郎...)

 

天井に掲げられた旗を指差しながらそれぞれの名前を口に出していくモモンガ

 

(そうだ、楽しかったんだ。本当に楽しかったんだ...)

 

過去のことを思い出してか、それともまだ終わって欲しくなくてか、はたまた昔の同士に会いたくてか、モモンガは1人玉座でつぶやく

 

(はぁ明日は4時起きか。サーバーが落ちたら早く寝ないと仕事に差し支える...というかあの人本当に最後の最後までやるんだ)

 

23:59:56...57...58...59...

 

00:00:00

 

00:00:01...02...03...04...

 

「はぁ...はぁ...はぁ...やっぱり倒せん!」

 

ユグドラシル最後までここに来たってのに傷一つつけられんとは...まだまだ修行が足りんということか...まぁ修行もなにもここゲーム内だしそれにユグドラシル自体も今日で終わりなんだけどね〜あはは〜

 

「もう終わりでありんすかえ?」

 

「....................え?」

 

「ん?どうしたでありんすか?」

 

「ん?」

 

「もう終わりでありんすか?」

 

「んん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”?」

 

「一体どうしたでありんすか?ぼーっとしてると死んじまうでありんすえ?」

 

「喋ってるぅーーーーー!!!!!!!?」

 

「うぉっ!いきなり変な顔したかと思いきや今度は奇声でありんすか?頭でもおかしくなったんでありんすか?」

 

「むっ...ちょっとターイム!!!!」

 

持っていた刀を鞘に納め手でTの字を作りタイムを相手に訴えかける

 

「仕方ないでありんすね。モモンガ様より”殺すな”と命じられているでありんす故、お聞きするでありんす」

 

(一旦落ち着くんだ。そうだ落ち着くことだ。ここはどこ?あ、ナザリック地下大墳墓か。私はだぁれ?ふむゲームユーザー名で名乗るならカイトで間違いないはず。ってちがーう!今考えるべきはなぜNPCが喋る!?そんな機能あったのか!いや違う。あれはちゃんとした”会話”だった。だがいくらVRMMOでもそんなことありえるのか!?とにかく一旦運営に...)

 

「っ!」

 

「もういいでありんすか?」

 

「も、もうちょっと待ってください!」

 

「畏まったでありんす」

 

(メニューが面が表示されないだとー!!!?なんだバグか!?それに時間も場所も表示がない!何だってんだ!ここは一度モモンガさんに会うべきか...)

 

「少々よろしいでありんすか?」

 

「ひっ!な、なんでしょうか...?」

 

「守護者統括から緊急招集が入りんした。そこには貴方様もお連れするように、とモモンガ様からのお達しもありんした」

 

「え、モモンガさんから?」

 

「ということで戦闘は一旦打ち切りにするでありんす。すぐ戻りんす、少し待ってるでありんすえ」

 

「え...緊急なのですぐ行った方がいいのでは?」

 

「いと高き御方の御前に参上するんでありんす!まずは身を清め身なりも整えないのでは女が廃りんす!」

 

「アッハイ...」

 

「それでは暫しお待ちを」

 

そういって”シャルティア・ブラッドフォールン”は時空に歪みを生じさせその中へ消えて行った

 

「一体何が起こってるんだ...」

 

1人になったカイトは再度今の状況について考え始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせんした」

 

「あ、いえ大丈夫です」

 

「それでは行くでありんす」

 

「わかりました」

 

少し時間が経ってシャルティアが戻ってきた。そしてまた時空の歪みを生みその中へ入って行った。カイトもシャルティアに続いて中へ入る

 

「おや、私が1番でありんすか?」

 

出た先には1人のアンデットと2人のダークエルフがいた

 

(シャルティア。第1〜3階層までの守護者でトゥルーヴァンパイアだ)

 

「あぁ我が君。私が唯一支配できぬ愛しの君」

 

(はっ!近ー!)

