「くそっ!ふざけんな!」
カイトはナーベラルと会議の後すぐに出立した。あの口うるさかった男のパーティーも忠告を無視して一緒についてきた。彼らは先に到着していたアインズ達の手によって次々と死んでいった
「離しやがれ!ぶっ殺すぞ!」
「警告はされていたはず。そしてお前はそれに従わなかった。ならばこれはお前が選んだ選択肢の結果だ。甘んじて受け入れろ」
リーダーである口うるさい男は木に縛り付けられ、尚もうるさく吠える。それをアインズと一緒に来ていたマーレが杖で一殴り。その声は消えた
「これでよろしかったでしょうか?」
「あぁもちろんだ。この程度ならマーレを連れてくる必要はなかったな」
「死体はいかがなさいますか?」
「全て回収せよ。冒険者が上位アンデッドの媒介になり得るか実験する」
「かしこまりました」
「マーレはナーベラルを連れてナザリックまで帰還しろ」
「は、はい!」
「よし、では行くぞ。アルベド」
「はっ!」
「自分も同行しますね」
アインズはアルベドとカイトを連れてシャルティアのいる場所に向かった
「シャルティア」
「...」
「シャルティア!言い訳の言葉もなく更にはアインズ様に無礼を!」
「静まれ!」
アインズの呼びかけに応じないシャルティア。しかし死んでいるわけではなさそうだ
(まさかこれは...ありえるのか?アンデッドであるシャルティアがなぜという疑問は残るが)
「ここを見る限り戦闘があったのは間違いなさそうですね」
「えぇ。そしてなんらかの精神支配を受け命令を与えられぬまま置かれた。そんなところか。これを使うのは少々もったいないがシャルティアの精神支配を手っ取り早く無効化するとしよう」
「それは?」
「超超レアアイテム。”シューティングスター”だ。超位魔法”ウィッシュ・アポン・ア・スター”を三度まで使うことができる」
「超位魔法...」
「見るのは初めてか?」
「はい。第10位階を超えたところにある究極の魔法と伺っています」
「そうだ。だが魔法というよりスキルに近いな。MP消費がない代わりに1日の使用回数制限があるため発動にも時間がかかる。しかもリキャストタイムは課金アイテムですら短縮できない。だがこの指輪は発動時間を0にする上に経験値消費もなしにできるアイテムなのだ」
「そのような希少なアイテムを僕であるシャルティアにお使いくださるとは、なんと慈悲深きお方」
アインズが魔法を発動しようとする中、カイトは考えていた
(アインズさんの説明を聞く限りあれを使えばシャルティアさんにかけられた魔法は消滅するはずだ。だがそもそもこっちの世界の魔法でシャルティアさんの精神を支配するなんて可能なのか?オレが見てきた魔法は極々一部だしそれが全てではないだろう。それにこっちの世界には”武技”というユグドラシルにはないものも存在している。ダイルさんが言っていた帝国最強と噂のある王国戦士長があの女と同じぐらいの実力と見たら問題なさそうに思えるが他の国ではどうなのか...もしかすると!)
