オーバーロード 仮面の剣士   作:てこの原理こそ最強

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6話

 

カイトとシャルティアの戦闘は終わった。シャルティアのHPは0になるもカイトのHPはほんの僅かだが残っていた。つまり、カイトの勝利である。2人は即座に回収されどちらも玉座の間に運ばれた。そしてシャルティアにはアインズの手により5億枚ものユグドラシル金貨で復活した。もちろん精神支配は解けた状態で。目を覚ましてシャルティアはカイトと戦った記憶がなく、シャルティアにワールドアイテムを使ったもわからずじまいとなった。それに加えて生き返ったシャルティアの対応に他守護者達は同時に叱りつける。その光景を見て嘗ての仲間達の面影を見たアインズ

 

しかし問題はここからだった。次にカイトに回復魔法をかけ傷は全て塞がりHPは全回復した。しかしカイトは目を覚まさなかった。それに驚く一同。すぐにその場にいないソリュシャン以外のプレアデスの看護の元カイトの部屋のベッドに運ばれた。そこでアインズは改めて痛感する。ここはユグドラシルの魔法やスキルは使えはするがれっきとした現実なのだと...

 

そしてカイトが目を覚さないまま5日程過ぎた

 

「カイト様は...」

 

「...まだ、お目覚めになりません......」

 

シャルティアはことの発端をアインズや他の守護者達から今回起きたことを聞きアインズに迷惑をかけたことを謝罪した。しかしアインズから謝る相手は自分ではないと言われ毎日のようにカイトの部屋を訪れていた。しかしカイトはまだ目覚めておらず横になっている姿をプレアデスを代表してユリが傍で見守っていた

 

「容体は」

 

「アインズ様のかけられた魔法で肉体のダメージは全て消えました。現在も異常はございません。ですが...」

 

「...」

 

「アインズ様曰く疲労による精神安静の状態に入ってるとのことです。時期に目を覚ますだろうと...」

 

「それは、いつでありんすか...」

 

「わかりかねます...」

 

シャルティアの質問にユリが答えていく。シャルティアは自分の犯した罪を許せないのか歯を食いしめ”清浄投擲槍”を出し自分の腹に突き刺そうとする

 

「おやめください!」

 

「っ!」

 

そんなシャルティアをユリが大声で止める

 

「おやめくださいシャルティア様。今貴女様がもう一度亡くなれば、カイト様がお助けした意味がなくなります...」

 

「っ!くそっ!」

 

”清浄投擲槍”を消して拳を握りしめるシャルティア

 

「カイト様...貴方様がお目覚めになるまでこの場を離れません。どうか、もう一度...私共をカイト様にお仕えさせてください......」

 

カイトを見守る全員が涙を流す中ユリはカイトの手をとりぎゅっと握りしめる。そして彼女の頰を伝った涙はカイトの手の甲にポツリと落ちた

 

「あ...............れ..............」

 

『っ!』

 

「カイト...様...」

 

「ユリ...さん...おはようございます...」

 

ユリ達が流す涙は次第に嬉し涙へと変わった

 

「アインズ様にお伝えを!」

 

シャルティアがカイトが目覚めたことをアインズに報告すべく一早く部屋を出た。そしてカイトは上半身を起こす。ユリは彼の背中に手をやって補助した

 

『おかえりなさいませ、カイト様!』

 

「はい...戻りました...」

 

「カイト殿」

 

「うぉっ!」

 

アインズが転移で来たことによりカイトは驚きプレアデスは跪こうとする

 

「そのままでよい。カイト殿、目が覚めたようでなによりだ」

 

「はい、ご心配をおかけしました」

 

「体の方はもう?」

 

「不調な感じはしません。ただ寝すぎたのか体がだるくはありますが」

 

「そうですか、それはよかった。起きかけですまないのだが玉座の間に来ていただきたい」

 

「え」

 

「全階層守護者が貴方をお呼びだ」

 

「皆さんが?わかりました」

 

ベッドから立とうとすると駆けつけたエントマが手を差し伸べた

 

「カイト様...」

 

「あぁ、ありがとうございます」

 

「おかえり、なさいませ...」

 

「ご心配をおかけしました」

 

エントマの手を取りカイトは立ち上がる。立ち上がってもエントマは手を離さなかった。気のせいか顔が赤いようにも見える

 

「アインズさん、リハビリも兼ねて歩いて行きます。先に行っててください」

 

「ふむ、では」

 

アインズは転移して行った

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

『はっ!』

 