 

シャルティアは着くなりモモンガに抱きつく

 

「シャルティア、ちょっといい加減にしたらー?」

 

「おやチビ助。いたでありんすか?」

 

「ん”っ!」

 

「ぬしも大変でありんすねマーレ。この頭のおかしい姉を持って」

 

「偽乳...」

 

「なっ!」

 

「図星ね!だからわざわざゲートを使ってやってきたんだ。急いで来たいのに盛りすぎてて走るたびに胸がどっか行っちゃうから」

 

「だ、黙りなさい!あんたなんか全くないでしょ!」

 

「アタシはまだ76歳だけどあんたはアンデット。成長しないから大変よね〜今あるもので満足したら?ププー」

 

「おんどりゃあ!吐いた唾を戻せぇ!」

 

(懐かしいな。シャルティアを設定したペロロンチーノさんも”アウラ”や”マーレ”を設定したぶくぶく茶釜さんとこんな風によくケンカしてたっけ)

 

「騒ガシイナ。御方ノ前デ遊ビスギダ」

 

(”コキュートス”。第五階層の守護者であり性格もコンセプトデザインも武人という設定だ)

 

「このチビが私に無礼を!」

 

「事実だ!」

 

まだ言い争いを続ける2人に対しコキュートスは持っているブローソードで地面を氷付け2人を止めようとする

 

「そこまでだ!シャルティア、アウラ、じゃれ会うのもそれぐらいにしておけ」

 

「「申し訳ありません」」

 

「よく来たなコキュートス」

 

「オ呼ビトアラバ即座ニ」

 

「うむ、ご苦労」

 

「みなさん、お待たせして申し訳ありませんね」

 

(”デミウルゴス”。ナザリック地下大墳墓、第7階層守護者であり防衛時におけるNPC指揮官という設定の悪魔だ)

 

最初からいたアウラとマーレ、そしてシャルティア、コキュートス、最後にアルベドと一緒に馳せ参じたデミウルゴス。これだけの守護者達が集った

 

「ではみな、至高の御方に忠誠の儀を」

 

「第1、第2、第3階層守護者”シャルティア・ブラッドフォールン”。御身の前に」

 

「第5階層守護者”コキュートス”。御身ノ前ニ」

 

「第6階層守護者”アウラ・ベラ・フィオーラ”」

 

「同じく第6階層守護者”マーレ・ベロ・フィオーレ”」

 

「「御身の前に」」

 

「第7階層守護者”デミウルゴス”。御身の前に」

 

「守護者統括”アルベド”。御身の前に」

 

揃った守護者達はモモンガの前にひれ伏した。それを少し距離の離れたところでカイトは正座をしながら見ていた

 

「第4階層守護者”ガルガンチュア”、及び第8階層守護者”ヴィクティム”を除き各階層守護者御身の前に平伏し奉る。ご命令を至高なる御身よ。我ら忠義全て御身に捧げます」

 

「面をあげよ」

 

(って絶望のオーラ出してどうすんだよ俺!)

 

(はー、こっわ!)

 

「よく集まってくれた。感謝しよう」

 

「感謝などもったいない。我らモモンガ様にこの身を捧げた者達、モモンガ様からすれば取るに足らないものでしょう。しかしながら我らの造物主たる至高の御方々に恥じない働きを誓います」

 

『誓います』

 

「素晴らしいぞ!守護者達よ。お前達ならば失態なく事を運べると強く確信した」

 

『あぁ...』

 

「さて、現在ナザリック地下大墳墓は原因不明の事態に巻き込まれている。既にセバスに地表を捜索させているのだが。ん?」

 

そこへセバスが現れる

 

「草原?」

 

「はい。嘗てナザリック地下大墳墓があった沼地とは全く異なり周囲1kmに人工建築物、人型生物及びモンスターの類は一切確認できませんでした」

 

「ご苦労だったセバス。ナザリックがなんらかの理由でどこか不明の地に転移してしまったのは間違いないようだな。守護者統括アルベド。ならびに防衛戦責任者であるデミウルゴス」

 

「「はっ!」」

 

「両者の責任の元でより完璧な情報共有システムを作り警護を厚くせよ!」

 

『はっ!』

 

「マーレ、ナザリック地下大墳墓の隠蔽は可能か?」

 

「ま、魔法という手段では難しいです。ただ例えば壁に土をかけてそれに植物を生やした場合とか」

 