「アインズさん待った!」
しかしそれは遅かった。既に指輪のスキルは発動し、砕けた
「撤収だ!アルベド!カイト殿!」
「は、はい!」
「...」
アインズはアルベドを抱き寄せカイトはアインズの背中に触れる
「くそっ...くそがぁぁぁぁぁ!」
「アインズ様...」
「すまない。今の失態は忘れてくれ」
「一体、何があったのでしょう...」
「指輪の力を発動させたが、願いは聞き届けられなかった」
「すいませんアインズさん。アルベドさん。なぜシャルティアさんともあろう強者が精神支配なんてされたのか、疑問を疑問のままにしてアインズさんに託してしまった」
「いえ、それは私も言えること。失念していた。超位魔法が叶わないものなどたった一つしかない...」
「この世界にも存在する可能性を瞬時に判断できなかった...」
「まさかそれは...!」
「「ワールドアイテム」」
「っ!」
「アルベド、ナザリックの警戒レベルを最大までに上げろ。それと外に出ている全ての守護者を戻すのだ」
ナザリックはこれ以上ないほどの緊張感に見舞われた。それこそ以上ないほどの強敵を相手にするほどに
ナザリックに戻ってアインズはアルベド、ユリ、カイトを連れて宝物殿へとやってきた。そこには山のように積み上がった金銀財宝の数々
「アルベドも宝物殿は初めてか?」
「はい。アインズ・ウール・ゴウンの指輪で転移しないと入れませんから」
「それもそうだな」
カイトはたった今アルベドの左手薬指にはめられた指輪に気がつく
(アインズさん、ご結婚されていたのですね。おめでとうございます)
(違いますからね!)
(え、でもアルベドさんが指輪を)
(あれはナザリック内の移動に便利だろうと渡しただけであぁはめたのはアルベドですから!)
(でもアルベドさんはまんざらでもない感じですけど)
(それで困ってるんです!)
アインズは追及を回避するため次へ移動した
「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ」
アインズがそう宣言すると黒い石板に文字が灯された
「確か、かくて汝全世界の栄光を我が物とし暗き者は全て汝より離れ去るだろう、だったか?」
(なにその厨二全開の開けゴマみたいなやつ)
しかしそれがキーとなって黒い石板は消滅し通路が現れた
「この先の霊廟が目的地だ」
「霊廟、でございますか?」
「ん?お前達は知らないのか。では”パンドラズ・アクター”は?」
「管理上把握しておりますが会ったことはございません。パンドラズ・アクター、宝物殿の領域守護者にして私やデミウルゴス達と同等の強さと頭脳を持ち、アインズ様の御手によって創造された者です...!」
「ま、まぁな...」
「ナザリックの財政面の責任者として認識しております」
「うん」
通路を抜けた先には広間がありまだ奥が続いているようだった
「はっ!タブラ・スマラグディナ様!?」
広間の中央にあるソファに座っていた。その姿はナザリック地下大墳墓至高の41人の1人でアルベドの創造主でもあるタブラ・スマラグディナその人であった
「いや、違う!何者!例え至高の御方に気配を真似ようとも想像してくださった方を違えたりしません!殺せ!」
「ですが...」
「もうよい、パンドラズ・アクター」
アインズの呼びかけとともにその用紙は変化し、顔はピンク色の卵のようにツルリと輝いており、毛は一本も生えていない。顔にはペンで丸く塗りつぶしたような黒い穴が3つあるだけ。どう見ても黄色にしか見えないが、ピンク色である。衣服は、アインズ・ウール・ゴウンのギルドサインの入った帽子を被り、欧州アーコロジー戦争で話題になったネオナチ親衛隊の制服に酷似した軍服を着用している
「ようこそおいでくださいました。私を創造したるモモンガ様!」
「お、お前も元気そうだな...」
「はい!元気にやらせていただいています。ところで今回は、どうされたのでしょうか?」
「ワールドアイテムを取りに来た」
「おー!ワァァァァァァルドアイテム!世界を変えるぅ!強大な力!至高の御方の偉大さの証ぃ〜。ナザリックの最奥に眠る秘宝の数々が、遂に力を振るう時がきたと」
踊るように、そして歌うようにビブラートも最大に告げるパンドラズ・アクター
(うわだっさいわー!)