エントマと手を繋いだままのカイトを先頭にユリが続いた。彼女の嫉妬の目はエントマと繋いでいる手を行き来していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉座の間にはナザリック全階層守護者が玉座に向かってひれ伏していた。そしてその先にはアインズが玉座に腰をかけていた

 

「よくぞ戻られれた我が友カイト殿。さぁこちらへ」

 

「は、はい」

 

カイトは玉座に上がりアインズの隣の立つ。一緒に来たプレアデス達は守護者達の後ろに同じように平伏した

 

「聞け!各階層守護者達よ!我が友カイト殿が先の戦闘による眠りから目覚めた!」

 

「カイト様のご回復を心よりお祝い申し上げます!」

 

「顔を上げてください」

 

守護者、及びプレアデスは面をあげる

 

「まずはアインズさんの家族、シャルティアさんが無事に戻ったことを喜ばしく思います。そしてこんな自分を心配してくれて深く感謝します」

 

カイトは目を瞑り頭を下げる

 

「頭をお上げくださいカイト様!」

 

「頭を下げなければならないのはむしろ私の方でありんす!この度は大変ご迷惑を...」

 

「シャルティアさん...」

 

「アインズ様!此度の私めの失態に対し罰を!」

 

「それを決めるのは今回の騒動を治めてくれたカイト殿だ」

 

「カイト様!」

 

「シャルティアさん...」

 

「はっ!」

 

「それにアインズさん、他の守護者のみなさん...自分、シャルティアさんに勝ちました。すごくないですか?」

 

「..................えっ?」

 

アインズは素でそんな声が出てしまった。階層守護者達もカイトを見上げながらポカーンとした顔をしてしまっている

 

「えっ、だってユグドラシルでもシャルティアさんを倒した人なんて誰もいないんですよね?ということは自分が初めてナザリックの第一の壁を崩したってことですよね?」

 

「あ、あぁそうですね...」

 

「まぁ次やっても勝てる自信はないですが...」

 

「はぁ...」

 

「まぁ冗談はこれくらいにして。シャルティアさん」

 

「は、はい!」

 

「まずは戻ってこれてよかったです。それとお疲れ様でした」

 

「そ、そんな...」

 

「あと罰でしたか。今回のことはシャルティアさんだけが責任を感じることではないです」

 

「ですが!」

 

「それならこれからは何か行動を起こす前に必ずアインズさんに連絡を入れてください。そしてこれからもアインズさんに忠誠を誓うこと。それを忘れず継続することを自分からの罰とします。これでも満足できないならアインズさんに頼んでください」

 

「はっ!シャルティア・ブラッドフォールンの名にかけてカイト様より与えられた罰しかと承りました!」

 

「はい」

 

「ではみな、これで解散とする」

 

『はっ!』

 

カイトがアインズに軽く会釈をして自室に戻ろうとするとプレアデス達が後に続いた

 

「ユリさん達も今日はもう自室に戻って大丈夫ですよ?」

 

「...かしこまりました」

 

全員が残念そうな顔になったのを見てカイトは目を瞑り口角を上げる

 

「そういえば帰ってから食事まだでしたっけ。何かありますかね?」

 

「っ!ただいまご用意してまいります!」

 

「ユリ姉!手伝うっす!」

 

「なっ!待ちなさい!カイト様のお食事ならばこのナーベラルが!」

 

「私も」

 

ユリがパーッと笑顔になり大急ぎで部屋を出て行ったのを追うようにしてルプスレギナ、ナーベラル、シズも部屋を出た

 

「エントマさん?」

 

「せ、折角なので私はカイト様と一緒にいますぅ」

 

「そうですか。ならユリさん達が戻るのを何か話をしながら待ちましょうか」

 

「感激ですぅ!」

 

「あ、でもその前に。”メッセージ”」

 

カイトはメッセージをここにはいないもう1人のプレアデスの元へ繋げた

 

(ソリュシャンさん、聞こえますか?)

 

(っ!カイト様!お目覚めになられたのですね!)

 

(えぇ。大変ご心配をおかけしました)

 

(何をおっしゃいますか!ご無事で何よりにございます!本来ならばすぐにでもカイト様の元へ直行したいところなのですが、現在任務中のため叶わず申し訳ございません)

 

(大丈夫です。アインズさんから受けた任務を優先してください)

 

(お心遣い感謝致します)

 

(ん?エントマさん?)

 

”メッセージ”でソリュシャンに目覚めたことを報告しているとエントマが突然手を繋いできた

 

(エントマがいかがか致しましたか?)