「栄光あるナザリックの壁を土で汚すと...?」

 

「アルベド、余計な口を出すな」

 

「はっ!申し訳ありません、モモンガ様」

 

「壁に土をかけて隠すのは可能か?」

 

「は、はい。お許しを頂けるのでしたら。ですが...」

 

「ふむ、大地の盛り上がりが不自然か。セバス、この周辺に丘のような場所はあったか?」

 

「いえ、残念ながら平坦な大地が続いているようです」

 

「そうか。であれば周辺の大地にも土を盛り上げダミーを作れば」

 

「ならばさほど目立たなくなるかと」

 

「よし。ならばそれに取りかかれ。隠せない上空部分には後ほど幻術を展開しよう」

 

「は、はい。かしこまりました」

 

「最後に。各階層守護者に聞いておきたいことがある。まずはシャルティア、お前にとって私は一体どのような人物だ」

 

「美の結晶。まさにこの世界で最も美しいお方でありんす」

 

「コキュートス」

 

「守護者各員ヨリモ強者デアリ、正ニナザリック地下大墳墓ノ絶対ナル支配者ニ相応シイオ方カト」

 

「アウラ」

 

「慈悲深く配慮に優れたお方です」

 

「マーレ」

 

「すごく優しい方だと思います」

 

「デミウルゴス」

 

「賢明な判断力と瞬時に実行される行動力を有される方。正に端倪すべからざるという言葉が相応しき方です」

 

「セバス」

 

「至高の方々の総括であり最後まで私達を見放さず残って頂けた慈悲深きお方です」

 

「最後になったがアルベド」

 

「至高の方々の最高責任者であり私共の最高の主人であります。そして私の愛しいお方です!」

 

「な、なるほど...各員の考えは十分に理解した。」

 

(オレ空気なんですけどー!)

 

「では最後に全員知っているとは思うが私と同じように最後までここに残ってくれた私の友人を改めて紹介しよう。カイト殿」

 

「は、はい!」

 

モモンガの絶望のオーラと守護者達の存在に緊張でチビりそうになっているカイトがモモンガに呼ばれモモンガの元に歩み寄る

 

「私の友人、カイト殿だ。彼はこのナザリック地下大墳墓の至高の1人でも君達守護者の創造主でもない。しかし彼は我々には絶対持てぬものを授けてくれた存在だ。彼の存在は至高の41人に匹敵するものといっても過言ではない」

 

(ちょ!ちょっとモモンガさん!何を言っておられるんですか!)

 

(すいませんカイトさん!ここは話を合わせてください!)

 

「この非常事態彼もこのナザリックの仲間として迎え入れようと思う。意見のある者はここで述べよ」

 

(えー!なんスかそれ!聞いてないですよ!?)

 

(だってさっき決めましたから)

 

(んなバカな!)

 

「意見はないな。なら今の意向に不満のあるものはいるか」

 

(モモンガさんが聞いて手を上げれるわけないでしょ!絶対いますって!)

 

(そうですか?そうでもないかもですよ?)

 

「いないようだな。では彼を我々の新たな仲間とする!序列は私と同等のものとする。みな、すぐにはムリだろうが彼への忠誠も期待する」

 

「何を仰られますか。既にカイト様はモモンガ様のご友人と伺っておりました。そんな御方に不満などございません。我ら一同カイト様にも忠誠を誓います」

 

『誓います』

 

(え、ウソやん...)

 

(ね、言った通りでしょ)

 

「うむ。では皆、今後とも忠義に励め」

 

モモンガはカイトの肩に手を置いて別の場所へ転移した

 

「はぁ〜疲れた...」

 

「疲れたじゃないですよ。どういうことですか」

 

「いやー申し訳ない。この非常事態、戦力は多い方に越したことはないと思いまして」

 

「いやでも自分モモンガさんはもちろん守護者達よりもレベル低いんですよ?」

 

「ですが貴方は唯一ナザリックの第3階層、しかも守護者のシャルティアまで辿り着いた方だ。それだけで相当な実力者と言っていいではないですか」

 