「うむ、その通りだ。”強欲と無欲”、”ヒュギエイアの杯”、”幾億の刃”、”山河社稷図”を持って行くつもりだ」
「はっ!承知いたしましたモモンガ様」
「それとこれから私の名はアインズと呼ぶように。アインズ・ウール・ゴウンだ」
「おぉ...承りました、私の創造主、ンンンンアインズ様!」
パンドラズ・アクターのその変人っぷりにアルベドとユリ、カイトまでも冷たい眼差しを送っていた
(やめてくれ...俺の黒歴史を見ないでくれ)
パンドラズ・アクターは当時アインズがカッコいいと思って作ったもの。話し方もこの服装も立ち居振る舞いも
「では行くぞ」
「はい」
「行ってらっしゃいませアインズ様!凛々しい御仁。そしてお嬢様方」
「お嬢様...?私は守護者統括、ユリはプレアデスの副リーダーです。そのような軽々しい呼び名は慎むよう」
「私からもお願いします」
「おぉ。それは失敬。バラのように美しくも可憐なお姿につい...」
「おいちょっとこっちにこーい」
これ以上耐えられなくなったのかアインズがパンドラズ・アクターを連れて行った
「まぁアルベドさんもユリさんも美人ではあるから仕方ないかもですね」
「カカカカイト様!?」
「お褒め頂きありごとうございます、カイト様」
「いいえ。多分アインズさんもアルベドさんのこと美人だって思ってよ」
「そ、それは誠でしょうか!?」
「お、おぉ...」
「はぁ〜いと愛しきお方にそのように想っていただけてるなんて...」
「あはは...ユリさん大丈夫ですか?」
「は、はい!い、いえ!カイト様、今私の顔を見てはなりません!」
「え、なんでです?」
「今は、ダメなのです...」
「はぁ...」
(きっと照れて顔赤くしてるんだな〜。くっ!見たかったのに!)
「すまない、待たせたな。アルベド、お前に与えたリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンをユリに預けよ」
突然離婚...違った、指輪を外すようにアルベドに言うアインズ。しかしアルベドは他の女に渡したくないと訴えるように少々拒んだ。しかしそれを取らないとこの先に入れないと言われ渋々外しユリに渡した。そしてアインズとアルベドは奥へ入って行った
「カイト様は入られないのですか?」
「この奥はアインズさん含めてナザリックの至高の方々の大切な場所。そんなところに部外者の自分が入れません」
「し、失礼しました!」
「いいですよ。さて、ユリさんはこれからどうなると思いますか?」
「シャルティア様の件、でございますね」
「はい」
「このまま放置されることはないかと」
「そうですね。必ずと言っていいほど奪還に向けて動くはずです」
「シャルティア様はナザリック地下大墳墓、そして各階層守護者の方々の中でも戦闘に関してはトップクラス」
「えぇ。自分は他の階層守護者の方々とは戦ったことはないのでわかりませんが、シャルティアさんとは何度も戦い負けています。NPCであの強さはもうチートですよ」
「ちーと?」
「あぁ、規格外って感じですね」
「はい」
「ユリさんならどんな作戦で行きますか?」
「私のような者の考えなど...」
「別に今は正式な作戦会議の場ではないんです。できれば聞かせてもらえませんか?」
「...それでは僭越ながら。シャルティア様と単体で戦うのは賞賛が低いと思われます。よって上位レベルの、守護者様複数で戦うべきかと」
「さすがですね。自分と一緒です」
「恐縮にございます」
「ですがその作戦だと別の対処ができないと自分は思うんです」
「別の対処でございますか?」
「はい。今回相手はワールドアイテムを所持している。そしてその狙いが
「...っ!まさか、シャルティア様は囮...」
「その可能性も十分ありえます。シャルティアさんの奪還に守護者を複数投入するということはその間ナザリックの防衛が手薄になる」
「...」
「ナザリックが占拠されればここにある他のワールドアイテムまで使われかねない。それは一番あってはならないことです」
「はい...」
「それでここからは自分の予想ですが、アインズさんは1人でシャルティアさんの相手をするつもりです」
「なっ!なぜアインズ様ご自身が!」