 

(いえ何でもないです。ソリュシャンさん達の方は何か問題はありませんか?)

 

(こちらは問題ございません。シャルティア様を精神支配した者の影は未だ現れておりません)

 

(そうですか。ソリュシャンさんとセバスさんなら大概のやつには負けるとは思いませんが用心してください)

 

(かしこまりました)

 

(それじゃあまた連絡します。おやすみなさい)

 

(はっ!お待ちしております!)

 

カイトは”メッセージ”を切りエントマの方に目をやる。エントマは恥ずかしいのか顔を俯け体をモジモジさせていた。カイトはそれを微笑ましい顔で見ていた。そして戻ってきたお姉さん達(シズは違うかもしれないが)に羨ましがられたとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日カイトはナーベラルと共にエ・ランテルに来ていた。理由は先のシャルティアの件を解決した報酬の受け取りだった。カイトとナーベラルは街を救った英雄としてついにアダマンタイト級冒険者と認定されその証のプレートを受け取った

 

カイトは早速情報を集めだした。カイトやアインズが想像した通りアダマンタイト級となれば集られる情報はカッパーとは比べられないものとなっていた。またカイトは商人や雑貨屋を回って子供が使う教科書のものを買い集めた。それを使い文字を覚えるためである

 

そしてカイトはいくつかの依頼を受け一旦ナザリックに戻った

 

「戻りました」

 

「あぁ。ご苦労であったなカイト殿」

 

「いえ、ようやく役立ちそうな情報を提供できます」

 

「聞こう」

 

カイトが手に入れた情報の報告会にはアインズとアルベドが参加した

 

「まずこれがエ・ランテルでようやく手に入れたこの世界の世界地図です」

 

「これが、か...」

 

「まぁ言いたいことはわかります。大雑把すぎてここら辺一体の、しかも人間が住む街のことしか書かれてません。でも現状で入手できるのはこれが一番でして」

 

「了解致しました。では模写させて各階層守護者に渡しておきます」

 

「そうだな。その前に簡単な説明をしてもらってもいいだろうか」

 

「もちろんです」

 

アインズは紅色をした石を数個取り出して地図の上に置く。カイトはそれを使って主要ポイントに置いていった

 

「ここがナザリック地下大墳墓です。そしてこの近くに広く形成されてる森がトブの大森林です」

 

「なるほど。アルベド、ナザリックのダミー建設は順調か?」

 

「はい。計画通りです」

 

「ダミー建設?」

 

「えぇ。その説明は後ほどしましょう。続きを」

 

「わかりました。この山脈の西側一帯がリ・エスティーゼ王国。首都はここです」

 

「ふむ。情報収集を行なっているセバス達はどうなっている」

 

「定時連絡は欠かさず来ております」

 

「でもシャルティアさんを精神支配したやつはまだ現れてないみたいですね」

 

「カイト殿がどうしてそれを?」

 

「この前ソリュシャンさんと話したときに少し」

 

「そうでしたか。アインズ、今後ともセバス達の周辺警戒を怠るな」

 

「かしこましました」

 

「そして山脈を挟んで王国の反対側にあるバハルス帝国とは毎年戦争をしているらしいです。自分が本距離にしているエ・ランテルはその際の軍事拠点になるそうです。そしてその南方にはスレイン法国が位置しています。以前カルネ村を襲った国です」

 

「ふむ」

 

「三つの国が隣接して争っているのですね」

 

「他には王国の北西に複数の亜人達で作られているアーグランド評議国が。五匹から七匹の評議員のドラゴンが支配する国だとか」

 

「ドラゴンですか」

 

「王国の南西には聖王国と呼ばれる国が存在してその側にある荒野では多数の亜人達による紛争を繰り返しているそうです」

 

「デミウルゴスが赴いた場所ですね」

 

「あぁ。羊皮紙の生産実験を行ってくれている。”スクロール”を作る上で上質の羊皮紙は欠かせない素材だからな」

 

「そうでしたか。とりあえずざっとですが説明は終わりになります」

 

「ふむご苦労様でした。では現在でこの中で注意すべき所はどこだと思う?」

 

「スレイン法国でしょうか。愚かにもアインズ様に戦いを挑み返り討ちに遭いました。復讐の機会を狙っている可能性があります」

 

「う〜む...」

 

アインズは顎に手を当てて考える

 

「失礼致しました!現状ではどこの国も警戒すべきですね!」

 