「そう言って頂けるのは嬉しいですけど...」

 

「それにカイトさん、どこか宛てはあるんですか?」

 

「うぐっ!」

 

カイトは考える。モモンガの言う通り現時点でここ以外に宛はない

 

「........よろしくお願いします」

 

「いえ、こちらこそ」

 

カイトは考えた末頭を下げた

 

「さて、それじゃあ行きましょうか」

 

「どちらへ?」

 

「武器庫に。調べたいこともあるので」

 

「ほぅ」

 

モモンガの進言で武器庫に行くことになった。今度は転移ではなくきちんと徒歩で。あれ?でもモモンガって浮遊してるから徒歩って言わないのか?ん〜...まぁいいや

 

「お待ちしておりました、モモンガ様」

 

「待たせたてすまなかったな”ナーベラル”」

 

(ナーベラルさん!?)

 

”ナーベラル・ガンマ”。ナザリック地下大墳墓における6人の戦闘メイド「プレアデス」の一人でありプレアデス姉妹の三女にあたる。エレメンタリスト、魔力系魔法詠唱者でもある。きめの細かい色白の肌に、黒の瞳、切れ長の眼、黒髪は長くポニーテールにしている

 

「いえ、主人をお待ちするのも我らの責務にございます」

 

「そ、そうか...ん?なぜ隠れているのかねカイト殿」

 

「カ、カイト様!?」

 

「はっ、はい!」

 

「も、申し訳ございません!愚かな我が身はカイト様に気づかず...この罪は私の命で償わさせていただきます!」

 

「ちょっ!待った!ナーベラルさんが死ぬなら自分も死にます!第一気配を絶って身を隠していた自分が悪いんです!」

 

「いえ!カイト様に失態などございません!」

 

「それならナーベラルさんにだって非はないです!」

 

あぁ言えばこう言う。お互いに責任の奪い合い。普通逆なのでは?とモモンガは考えてしまうがNPCであるナーベラルとカイトの性格上こうなったことに納得してしまう

 

「2人ともそこまでだ。今回はお互いに非があったということで不問とする。異論は認めん」

 

「...モモンガ様がそうおっしゃるなら......」

 

「...モモンガさんがそう言うなら......」

 

「はぁ〜。さてナーベラルよ、入っても構わないか?」

 

「はっ!申し訳ございません!只今お開けいたします!」

 

ナーベラルがドアを開けてモモンガが入っていく。その後ろからカイトとナーベラルが同時に入る。そのときお互いに目が合い、即座に目を逸らす。それを2、3度繰り返した

 

(まったく何やってんのあの2人...さて、魔法職しか取ってないけどレベル100にでもなれば大抵の剣を振るう筋力はある。だけど、クラスが異なる武器や防具を装備すらできないのはゲームのままだ)

 

モモンガはマジックキャスター。つまり魔法を使うスタイルであるため剣士などが装備する剣や盾などを装備することはできない

 

(この世界に来てからこの姿に恐怖も違和感も感じない。外見だけでなく精神も変化しているのか)

 

この世界に来てからモモンガは感情はある一定を越えると抑圧され、また食欲や睡眠欲も感じない体になっていた。まさに人間ではなくアンデッドのそれ自身になってしまったらしい

 

「モモンガ様」

 

「ん...クリエイト・グレーター・アイテム」

 

モモンガはクリエイト・グレーター・アイテムで上位武具を見に纏った。そしてナーベラルの拾った剣をもう一度振るった

 

(魔法で生み出したものであればユグドラシルと同じように装備できるわけか)

 

「ナーベラル。私は少し出てくる」

 

「近衛兵の準備は終わっています」

 

「いや、私は一人で十分...」

 

「お待ちください!モモンガ様お一人では御身に何かあったときに私達が盾になって死ぬことができません」

 

「極秘に行いたいことがある。共は許さん」

 

「...かしこまりました」

 

(えっ、モモンガさん?)

 

(ちょっと気分転換に外に行ってきます)

 

(オレは?)

 

(まだナーベラルと一緒にいればいいじゃないですか)

 

(なっ!)