「あくまで推測です。もちろんさっき言ってた複数人での短期決着という可能性もありますがナザリックが危険に陥っている以上その可能性は薄いかと」
「ですがなぜ...」
「あの人が優しいからですよ」
「っ!」
「アインズさんにとってナザリック地下大墳墓は家のような場所で、ユリさんやアルベドさん達は家族のような存在なんだと思います。それはシャルティアさんも」
「そのような...」
「えぇ。しかもシャルティアさんを最悪殺さなくてはならないかもしれない」
「シャルティア様を...」
「まぁナザリックにあるワールドアイテムのスキルとか知らないんでこれは一概にそうなるとは言えませんが。ですがもし殺さなければいけない状況になるなら家族同士に殺し合わせるなんてアインズさんは絶対にさせないでしょう。だからこそアインズさん自身がやるんです」
「そんな...ですがシャルティア様とアインズ様では...」
「相性は完全にアインズさんの不利でしょう」
「それでは下手をすればアインズ様が!」
「かもしれません。ですから第3の作戦です!」
「第、3の...」
「えぇ。元々ナザリックには部外者でシャルティアさんとそこそこ剣を交えることができる。自信はないですが...」
「ま、まさか...」
「今からそれをアインズさんに伝えてきます」
「お待ちくださいカイト様!」
カイトが歩き出すのをユリが前に回り込む
「どうか!どうかお考え直しを!何か、何か別な手を!」
「それだと本当にアインズさんが行くしかなくなるんです。でもアインズさんはここ、ナザリックに君臨し続けなければいけない人だ。それはユリさんにとってもそうなはず」
「...」
「腐っても友人。皆さんの家族になんてなれるはずがない。居候の身なんです。恩返しさせてください。なーに、手はあります。通用するかは半々といったところですが」
「で、でしたら我々プレアデスもご同行します!」
既にカイトがやろうとしていることを察しているユリは涙を流して懇願する。しかしカイトは目を瞑り首を横に振る
「言ったじゃないですか。ユリさん達もアインズさんの大切な家族なんです」
「ですが...ですが!」
「それに、自分が愛する女性方をみすみす死地に送ることなんてできません」
「っ!」
ユリ自身もわかっていた。自分達ではシャルティアに絶対敵わないと。行ったとしても足を引っ張るだけだと
「カイト様は私達の愛しいお方なのです!どうか...!」
「...ありがとうございます」
カイトはユリの横を通って奥に入って行った。そして彼の姿が見えなくなるとユリは顔を手で覆った
「ナザリック最高の支配者とお前達が呼ぶ私が伊達ではないことを教えてやろう」
「アインズさんは別に力を示さなくてもいいんですよ」
「ん?」
「カイト様」
「お邪魔します。アインズさんは支配者という地位を既に持っていてここにいる皆さんはそれを信じて疑わない」
「しかしそれはアルベド達の与えられただけの知識で構成されたものだ」
「それはこれからだって一緒ですよ。もし万が一アインズさんが負けて帰ってきたとしてもアルベドさん達はアインズさんが支配者でなくなることはないでしょう。そしてその場合はナザリック全軍を復習に当てるんじゃないですかね」
カイトはアルベドを一瞥する
「もちろんでございます!」
「だからアインズさんが不利な戦をする必要はないんです」
「ならシャルティアはどうするというのだ!シャルティアと単体で戦えるのは私だけなんだぞ!」
「自分が行きます」
「「っ!」」
カイトの強い目つきとその威勢に2人は驚く
「し、しかしカイト殿はこれまでシャルティアに勝ったことがないではないか!」
「確かにそうです。ですがシャルティアさんの相手ならアインズさんと同じぐらいの確率のはずです」
「くっ!」
「それに自分が成功できる保証はないです。もし自分が失敗したらそれこそアインズさんにしかシャルティアさんを助けることはできないです」
「...」
「アインズさん。自分をナザリックに置いてくれて本当に嬉しかった。楽しい時間を過ごせました。お願いです。恩を返す機会をください」
「...」
カイトは鋭い眼差しでアインズを見つめる。暫しの沈黙からアインズが口を開いた
「我が友、カイト殿。そなたの腕を見込んで頼む。シャルティアを奪還してくれ」