「そ、その通りだ。団体では大したことがなくても驚愕すべき個人の存在がないわけじゃないからな」

 

「そこでアインズさんに提案が」

 

「ん?というと?」

 

「アダマンタイト級の冒険者になるとする仕事が依頼を探すものから受けるものに変わりました。しかも受けた依頼の報酬はなかなかの額です。なので自分は依頼が来るまでセバスさん達の護衛に回ろうと思うんですが」

 

「なるほど。確かにセバス達に何かあってから連絡が来るまで僅かながらにタイムラグがあるのは確実か」

 

「えぇ。それに隠密行動は自分の得意分野でもあります。セバスさんがいてが負けるとも思いませんが今回の相手はシャルティアさんをも精神支配できる手練れ...念には念を入れといて損はないかと」

 

「しかしそれではカイト様へのご負担が!」

 

「そこら辺は大丈夫です。逆にここんとこ受ける仕事が減少して退屈してたとこなんで。それにここに帰ってくればいくらでも癒しがあるので」

 

「しかし...」

 

「いや、カイト殿の提案を受け入れ改めてこちらからお願いしよう。セバスとソリュシャンの監視県護衛を頼もう」

 

「承りました」

 

「移動する場合は”メッセージ”を飛ばしてくれ。”ゲート”を使えば移動の負担だけでも軽減できる」

 

「わかりました。それとセバスさん達の護衛にシズさんを同行させてもよろしいですか?」

 

「問題ない」

 

「ありがとうございます。では一度エ・ランテルに戻ります」

 

「わかりました。”ゲート”」

 

報告を終えたカイトはアインズが開いたゲートを使いエ・ランテルに戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...というわけでして」

 

「左様でございますか...」

 

カイトはアインズに提案したことを戻ってからナーベラルに伝えた

 

「カイト様のこれからのご予定は理解いたしました。しかしなぜ...」

 

「ん?」

 

「なぜ私ではなくシズなのですか!?」

 

「あぁ...」

 

「このナーベラルではご不満でしょうか!ならばおっしゃっていただければすぐさま改善致します!」

 

「そんなことはないです。しかし今回は戦闘より隠密を優先した任務になります。戦闘を念頭に置いた護衛ならナーベラルさんですが隠密ならばシズさんの方が的確と思ったからです」

 

「...」

 

「ナーベラルさんには冒険者仲間としてこれからまだまだお世話になるんです。一旦休憩してください」

 

「はい...」

 

「それに自分に依頼があれば必然的にナーベラルさんと一緒になるんですよ?」

 

「っ!」

 

カイトはナーベラルに微笑みかけナーベラルはその笑顔に見惚れる

 

「頼りにしてますね」

 

「はっ!このナーベラル、カイト様のご期待に応えるべく精進致します!」

 

「えぇ。ん?」

 

(カイト様)

 

(エントマさん?)

 

(コキュートス様が進軍を開始されました。一応ご報告をした方がいいと思いまして)

 

(そうでしたかありがとうございます)

 

エントマから”メッセージ”が届いた。内容は以前アインズから聞かされていたコキュートスが発見されたリザードマンの群生地への侵攻作戦の報告だった

 

(それでコキュートスさんはどうですか?)

 

(はい。アインズ様が()()()()()()()に事を運んでおります。コキュートス様自身もアインズ様のご命令通り出陣なさってはいません)

 

(そうですか。アインズさんの期待していたものとは違いましたね。ならばコキュートスさんがこの戦いから何を学ぶかですね)

 

(はわ〜)

 

(ん?エントマさん?)

 

(はっ!申し訳ございません...カイト様のお声がぁ)

 

(あはは、今コキュートスさんの方に集中しましょうね。そちらが終わり次第自分も戻りますからその時に)

 

(は、はいぃ)

 

カイトはそこで”メッセージ”を終わらした

 

「何かご報告が?」

 

「えぇ、貴女の妹さんからです」

 

「そ、それはソリュシャンでしょうか!?それともシズ!?エントマですか!?」

 

「エントマさんです」

 

「なっ!カイト様はこのごろエントマを贔屓にしすぎです!」

 

「そ、そうですか...?」

 

「そうです!先日もエントマはカイト様とお手を繋いでいたり、頭を撫でていただいたり...我が妹ながらなんと妬ましい...」

 

「あ、あははは...」

 

「カイト様はもっと私達姉妹と平等に接するべきです!」

 

「は、はい...」

 

それからカイトはナーベラルから猛烈な嫉妬心をぶつけられた

 

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