 

(じゃっ)

 

モモンガはナーベラルに剣を預けてカイトを置いて転移した

 

「カ、カイト様は何かお使いになりますか?」

 

「え、あー。自分は剣より刀を使うんで」

 

カイトは手を前に出し呟くように”朱雀”と唱える。すると赤とオレンジが貴重の刀が現れカイトはそれを握る

 

「専ら自分専用のものしか使わなくなっちゃいましたね」

 

「さすがはカイト様です。私など既に足元にも及びません」

 

「何を言うんですか。ついこの間まで魔法攻撃で近づけさせてくれなかったのに」

 

「その打開策として私の魔法の攻撃という攻撃を()()()()()()()のはどなたでしたでしょうか?」

 

「あはは...もしかしてまだ根に持ってました?」

 

「いえ、そんなこと一切思っておりません」

 

「悔しいって顔に描いてありますよ?」

 

少しの沈黙から2人は軽く笑いあった。すると部屋のドアがノックされナーベラルと全く同じではないが同じようなメイド服を身に纏ったをした女性5人が入ってきた。そして5人はカイトの前で跪いた

 

「カイト様。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」

 

「ユリさん。ルプスレギナさんにシズさん、ソリュシャンさんにエントマさんも」

 

登場したのは戦闘メイド「プレアデス」のナーベラル以外の5人。長女の”ユリ・アルファ”は、戦闘メイド「プレアデス」のまとめ役にして副リーダーである。メガネを掛けた表情には、鋭さと怜悧さが浮かんでおり、見る者に知的な美女という印象を抱かせる。豊満な胸を持ち、髪は結い上げて夜会巻きにしている

 

次女の”ルプスレギナ・ベータ”。褐色の肌をしており、髪型は三つ編み。あの帽子の中にケモミミが、あるかもしれないし、ないかもしれない。真相はまだわかっていない

 

”シズ・デルタ”。シズの瞳は片方が冷たい輝きが宿った翠玉エメラルドとも呼ばれ、左目はアイパッチで覆われている。長い髪は赤金ストロベリーブロンドの色をしており、髪型はストレート。メイド服は都市迷彩色でスカートの裾には「一円」と記載された可愛らしいシールが貼ってある

 

”ソリュシャン・イプシロン”。プレアデスの4女。姉妹の中ではセクシー系担当かも。髪型は長い縦ロールで豊満な胸を持つ因みに捕食型粘体スライムのため姿は全て擬態

 

”エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ”。性格も末っ子らしい小動物的なものがあり、和服ちっくなメイド姿も相まって実際可愛い。髪型はお団子を両サイドに二つ作った「シニョン」と呼ばれるものに、蟲の触覚が二つ生えている。しかしシニョンの髪型も、ほっそりとした身体も、変わらない表情も、その幼い少女のような声も、全て蟲による擬態である。表情は変わらないがその代わりに声色や態度に出るため可愛いことにはなんら変わりない。なんでもシズとどっちがお姉さんか争ってるとかなんとか...

 

「カイト様のお部屋は既に整えてございます。そして僭越ながらボ...私共プレアデスの中から1人カイト様のお世話をさせていただきます」

 

「いや、みなさん普段の仕事でお疲れでしょ?自分のお世話なんていいですよ」

 

「そ、そうですか...」

 

また仕事が増えてしまうと思いカイトは断りを入れたつもりだったのだがユリ達は明らかに残念そうに下を向く

 

「あー...でもここのことわからないとこもあるし...め、迷惑でないならお願いしようかなー」

 

「っ!謹んでお受けいたします!」

 

「あ、ありがとうございます...」

 

先程とは打って変わって笑顔を向けてくるユリ達

 

「ニシシ。ユリ姉もみんなもいい笑顔っす♪」

 

「そういうルプだって嬉しそう」

 

「シズだって口角上がってるわよ〜?」

 

仕事が増えているのに喜ぶ姉妹達。最初は悪い気がしていたカイトも嬉しそうな笑顔を見ていると自身も嬉しくなっていった

 

(不安はあるけどこれから楽しくなりそうだ。というかやっぱりみんなかわいすぎん!?)

 

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