「承りました。不詳カイト、命に代えても我が友、アインズ・ウール・ゴウンの家族を奪還してみせます」
カイトは礼をして部屋から出た。すると先程泣かせてしまったユリが涙を拭いて凛々しい顔で立っていた
「カイト様、ゲートのご準備はできております」
「ありがとうございます、ユリさん」
ユリと共に玉座に戻ったカイト。そこにはプレアデス姉妹が揃っていた
「ソリュシャンさん、貴方はセバスさんと別任務中だったのでは?」
「セバス様とアインズ様からご許可をいただき戻った次第でございます」
「そうですか。あいがとうございます」
「もったいなきお言葉」
「カイト様」
「こちらを」
ナーベラルとエントマがいつも身につけている仮面とローブを手渡した。カイトはそれを受け取り既に開かれているゲートの前に立つ。その後ろに跪くプレアデスの6人
「カイト様」
「我らプレアデス」
「カイト様の勝利を信じております」
「その心は決して揺るぎません」
「そして恐れながら私共の願いはただ1つにございます」
「必ずお戻りになってくださいませ」
『お帰りを心よりお待ちしております!』
「...行ってきます」
カイトはゲートをくぐった
森に着いたカイトは即座に円を最大限に広げた。シャルティアの他にこれといった反応はない
「いないのか」
「カイトさん」
「アインズさん?激励にでもきてくれたんですか?」
「まぁそんなとこです。お願いした手前贈り物くらいはさせてください」
「というと?」
アインズはありったけの付与魔法をカイトにかけた
「ありがとうございます」
「いえ、これだけあっても通じるかどうか...」
「ないよりは全然ましです。それでは、行ってきます」
「はい」
カイトは気配を消して森を進む。そして森が抜けた先には先日から全く動いた様子がないシャルティアがいた
「はぁ...シャルティアさん、自分貴方に通算何敗してるか覚えてます?137敗ですよ?でも連敗記録も今日で終わりにします。来い、青龍」
カイトは重心を低くし刀に手をやる
「今日こそは、勝ちます!」
カイトは常人では決して出せない速度で駆け抜ける。そして居合で抜いた刀はシャルティアの首を跳ねた。しかしその飛ばされた頭は空中で止まりビデオを巻き戻すようにシャルティアの体に戻りくっついた
「あははははは!!!カイト様!痛かったですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
シャルティアはカイトの方に体を向ける。そして斬られた首は既に綺麗にくっついていた
「まさか初手で上手くいくとは思いませんでしたがね。最初から意識のある状態のシャルティアさんじゃないのが幸運でした」
「あははははは!!!しかしカイト様!攻撃されたからには貴方様を滅ぼさねばなりません!!!」
「そのつもりです。だからその鎧も着用したのでしょう?」
シャルティアがカイトに体を向けたと同時にシャルティアはいつものボールガウン姿からレジェンドアイテムの真紅の全身鎧を身に纏い、ゴッズアイテムであるスポイトランスを手にした。兜は顔の部分が開いており、白鳥の頭部のような形で左右から鳥のような羽が突き出している。胸から肩を経由して、鳥の翼をイメージした装飾があり、腰は真紅のスカートをが巻き付いている。
「これまで負けっぱなしでしたが、今回は勝たせてもらいます。シャルティアさん」
「あはははははは!!!それは楽しみですね!!!!!」
シャルティアは飛翔しものすごいスピードでカイトに近づく
「”飛斬 一閃”」
しかしカイトは近づけまいと飛ぶ斬撃でシャルティアのスピードを減速させる
「”飛斬 一突”」
そして一間も置かずカイトは今度は刀を突くように前に出す。そしてそれは鋭い槍のような斬撃となってシャルティアを襲う
「”ウォール・オブ・ストーン”!」
シャルティアは石の壁を作ったがその斬撃はその壁を壊す。そしてその後ろから同じ斬撃が壁を抜ける。魔法で防げないと判断したシャルティアは上空へ回避した
(あれが本当にカイト様ですか...前に戦った時よりも剣のキレ、剣筋のスピード、攻撃範囲がどれもこれもが格段に上がっている...しかしカイト様の戦闘スタイルは刀での攻撃が主。これまでも魔法での攻撃はほとんど見ていない。今回はHPの削りあい。しかし私と違ってカイト様は人間種。自己回復などはないはず。でも私はこのスポイトランスで相手にダメージを与えるだけこちらが回復できる。厄介なのはカイト様のあの飛ぶ斬撃。しかもあれは暗殺や隠密行動に特化した”静”の青龍。攻撃力としてはカイト様の持つ刀の中でもしたの方。それでも私のウォール・オブ・ストーンを貫通するだけの威力。まずは回復して魔法を中心に牽制しつつ隙を伺う)
「”リジェネート”」
「そうはさせません。”一閃”」
「”グレーター・テレポーテーション”」
シャルティアはカイトの背後に転移しようとするがそれはカイトがアインズから受け取った付与魔法で防がれる
(”ディレイ・テレポーテーション”!?)
「”飛斬 三世”」
転移を破られて姿を現したところへカイトは一太刀で3つの斬撃を生み出す
「”飛斬 千針”」
「”グレーター・テレポーテーション”!」
「”改一閃”」
「”不浄衝撃盾”!」
一度地上に降りたシャルティアをカイトの放つ針ほどの小さな斬撃が千もの数で襲いかかる。しかし今度もシャルティアは転移で逃げるがそれを予測していたカイトは一瞬で青龍から白虎に変えて一閃よりも強い斬撃を放つ。決まったと思われたその斬撃はシャルティアの作った衝撃で打ち消された
「何ですかそれは...」
「さすがに私がこのスキルを持っていたことは知らなかったようですね」
「えぇ...」
「ふふふ!ならば次はこっちです!これの名は”清浄投擲槍”と言います!」
「なんかやばそうですね...」
シャルティアは1日に使える制限があるスキルを続けて2種類も出す。2個目に出てきたのは3メートルを超える白銀の戦神槍だった。シャルティアはそれを投げる素振りもなく誘導的にカイトの物に放たれた。カイトも玄武を出して防ごうとするがその重い衝撃で体勢を崩し二発目を肩に食らってしまった。幸いアインズからの付与魔法で貫通とまではいかないまでもダメージを食った
「あははははは!!!やはり人間種である貴方にそれは防げませんか!」
「くっ!”飛斬 極一閃”!」
カイトはすぐさま朱雀を出し、改一閃よりもさらに大きい斬撃を飛ばす。それはシャルティアに命中し血飛沫をあげさせるが先程のようにまた時間が戻ったようにシャルティアの体は元に戻った
「先程も思いましたがただの回復魔法じゃないですよね。なんですそれは...」
「そう驚くことじゃないですカイト様。これもスキルなんです。卑怯なんて思わないでくださいよ?私を想像してくださった至高の御方が与えてくださった物ですから」
「そうですか...しかし、抗ってみせます!」
「精々頑張ってください!」
「”極一閃”!」
「”清浄投擲槍”!」
カイトの斬撃よりも槍の方がスピードが遅かったためカイトは斬撃を放ちすぐさま玄武を出し槍の芯よりも下の方を打って起動を上にずらした。そのため今度は直撃ではなく掠る程度に収まった
(くっ!直撃したのはたった1回。スキルはほとんど尽きちゃったけどまだMPは残ってる)
「ならこういうのはどうですか!?”マキシマイズマジック ヴァーミリオンノヴァ”!」
「”防斬 凱”!」
シャルティアが放った魔法で地面から吹き出す炎をカイトはジャンプし全て切り刻んだ。そして空中にいるまま白虎を取り出す
「”飛斬 雷鳥”!」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
カイトが放った斬撃はバチバチと雷を帯びた鳥のように形成されシャルティアを襲った
「はぁ...はぁ...」
「そろそろ限界なんじゃないんですか...?」
「そりゃあ。息するタイミングもありませんでしたからね...」
「ふぅ...では再開しましょうか」
「そうしましょうか。それではこれより直接攻撃にかかります!」
シャルティアは腰の部分にあった跳ねを背中に移動させ、カイトも玄武を出して防御体勢をとった
「”眷属召喚”!」
「”飛斬 千針”!」
シャルティアが眷属を召喚するもカイトも数で応戦。しかしそれは陽動でシャルティアは眷属を跳ね除けながら突っ込みスポイトランスを突きつける。カイトはそれを紙一重のところで防いでいる
「”不浄衝撃盾”!」
「ぐはっ!」
しかしシャルティアの放ったスキルで吹き飛ばされるカイト
(ここでか。”エインヘリヤル”...)
全身白色の本人そっくりの人造物を生み出すシャルティア最大の切り札だ
(エインヘリヤルはどう使うのか...ってうおっ!)
カイトはシャルティアとエインヘリヤルの連携攻撃でくると思っていたがいきなりエインヘリヤルの突進攻撃がきた。そしてシャルティア本人は召喚した眷属をスポイトランスで突き刺し体力を回復していた
「ふぅ〜。さてカイト様。ここまで本当によく戦いました」
「...その賞賛は素直に受け取りますよ」
「ですが今の時間で私はHPが全て回復しました。それに比べて貴方はあと半分ほど。本当によく頑張りました。何か言い残すことはございますか?」
「まぁシャルティアさん相手にここまでできたことに正直嬉しいのですが。まずは自分の方が不利だから最初からスキルやMPをばかすか使ってくれて感謝します」
「なっ...」
「シャルティアさんに何度も挑んで何度も負けていたことがここにきて役に立つなんて思いませんでした」
「だって...私のスキルは知らないんじゃ...」
「こっちの世界にきてから暇な時間は鍛錬とシャルティアさん達のことをずっと調べてましたよ。特にシャルティアさんのことはいつか倒すために全てを調べてましたから」
「っ!んんんんあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「来い、”霞”」
カイトは自身の持つ刀の中で最強の刀を出す。しかしその刀身は見えず柄の部分しか見えていない。そして目を瞑りシャルティアが繰り出す突きを交わし柄を下から上に斬りつける。するとシャルティアの左腕が飛び血飛沫が上がる
「あ...あ...あぁぁぁぁぁぁ!」
「ぐっ!」
カイトは背後から迫っていたエインヘリヤルに殴打され吹っ飛ぶ
「はぁ...はぁ...」
「はぁ...はぁ...まさか、それは神聖属性!?」
「”マキシマイズマジック...チェイン・ドラゴン・ライトニング”!」
「っ!カイト様が魔法を!?」
カイトが空に向かって放った魔法はある程度上昇すると反転して地に落ちてきた。それもカイト自身へ。そしてカイトはその魔法をもろに受けた。そのせいで仮面にヒビが入り髪は静電気を帯びて逆立っている。そしてカイトのからの周りにもバチバチと電気を帯びている
「な、何を...」
「”
そしてシャルティアが瞬きした瞬間、カイトは目の前から消えその背後にいたはずのエインヘリヤルが雲散霧消していた
「なっ!」
「これで最後です...シャルティアさん...」
「カ、カイト様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
カイトはその場から消え気づいたときにはシャルティアの背後数mのところに立っていた。その姿はあちこちから血が流れ出ていた。そしてシャルティアはゆっくりと地面に倒れた
「”極斬 煉獄”...」
シャルティアが倒れた後、カイトは口から血を吐き倒れた